ウマ娘にもトレーナーにもなれなかったモブ転生者 作:塚山 泰乃(旧名:なまけもの)
同級生のウマ娘、アリナシミラージュにトモを触らせてくれと思い切って頼んだらOKをもらえたばかりか彼女の家に招待された。
内心どきどきしながらも表情は変えずにいる。
ウマ娘は聴力も優れてるが他人の心臓の音まで聞き取れる、とか無いよな。丸わかりだったら恥ずかしさで死ねる。
「入って」
「お邪魔します」
少女に促されて先に入ると玄関で靴を脱いで上がる。
背後で少女が扉を閉めて施錠する音が聞こえた。
ウマ娘世界で治安が良いとは言え犯罪発生率は低くはない。防犯意識がしっかりしているようで安心した。
「こっち」
今度は少女が先頭になって俺を案内する。
「ここが私の部屋だよ」
「……失礼します」
少女が木製に似せた扉を開けて先に入るよう促されたので中に入った。
玄関と同じく少女が閉めて鍵がかけられた。
「用心しすぎじゃないか?」
「問題でーす。家族が帰って来た時、見知らぬ男が娘のトモを触ってるのを見つけたらどうなると思う?」
「……殴られて通報される、か?」
なるほど。俺の社会的な死を防ぐためか。アリナシミラージュの配慮に感謝したい。
「ちなみに私のお父さんは狩猟免許持ちです」
「やめてください死んでしまいます」
条件反射で土下座した。
物理的な死を回避するためかよ! 怖すぎる。
少女はくすくすと笑う。
「あは。山海野くんのリアクション面白ーい♪」
「……そうか?」
少女のキャラが掴めない。困惑しつつ立ち上がる。
窓のカーテンを閉めて外部からの情報を遮断した少女がベッドにうつ伏せになる。
「家族が帰って来る前にちゃっちゃと済ませよっか」
「ああ、うん」
さばさばしてるなあ。
少女がこちらに顔を向けてにやりと笑う。
「おかしな真似したらお父さんに言いつけるからね?」
「ハイ、ワカリマシタ」
いきなり太ももを触ったら機嫌を損ねるかもしれない。まずは足先から診ていくか。
「悪いけど、足の状態を詳しく調べたいから靴下を脱がしても良いか?」
「良いよ?」
「では失礼して」
丁寧に靴下を脱がすと足先が露わになった。
「ぱっと見、きれいな足だな」
「おー、褒めろ褒めろー」
足の指も診る。
「……外反母趾も確認できない」
「何それ?」
「ハイヒールや小さめの靴を無理して履いてると指が曲がる事。酷いと走る時に悪い影響が出る」
「へー」
それでは透視で内部診察といきますか。
触れないで評価すると怪しまれるので、慎重に触りながら足先からゆっくりと診ていく。
「んふふふ、くすぐったい」
「すまん、耐えてくれ」
「大丈夫だよー」
足首から下は特に問題無し。
「なあ、アリナシミラージュ」
「長いからリナって呼んで」
いきなり愛称呼びを許可してもらえた。友達感覚なのだろうか。
「……リナ、今も走る練習してるのか?」
「できるだけ走ってるよ。進学のための受験勉強でだんだん減ってきてるけどねー」
「そうか」
ふくらはぎを診る。
「…………少しだけ、左右の足の筋肉のつき方に差があるな」
「そうなの?」
「コースを走る時、右回りばかりだったりしないか?」
「おぉー、正解」
「できれは左回りも加えて左、右、左、右と交互に走ってバランスを取った方が良い。いざ左回りのレースだと走りにくくなるぞ」
「分かったー」
ふくらはぎから太もも、通称トモへ移る。
トモの半分は学生用スカートに隠れて見えない。邪魔だなあ。
「トモの全体を診たい。スカートめくっても良いか?」
「パンツとお尻、見えちゃうんですけどー?」
「……必然的に見てしまうな。……気にせずにめくったらどうなる?」
「ぶっ殺す♥」
殺意のこもった可愛い声を出されてもな。何と反応すれば良いのか困る。
「学術的探究のためなんだが」
「それともお父さんにズドンされたい?」
どちらもあの世逝きじゃないですかやだー。
「……仕方ない、中途半端になるけど我慢してくれ」
「あ、良い事思いついた。山海野くん、ちょっと部屋から出てくれる?」
「分かった」
「良いって言うまで入って来ないでねー」
「ああ」
鍵を開けて部屋から出て扉を閉める。
何やら中からごそごそと聞こえてくるが、何をしてるんだろうか。
「もう良いよー」
中に入るとリナはラフな部屋着に着替えたようだ。薄手のTシャツと短パンでトモがはっきり視認できる。
考えたな、これなら気兼ねなく触る事ができる。
