平成十七年八月六日受領
答弁第一一六号
内閣衆質一六二第一一六号
平成十七年八月六日
衆議院議長 川野壮平 殿
衆議院議員山本芳夫君提出特設艦娘の戦中及び戦後に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員山本芳夫君提出特設艦娘の戦中及び戦後に関する質問に対する答弁書
一の1について
お尋ねの「特設艦娘が戦った」の意味及び内容が必ずしも明らかではないが、特定の資質を有した女性(以下「新艦娘」という。)が艦娘に類似する艤装を着用して深海棲艦に対する駆除事業(以下「本件駆除事業」という。)に従事したことは一般に知られている事実である。
本件駆除事業については、艦娘の貢献が大であったところ、艦娘勢力が必ずしも持続可能でないという状況に鑑み、新艦娘の活用は必要であったと考えている。艦娘並びに自衛隊、海上保安庁及び新艦娘等の活動により、海域の安全が確保されたと承知しており、政府の取組みは適切であったと認識している。
一の2について
お尋ねの「強制的な徴募」の内容が必ずしも明らかではないが、本件駆除事業への従事については、当人の志願に基づくものであったと承知している。
二について
本件駆除事業においては、全体として艦娘及び新艦娘の適切な駆除行為への投入がなされたものと承知しているが、個別具体的に運用の当否、結果についてお答えすることは、我が国の安全保障体制及び新艦娘の社会復帰に支障を及ぼすおそれがあることから、差し控えたい。
三について
本件駆除事業の終了後においては、深海災害復興の基本方針及び組織に関する法律(平成十五年法律第百三十九号。以下「深海災害復興基本法」という。)及び特殊駆除事業従事者の保護及び福祉に関する法律(平成十六年法律第百六十八号。以下「新艦娘保護法」という。)に基づき、必要な保護措置がなされたものと承知している。引き続き、深海災害復興基本法及び新艦娘保護法の適正な運用を継続することで、新艦娘の保護に努めてまいりたい。
なお、お尋ねのうち新艦娘の顕彰については、存命の個人に係る内容であり、必ずしも公表を望まれない事例も多いことから、お答えを差し控えたい。
「白水ツカサさん、でしたか。時節柄、女性記者と一対一でお会いするのは望ましくありませんから、むさくるしい連中が同席しているのはご容赦ください」
寿司屋の半個室に私を招き、張りのある声で男が言う。
防災担当大臣、
いわゆる無任所大臣とはいえ、一刻の国務大臣が面会に応じてくれたのは意外ではあった。
ただ、秘書、それに何名もの男性記者が居並んでいる席を見ると、彼の意図はうっすらとでもなく透ける。
「若いみなさんにおごれないのは申し訳ないが、これも決まりでね」
「この子は大丈夫じゃないですか? 東京から来たなら、先生の選挙区外ですよね」
「はは、君が出したらどうだ? あとで払ってくれと言われても困るよ」
「そりゃ、かわいい子のぶんを持つのは歓迎ですがね――」
そんなやりとりに傷つけられたと言うつもりはないが、いささか居心地が悪かった。
地元の星とも言うべき大臣と、気心の知れた地方紙の男性記者、要するに自己宣伝の舞台で私は添え物ということだろう。
三枝は六十になってすぐ、くらいのはずだが、油気のない締まった体に知的な顔立ち。
私の示した答弁書に軽く目を通し、芝居がかった様子で首をかしげる。
「この内閣総理大臣の答弁がどうかしたのですか? この元首相はまだ存命ですよ。何か聞きたいことがあれば、そちらにアポを取られてはどうです」
――そのほうがいい。
「名義は総理でも、官僚の作文ですよね。議員の質問主意書に対する答弁書は、閣議で決定されるとはいえ、実質は担当省庁が作成する。
総理がポツダム宣言を読んでいると“閣議決定”したとかなんとか、面白おかしく報道されますけど、それらはだいたい答弁書でしょう」
「なるほど、よく勉強されている。ですが、やはり私のところに持ってくる理由は分かりませんね」
軽く笑われる。だが、私にも次の手はあった。
「あなたが当時財務省の課長であったことは、ご自身で経歴に書かれていますよね。当時の職員録でも確認しました」
「だから、私がこれを書いただろうと?」
「それから、国会会議録検索システムも調べました。衆議院予算委員会と、参議院環境委員会で、もと特設艦娘の福祉に関する法案の財源について、あなたが発言された記録があります。
局長や審議官ではなく、課長が政府参考人として発言するのはとても珍しいのではないでしょうか」
さらに発言内容を読み上げることもできたが――三枝は、ひとつうなずいた。
相変わらず表情はつかみづらいが、どうやら私は合格らしい。
「賢い方だ。それでは、まあ、お酒でも飲みながら聞いてください」
記者が身を乗り出したから、おおむね彼のシナリオどおりなのだろうとは思ったが、それでも私は息をついた。
品定めされた苛立ちが、なかったとは言わないが。
三枝は、なにかメモを見るでもなく、言いよどみもせず語り始めた。
あなたはあのとき何歳でしたか?
