G×S!夕陽が紡ぐ世界   作:乱A

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(`・ω・)今回のタイトルですがシリアスも終わる事だし、丁度良いのが思いつかなかったのでパチって来ました。


第十四話「彼氏達彼女達の事情」

 

『今日はこれ位にしよう』

 

予習が終わって背伸びをしたらふと、押し入れに目が行った。

押し入れの中に押し込んでいたままの箱。

その中にはいくつかの写真立てが入っている。

何度も捨てよう捨てようと思ってはみるが結局捨てられないまま6年が過ぎた。

そう、明日で6年目。アイツが居なくなってから…6年が過ぎた……

 

喉が渇いたな、お水でも飲もう。

稟くんとお父さんを起こさないようにしなきゃ。

 

私は音を立てない様にゆっくりと階段を下りていくとリビングに明かりが点いていた。

稟くんとお父さんの話声が聞こえたので声をかけようとしたら二人の口からアイツの名前が出て来た。

 

『明日で6年、6年も経つんだ。忠夫君が居なくなってから…』

『おじさん…』

 

暗い感情が湧き出て来たので気付かれない様に部屋に戻ろうとしたがその後に聞こえて来た言葉に私の体は雷が落ちた様な衝撃で固まった。

 

『まるで昨日の様に思いだせるよ、忠夫君が楓を助ける為にあんな嘘を吐いた日の事……いや、嘘を吐かせてしまった日の事を』

『それは俺も同じです。いや、同じ事をやろうとした俺が言う事じゃないですね。おそらく忠夫は俺がやろうとした事に気付いていたんだと思います。だから俺の代わりに…あいつは…』

『すまない…本当にすまない!!…あの日、私が電話さえかけなければ紅葉も慌てて帰るような事はしなかっただろうに……。そうすれば紅葉も……稟君…君のご両親も…死なずに…』

 

……え?……何…それ……だって…電話したのは……忠夫《アイツ》だって…

 

『やめてください、おじさんはただ楓が心配だっただけでしょう。その結果不幸な偶然が重なっただけです。その事で俺がおじさんを責めたりしたら父さんが化けて出てきますよ、「馬鹿な事を言ってるんじゃない」ってね』

『しかし、忠夫君は……あの子は…嫌われる事になると解っていながら…それでも自分が紅葉を死なせる原因を作ったと嘘を吐いてまで楓を助けてくれたというのに……私は何も……な…にも……』

『…忠夫……』

 

『お父さん、稟…くん…』

 

私は震える手でリビングへの扉を開いた。

 

 

 

 

第十四話「彼氏達彼女達の事情」

 

横島に制御される【神】【魔】【分】【離】の四つの文珠。

その光の中には二人分の影が見えて来た。

 

『もう少し、もう少しで』

 

徐々に弱まって行く光、そして完全に収まると其処には二人のシア…いや、シアとキキョウが向かい合って立っていた。

 

「…あ…あ、ああ…」

 

シアは涙を流しながらキキョウの頬を撫で、その存在を確認する。

キキョウも同じようにシアの存在を、そして自分が此処にいる事を確認する。

 

「キ、キキョウちゃん…本当にキキョウちゃんなの?」

「う、うん…うん、私は此処にいるよ…シア…」

 

生まれてからずっと表と裏、一人だった姉妹はやっと表と表、二人の姉妹に戻る事が出来た。

 

「ずっと…ずっとこうやって会いたかった…やっと会えたよ…キ、キキョウちゃ~~~ん!!」

「私だって…私だって……シア、シアーーー!!」

 

号泣し、抱き合う姉妹を見ながら仲間達もまた泣いていた。

 

「俺が言う資格はねえんだが、本当によかった…ありがとうよ、忠夫殿。……忠夫殿?」

 

横島は稟達とはまた別の意味での涙を流しながらその光景を見ていた。

いや、シアとキキョウの二人に自分とルシオラの姿を重ねていた。

 

「ヨコシマ……」

 

横島は自分の体を抱きしめる様に腕を回し、膝を地面に付け泣き続ける

その涙の意味を知っているタマモは横島に寄り添い、その肩を優しく抱く。

 

「忠夫、どうしたんだ?」

「タダくん」

「忠夫さま」

 

そんな横島の所に皆は集まって行く。

 

「忠夫くん、大丈夫?」

「やっぱり、何か無理をさせたんじゃ…」

 

特にシアとキキョウは心配そうだ。

 

『……じゃ…なかった…無駄じゃ…なかっ……た…』

「え?」

「忠夫?」

『無駄じゃ無かった、無駄じゃなかったんだ…そうだよね、ルシオラ……』

 

ルシオラを復活させる為の手段だったが、それは叶わなかった。

しかし、シアとキキョウを分離させ、二人を救う事が出来た、この力は無駄ではなかった。

だからこそ、横島は顔を上げて笑う。

涙は止まる事はなかったがそれでも最高の笑顔だった。

 

