G×S!夕陽が紡ぐ世界   作:乱A

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(`・ω・)本編の中で書ききれなかった話を上げていきます。



閑話6「短編集1」

 

レポート1「その胸の訳」

 

 

「ねえ、忠夫くん。忠夫くんって女の子になった時最初からそんなに胸が大きかったの?」

 

シアとキキョウの分離を記念してお祝いのパーティーを開いている時にシアはそんな疑問をぶつけてみた。

ちなみに文珠はストック切れで新たに生成中の為、横島は未だに女性の姿である。

 

『こ、これ?いや~その~…何て言うか……』

 

横島は照れながらも胸を隠すようにしながら言葉を濁すが、タマモがその疑問に答える。

 

「最初はそんなに大きくなかったわよ。そうね、今のシアと同じくらいだったわ」

「マ、マジッスか!?」

『ま、まあね……』

「だったら何故そんなに大きくなったの?納得の行く説明を要求するのですよ!」

『じ、実は……』

 

 

 

 

それは今を逆上る事数ヶ月前、他者を寄せ付けない程に落ち込んでいた横島が百合子達のおかげでようやく自分を取り戻した頃の事。

 

「こんにちは、お久しぶりね横島君。それとも横島ちゃんと呼ぶべきかしら?」

『からかうのは止めて下さいよ隊長』

「に~に~♪」

 

妙神山に美神美智恵が娘のひのめを連れてやって来た。

ひのめは久しぶりに横島に会えたのが嬉しいのか手を伸ばして抱っこをねだる。

横島はあれからずっと妙神山で過ごしていた。

神魔人の姿のままなので人界に出る事が出来ないらしい。

 

今は神魔界において横島の神魔人としての魔力を抑える為の封印具の研究が進められており、その封印具が完成すれば横島は再び普通の人間として生活する事が出来るようになるのだ。

 

『はあ~、待ち遠しいわ』

「それより横島君、ひのめを抱っこしてあげてくれない?」

『だ、抱っこですか?』

 

美智恵がそう言いながらひのめを横島に渡そうとするが横島は胸を隠すようにしながら少し後ずさる。

 

「横島君、嫌なの?」

『いえ、別に嫌という訳じゃないですけど……ひのめちゃん、抱くと胸ばかり弄って来るので……しかも霊波を込めるからくすぐったくて』

「…うう、ふえぇ……に~に。ぐすっ……」

 

そう横島がやんわりと断ろうとするとひのめは徐々にぐずり出し、それと同時に辺りに放電が起こり、普段は発火封じの札で押さえているひのめの発火能力が暴走し始める。

 

「ああっ、ひのめのかんしゃくが。横島君、お願い!」

『横島さん、私からも頼みます!このままじゃ修行場が…さすがに三度目となるとただじゃすまなくなります』

 

美智恵と小竜姫に泣いて頼まれると横島もこれ以上は嫌とは言えなくなる。

 

『分かった、分かりました。抱かせていただきます、……はぁ……、いらっしゃい、ひのめちゃん』

「びえぇ……ふあっ♪に~~に」

 

横島が手を差し伸べるとひのめはすぐに泣きやみ、笑いながら横島に抱きつく。

 

『まったく、仕方ないんだから。ん、ひゃうっ!こ、こらひのめちゃん。だから胸ばかりいじっちゃダメだってば…やんっ』

「だーだー。ぱいぱい」

 

胸をいじり回されるが相手がひのめだけに乱暴に引き剥がす事は出来ずにされるがままになるしかなかった。

 

「だーだー。きゃはは♪」

『だから霊波を込めちゃいやーーっ!』

 

そんな事が何回か繰り返された頃、ようやく封印具が完成した。

 

そして集まった仲間達の中の女性陣、特に一部分にコンプレックスを持つ者たちは横島の変わり果てた姿に呆然としていた。

 

「よ、横島クン……一体どうしたのよ、その有様は……」

『どうしたも、こうしたも……ひのめちゃんに揉まれ続けた結果、こんな事に』

 

