彼女がゾンビになったので、俺は魔神皇に抗議しに彼の精神世界に行くよ 作:XX(旧山川海のすけ)
俺たちは一斉にハザマに向かう。
ハザマは自分の呪詛が破られたことに気づき
再度同じ呪詛を掛けるためか、赤ん坊部分に大きく息を吸い込ませる。
……同じものを喰らうわけにはいかない。
この一瞬が勝負だ。
「セイヤアアアア!」
ネメシスの剣がハザマの尾を切断する。
半ばから斬り飛ばされたハザマの尾が、うねくっている。
そしてミキが、その爪でハザマの赤ん坊部分の左目を引き裂いた。
ウギャアアアアア!
赤ん坊が悲鳴を上げた。
そして俺は
「召喚主ッ!」
プリンシパリティの協力で、土台になってもらい
跳躍し、ハザマの裸の上半身……
本体部分の右腕に。
夢想正宗の斬撃を浴びせたんだ。
切断されるハザマの右腕。
「ウァアアア!」
ハザマの悲鳴が響き渡った。
「なぁ、そろそろやめないか?」
俺はハザマの右腕を斬り落とした後。
左腕でハザマの身体を掴んで、そう呼びかける。
ハザマは痛みからか、青褪めて。
脂汗を流していたけど
その目は折れていなかった。
そんな目のまま
「……僕はまだ負けてない。勝手な勝利宣言は止めろ」
「そうじゃねえよ」
戦いたくないだけだ。
そう言いたいけど
俺はここで
「……父親に妹を奪って来いと言われたのに、何もしなかったのは妹を救いたかったからだよな?」
もうひとつ、思っていたことを言ったんだ。
その言葉を聞いた瞬間。
ハザマの顔に困惑が浮かぶ。
俺は
「お前の妹にはもう会ったんだ。そのときに、兄に自分のところに来ないかと言われたなんて言われなかった」
そう。
ハザマの妹のレイコは、兄を救おうとしていたけど。
兄がなんでこの学校に来たのかは話さなかった。
……ここまでイカれた理由だったら、普通話すはず。
兄は父親の目論見のために、無理矢理転校させられたんだ、って。
それが無かったのは、接触されていないってことだろ。
だったら
「……お前さ、ちゃんと妹相手なら他人のことを考えられんだよ。妹をそっとしておきたかったんだよな?」
俺は最初、ハザマは自分のことしか考えて無いと言い切った。
でもそれは、あそこでこのことを持ち出すと、話のまとまりがなくなるからだ。
なのでこうして、話せるタイミングが来るのを待ったんだ。
俺の言葉に……
ハザマは少し呆気に取られていた。
俺は
「俺さ、友達を可能な限り増やすのを信条にしてんだよね」
そこで自分語りをする。
俺の言葉に
「……それは僕と友達になりたいということか?」
ハザマは何だか少し、怯えの混じった声で訊いてくる。
俺は頷いた。
それに対して
「それは助かりたいからか?」
……少し疑いの目を向けながらハザマ。
その言葉に
「それもある」
わりと迷わず、俺は返した。
「……でも他人と繋がって、他人の見ている世界を自分も見れるようになるのは面白いだろ。わかんないかな?」
これはずっと、俺が思ってることだ。
価値観から認識力の高さから、全然違う相手と交流持って、その人にしか見れない世界を知る。
これはきっと、すごく面白いことだと俺は思うんだよね。
だから俺は……
「俺はお前が見ている世界を知りたいと思ってる。お前だって、自分の世界を拡大することに損は無いと思うけどな」
そう言った後。
ハザマの身体から飛び降りて
「俺の名前は
刀を鞘に納めた後。
そう言って右手を差し出した。
ハザマはそんな俺をじっと見つめた後。
突然、光と共に
元の白い学ランの、貴族の雰囲気を纏った少年の姿になった。
そして……
「僕は2年E組の
少しだけおずおずと言った感じで。
彼は俺の手を握り返した。