 

 

『さあ、稟!お次は仕上げよ!!』

「仕上げ?」

『ねえ、ユーやん。確か神界は一夫多妻制だったわよね』

「あ、ああ、そうだが?」

『つまり、シアと稟が結婚すれば稟はユーやんの義息子(むすこ)になるのよね。その後にキキョウと結婚すれば…どうなる?』

「そうすれば……キキョウは合法的に俺達の……義娘(むすめ)だ!!……その手があったかぁーーーーー!!」

「やったぁーーー!!神ちゃん、ラヴよ!とぉーーーーーってもラヴ♪」

「「キャーー、キャーー!!」」

 

神王一家は浮かれまくっていた。

 

「ちょっと待て!!いきなりそんな事を言われても」

 

稟は当然慌てるが、

 

「稟くん……イヤなの?」

「そうよね、いくら何でも稟の気持ちを無視する訳にはいかないわよね」

「うん、我儘言って嫌われたくないもんね」

 

落ち込むシアとキキョウの二人を見て、

 

「い、いや、別に嫌っていう訳じゃないぞ。ただ、あまりに突然だったんで」

 

と、言ってしまった。

 

「じゃあ、いいの?」

「いいんだよね!」

「どうなんでぇ、稟殿!!」

「「「どうなの?稟ちゃん!!」」」

 

たたみかけてくる神王一家に押された稟は、

 

「は、はいっ!!よろしくお願いします!!」

 

了承してしまった。

 

「キャーー!やったーーあ!よかったねキキョウちゃん!!」

「うんっ!シア、よかったね♪」

「それでこそ稟殿よ!!」

「「「よかったわ!これでキキョウちゃんも正式に私達の娘よ!!」」」

「とぉーーーーーーてもラヴ♪」

「あ、あれ……何時の間に……は、ははははは」

 

もはや、この事態を受け入れるしかない稟は笑うしかなかった。

 

「稟くん…」

 

寂しそうに稟を見る桜に横島は言う。

 

『大丈夫よ桜。言ったでしょ、神界は一夫多妻制だって。だから桜も一緒に結婚しちゃいなよ、いいわよね。シア、キキョウ』

「当然っ!皆で幸せになるっス」

「私も大賛成よ」

「シアちゃん、キキョウちゃん、ありがとう。稟くん、私嬉しいよ」

 

涙を流しながら喜ぶ桜に稟は何も言えずに代わりに横島を睨みつける。

 

「た、忠夫…お前な…」

『大丈夫、稟なら、稟ならきっとやってくれると信じてるわ。頑張れ、稟!!』

 

そう言い、親指を立てサムズアップ!!

 

「すっごい、いい笑顔だな、忠夫…」

 

 

こうして波乱にとんだ一日は過ぎていく。

 

 

 

 

そして、翌日。

 

「ふふふふふふふふふふ…はーーっははははははははぁーーーーーーっ!!遂に…遂にこの日がやって来たーー!!幾多の苦難を乗り越え、長き時の果てに、今!此処に!俺!ふっかぁーーーつ!!」

 

芙蓉邸の扉から出て来たのは、ようやく男の姿に戻れた横島だった。

 

「あはは、よっぽど嬉しいんだね忠夫ちゃん」

「まあ、無理もありませんわ」

「でも、残念なのですよ。女の子の姿の横島くんの写真は高く売れてたのに」

 

稟達の正式な婚約を聞いた亜沙とカレハと真弓は集まっていた。

そんな中、樹は地面に沈み込みそうなほどに項垂れていた。

 

「あれだけの美女が…我が女神が…むさい男に…」

「あ~~、うっとおしいわね」

「そこらへんに穴でも掘って埋めとくか?」

「嫌な草が生えてきそうだから止めといた方がいいのですよ」

 

そんな会話をしていると神王邸の扉が開いてシアとキキョウに桜、そして稟が出て来た。そして、それぞれの左手の薬指には指輪が光っていた。

 

「おめでとう皆。似合ってるわよ」

「ありがとうっス、亜沙先輩」

「シアもキキョウも桜も皆幸せそう」

「今でもまるで夢を見ているみたい」

「大丈夫、夢じゃないわよ桜。ちゃんと確かめておいたから」

「確かめるなら自分のほっぺでやってよキキョウちゃん」

 

シアは赤くなった頬をさすりながらそう言う。

 

「どうした稟、元気がないぞ。わはははははは」

「……そうやって笑っていられるのも今のうちだぞ忠夫」

 

そんな事を言う稟の目が紅く光って見えるのは気のせいだろうか。

 

「どう言う事だ?」

「そう言えばさ忠夫ちゃん、楓達は何処なの?」

「なぬ?」

 

首を振りながら辺りを見回すがネリネに楓、タマモも居ない。

横島が嫌な予感に冷や汗を流していると魔王邸の扉が開き、三人が出てくる。

 