あの戦争が、始まったとき。
いえ、むろん、相手は国家ではないのですから、戦争と呼ぶのは正しくありませんが――さりとて、あの四年間を戦時下と呼んだ民間人や報道記者はもちろん、政治家さえ叩かれたことはない。
私は三十五歳でした。
財務省、当時はまだ大蔵省でしたが、課長補佐として毎日国会対応に追われていた。
世界じゅうの海から貨物船が、客船が、そして軍艦が次々と消息を絶ち、とうとう原因たる化物の姿が捉えられたときは、徹夜明けの幻覚であればよいと思ったくらいです。
だが、化物は現実だった。
そしてその化物に深海棲艦という名を与え、対抗する術を示したのは「
口で言うと分かりづらいですが、セクレタリーではなく、最初の艦娘。
私も幾度も会ったことがありますが、普通の中学生に見えるような地味な外見でありながら、その存在感は明らかに違うものでした。
――駆逐艦、〈
彼女が我々に、艦娘の「建造」について示した。
戦闘艦の建造を思わせる鋼材や弾薬を媒介にし、資質をもった女性の身体を通路として、過去の軍艦の魂たる艦娘を再臨させる術について。
いかに艦の魂と言われても、見た目は人間の少女である存在に対して建造はあまりだと、「顕現」と呼ぶことが多くはなりましたが。
あなたが示した答弁書で、艦娘、艤装、深海棲艦といった単語が無前提に使われているのも、初期艦がそう言ったのでいわば法律用語として定着したためです。
彼女の残した影響は、大きなものでした。
ええ、初期艦が現れたのは七月です。深海棲艦の出現とほぼ軌を一にしていた。
が、その時点では国民には情報を伏せていました。
何故か、と? 当然のことかと思いますが。
どうやら人間とは存在の根本が異なるようである艦娘が一人……と言えばよいのか一隻と言えばよいのか、確認できたとはいえ、その段階では〈吹雪〉のみ。
また、少しずつ建造、顕現が進んだ局面に至っても、やはり方法論が確立したとは言えない。
そんな状態で、国民に全てを知らせることが望ましいと思われますか? そうではないでしょう。
我々は極秘裏に、資質を持つとされた女性たちに協力を求め、戦力を整備していきました。
マスコミが真相の一端を、あるいはもっと
――ああ、あなたのことではありませんから、ご安心ください。賢く、時宜を弁えている方は、嫌いではありません。
反撃の嚆矢は、平成十一年十二月八日。
……ふたつ、言いたいことがありそうですね。
当ててみましょうか?
