ウマ娘にもトレーナーにもなれなかったモブ転生者   作:塚山 泰乃(旧名:なまけもの)

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お待たせしました。


第五話 ウマ娘が襲うのはトレーナーだけだといつから錯覚していた?

 俺のベッドで暢気に寝息を立てるウマ娘に声をかける。

 治療は終わったんだからトレセンに帰ってくれないと困る。向こうだって君を心配してるはずなんだから。

 

「……おい、俺のベッドを占領するな。起きろ」

「…………ん、あ、ああ悪い」

 

 下着姿の少女が起き上がるとあくびと伸びをし、ベッドから下りて手足を曲げたり伸ばしたり動作を繰り返す。

 

「で、体の調子はどうだ?」

「……信じらんねえ。体が軽い。まるで別物だ」

 

 ひとしきり体を動かして満足したのか尻尾を左右に揺らしながら笑顔で俺を見る。

 

「あんたには感謝してもしきれねえ。でっかい借りができちまった。礼がしたい、何でもするぞ」

「俺はやりたい事をやっただけだ。気にしなくて良い」

「そうはいかねえ。あんたはあたしの命の恩人だ。処女を捧げてもいい」

 

 女の子が気軽に処女を捨ててはいけませんっ。

 

「そういうのは運命の人に出会ったら言え。とにかくさっさと服着て帰ってくれよ」

「決めた、あんたがあたしの運命の人だ」

「は?」

 

 次の瞬間、少女は俺に抱きつくと軽々と持ち上げベッドに押し倒してきた。

 

「おい!?」

「じっとしてろよぉ、あたしの初めての男になってくれ」

 

 俺の上にウマ乗りになった少女は息を荒げながら俺のズボンを脱がそうとしてきたので、必死に抵抗するがあっさりとはねのけられた。

 

「人間はウマ娘に勝てない。知ってるだろ?」

「止めろ、万が一があったらどうすんだ!」

「あたしの卵子とあんたの精子が子宮でランデブーしてマリアージュ。そうなりゃ2人で仲良くゴールインだぁっはっはぁ」

「言い方ぁ! トレセンの性教育、どうなってんだよぉっ!?」

 

 貞操の危機に冷静でいられるわけがない。半ば悲鳴に近い叫びをあげながら抵抗を試みているが、ウマ乗りされてるからかびくともしない。

 身長170cmの俺よりも頭ひとつ分ほど背丈が低くて華奢な体してるくせに、どこからそんな力が出てくるんだ!?

 ズボンを脱がされた俺に少女が笑う。

 

「『子宮が疼いたら迷わず襲え』と教わったぜぇ」

「こええよ! 男の人権は!?」

「そんなものは無ーい」

「あああああああ!」

 

 全力で抵抗する俺をどこ吹く風と言わんばかりに、少女が俺の下着を脱がしにかかり舌なめずりする。

 年頃の少女がしちゃいけない顔してるぅ!

 

「姉さん女房ってのも悪くねえな」

「ヤメロー、ヤメロー! まだ独身でいたーい!」

 

 社会人にもなってないのにいきなり人生の墓場に入るとか冗談にも程があるわ!

 冗談ではなく本気? なおさらたちが悪いわ!

 とうとう下着を脱がされて下半身を丸出しにされた。

 息の荒い少女が俺の股間を見てにやりと笑う。

 

「へぇ。嫌がってる割にはあんたの元気だな」

「男は恐怖しててもそうなる事があるんだよっ!」

「とにかく、さっきから子宮がどくどくいってるんだ。もう耐えられねえ」

 

 その言葉に思い当たる節があった。治癒で全身を活性化させたけど、まさかその弊害か!?

