チュートリアルは終わらない   作:発光雨

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第1話

 この世には神様に愛されているとしか思えない「天才」が何人か居る。

 

 そいつらは人種も性別も年齢もバラバラだが、ある特徴的な共通点を持っている。

 

 俺がその「天才」達の内の一人と初めて出会ったのは高校生だった頃───演遊(えんゆう)町のカードショップでアルバイトしていた時の事だった。

 

「チュウト兄ちゃんこんにちは〜! 今って暇だったりする?」

「おぉ、エンジ君こんにちは。見ての通り暇してるよ〜」

 

 ある日、この店の常連客の1人である燃えるような赤い髪が特徴的な少年の角川(かどかわ)エンジ君が隣に初めて見た顔の赤い帽子を被った少年を連れてレジに居る俺に話しかけて来た。

 

「お、ラッキー! じゃあさ、コイツに『ロールファイト』を教えてあげてほしいんだ! 今まで『ロールファイト』1回もやった事ないみたいだからさ!」

「あぁ、そういう事なら全然いいよ」

 

 どうやら帽子の少年は完全に新規のお客さんらしい。通りで初めて見た顔の訳だ。

 

「じゃあ練習用のレンタルデッキを持ってくるとして……君、カッコイイのとカワイイのだったらどっちが好き?」

「……カッコイイ方」

「OK、それなら良いのがあるから取ってくるね」

 

 男の子なら大体はカッコイイカードが沢山入ったデッキを使いたい筈だが、念の為帽子の少年に確認してみれば案の定想定通りに返ってきた言葉に俺は微笑みながら一旦バックヤードに戻る。

 

「店長、今から新規のお客さんの『ロールファイト』相手してくるんで一旦レジ抜けますね」

「了解〜、初心者に優しくね〜?」

 

 バックヤードにあるレンタルデッキを2つ手に取りつつ、パソコンを使って作業をしていた店長に一声掛けるが特にこちらを一瞥することも無くヒラヒラと手を振られた。

 

 今の時間帯は店長と俺の2人しか店員が居ないが、ウチは田舎のカードショップだからか普段からあまりお客さんが来ないのもあって暇な時はこうして新規のお客さんや常連客の相手になる事がよくあるのだ。

 

「2人ともお待たせ、デッキ持ってきたからあっちのファイトスペースに行こうか」

「おう!」

 

 元気よく返事をするエンジ君と無言のままこくりと頷くだけの帽子の少年。完全にキャラとしては真反対な少年達の様子に少しだけ面白さを感じながら俺は店の奥にあるパイプ椅子とテーブルが並んだ簡素なファイトスペースへと2人を誘導した。

 

「よし、じゃあ早速始めるけど……えっと、今更だけど君なんて名前?」

「……ユウト。神札(カミフダ)ユウト」

「OK、ユウト君ね! 俺は日下部(くさかべ)チュウト。改めてよろしくね! じゃあ今から『ロールファイト』の説明するからこのデッキを持ってユウト君はそっちの席に座ってね。まずはルールからだけど───」

 

 俺とユウト君は机を挟んで向かうようにして座り、持ってきたレンタルデッキを使って説明を始めた。

 

『ロールファイト』は簡単に説明すれば40枚のデッキを使ってカードを『ステージ』に出して相手の10ポイントあるライフを0にすれば勝ちになるゲームだ。

 

 プレイヤーは『アクター』と呼ばれ、様々な種族のモンスターが描かれた『ロールカード』とそれらを補佐する『アイテムカード』を組み合わせて自分だけのデッキを作るのだ。

 

 ゲームの流れとしてはデッキから最初にカードを5枚引き、じゃんけんで先攻と後攻を決めたら先攻のアクターがカードを1枚ドローする『ビギニング』から始まり、ロールカードとアイテムカードを使う『マチネ』、召喚したロールカードで相手を攻撃する『アクション』、マチネでロールカードを召喚しなかった際にのみ改めてロールカードを召喚したりアイテムカードを伏せたりする『ソワレ』、やる事が無くなったら自分のターンを終了する『エンド』の計5ステップでお互いにターンを回していくのが基本の流れである。

 

「───とまぁ、大体こんな感じだけど理解できた?」

「……うん、理解した」

 

