G×S!夕陽が紡ぐ世界   作:乱A

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閑話7「短編集2」

レポート3、「悟○が好き」

 

薬の効果も切れ、横島が男に姿に戻れたある日の事。

 

「なあ、プリムラ。今日の時代劇はどうしても見たいんだが」

「ダメ。私もこの番組が見たい」

 

TVの前に陣取っているプリムラに稟は時代劇を見せてくれと頼むがプリムラは譲る気はないらしい。

 

そんなプリムラにタマモはどんな番組を見ているのかと聞いてみる。

 

「プリムラは何を見ているの?」

「昔のアニメを紹介する番組」

「ほ~~、懐かしいな。向こう(GS世界)ではやってなかったアニメだからな」

 

そう言いながら横島もTV画面に釘付けになる。そう言われては稟も諦めるしかなく一緒にTVを見始める。

 

二つの世界ではTV番組でも微妙に違い、片方で「鉄腕アトム」や「ガンダム」があり、もう片方では「ジェッターマルス」や「ドラグナー」があるといった感じだ。

 

「お茶を入れて来ましたよ。飲みながら皆で見ましょう」

「ああ、そうだな」

 

楓がお茶と茶菓子を持って来て四人でゆっくりとTVを見る。

時たま、子供の頃に皆で見ていた番組が紹介されると昔の話に花が咲き、その度にプリムラとタマモはのけ者にされた様にむくれていた。

 

『では次は、『悟空の大冒険』のED曲をお聞きください』

 

TVを見ていた横島とタマモはその曲と共にED映像が流れだすと飲んでいたお茶を噴き出し、突然笑い出した。

 

『♪学校が○き、好○、○き』

 

「わははははははははははははっ!」

「あははははははははははははっ!」

「な、何だ?いきなりどうしたんだ二人共?」

 

当然であろう、何故なら二人共本物の孫悟空であるゲーム猿を見ているのだから。

 

「ご、悟空が…ちっちゃくって…可愛い悟空がてくてく歩いてる~~。あはははははっ!」

「い、言うな。わははははははっ!は、腹が痛てえ……わははははははっ!」

 

笑い転げている二人を見ながら稟は呆然としている。

ふと、横を見ていると楓も蹲り肩を震わせながら笑いを堪えていた。

 

「か、楓まで。何がどうしたんだ?」

 

楓もまた、夢の中でゲーム猿、孫悟空を見ているのであった。

 

『♪好き!』

 

「ぎゃははははははははははははははっ!」

「きゃははははははははははははははっ!」

 

ようやく歌も終わり二人は落ち着きを取り戻した。

 

「はあ、笑い死ぬかと思った」

「私も…」

 

『では次は、あの『ドリ○ターズ』が声優を務めたTV人形劇『飛べ!孫悟空』より挿入歌『ゴー・ウエスト』をお聞きください。

 

『♪ニンニ○ニキニ○』

 

其処に映っているのは志村けん風にデフォルメされた孫悟空の人形。

 

「ぎゃはははははははははははははははっ!」

「きゃはははははははははははははははっ!」

「あははははははははははははははははっ!」

 

「お兄ちゃん、忠夫や楓達は何が可笑しくて笑ってるの?」

「さあ、俺にもさっぱり?」

 

注・解らない人はつべやニコで検索して見て下さい。

 

 

ー◇◆◇ー

 

※この話は本編で語られなかった物語で、一学期の中頃に起きた出来事です。

 

レポート4・「ファーストキス・レクイエム」

 

横島視点~

 

それは麻弓の何気ない一言から始まった。

 

「…ねえ、楓」

「はい?」

「ファーストキスってどんな味だった?」

 

ガタンッ

 

突拍子の無い質問に楓はその場でひっくり返った。

 

「おお、今日は縞々なのね♪」

「タ、タダくんが好きそうだから…って何言わせるんですか。と言うより口にしないで下さい」

 

スカートを押さえながら立ち上がる楓だが変な事を言わないでくれ、周りからの殺気がうっとうしい。いや、確かに好きだが……

 

「それよりいきなり何ですか?そ、そのキスだなんて」

「いやー、隣のクラスの友人と話していたらちょっと議論になりまして。で、何味だった?横島くんとはもう経験済みなんでしょ」

 

笑顔で楓を問い詰める麻弓だがその危険な発言のせいでクラスの中の空気は徐々に冷たくなっていく。

稟もまた嫌な予感がしているのか気にしない振りをして次の授業の準備をしている、俺もここはそれに習っておこう。

 

「何だ樹、その殺意に満ちた視線は?」

「安心していいよ、俺様だけじゃないから」

「その言葉の何に安心しろというんじゃ」

 

辺りを伺うとクラス中の男共の視線は俺と稟に注がれていた。

 

「わ、私そんな経験ありません。キスだなんてそんな事……」

 

楓は顔を真っ赤にしながらもこちらをチラチラと見つめて来る、そろそろ逃げる準備をするべきか?