……それぞれの手に、ケースの中に光る指輪を握り締めて………

 

「…あの~~、ネリネさん達。その指輪は何じゃらほい?」

「勿論、婚約指輪だ」

 

稟はそう言いながら横島を羽交い絞めにして拘束する。

 

「り、稟、何をする?婚約指輪とはどういう事だ!?」

「だから、忠夫ちゃんとネリネちゃん達が婚約するという事だよ」

 

真っ赤になってうつむいている三人の後ろからフォっちゃんが現れる。

 

「婚約って…魔界は人界と同じ一夫一妻制の筈じゃ…?」

「うん、そうだよ。だから神界で式を上げるのさ」

「……はい????」

「神界の一夫多妻制はね、『神界での結婚』にも有効なんだ。つまり、例え魔族や人族であっても神界で結婚すれば何人でも妻を持てるんだよ」

 

そして稟は横島の首に腕を回し、嗤いながら小声で語り掛ける。

《逃がさん、貴様だけは……》と。

 

「だからネリネも楓もタマモもまとめて忠夫と結婚できるという訳だ。勿論、嫌とは言わないよな」

 

はははは…と乾いた笑いを浮かべる横島にネリネ達は瞳を潤ませながら近づいて行く。

 

「タ、タダくん…わ、私嬉しいよ…」

「忠夫さま、私は何時までも貴方に尽くし続けます」

「ヨコシマ、私達が結ばれるのは運命だったのよ」

「さあ、忠夫ちゃん。左手を出して」

 

フォっちゃんは横島用の指輪を出して三人に手渡す。

この期に及んではもはや逃げ場はないと悟り、横島は項垂れながら左手を出す。

楓、ネリネ、タマモの三人は一緒にその薬指に指輪をはめていき、さらに自分達の薬指にも指輪をはめさせる。

 

「うふふ。シロ、私の勝ちよ」

 

薬指に光る指輪を眺めながらタマモはほくそ笑む。

 

 

 

そして、GS世界…

 

「うがあああーーーーーーーー!!」

「ど、どうしたの、シロちゃん!?」

「いきなり何なのよ!?」

 

突然叫び出したシロに美神達は驚く。

 

「タマモに…あの女狐にとんでもなく出し抜かれた気分がしたんでござるよ~~っ!!」

「なん…デスッテ……」(●▲●#)

「シロの超感覚に反応するって事は……何をしてるのよあの二人はーーー!!」

 

 

 

 

そして、シアとネリネの婚約は三世界全域に発表され、世間は…特にバーベナ学園の男子生徒は大混乱に陥り出家する者も居たという。

 

 

《続く》

 

 

《次回予告》

 

誰もが考えた事があるだろう、”もしも”と。

 

もしもああだったら、もしもこうだったら…と。

 

ちょっとした切欠で分離した世界、そんなif。

 

《NEXT・閑話4「芙蓉家の食卓」》

 

もし、あの時横島が……

 

 

キャラ設定5

 

《横島忠夫(神魔人形態2)》

作中での表記にあるように、神魔人形態での本当の姿はアシュタロスの魔族因子と前神であるイシュタルの神族因子の影響を受けた為、目は蒼く、翼も二対四枚で正に女神の姿である。

普段が目が赤く、翼も二枚なのは魔力封じの宝具の封印を受けている為である。

寿命は宝具を付けている状態なら人間と同じ程度だが外すとほぼ、永遠。

 

 

《リシアンサス》

神界の王であるユーストマと魔界の姫であり、

フォーベシイの妹のサイネリアとの間に生まれた娘。

本来なら双子として生まれる筈だった妹と共に一つの存在として生まれて来た。

同じ体を共有している訳では無く、其々の肉体を持っている。

幼い頃から意識下で妹と話をしたりして掛け替えの無い存在として暮らして来た。

幼い頃、人界で迷子になり不安でいた時に稟と出会い、稟に想いを寄せる様になる。

横島への呼び方は「忠夫くん」

 

《キキョウ》

シア同様、ユーストマとサイネリアとの間に生まれたがシアと一つの体、さらにはシアとは逆に魔族として生まれた為にその存在を無かった事とされた。

幼い頃にシアと共に稟と出会い、遊んでいるうちに稟に想いを寄せる。

体を共有している為に表に出てくる事も出来るが自分の居場所がない事を悟り、

シアの意識下に消えようとしたが稟に貰ったキキョウの名で自分を取り戻す。

横島の力によってシアと分離し、ようやく一人の存在になれた。

横島への呼び方は「忠夫」

 




(`・ω・)この二組の婚約は最初から決めていた事で、当然まだまだ増えます。
そして十二話、十三話、十四話は本来一つの話でした。
お母さん、オイラのあの頃のパワーは何処に逝ったんでしょうね。
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