美神の指さす先には、小隆…小竜姫サイズだったモノが美神サイズにまでスケールアップしていたのだった。

 

「裏切りましたね横島さん、私の心を裏切りましたね!」

『ちょっと待ってよおキヌちゃん。裏切ったって何を?』

「へ~~~んっ、横島さんのバカぁーーーーっ!」

 

そんな妙神山の出来事。

 

 

 

 

『と、言う訳なの』

「と、言う事は私もそのひのめちゃんとやらに揉んでもらえばそのデカメロンが私の物になるのですか……」

『デカメロンて……』

「忠夫くん!どうすれば忠夫くんが居た世界に行けるの!?」

『シアまで。いや、むしろそれは私が聞きたいんだけど』

「いいなあ、タダくん……」

『楓まで~~』

 

そんなSHUFFLE!世界の出来事。

 

 

 

レポート2「男と女と父と母」

 

『ほれ横島。これが神魔の技術を総動員して作られたお主の為の封印具じゃ』

『有り難うございます、老師!』

 

神界より帰って来た猿神は金色に光るブレスレットを横島に渡しながら使い方を説明していく。

 

『よし、左手にはめたな。まずは双文珠を作るのじゃ』

『双文珠を?』

 

今の横島は最上級神魔とほぼ同じ力を持つ存在で、それ故に以前では作れなくなっていた双文珠も簡単に作れるようになっていた。

もっとも、あの時の様に何度でも使える訳ではなく単文珠の様に一度しか使えない。

 

横島が右手に霊気を込めると白い光と黒い光が混じり合う様に渦を巻き、双文珠が手の中に現れる。

 

『では、その文珠に【封/印】と込めて封印具にある丸い窪みにはめ込めば神魔の力は殆んど封印され、元の人間の姿に戻れるぞ』

「じゃあ、これで横島さんはちゃんと人間に戻れるんですね」

『いや、そう言う訳でもない』

「…どう言う事よ、それ?」

 

横島が人間に戻れると喜んだおキヌだがそれを否定するような猿神の言葉に美神は聞き返す。

 

『その封印具は横島の中にある神魔の力を極度に抑え、反対に人の因子を高める物じゃ。その封印がある内は確かに人とほぼ変わりはないが横島が「神魔人」であるという事は変えようのない事じゃ』

「じゃあ、横島クンはアシュタロスや貴方達みたいに魂の牢獄とやらに囚われているってことなの?」

『そうではない。横島はその封印具をしている限り人としての死を迎える事が出来るし、お前達同様転生の輪に入る事も出来る。じゃが、美神の嬢ちゃんが魂の結晶を持って転生していた様に神魔人としての魂を持ったまま転生する事になる』

『じゃあ、ルシオラも私の中に居るままなの?』

『いや、死んだ後の魂の状態でならばお主とルシオラの分離は何とか可能の様じゃ』

『良かった……』

 

来世でとはいえ、再会が可能と知って横島は安堵した。そして双文珠を封印具にはめようとした所で頭をよぎった疑問を聞いてみる。

 

『この双文珠って元の姿でも作れるの?』

『極限まで霊力を高めれば可能じゃと思うが、まあおそらく無理じゃろうな。ちなみに開封の【開】の単文珠ならば「半・神魔人状態」になれるからその時ならば作る事も出来るやもしれん』

「そうなの、良かった」

『……何が良かったんですか、美神さん』

『言っておくが文珠の販売は絶対に禁止じゃぞ』

「ちっ」

『舌打ちしたよ、この人』

 

そしていよいよ横島が双文珠を使って元の姿に戻ろうかという時、おキヌが肝心の二人が居ない事に気付く。

 