 カードを使いながら実際に見せてターンの動きを分かりやすく説明した事で、ユウト君もルールは理解出来たようだった。

 

「あと注意事項として、一度に『ステージ』に出せるカードはロールカードとアイテムカードでそれぞれ分かれていて、どっちも5枚ずつまでしか出せないから気を付けてね」

「……なるほど」

 

 最後に注意事項を告げ、俺は机の上に広げていたカードをデッキに戻した。

 

「さぁ、大体理解出来たならあとは実践してやってみようか!」

「……ん、やってみる」

 

 声は平坦とした感じだが瞳は初めて触る『ロールファイト』に興味津々とばかりにキラキラと輝いてるユウト君の様子に、俺は自分が初めて『ロールファイト』を触った時の事を思い出して微笑ましくなった。

 

 このまま上手い事ユウト君にも『ロールファイト』を楽しんでもらえればいいなと思いながら俺達はゲームを始めた……のだが。

 

(あれ、思ったよりもユウト君強くね……?)

 

 初めて『ロールファイト』で、しかも初心者向けとはいえ触ったことも無いレンタルデッキを使っているというのに、ユウト君はまるでこの店の常連客レベルでカードを駆使してゲームを進めていた。

 

 初心者にも関わらずカードを切るタイミングが絶妙に上手い。普通ならもっとモタモタしたり、間違った所でカードを使ってしまいミスを犯してしまうというのにユウト君にはそれが無い。

 

 本当にこの子初心者か……? と内心で思わず疑っていると、不意に耳元にピ、ピ、ピ、という電子音のような音が聞こえてきた。

 

「ん? 何の音……?」

「チュウト兄ちゃん? どうしたんだ?」

「あ、いや、なんかピ、ピ、ピ、って音が聞こえた気がするんだけど……」

「え? そんな音何もしてないぜ? ユウトはなんか聞こえたか?」

「……?」

 

 不思議そうに首を傾げるエンジ君にとユウト君に、俺の気のせいかと思い2人に謝ってゲームを進めるが……やはりピ、ピ、ピ、という音はずっと聞こえてくる。

 

(何なんだこの音……どこからだ?)

 

 俺にだけ聞こえる謎の電子音。その音がどこから聞こえてくるのか『ロールファイト』しながら耳を澄ませて辺りを注意深く観察していると、不意にその音が止まった。

 

(急に止まった……?)

 

「うっ……!」

「うわぁ、これは難しい盤面だぜ……頑張れユウト! まだ勝負はこれからだぞ!」

 

 急に止まった謎の音に対して俺が内心で警戒してるのを他所に、『ロールファイト』に集中しているユウト君とエンジ君はステージにずっと意識が向いている。

 

 ターンはユウト君のターン。ユウト君のステージにはロールカードが一体に伏せてあるアイテムカードが2枚、対して俺の方にはロールカードが三体と伏せてあるアイテムカードが1枚。

 

 手札はお互いに2枚。ライフポイントはユウト君が4で俺が6。現状は俺の方がやや有利ではあるが、ユウト君に渡してあるレンタルデッキはパワー型のデッキだ。引くカードによっては一瞬で盤面をひっくり返される可能性があるから油断出来ない。

 

 初心者相手に割とガチになりかけているが、それだけユウト君が強すぎるのだ。これで本当に一度も『ロールファイト』がした事無いなら凄すぎる。

 

「……これで!!」

 

 ユウト君が手札のカードを切った瞬間、再びピ、という電子音が俺の耳に届く。

 

「アイテムカード発動、『竜王の呼び声』! 僕はデッキの上から3枚カードを捲り、その中にあるドラゴンと名のつくカードを手札に加える事が出来る……!」

 

 ユウト君がカードを使いゲームを進める間、ピ、ピ、ピ、と電子音はずっとなり続けている。

 確信した。この音の発生源はユウト君だ。しかし、それはそれでこの音は一体何の音なのだろうか。

 

「僕が引いたのは……『爆炎竜王(バーニング・ドラゴンロード)ジャガードライグ』!」

「いや、マジかよ!?」

 

 俺が謎の電子音を気にしてる間にユウト君はレンタルデッキの中のエースカードを引いてしまい、思わず驚愕の声が漏れてしまった。

 

 この場面でエースカードを普通引くかね!? 謎の電子音とか気にしてる場合じゃねぇ!! 

