ダウナー女神のアクア様   作:全智一皆

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第十話 女騎士襲来

 

■  ■

「そういえば、そろそろキャベツの時期ですね」

 

 もぐもぐとステーキを頬張りながら、ぽつりと突拍子もない事を言うめぐみんに、ちゃんと飲み込んでから喋りなさいとアクアは注意する。

 傍から見れば親子の会話だな、なんてありきたりな事を思いながら、カズマはなんだそれと続けた。

 

「キャベツに旬なんてあるのか? 春夏秋冬問わず並んでるイメージだけど」

「別に間違いじゃないわよ。春キャベツ、夏秋キャベツ、冬キャベツで旬が回ってるから」

「マジかよすげぇなキャベツ」

 

 春と言えばタケノコや蕗の薹、夏と言えば鮎やトマト、秋と言えば栗や秋刀魚、冬と言えば白菜や牡蠣など、季節によって旬の食材は大きく変わるのが一般的である。

 だがしかし、キャベツはいつだって旬なのだ。キャベツはその季節に合わせて産地を変えて育てている為、どんな周年にも間に合わせて出荷出来る様に工夫がされている。

 春キャベツはみずみずしく柔らかく、夏秋キャベツは生でも焼いても美味しく、冬キャベツは形が崩れ難く尚且つ甘みが引き立つ。春夏秋冬いつ如何なる時でも、キャベツは自らの旨みというものを最大限引き出せる素敵な食材なのだ。

 

「いつでも旬ってのは良いな。食材としては最高じゃん」

「サラダは勿論、ポトフや鍋にも入れられるから、食うに困らないのも良いわ。工夫次第でどんな料理にも化けるのは、確かに最高よね」

「ついでにお金にも困りません」

「そうね。どうせならあたし達も参加しましょうか」

「ちょっと待て。金に困らないってどういう意味だ? こっちだとキャベツってお金になるのか?」

 

 カズマははてと首を傾げる。

 食材が売れるという話は分かる。ゲームでも別に珍しいもんではない。大抵の場合、野菜は料理に使われたり、売っても大したお金にはならない為、だいたいボックスに仕舞うかバッグに入れたまま放置だが。

 しかしめぐみんはお金に困らないと言い、アクアもそれに同意した。あと参加しましょうか、とも。

 アクセルはキャベツの名産地なのだろうか? 近々、収穫祭の様なものでもあるのか? と考えるカズマに、アクアは説明してなかったわね、と話を進める。

 

この世界(こっち)だと一定の季節で、キャベツの収穫祭があるのよ。沢山取れば取る程、お金にもなるわ。ギルドから依頼が出るのよ」

「なにそれどゆこと? キャベツを採る依頼出すの? ギルドが?」

「甘く見てはいけませんよ、カズマ! ああも素早く飛ばれては、魔法でも当てるのは至難の業なのです!」

「飛ぶってなに!? キャベツだよな!? 俺が知ってる緑色のキャベツで合ってるよな!?」

「合ってるわよ。そのキャベツが飛び回るのよ、虫みたいに」

「気持ち悪っ! なんだよどうなってんの異世界!?」

 

 カズマの言う事は御尤もであるが、しかし残念ながら全て紛うことなく事実である。

 

「でもやる価値はあるわよ。さっきも言った様にお金にも食材にもなるし。後はそうね……残りのパーティーメンバー探しにもなる」

「どうしてです?」

「実りが入る依頼だもの、色んな冒険者が参加するわ。その中で目に入った人の中で、良いのが居たらスカウトする。所謂ヘッドハンティングってやつね」

 

 幸い、そこそこ名は広がってるから―――やや溜息混じりに、アクアは言う。

 アクセルの街に居るほぼ全員の冒険者が参加する収穫祭だ、嫌でも冒険者の特徴をその目に収める事になる。その時、自分のパーティーに合いそうな能力を持っている冒険者を見掛けたなら、話を通そうと試みる。