「じゃあ続きといきましょー」
「はいはい」
再びうつ伏せになったリナのトモを内外から診る。
「……ふくらはぎ同様、こちらも少し筋肉のつき方に偏りがあるな。……適度に走ってるからなのか、それほど筋肉は凝ってないし疲労もあまり見られないな。マッサージの必要は無いか」
「……できるの、マッサージ?」
リナが意外そうな声を上げる。
「ああ」
「えー、気になる。やってほしいなー」
「まあ、そう言うなら」
リナに俺の方へ顔を向けないよう暗示をかけるとチート能力の治癒を使って足先から癒していく。
「……お? おお? 何これ何これ、気持ち良いー♪」
「気に入ってくれて何よりだ」
「山海野くんに声かけて良かったー♪」
「ありがとう」
「ふわぁぁぁぁあ♥」
リナの声がだんだんふにゃふにゃした声に変わっていく。
過度なマッサージは良くないので偏った筋肉をほぐす事を中心に行い、足の付け根から下のマッサージが完了する。暗示も必要無くなったので解除しておく。
「終わったぞ」
「ふぃー、足が私のじゃないみたいー♪」
「喜んでもらえて嬉しいよ」
リナが尻尾を左右に振る。
「それでさー、私の距離適性ってどんな感じかなー?」
「筋肉のつき方からして短中距離向き。走法は……よく分からん」
「そうなんだー」
「データが不足してて断言できないのがつらい。できればトレセン学園に入学して専門知識が豊富なトレーナーと契約できれば良いんだが」
「そうなるためには受験勉強頑張らないとだねー」
「そうなるな」
うつ伏せのままのリナがあ、と声を上げこちらに顔を向ける。
「ねえねえ、マッサージさ、上半身もできたりする?」
「可能だ」
「じゃあお願いしちゃおっかなー。私どうなっちゃうんだろー♪」
うきうきでご機嫌な状態のところ水を差すようで悪いが無理だな。
「最大限の効果を発揮させるために、Tシャツと短パン脱いでもらって下着姿で行う事になるけど?」
「え、えー……?」
リナの表情が固まり赤面する。
「俺は死にたくないから頼まれても拒否させてもらう」
リナは無言のまま目を上下左右に動かす。
用も済んだし、そろそろ帰らせてもらうか。
「今日は大変勉強になった、感謝する。じゃあまた明日、学校で」
踵を返して部屋から出ようとしたら、起き上がったリナが上着を掴んできた。
「待って待って!」
「ん、何?」
「脱ぐから上もマッサージお願いっ」
「いや、死ぬのは嫌だし」
「私からお父さんに言い聞かせるから!」
「……約束してくれるか?」
「するする! だからお願いっ」
これは、堕ちたか?
チート能力恐るべし。
「そこまで言うなら。ベッドでうつ伏せになってくれ」
「ひゃっほー!」
さっさと脱いで下着姿になったリナがベッドに寝転がる。
彼女の上半身を内外から診ながらそっと触れる。
「どう?」
「……上半身はあまり鍛えてないせいもあるのか、特に問題が無さそうに見える」
多少は上半身も鍛えてはいるのだろうが下半身と比べて負荷がそれほどでもないので、全体的に軟らかいから治療しても無意味な気がする。
「……というと?」
「健康なのにマッサージすると返って悪化する事もあるから、しない方が……」
「えー」
リナが不満の声を上げるが駄目なものは駄目……ん?
違和感のある場所があった。どこだ?
「ねー、マッサージしてよー。…………どしたの?」
リナの首の付け根周辺を診る。
「凝り固まってる所、見つけた」
「本当? 早速お願いっ」
見間違いかもしれないけど、念のため。
リナの両肩に手を置いて軽く揉む。
「あー……、これはなかなか……♪」
肩に置いた手を問題の首の付け根に近づけていく。
「はー……、極楽極楽……♪」
表面には無いな。割と奥深くに凝りがある。指だと届かない恐れがあるので治癒と念力で優しく揉んでみる。
「あー……ふぁっ!?」
リナが劇的な反応を見せる。
なるほど、ここか。それでは集中的に。
「あっ? ひゃっ? 何っ? ふぁぁっ♥」
よーしよしよし。見立ては間違ってなかったな。
「うそっ!? あっ♥ だめっ♥ だめぇっ♥」
何でここだけ凝り固まってるんだ? 揉みがいがあるから良いけど。
「あーーーっ♥ あーーーっ♥ あーーーっ♥」
気持ち良すぎると人間でも『鳴く』と前世で誰かに聞かされた覚えがあるけど、これがそうなんだな。再発見。
それではしばしの間、天国を味わわせてあげよう。
それではまた明日。