コツンッ
コツコツコツ、
蹴飛ばした石が乾いた音を立てて転がって行く。
石を蹴ったのはまだ小さな少年。
少年は数ヶ月前に起きた事故で両親を亡くし、彼自身も大きな怪我をして入院していた。
数日前に退院したものの、彼には親戚が居らず今はこの町の孤児院で暮らしている。
両親を亡くした寂しさからか、少年は少々捻くれていて孤児院でも友達が出来ずに今も一人で街中を歩き回っている。
『はあ、どうすれば素直に謝れるのかな』
素直に謝って仲間に入れてもらえば良いという事は解ってはいるものの、子供ゆえの妙なプライドが邪魔をして中々謝れないでいた。
『…父ちゃん、母ちゃん』
思い出の中で困った様な顔で笑いかけてくれる両親を思い出して少年の目から一粒の涙が零れた。
その時……
『え~~ん、え~~ん』
何処からか、女の子の泣き声が聞こえて来た。
『えっ?…と、誰だ?』
少年は零れた涙を服の袖で拭き取ると、泣き声が聞こえて来た方向に走り出す。
其処で彼と彼女は出会った。
第二話
「あの日、夕暮れの公園で」(前編)
「あれ、忠夫君は驚かないのかい?」
「何を?」
「何をって忠夫殿、人工生命体と聞いて何でそんなに平然としていられるんでぇ!」
「と、言われても”向こう”じゃそれ程珍しい事でもないし」
「「「へ?」」」
珍しい事ではないと言われ、逆に呆然とする稟と魔王達だが横島は続けて言う。
「そうっスね、例えばバンパイアハーフの友達はいたし、九十九神の机妖怪はいたし、人口魂を持つアンドロイドはいたし、そのアンドロイドを作った錬金術師はもう千年も生きてるし、ウチの事務所には人工幽霊が憑いていて会話も成立するし…」
「ちょ、ちょっと待て!何なんだそりゃ!」
「それに何より…。おい、タマモ」
『はいはい、分かってるわよ』
タマモは横島の頭から降りると体から光を放ち人型形体になった。
「き、狐が人の姿になった!?」
「だから今更人工生命体ぐらいで驚けと言われても…なあ?」
「ねえ?」
「な、なあ、忠夫。その娘ってやっぱり九尾の…」
「ああ、金毛白面、九尾の妖狐だ。言っとくけどタマモは何も悪い事はしてないぞ」
「もっとも、殺生石から転生したての頃、政府の特殊部隊に追い立てられて殺されかかったけどね。ヨコシマとおキヌちゃんが庇ってくれなかったら確実に殺されてたわ」
(ああ、やっぱりタダくんだ)
「解った。そう言う事なら私達もその娘には手は出さないと約束しよう」
「…信じていいんスね?」
「ああ、神界と」
「魔界の」
「「王の名に賭けて約束しよう」」
「じゃあ俺も二人の事を信じます」
「ヨコシマが信じるなら私も信じるわ」
「じゃあ、そろそろお互いの世界の事を話そうか」
そして稟達は知る。
横島が居た世界と自分達の世界との余りの
―◇◆◇―
「オカルトが公に認知されている世界に……
「そして忠夫殿はそのGSの国家資格を持っている訳だ」
「でも、この世界にはそんな国家資格なんかは無いし、そもそも聞いた限りでは神魔と人族の関係性が違いすぎる」
横島は自分達の事をなるべく分かりやすく説明するが、魔神大戦や文珠の事、そして”自分の体”の事など、やはり状況的にも話せない事は隠しておく事にした。
「まあ、此方側じゃ神族と魔族は別の世界の住人って感じだけど向こう側じゃ文字通りの神族に魔族だからな。元々は人間だったけど菅原道真も今じゃ学問と雷の神だし」
「す、菅原道真…。向こうじゃ本当に神様なんだ」
「ちなみにヨコシマは孫悟空の弟子でもあるわよ」
乾いた笑いを浮かべていた稟だが、タマモのその言葉に唖然とする。
「孫悟空ってあの『か~め~は~め~』…」
「そっちじゃないわ。元ネタの方よ」
「元ネタ言うな。ばれたら折檻食うのは俺なんだぞ」
孫悟空と聞いて例のポーズを取るシアだが、タマモは即座にそれを否定する。
「と、ともかく、お前さんの事は稟殿達が知っている忠夫殿だという前提で話を進めて良いかな?」
「そうっスね。その爆弾事件があったというのも8年前、そして俺の記憶が途絶えているのも8年前。そう考えた方が話が早いかも知れないな」
(どうしよう。私、向こうでのタダくんの事を夢で見て知っているって言った方がいいのかな?)
楓本人は”横島忠夫”が”浜菊忠夫”である事を知っているが、それを証明するには横島自身が未だ隠しているままの”あの戦い”の事も説明しなければならないが、横島が話そうとしない事を楓から明かす事は出来ない。
そんな風にジレンマに悩んでいると桜が「そうだ!」と提案する。
「どうしたんだ、桜?」
「稟君、楓ちゃん。忠夫君を連れてあの公園に行ってみようよ!」
「あの公園?」
「うん、私達四人が何時も一緒に遊んでいた公園。あそこに行けばきっと思い出すよ。だって、私達の思い出がい~~っぱい詰まっているんだから!ね、忠夫君」
そう言い、笑顔で横島の手を握り締める桜を見て、稟と楓も見つめ合うと笑顔で頷く。
「そうだな、俺と楓も賛成だ」
「お願い、一緒に行ってタダくん。きっと思い出すから」
そんな中、う~んと悩んでいる横島の頭をペシッ!とタマモが叩く。
「痛てっ!」
「何時までもウダウダと悩んでんじゃないわよ。それが一番てっとり早いんでしょ、だったらちゃっちゃと動きなさい」
「そうだな、分かったよ」
叩かれた頭を擦りながら立ち上がる横島にシアとネリネが話し掛ける。
「すみません、横島様。私達もご一緒してよろしいでしょうか?」
「邪魔はしないから、お願い!」
「別に見られて困る事をしようってんじゃないから俺は構わないけど」
「俺達も構わないぞ。と、いうか居てくれた方が正直助かる」
「有難う」と玄関へと歩き出す稟達の後を追うシアとネリネ、そしてその後をちゃっかりと付いて行く神王と魔王。
そして空が夕闇始めた頃、一向は思い出の公園へと辿り着く。
《続く》
(`・ω・)ちなみにその公園はネリネがブランコに乗りながら歌を歌っていた公園です。
そして、ドラゴンボールはどっちの世界にもあるらしい。
Zと改の違いかな?