 上手く進めば新しい仲間、いかなくとも他の冒険者の話を聞く事は出来る。

 アクアにしてみれば、今のパーティー状況ではお世辞にも魔王討伐など、上手くいくようなものではない。如何せん前衛が足りな過ぎるのだ。

 

「カズマは真っ向勝負には向いてないし、めぐみんは爆裂魔法一筋で使い辛い。あたしは回復と浄化にこそ優れているし、多少の肉弾戦なら出来るけど本職には程遠い。となると、やっぱり一人でも前衛は欲しいわ」

「さり気なく言ってますがおかしいですよね? なんでアークプリーストが肉弾戦出来るんですか?」

「しつこく絡む嫌な奴を殴り続けた結果」

「…まぁ、間違ってないわね」

 

 ニャルラトホテプにウザイくらい絡まれてそれを殴って撃退してを繰り返した結果、鍛えられしは女神の拳。即ちゴッドブローである。何らおかしな所などないではないか。

 ぶっちゃけそこらの武闘家なんぞよりも、威力だけなら十分脅威である。相手が悪魔や亡霊の類なら風圧だけで浄化されて文字通りのお陀仏だ。

 さらにそこに『解錠(バースト)』という特殊技能まで加わるというのだから、まこと恐ろしいものである。

 

「な、なるほど…? アクアは強かですね」

「そういう訳じゃないんだけど……別に気遣わなくて良いわよ」

「いえ、しつこく絡んでくるならそれくらいはするでしょう。私でもそうします、爆裂魔法を放ってやりますよ」

「お前の場合は二次被害が凄い事になるから止めろ。いやマジで」

 

 めぐみんなら本気でやりかねない所だが、しかしそんな事をしたってあの邪神は生き残るし、何なら無傷で煽り散らかすだろう。

 まぁ、1番良いのはその邪神と出会わない事なのだが。だって出会ったら即発狂確定のSAN値チェックが始まるから。

 我々の知るTRPGなら、外なる神(アウターゴット)、或いは旧支配者(グレートオールドワン)といった神話生物と対面した時は1D100のSAN値チェックという定番があるだろうが、しかし残念ながらカズマ達にとってこの世界は紛うことなき現実である。

 例外はあるが、奇跡はない。

 物語だから、なんて保証はない。

 ゲームだから、なんて安全はない。

 空想的(フィクション)だから、なんて理屈は通じない。

 正真正銘、本当の邪神。千の貌を持ち、出力だけなら白痴の魔王と同等とされる、最凶にして最狂の弄び嗤う者(トリックスター)である。

 そんな存在を前にして、『奇跡的に発狂しませんでした!』なんて都合のいい現実は奇跡に頼ったって、そう起きるものではない。

 1D100? 否。それこそ甘い。要は、どんなに回そうが最高値(100)しか出ないサイコロだ。

 理屈を崩壊し、道理を瓦解し、論理を壊滅し、理解を超越し、真理を狂わす―――それが、クトゥルフ神話の邪神達である。

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 ……まぁ、そんな神様談義は流石にこれ以上は長くなるので、一旦さておくとして。

 

「ふーん……おいロリっ子」

「あ゛?」

「すまん間違えた。お前王都に居たんだよな? なんか強い知り合い居ないのか?」

「何をさり気なく流そうとしているんですか許しませんよ!? 言うにかいて遂にロリっ子呼ばわりですかっ!?」

「だってロリっ子じゃんお前」

「違いますがっ!? まだまだ成長途中です、私はこれから大きくなるのです!!!! 身近に発育の良い女性か居るからって目が腐り過ぎではありませんか!?」

「ちょ、ちょっと待ってめぐみん!」

 

 やけに珍しくアクアが慌てた。しかも恥ずかしそうに。なんて可愛いんだろうか、カズマは失神しそうになった。

 