ひとつめについては、まあ、私の立場もご理解ください。
特に若い方には分かりづらいと思われるのも無理はありませんが、この国の大切な伝統ですよ。
無味乾燥な言い方をすれば、一九九九年ということですし、そのほうがこの説明に限っては雰囲気があるかもしれませんが。
もうひとつについては――ただの偶然です。
むしろ我々も戦慄したと言ってもいい。
結末まで同じでは、ということで、ね。
しかし最初の砲声は、そう、航空攻撃ではなく砲声は、そんな些細な懸念を吹き飛ばすほどのものでもありました。
結果が後者に沿うものとなったことを、後方というもうひとつの戦場で微力を尽くした身としても、なにより誇りに思います。
そしてその日から、我々も出せる限りの情報は国民の皆様にお知らせすることとした。
いつまでも不安なままには置けません。
艦娘建造への協力依頼も、大々的に行えるようになりました。
あなたも、艦娘に勇気をもらったのですね。
ならば当時の世論はお分かりでしょう。
まさに、雨上がりの青空。
だが、我々はそれほど楽観できなかった。
深海棲艦は、減りませんでした。
いや、倒しても倒しても、戻ってくるような感覚さえあった。
しかし……艦娘は、轟沈すると二度と現れない。同じ艦の魂は、もうこの世に呼び戻されないのです。
〈
〈吹雪〉が海底に姿を消せば……二度と戻らない。
かつての軍艦が海底から浮上することはないのですから、当然であるのかもしれませんが、たとえ艦の魂であっても、ある意味では「死ぬ」と分かった。
三枝は一瞬、瞑目した。
アルコールと、
少しだけ、定型文と異なるなにか。
ただ、冷たい水を飲むと、酔いとともにその違和感も流れる。
話は、よくまとまっている。
最初は「戦争」時代の実務経験を売りに官僚から転身した政治家としては、当然のことだろうが。
「〈吹雪〉は普通の中学生に見えたということですが――本当の中学生も、海に立ったのではないでしょうか」
「彼女の、艦娘の存在感が明らかに異なるものであったと述べたからといって、そのことを否定したわけではありませんよ。答弁書にも書きましたが」
それまでと変わらない口調で、三枝は言った。
「とはいえ、新艦娘の話も聞きたいのでしょう、白水さん」
ええ、彼女たちも重要でした。
人間に、模倣した艤装を纏わせる。
失われた艦娘が戻らないと分かったとき、それは必然の対応だったと言うほかないでしょう。
こちらの施策には、艦娘の協力はありませんでした。
顕現の原理さえ、解明されたわけではなかった。
ですが、理論が確立していなくとも、実践はできる。
ジョン・スノウという医師をご存じですか? テレビドラマの登場人物ではありませんよ。
おや、よくご存じだ。
そのとおり、コレラの感染源が汚染された水源であることを見抜き、疫学、公衆衛生の先駆けとなった人物。
ポイントは――彼は、コレラ菌という病原菌を理解していたわけではないということです。
感染者がどこから飲み水を得ていたか、それを統計的に分析することで、理論ではなく感染収束という結果を得た。
我々も同じことをしました。
艦娘の顕現過程を分析し、その条件を模倣する。
成功という結果が得られれば、さらに適合者の共通点を分析し、その条件を再現する。
流行り言葉で言えば、ビッグデータのはしりですね。
――これも最初は非公式に始めました。
信頼できる省庁職員の身内や、艦娘の顕現に協力してくれた女性の家族など。
後者にあたっては、信頼に加え、血筋も「条件」なのではと考えられたためでもあります。
結果的には、血縁関係による有意な差は確認できませんでしたが。
ともあれさまざまな変数を複合的に分析し、一定の傾向がみられた時点で、法制化した。
むろん、強制はしませんでした。
初期の新艦娘の統計的特徴と合致するか、という検査については負担になるものではありませんから、義務化しましたが、検査の結果がどうであれ志願することを強制はすべきでない。
とはいえ、憲法にも自由と権利は「国民の不断の努力によって」保持しなければならないとあります。
多くの女性たちが志願してくれたことには、心から感謝しています。
ただし成果は、艦娘のようには上がらなかった。