「あれ?横島さん。お義母さまとお義父さまは?」

「おキヌちゃん、今何か発音の仕方がおかしかった気がしたんだけど?」

「えっ…き、気のせいですよタマモちゃん」

「本当かしら?」

『…あの二人には今日私が男の姿に戻る事は教えてないの』

「何故ですか?」

『あの二人が私が元の男の姿に戻る事を許すと思う?』

「まず、許さないわね」

「許さないでしょうね」

「許さないわね」

「許さないでござる」

 

そう、百合子と大樹の二人は横島が女性の姿になった後、喜々として着せ替え人形の様に色々な服を横島に着せて喜んでいた。

男の姿に戻ると知ったらどの様な妨害工作をして来るか分からないので横島はあえて二人には教えていなかった。

 

『じゃあ、行くわよ』

 

そして横島は双文珠を封印具にはめ込む。

すると横島の体を眩い光が包みこみ、光が収まると横島の体は以前の男の姿に戻っていた。

 

「や、や、やったーーーーっ!戻った、戻った、戻ったぞーーーーっ!」

「おめでとうございます、横島さん」

「これでやっと先生との散歩が再開できるでござる」

「今までサボってた分、たっぷりと働いてもらうわよ」

「まったく、素直じゃないんだから」

 

そんな風に皆が喜んでいると、突然部屋の扉が開き現れてはいけない二人が現れた。

 

「忠夫ーーっ、今日も可愛い服を買って来たぞーーっ!」

「さあ、お着替えしま……しょ……」

「や、やあ、お袋…」

 

百合子と大樹は男の姿に戻っている横島を呆然とした表情で見ている。

 

「た、忠夫、アンタ何で……何で男になってるのよ!」

「男になってるんじゃなく、男に戻ったんじゃろが」

「そんな事はどうでもいい、何で娘のままでいないんだ、この親不孝者!」

「あのなーー、あのままじゃ人界に帰れないから老師に頼んで元の姿に戻れる封印具を作ってもらったんだよ」

「……ほう」

「……そう言う事か」

 

途端に二人の雰囲気は変わり、それと同時に辺りの気温も10度位一気に下がった様に冷気に包まれる。

 

「どう言う事だい?」

『ど、どういう事も何も儂はただ、横島の為に』

 

百合子のプレッシャーにたじろぎ、猿神は震えながら後ろに下がって行くが其処には大樹が待ち構えていた。

 

大樹は猿神の頭を鷲掴みにすると力一杯に握りしめながら持ち上げて行く。

 

『痛い痛いっ!割れる割れるっ!き、緊箍児より痛いっ!』

「てめえ、この猿っ!俺達の大事な娘に何て事しやがる」

「小竜姫さん、異空間の修行場、お借りしても、よろしいかしら?」

『は、はい。ど、どうぞ…』

「ありがとう。じゃあ、あなた、行きましょう」

「おう」

 

百合子のたどたどしい口調に脅えた少竜姫は止める事も出来ずに異空間への扉を開き、百合子と大樹は猿神を掴んだまま修行場へと歩いて行く。

猿神はもがきながらも逃げようとするがそれはやはり無駄な足掻きだった。

 

『しょ、小竜姫、助けてくれい!』

『む、無理ですよ』

『ワ、ワルキューレ!』

『その命令は実行不可能だ』

『ジーク!』

『ガタガタブルブルガタガタブルブル』

 

小竜姫達に助けを求めるが、娘を奪われた二人が放つプレッシャーにはさすがの彼女達も為すすべがなかった。

ジークに至っては部屋の隅で座布団を頭にかぶり丸くなって震えていた。

 

『や、止めてくれいっ、離してくれーーーーっ!』

「それは無理な相談だ。……俺達はお前を決して許しはしない」

「そう言う事よ」

『か、勘弁してくれーーーーいっ!』

 

ガラガラガラ

ピシャンッ

 

横島達は修行場の向こう側に消えた猿神の無事を唯唯祈る事しか出来なかった。

 

 

 

 

『ギャアァァーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ!』

 

 

猿神の悲鳴は修行場に空しく響き渡り、外界には聞こえなかったそうな。

 

 

 

《短編集2に続く》

 

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