 

「なーに?横島くん、一つ屋根の下で暮らしておきながらキスの一つもしてないなんて。甲斐性無し?度胸なし?責任逃れ?はっきりした方がいいのですよ」

「ほっとけ」

「他に経験がありそうな子と言えば……リンちゃんはどう?」

「わ、私ですか?…そ、そのぉ……」

 

話を振られたネリネは赤く頬を染めてこちらをチラチラ見て来る。

か、可愛い。いや、それはそれでいいんだがこの状況でその表情は俺の命に危険が。

 

「していただけたらと、何時も待っているのですが」

 

揺れている。男共の貧乏ゆすりで校舎が揺れている。

これでは何時ぞやの妖怪「コンプレックス」が現れてもおかしくないぞ。

 

 

稟視点~

 

もう止めてくれ。そう思いながら俺はある席に目をやる、今は居ない様だ。

戻って来る前に安全な場所に逃げようと席を立とうとする。

 

だが、どうやら運命とやらも俺の敵だったようで、シアが帰って来てしまった。

 

「あれ~、どうしたの皆。何だか雰囲気が怖いけど」

「あ、シアちゃん。いや~、キスの味ってどんなのかなあって」

「何々、何の話?キスがどうかしたの?」

 

来た、来てしまった空気破壊神(ジェネシック)。

何で亜沙先輩がここに来るんですか?

 

「キスの味ってどんなのかなと言う話になりまして。亜沙先輩はキスの経験はあるのですか?」

「え、ボ、ボク?ボクにある訳ないじゃない」

 

亜沙先輩は照れて顔を赤く染めながら何故か忠夫をチラチラ見ている。

止めてやって下さい。

ああ、忠夫の顔が逆に青くなっていく。

 

「シアちゃんはどうなの?」

 

麻弓の質問で皆の視線はシアに集中している、今の内に教室から逃げ出そうとすると。

 

「私?キスの経験ならあるよ」

 

……世界よ、そんなに俺が嫌いなのか?

 

「へえ、シアちゃんキスの経験あるんだ。結構意外……」

 

一瞬の静寂の後……

 

「「「「な、なんだってぇーーーーーーーっ!」」」」

 

窓ガラスが割れるかと言う位の絶叫が木霊した。

 

「だ、誰なのですか?相手は一体誰なのですか?いや、聞かなくても大体分かるけど一応念の為」

「えっとね…八年前、この街で…稟くんと」

 

シアは顔を赤らめながらそう言った。

膨れ上がった殺気に怯えながら俺が逃げる為に扉を開こうとすると一瞬早く扉が開き、タマモとプリムラが入って来た。

 

「一体これは何の騒ぎ?」

「何だか騒がしい」

「あら、タマモちゃん。実はね…」

 

タマモ達は麻弓に説明を受けていて、俺はと言うと逃げるタイミングを失って男子生徒に追い詰められていた。

 

「ふ~ん、キスねぇ。キスと言えば意外に思うかもしれないけど」

「けど、何?」

「ヨコシマの唇って結構柔らかくて甘いのよ♪」

 

 

その瞬間、時は止まった。

 

 

横島視点~

 

「ちょっと待てタマモ、俺はお前とキスをした覚えは無いぞ!」

「其処はアレよ。寝てる間にご馳走さま♪」

 

タマモはしてやったりという顔で頬を赤らめながら舌を出す。

可愛いとは思うが今はそれどころではない、早く逃げなくては。

 

「ふぅ……」バタリ

「楓、しっかりしなさい楓!」

「まままぁ♪タマモちゃんと忠夫さんは何時の間にかそんな仲に。まままぁ♪」

 

楓は気絶し、亜沙先輩が介抱し、カレハ先輩が妄想する。

そしてこのパターンだと麻弓が何やら余計な事を言いそうだが。

 

「……ちょっと待つのですよ。寝てる間にと言う事はまさかタマモちゃん、貴女は…」

「しょっちゅう一緒に寝てるわよ。腹ただしい事に中々手を出してくれないけどね」

 

タマモはタマモでとんでもない爆弾を投下してくれた、寝る時は狐の姿だと言えないのが悔しい。

 

「忠夫さまっ!」

「な、何でせうかネリネさん?」

「今日、泊まりに行ってもよろしいでしょうか!」

「私も泊まりに行こうかな。どう、忠夫ちゃん♪」

「あー、だったら私も泊まりに行ってもいいよね、稟くん」

 

ネリネや亜沙先輩、シアがそんな事を言っている中で俺と稟は男共に追い詰められていた。

こうなったら逃げる為にはあの手段しかない。

 

「美神除霊事務所・防御術奥義」

「防御術奥義だと?た、頼む忠夫、俺も一緒に」

 

稟はそう言って来るがそれは望む所だ、何しろこの奥義は一人では出来ないのだから。

俺は稟に笑いかけると迫って来る男共に稟を突き飛ばす。

 

トン

 

「え?」

「土見クン、お願い!」

 

ああ、懐かしいなぁ。俺もよくこうやって美神さんに盾にされたものだった。

 

「後は頼んだぞ、稟」

「忠夫ーーっ!貴様ーーっ!」

 

まあ、シア達の治癒魔法で何とかなるだろう。

俺は稟の悲鳴を聞きつつ、その場を逃げ出した。

そして、その日の夕食は何故か俺だけおかずが一品少なかった。

楓、あんまりじゃないか。俺が悪いんじゃ無い筈なのに……

 

そんなある日の出来事であった。

 

 




(`・ω・)と、言う訳で短編集でした。
次回からは番外編となる「Tick! Tack!の後日談編」です。
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