彼女がゾンビになったので、俺は魔神皇に抗議しに彼の精神世界に行くよ 作:XX(旧山川海のすけ)
ハザマが怒りだした。
俺は
別に会話に失敗したとは思ってない。
これは一度は通過しないといけないことなんだ。
一度ハザマと戦って、ハザマに俺の、俺たちの力を示さないと。
……虫けらの言うことなんて、普通は聞かないからな。
勝手にピーピー喚いてろと思われる。
魔神皇を自称するほどの力を得たハザマは、この学校では超越者の立場になってるんだ。
笑いながら学校中の人間を皆殺しにしてしまえる圧倒的強者。
そんな相手と会話するなら、こちらも「そうじゃない」を示さないと。
俺はハザマを見つめつつ、スマホを操作し。
女神ネメシスと、天使プリンシパリティを召喚する。
「マスターよ。これが大詰めの戦いなのじゃな?」
召喚されたネメシスは厳しい表情だった。
目の前にいるハザマが、容易い相手ではないことを理解してるんだろう。
俺は頷き
「全力で行こう……でなきゃ、多分やられるのはこっちだ」
そう返し。
刀を正眼に構えた。
最初はハザマからはじまった。
悪魔の姿に変身したハザマは、その巨大な赤ん坊の部分が大きな声をあげた。
それは赤ちゃんの泣き声に似ていたけど。
ギャアアアアアアアア!
どこか。獣の叫びを思わせる。
その声を聞いた瞬間、俺たちは自分の身体が重くなるのを感じた。
「……相手の能力を制限する呪詛じゃな」
ネメシスが呟く。
……マジかよマズいな。
俺は冷や汗が流れるのを感じた。
ただでさえ、強力過ぎる相手なのに。
能力制限を受けたままで、まともに戦えるとはとても思えん……
「なんとかならないのかネメシス!?」
俺は少し他力本願の負い目はあったが。
思わずそう訊ねてしまう。
すると女神は
「……待っておれ。妾はこの呪詛を解除する魔法は身に着けておる」
言って意識を集中する素振りを見せ
「……1分じゃ。1分持たせい」
そして時間稼ぎを要請して来た。
「ハザマくん! 話を聞いて欲しい!」
そしてその要請を受けたのはミキだった。
怪人体に変身したミキは、獣の敏捷性を持っている。
加えて、物理反射相性があるから。
物理攻撃で攻められる限り、回避失敗で致命打を受けることは無い。
時間稼ぎをする役としては、うってつけかもしれない。
「私もあなた同様、矢野さんに中学時代に酷い目に遭わされたの!」
矢野暁子。
ハザマを傷つけた人間の中で、大きな1人。
ハザマもその言葉には無視が出来なかった。
「仲間だから仲良くしようとでも言いたいのか!? さっきあんなことを言っておいて!」
怒りの表情でそう即座に言い返し、赤ん坊部分の尻から生えている尾でミキを打ち据えようとする。
喋ることに意識が集中していたら、イメージとしては魔法は出にくい。
そのせいだろう。
物理攻撃なのは。
だけどミキは
「そうじゃない!」
その一撃を、動きの制限された身体でギリギリで躱しつつ
「私も周囲が敵ばかりの中学時代を過ごしたことがあるから、あなたの苦しみをほんの少しは理解できるのよ!」
そうハザマに言葉を叩きつけたんだ。