我々が作り上げた疑似艤装の火力や装甲は必ずしも艦娘に劣後するわけではありませんでしたが、それを操る女性たちの反応速度が、艦娘とは大きく異なっていたためです。
数ヶ月前までただの人間であった方々なのですから、当然であり、責められるべきではまったくありませんが。
責められるべきは我々です。
新艦娘は、艦娘に劣る。
しかし、艦娘は二度と戻ることはないいっぽう、新艦娘の艤装は比較的容易に量産可能でした。
……ならば、どうするか。
迷いがなかったと言えば嘘になります。
彼女たちも国民であり、本来は守られるべき方々です。
だが、輸送船の乗組員も、それを守って死んでいった自衛隊員たちも、等しく国民だった。
ですから――新艦娘には船団護衛の任に就いていただいた。
会敵すると決まっているわけではないが、危険性のある時間が長く続き、千慮の一失で限りある艦娘を失うわけにはいかない、という任務に。
非難していただいて構いません。
それが我々の決断であり、新艦娘への指示でしたから。
新艦娘が艦娘の任務の一部を引き受け、艦娘は戦力を集中する。
そして戦艦〈
我々のこの決定がなければ、我が国は本土決戦に追い込まれていたかもしれません。
ですから、新艦娘が「人類の盾であり、剣であり、希望である」……そう演説した環境大臣、大本先生の言葉は、結果的に正しかった。
新艦娘保護法の財源を確保し、法案を起草する作業は骨が折れましたが、彼女たちを保護するためなら苦労とも思いませんでしたよ。
そのころには、決まり文句の演説に、はっきりと頭痛がしてきていた。
だから、疑問を呈したのは、本当にそのことが気になったというより、単に口説をさえぎりたかっただけかもしれない。
「防衛大臣ではなく、ですか?」
だが三枝の目を見て、後悔した。
表情は真顔だし、口調も、目にさえも、軽蔑や怒りはない。
ただ――実績の乏しい記者として、女性として、それらを向けられたほうがまだましだというときはある。
上から頭を撫でるような、あの目を向けられるよりは。
「ああ、白水さん、やはりあなたはお若い。あのころに、防衛省はありませんよ」
「ですが、ある方の証言では――」
「防衛庁はあり、防衛庁長官はいましたが、しかし、あれは戦争ではなかった。建前だとしても、国にはその建前こそが必要なときがあります。
ですから、演説したのは庁から格上げされた環境省の大臣でした。式次第を見ても当時の報道を読んでも、確認できます」
「……」
「記憶とは、書き換えられるものです。記録すべきは、統計や公文書といった、形になったものではありませんか?」
私はそれからも五年以上、財務省に奉職して復興に尽力しました。
ですが平成二十一年、第四十五回衆議院議員選挙。
明らかに不利な形勢とは分かっていましたが、私は、故郷であり、自誠党の候補者が固まっていなかったこの選挙区から立候補しました。
財務省のいち職員として、市民党がマニフェストとやらに大盤振る舞いを掲げていた社会保障や児童手当、新艦娘保護の財源には根拠もなにもないと強い懸念を抱いていましたから。
脱官僚、政治主導と言えば聞こえはよいが、その実は現代まで続くポピュリズムの主張に過ぎない。
逆風の中ではありましたが、幸いにして惜敗率で比例復活、それ以降の選挙では小選挙区でも勝利させていただきました。
たとえ負け戦であろうと、旗を掲げる価値はある。
その勇気は、艦娘と特設艦娘に教えてもらったものかもしれません。
実のところ、あなたのような方は珍しい。
ここにいる記者諸君も、当時の話、特に新艦娘の話はろくに聞いてこない。
責めているわけではない――むしろ来ていただいたほうが、私は胸を張れる。それだけの自負と覚悟はあります。
我々は責任を果たした。
我が国のために、それぞれの人がそれぞれの持ち場で役目を果たした。
そして今、我々は海を取り戻した。
自由と繁栄の海を。
艦娘に、そして人間に敬意を払うべきです。謝罪すべき者はどこにもいない。
それが、私の見解です。
拍手でもしそうな顔で、男性記者たちは身を乗り出していた。
アカネやシズならどう反応しただろう、とかすかに思いつつも、私は彼女たちではない。
目を伏せる私に、三枝は余談のように言葉を続ける。