 少女が自身の下着に手をかけするすると引き下ろし恥部を晒す。

 さっきから頭の中で警告音が最大音量で鳴りっぱなしだ。

 

「うまぴょい……じゃねえな。逆ぴょいさせてもらおうかぁ」

「止めろっつってんだろっ!」

「夜明けまでたっぷりと搾り取ってやる。あたし無しじゃ生きていけなくしてやらあ」

 

 少女が俺の股間にある一物を握り、その上に自身の腰を持っていく。

 あまりに突然の事だったから気が動転していたが、土壇場になって俺にはチート能力がある事を思い出した。

 

「間に合えっ!」

「あん?」

 

 緊急避難のため催眠を使う。意識を集中すると腰を下ろしかけた少女の動きが停止して目が虚ろになる。

 

「…………あれ、あたし、何してたんだっけ……?」

「……商店街で夜遊びしてたんだよ。門限とっくに過ぎてるぞ、大丈夫か?」

「そうだ、帰らなくちゃ……」

 

 少女は下着を着用しなおし学生服を着ると、ふらふらと立ち上がり部屋を出ていく。俺は下着とズボンをはきなおすと少女の後をついていき、彼女が靴をはいて玄関から出て行ったのを見届けてから扉を施錠した。

 少女の記憶も操作して俺やこの家の場所に関係しそうなものは消去しておいたから身バレする可能性は低いだろう。

 

「あっぶねー……」

 

 俺はいつの間にか額に浮いていた汗を拭う。

 これだから本格化したウマ娘を相手にするのは嫌なんだ。

 というか油断した。てっきり中央トレセンのトレーナーと恋人になって結婚する野心を抱いていると巷では聞いていたから、一般人には目もくれないと思い込んで気軽に接していたのが仇になった。

 

「くっそ、ちょっと親切にしただけで襲ってくるとは……。奴らは見境無しか?」

 

 理性をかなぐり捨てて本能のままに襲いかかる思春期真っ只中のウマ娘、アグレッシブすぎるだろ。

 今度からどうしても接触しなければいけないときは暴れ出さないよう、精神操作しながら治療すべきかもしれないな。

 

 ふと、気づく。

 中央トレセン学園のトレーナーたちはウマ娘の攻勢をどのように回避してるんだろうか。別名、婚活会場と噂されてはいるが学園のホームページにはそのような記載は一切無い。男性トレーナーたちが結婚しているのかすら不明だ。

 ひょっとして、俺はトレーナーを目指したりしなくても良いんじゃないだろうか。あんなんに毎日毎日アタックされ続けたら肉体的にも精神的にも長くは持たないぞ。

 でも、ウマ娘の役には立ちたいんだよな。

 

「……疲れた、寝よ」

 

 自室に戻りベッドに寝っ転がり目を閉じた。

 

 何度か寝返りをうつ。時間がある程度すぎたように思うが寝られない。短時間とはいえウマ娘が寝ていたせいか少女特有の甘い匂いが染み付いていた。

 

「眠れない」

 

 転生して中学生まで成長したけど体が疼く。わきあがる性欲を何とか抑えつけながら悶々とした一夜を過ごす羽目になった。

 除臭剤を使えばすっきりする事に気づいたのは翌朝になってからだった。

 

 

────────────────────────

 

 

 翌朝。寝不足のまま登校し眠気を我慢しながら授業を受ける。

 ちなみに中央トレセン学園はウマ娘にとっても狭き門だ。夢を諦めきれず中学卒業前に受験するウマ娘も少なくない。

 本格化も個人差があるからな。

 

 俺のいる教室にも4人のウマ娘がいて今後の進路先を相談してる光景が目に入る。

 まあ、彼女たちとは挨拶する程度の仲で親しくしようとは考えてない。

 特に怪我をしたわけでもないし、接触する理由も無い。

 

 高校へ進学するのかトレセンを受験してみようか、などという言葉が耳に入る。

 ウマ娘にとって走る事が人生ではあっても、それだけしか道が無いというわけでもないからな。

 変わった奴は格闘技団体へ進むのもいる。

 ウマ娘の体力を活かした派手なパフォーマンスはその手のファンには喜ばれる。

 はたして4人はそれぞれどのような道を選ぶんだろうな。

 

 予鈴が鳴ったので席に着く。今は授業に集中しよう。

 この時、俺は気づいていなかった。1人のウマ娘がこちらに視線を向けている事に。

 

 

 

 




それではまた明日。
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