 

「僕はステージに居る『ドラゴンピッピ』の効果発動! このカードをリリースして墓地に送ることで、手札のドラゴンと名のついたロールカード一体を特殊召喚できる!」

「させるか! アイテムカード発動! 『緊急脱出』! 相手のステージに居るロールカード1枚を相手の手札に戻す!」

「そんな事させない! アイテムカード発動! 『竜王の勅令』! 手札にドラゴンと名のついたカードがある時、相手のアイテムカードの効果を無効にして破壊する!」

 

 何とかしてエースカードの召喚を防ぐべく、俺はアイテムカードを使ってユウト君の妨害を試みたがそれは無駄に終わってしまった。

 

「来い! 『爆炎竜王(バーニング・ドラゴンロード)ジャガードライグ』!!」

 

 そして召喚されてしまった『爆炎竜王(バーニング・ドラゴンロード)ジャガードライグ』によって俺のロールカードは呆気なく粉砕され、俺はそのままユウト君に負けた。

 

「すげぇ! すげぇやユウト! 次は俺! 俺と勝負な!」

「受けて立つ……!」

 

 そしてそのまま始まる2回戦。ユウト君vsエンジ君の『ロールファイト』が始まり、先程の俺との戦いよりも2人は熱く激しい試合が行われた。

 

 やはりユウト君が『ロールファイト』をしている時だけどこからともなくピ、ピ、ピ、という謎の電子音が聞こえてくるが、それは俺にだけしか聞こえないらしくエンジ君やユウト君も気にした様子は無い。

 

 2人はそのまま『ロールファイト』を続け───結果はギリギリでユウト君の勝利。

 

 ウチの常連客であるエンジ君はウチの店でもかなり上位の実力者なのだが、それをレンタルデッキで打ち倒す初心者が居るなんて……。

 

「もう1回! もう1回やろうぜユウト! お前とのファイトめちゃくちゃ熱くなれて楽しいぞ!」

「うん……!!」

「あ〜、盛り上がってるところ悪いがちょっと待ってくれ2人とも」

 

 完全にやる気スイッチが入りメラメラと闘志が燃えている2人がそのまま次の『ロールファイト』をし始めようとしてるのを俺は割って入って止めた。

 

「なんだよチュウト兄ちゃん! 邪魔しないでくれよ!?」

「……!」

 

 方やギャーギャーと騒いで、方や無言の圧力で抗議をしてくる少年達に申し訳なく思いつつ、俺は先程聞こえた謎の電子音の事が気になって仕方なかった。

 

「なぁ、ユウト君。何かピ、ピ、ピ、って音が鳴る機械のような物を持ってたりしないか?」

「またその話ぃ? さっきからチュウト兄ちゃん変だぜ。音なんて何も鳴って無いって、なぁユウト?」

「……うん、僕は何も持ってない」

 

 ポケットをひっくり返して何も持ってない事を証明するユウト君。じゃああの謎の電子音の正体は一体何なんだろうか。

 

「……すまん、もしかしたらちょっとバイトのしすぎて疲れてたのかもな」

「大丈夫かよチュウト兄ちゃん? 今日もう休んだ方がいいんじゃねぇの?」

「……具合悪い?」

 

 とりあえずこれ以上2人から変な奴扱いされたくなくて思わず適当に誤魔化してしまったが、2人とも俺の体調を本気で心配してくれるからいい子達だ。

 

 だからこそ余計にこの子達が俺を騙している訳じゃない事が伝わり、先程の聞こえてきた謎の電子音が不気味で仕方なかった。

 

「大丈夫。ちょっとバックヤードで休むよ。ユウト君は帰る時にデッキをレジに返しに来てね」

 

 その場から急いで離れ、俺はバックヤードへと駆け込むと休憩用の椅子に倒れ込むように腰掛けた。

 

「チュウト君? 突然どうしたんだい?」

「いやぁ、すみません。ちょっと体調が急に悪くなっちゃって……」

「そうなの? じゃあしばらくここで休んどきなさい。その間は僕が店を回しとくから元気になったら声掛けてね」

「すみません、ありがとうございます」

 

 適当に体調不良を言い訳にすると、バックヤードでパソコン作業していた店長は冷蔵庫から冷えたお茶のペットボトルを出して俺に渡してくれるとそのままお店の方へ出て行った。