「いいえ待ちません、えぇ待ちませんとも! だって私は少し前にアクアとお風呂に入ったのですからよーく知っています! なんですかあの黄金比むぐっ!?」

「め、ぐ、み、ん…!!! 怒るわよっ!」

「おいちょっと待て詳しく聞かせてくれどういう事だ!?」

「う、うるさい! 黙りなさいじゃないと本気でぶん殴るわよっ!?」

「はいすいません分かりました黙る黙りますだから拳降ろしてくださいお願いしますぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

 

 いつものダウナー具合は何処へやら。見た目は完全に羞恥心に支配された乙女のそれである。こういうギャップも良いなぁとは思いながらも、しかし女神の握り拳には、さしものカズマとて土下座せずにはいられない。

 が、だからと言って気にならない訳がない! 何なら我々だって気になるのだから! 教えてくれめぐみんお前はいったいダウナー女神の裸体に何を見出したと言うのかっ!?

 

「ふぅー! ふぅぅぅぅ!!!!!」

「ごめんって! 謝る謝ってる本当にすんませんっ!!! だからめぐみん離してやってくれ! ちょっと顔青くなってるから!」

「………………」

「あ…ご、ごめんなさ…いやあたし悪くないわね。なんで謝ってるのかしら」

 

 一瞬素で謝りかけたが、しかしすぐ冷静になって我に返る。別にあたし何も悪いことしてないわよね―――と。

 まぁ実際その通りなので、何も文句は言えないのだが。

 

「はぁ、はぁ……ち、窒息するかと思いました」

「謝らないわよ。めぐみんが悪いんだから」

「はい……すいません、アクア。ですが1番悪いのは私をこうさせたカズマだと思うのですがそこはどうでしょうか」

「やっぱり一発殴りましょうか」

「なんでだよっ!?」

「カズマが余計な事を言うからよ…!」

「はい、仰る通りです……」

 

 流石に自覚があったので、カズマも頭を下げる。やはり女性に対して身体的特徴に関する発言は、不用意にするものではないな、と実感するばかりである。

 普段と違って感情が激しく昂ってしまったからか、それが収まってからアクアは思いっきり溜息を吐いた。

 

「頭痛い……こんなに感情出したの、いつぶりかしら」

「絶対洒落にならない年数じゃん……アクアのそれって元からなのか?」

「…どうだったかしら。あたしもよく覚えてないのよね。最初は今より明るかったとは思うけど……如何せん、随分と前の事だから」

「今より明るいアクア……写真とかってあったり?」

「天界にはあるでしょうけど……なに、見たいの?」

「そりゃ勿論」

「ふーん……だーめ。見せてあげないわ」

 

 おいなんだそれ可愛すぎないか???????????? カズマの脳が思考を停止した。

 ふーんって言った。しかもひらがなの伸ばしダメだと? なんならぷいっとそっぽ向かれた…!? なんだこの可愛い仕草はっ!? 惚れてまうやろ―――もう惚れている癖に何言ってんだコイツ―――!?

 

「……アクア、それは無意識なのですか?」

「無意識って……なんの話?」

「いえ、なんでもないです。……気にしてません、えぇ、気にしてませんとも。不覚にも私も可愛いと思いましたが、私は別になんとも………………」

「な、何よ……あたし、何もしてないわよ…」

 

 無意識とは真に恐ろしいものである。既に二人のパーティーメンバーがダウンさせているとは、ダウナー女神のギャップとはなんと威力の高いことか。

 

 まぁ、閑話休題。

 

(はうあっ、先輩カワイイ…!!!!)

