彼女がゾンビになったので、俺は魔神皇に抗議しに彼の精神世界に行くよ 作:XX(旧山川海のすけ)
「周りの人間に失望したんでしょう!? 人間同士の絆なんて嘘だって思ったんでしょう!?」
ミキはハザマの尾の攻撃を紙一重で躱しつつ、ハザマに語り掛け続けた。
空を切る尾が、ミキの周囲に存在する浮遊する球体や地面を叩き、重い音を響かせる。
「でも、そうじゃない! それはたまたま今、良くない環境にいるだけで……」
「違う!」
自分の攻撃をギリギリで躱しつつ、ハザマを説得するための言葉を口にするミキを。
ハザマは否定した。
ミキがハザマの本体部分……赤ん坊の右目から生えた、ハザマの上半身に目を向ける。
そこにいるハザマは……
泣いていた。
涙を流していた。
「……失望したのは周りの人間じゃ無い! 人間そのものだ!」
その姿は絶望に満ちていて。
「力があれば何をしてもいい! 何をしても許される! 悪いのは全て弱い奴!」
世界の在り方についての呪詛でいっぱいだった。
ハザマの父親は、恨みに思った相手を早死にするような環境に追い込むことを普通にしていたらしい。
そんな人間が、誰にも罰せられずにずっと強者をやっている。
そして学校の連中は。
自分たちが気に入らないからと、何が気に入らないのかを伝えもせずに排斥に舵を切った。
好きになった女の子には恋心自体を馬鹿にされ。
味方だと思っていた先生も、最後は自分を見捨てた……
そこに、人間への失望……いや絶望したんだろう。
俺はそんなハザマの認識のいくつかを「誤りだ」って言ったけど。
それで簡単に覆るような浅い絶望じゃないのか。
「僕の目的は仕返しではない! 道連れだよ!」
そう言い切ったハザマの目は。とても悲しそうに見えた。
自分の言ってることが破滅思考で、完全に間違ってるって自覚はあるのかもしれないけど。
自分にはこれしか選べない……そう言ってるように見えた。
「僕にこんな決断をさせた奴らを道連れに、全て打ち壊して僕も消える! そのために行動を起こしたんだ!」
……そうか。
良く分かったよ。
俺はハザマのそんな叫びを
ミキがハザマの尾の一撃を回避しきれずに、頭上から叩き潰すように受けてしまう様子を見ながら聞いた。
そのとき。
同時に
「……デクンダじゃ!」
ネメシスがそう力強く叫び、俺たちを縛っていた呪詛を吹き飛ばしてくれた。
1分経ったんだ。
そして次の瞬間、金属が割れるような音が響き。
ミキがその身に受けたハザマの一撃のダメージを反射して
「グアアアッ!」
ハザマを怯ませたのを俺は目視した。
……ハザマ。
お前の言いたいことは良く分かった。
だから今度は……
俺がお前にモノを言う番だ!