「謝罪させたいなら、選挙戦略のために適性もない娘を特設艦娘にした政治家、の話でもしましょうか? もっとも、噂に過ぎませんが」
本人もかかるとは思っていないだろう、あからさまな釣り針。
当時対策の中枢にいた彼が噂だと言うなら、それだけのことだろう。
「別に……別に、糾弾のつもりではありません。あなたのしたことは正しいと思います。ただ、ならどうして、彼女たちを忘れようとするのですか」
我ながら弱々しい口調だった。あっさりと、三枝に否定される。
「忘れようとはしていませんよ。新艦娘保護法の制定と運用には微力を尽くしたつもりですし、今もあなたにこうしてお話ししている」
「ですが、〈吹雪〉や〈大和〉の名を、政治家の名を出されたのに、彼女たちの名前はあなたの口から出ませんでした。答弁書でも、顕彰については切り捨てていました」
「――個人情報ですよ。それだけのことです」
単純な小娘だ、という気持ちにさせられていたが、せめて少しでも、私の気持ち、考えを明確にしておきたかった。
三枝の自信に満ちたものとは似ても似つかないかすれた声を、なんとか押し出す。
「あとで記録にだけ書くのは卑怯だと思うので、いま言います」
「どうぞ?」
笑みに似たものを、三枝が唇の端に載せる。
「あなたは、国民を導こうとしている。よく導こうと思っていることは疑いません。
けれど、その――子供じみた言い方であることは承知していますが――上から目線と、特設艦娘の存在は矛盾する、そういうことではないでしょうか。
彼女たちは姉として、保護者としての役割を果たしたから。艦娘は消えたけれど、彼女たちは消えなかったから」
三枝は沈黙した。
警戒したのか、それとも呆れたのかは、まったく変わらないその表情からは分からない。
「だから、保護という言葉の法律で彼女たちを枠に押し込めようとしている。あなたが――あなたたちが父であり、よく導くという枠に。
だから、特設艦娘の歴史を忘れようとしている。あなたたちが全国民の代表であるという憲法に沿えば、全国民が」
男性記者が失笑したが、三枝がちらりと視線を向けると黙り込んだ。
平坦な、そしてそれゆえに取り付く島のない口調で、三枝が口を開く。
私に答える、というよりも、自分の演説をする様子で。
「個人的には、と言っても意味がないことは分かるでしょう。ですから、やはり公的な言葉として申し上げますが」
「……」
「それは、白水さん、あなたの感情を敷衍しすぎている。
姉はいつでも姉ですが、特設艦娘がいつまでも保護者であるわけではない。いや、実の姉や親であっても、ときには保護される立場になる。
それだけのことであり、矛盾などありません」
「立場が変わることは確かです、でも私が言うのは――」
「それに、我々は全国民の代表ですが、同時に選ばれる、選ばれなければならない存在でもある。
新艦娘であった方々が団体を組織し、あるいは個人として、我々を選ぶプロセスに関与する、ある意味で影響を与え、導くということは可能です。歓迎すると言ってもいい」
「ですから――」
「こればかりは個人の、いや、特定の地盤を持つ政治家の個別意見ですが、ぜひ行っていただきたいですね。きっと大きな影響力を持つと思いますよ。
もちろん、この発言も書いてもらって構いません」
自分の票になる、という主張ならいささか露悪的といってよいが、あまりそんな雰囲気もなかった。
その理由は、次の言葉で明らかになった。
「若い女性ばかりであったからか、なかなかそうはなっていないようですが」
三枝は息をつく。要は非現実的なので、露悪にもならない、ということ。
そして歓迎するという言葉じたいは事実であり、本心でさえあるようだったから、きっと記事では好意的に書かれるのだろう。
「ゆえに、忘れようとしていると糾弾されても、そのようなことはありません、と言えます。そもそも国民であるという一事のみをとっても、彼女たちは大切な人々だ」
甘い酒を注がれ、私は拒めなかった。
三枝は、記者と別の話題を話し始めていた。
第三話の悲劇、と言うにはいささか釈然としないインタビューになりましたが(ツカサもっとがんばれ)、次回7月6日は心機一転、今回のを「よく言うよ」とばっさりやりそうなあの特設戦艦艦娘の記録をお届けする予定です。