「ど、どうしたんだクリス? 急に悶え始めて…」

「ご、ごめん! 別になんともないから、気にしないで―――ダクネス!」

 

 そろそろ、合流して頂くとしましょうか。

 

 

 

 

「こほん。久しぶりだね、カズマくん、アクアせ…さん。そっちの子は初めましてかな?」

「あれ、クリスじゃん。久しぶりだな」

 

 色々と会話が収まったのを確認してから、クリスは咳払いをしながら、やっほーと気軽く声をかけた。

 

「カズマカズマ、この方は?」

「コイツはクリス。俺に盗賊系のスキルを教えてくれた人で、あと……一応、アクアの後輩って事になる」

「はぁ…後輩なのに一応なんです? というかアクアってカズマと同時期に冒険者になったのでは?」

「あ、あー、それはね! 私、エリス教徒なんだよね! その関係で、アクアさんとはちょっとね?」

「あぁ、なるほど」

 

 そういう事ですか、とめぐみんは納得する。

 この世界でも、アクシズ教はエリス教を嫌っている。とは言っても、それはアクシズ教にそういう教義があるから、という訳ではなく、またエリス教徒が嫌いという訳でもない。

 より正確に言うならば、アクシズ教徒達が嫌っているのは女神エリスである。

 

 アクシズ教徒Aは言った。「たかが運司ってるだけなのに国教の主神とか調子乗んなよ」と。

 アクシズ教徒Bは言った。「あんな女神を信仰するくらいには運が無いんだな……可哀想に」と。

 アクシズ教徒Cは言った。「結局のところパッドだから虚しいよな」と。

 アクシズ教徒Dは言った。「別にそんな大層な仕事してないんだから敬う理由なくね?」と。

 アクシズ教徒Eは言った。「くたばれ」と―――最後だけ酷くないですかっ!? シンプルに酷くないですかっ!?―――。

 

 そんな訳で、アクシズ教徒はエリス教徒を哀れに思っているので、別に嫌味を飛ばしたりはしないのである。まぁ、というかそもそもアクシズ教徒は嫌われている―――危険という意味で―――ので、あまり接触しないのだが。

 

「アクアさんは他のアクシズ教徒とは違うから、そういう所も尊敬して先輩なの」

「…まぁ、そういう事よ。別に気にしなくていいわ。それで? その後ろの人は、あたし達に用があるんじゃないの?」

 

 アクアの言葉を皮切りに、カズマとめぐみんも視線を向ける。

 クリスの一歩後ろに立っている、金髪をポニーテールで結んだ女性。綺麗な顔立ちと胸当ての鎧で抑えられ切れていない胸部に対して、カズマは―――

 

(綺麗な人だなぁ)

 

 くらいの事しか思わなかった。あのカズマが、である。どうやらダウナー女神に性癖諸々を完全にぶち壊されてしまったらしい。

 それは兎も角として、とにかく如何にも女騎士といった風貌の女性が、そこに立っていたのだ。

 

「私はダクネスと言う。職業は聖騎士(クルセイダー)だ」

聖騎士(クルセイダー)!? 上級戦士職じゃないですか!」

「すげぇの?」

「高い魔法耐性と防御力がウリの戦士職ね。あと、信仰系の魔法も幾つか使えるわ。防御職(タンク)としては優秀よ」

「なるほど。それで、そのクルセイダー様が何の用だ?」

「私を、貴方達のパーティーに入れてほしいんだ」

「マジ?」

 

 スカウト云々以前に普通に申請来たじゃん、とカズマは驚いた。こんなに上手く事が運ぶものか? と。

 クルセイダーは剣聖(ソードマスター)と並ぶ、戦士職の上級職業だ。高い魔法耐性と防御力を持ち、それでいて信仰系の魔法も扱える特性も併せ持つ。

 防御スキルや囮スキルで敵のヘイトを引きながら攻撃し、いざという時は信仰系のスキルで味方や自分にバフを掛ける事も出来る、大変優秀なタンク職である。

 

「貴方達の活躍は耳に入っている。謎の黒いジャイアントトードを討伐した、新生(ルーキー)だと」

「そんな風に言われてんの? それは初耳だわ俺。ていうかそれやったのアクアなんだけど。俺なんも出来てないんだけど」

「こら、話遮らない。最後まで聞きなさい」

「はい、お母さん」

「誰がお母さんよ。…ごめんなさい、続けて」

「あぁ。私は思ったんだ―――

 

この人達について行けば、きっと強いモンスターの盾役になれると」

「………………ん?」

 

 おかしいな、聞き間違いかな。なんかさっきまで凛々しい声してたのに、すげぇ高揚した声色に変わったぞ?

 あと俺の目がおかしくなってないなら、顔がちょっとアレになっていた様な……

 

「お願いだ! どうか私をパーティーに入れてくれ! あわよくばモンスターの大群に突っ込ませてほしいッッッ!!!!!!!」

「ヤベェ奴じゃねぇか巫山戯んな!? なんで俺のパーティーにはアクアを除いてヤベー奴しか集まらない訳!?」

「おい待て私までヤベー奴扱いとはどういう了見か聞こうじゃないか。私はただ爆裂魔法を愛し、爆裂道を極めようとする立派な紅魔族のアークウィザードですが?」

「その爆裂魔法以外習得してないし習得する気もないのがヤベーつってんだよぶぁぁぁぁかぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

 

 カズマは本気で頭を抱えた。数秒くらい前に綺麗な人だなとか思った自分を全力でぶん殴りたい気分である。

 しかしこれは仕方ない。だって綺麗な女騎士かと思ったらまさかのドM騎士だなんて、誰が想像しようものか。さっきまで落ち着いてたのに豹変が凄いものだから、これは勘違いするのも無理はない。

 どうしたもんか……流石に変態をパーティー入りするのは気が引けるなぁ、とカズマが考えていると、

 

「却下」

 

 冷めた様に、言葉が入った。

 

「あたしは反対よ。彼女をパーティーに入れるのは」

 

 ―――そこには、明確な拒絶があった。

 これまで、アクアが一度も見せてこなかった意思と感情に、全員が困惑した。

 

「ど、どうしたんだアクア? 急に雰囲気変わったぞ」

「そ、そうですよアクア。確かに理由はアレですが、彼女はクルセイダーですよ? タンクとしては非常に優秀ですし、それだけで入れないと断定するのは早計では……」

「タンクである以前の問題よ。未来(さき)も見据えた上で、彼女をパーティーには入れたくないわ」

「…理由を聞いてもいいか?」

「理由? そんなの決まってるじゃない―――貴方がパーティーメンバー(仲間)の事を全く考慮していない人間だからよ。それ以外に何があるの?」

 

 ふざけないで、と零す。

 

「モンスターの大群の突っ込ませてほしい? そうね、タンクだもの。それは確かに仕事だわ。けど、それはそうせざるを得ないからこそすべき判断でしょ。貴方は自分がモンスターに囲まれて、痛めつけられて、その様を人に見られるのを楽しめる―――けど、それを見る仲間の方の気持ちは、考えた事あるの?」

「! そ、それは……」

「そういう趣味だから? 性癖だから? それが何? それを理由にすれば、容易く命を投げ出す様な行為を見て見ぬふりしていい訳?」

 

 仲間を、自分を―――なんだと思ってるの?

 拒絶の中には、怒りがあった。

 人を愛するが故の。

 人に憧れるが故の。

 どうしようもない怒りが、彼女にはあった。

 

「それで貴方が死んだら、誰が責任を取るの? 自分が前に出るのを指示したから、自分が前に出るのを止められなかったから……そう悔やむかもしれない、悲しむかもしれない仲間に、貴方は何も思えない。何も話せない。慰めなんて以ての外―――人の後悔に、そんなものが役立つ訳ないじゃない」

「……」

「貴方がタンクである事を否定する気はないわ。そういう職業だもの、ヘイトを稼いで前に出るのは当然の事。寧ろ果たすべき職務だわ。けど、無思慮に前に出る人間を、あたしはタンクとは言わない―――それは……ただの自分勝手よ」

 

 だから―――あたしは、貴方が仲間になる事を認めない。認めてなんか、やらないわ。




*この時、ダクネスは親に怒られてる様な感じで普通に泣きそうになってます。理由はダウナー女神がマジで怒ってて怖いからです。
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