 

 俺以外誰も居ないバックヤード。静かな空間で否応にも考えてしまうのは先程の謎の電子音について。

 

「あれは……なんなんだ?」

 

 ユウト君が『ロールファイト』をしていた時に俺にだけ聞こえていた謎の電子音。ある意味ホラーでしかないだろこんなの。

 

「勘弁してくれよ……俺は怖いのマジで無理なんだよ」

 

 結局あの電子音は何なのか考えても分からないが、とりあえずユウト君が『ロールファイト』をしていた時に聞こえてきたからしばらくはユウト君の傍で様子見をして原因を突き止めよう。じゃなきゃいつまで経っても怖いままでしかない。

 

「はぁ、どうにかするしかないか……」

 

 まぁ唯一嬉しい事としてユウト君のあの様子なら『ロールファイト』にハマってくれた事だろう。それならこれからしばらくはエンジ君と一緒にウチのカードショップに遊びに来てくれる事だろう。

 

 気長に頑張って謎の電子音を突き止めよう───この時まではそう思っていたんだ。

 

「フハハハハハ!! 我らはダークアクター! 闇のカードの力で貴様らの魂を我が神の贄とし、世界を我が手中に収めてくれるわァ!!」

「なにぃ!? そんな事はさせてたまるか! 行こうユウト、チュウト兄ちゃん! 一緒にアイツらを倒すんだ!!」

「うん……お前達の好きにはさせない!!」

「えぇ……」

 

 突如現れたダークアクターと名乗る悪の組織が町中のアクターに対して『ロールファイト』を仕掛け、負けたら闇のカードによって魂を奪われるというとんでもない事件が発生したり。

 

「これぞ我らが神! 『大邪神ヴェノムテンペスト』である! 神の降臨に平伏せェ!!」

「くっ、まずいぜユウト! このままじゃ町の皆が……!!」

「大丈夫……精霊のみんな! 力を貸してくれ!」

「お、おぉ……」

 

 降臨した大邪神によって町が滅茶苦茶な事になりかけたが、それをユウト君がロールカードの精霊達にお願いする事で何とか防いだり。

 

「おの、れ……おのれ、おのれおのれおのれ!! 許さん、許さんぞ貴様ら!! よくも我が神を───!!」

「お前の神はロールカードの精霊達によって封印された! もう二度と復活する事は無いぜ!!」

「黙れェ!! こうなれば貴様らだけでも我の手で葬ってくれるわ!!」

「……これ以上好き勝手にはさせない!!」

「え、俺もなの?」

 

 ダークアクターの親玉をユウト君とエンジ君と俺の三人で倒し、最後には『ロールファイト』で町の平穏を無事に取り戻した。

 

「やったなユウト! チュウト兄ちゃん! これでもう魂を奪われてた町の皆も元通りだぜ!!」

「……うん!!」

「や、やった〜……?」

 

 3人で仲良く拳を突き合わせ、俺達は大邪神を打ち倒して町を救った英雄として名を馳せる事になった。

 

 ……いや、色々一気に起きすぎて謎の電子音とかそんなの気にしてられる余裕なんて無かったわ。

 

「なんかもう……あっという間だったな」

 

 世界を揺るがしかねないとんでもない事件が起きかけて、でもそれを俺とユウト君達で何とか防いで解決して……とにかく時間があっという間に過ぎた気分だった。

 

「あ、チュウトちょうど良かった。この町もかなり物騒な事があったからな、また何か起きるかも分からんし父さんちょうど転勤する事になったから。母さん連れて来週ぐらいに違う地方に引っ越す事にしたからお前も一緒に来なさい」

「マジかよ父さん」

 

 1つの事件が解決したかと思いきや今度は家庭の問題が発生。ただ父さんの言ってることは至極真っ当な事であり、バイトしてるとは言え親に頼ってご飯や学費を出して貰ってる以上拒否権は無く俺は慌てて準備して演遊町から離れるしか無かった。

 

 店長にだけは親の都合でバイトを辞めることを伝えるついでに挨拶出来たが、あまりにも突然だった為引っ越しの準備で忙しかった俺はユウト君達やあの事件に関わった人達に最後の挨拶をする事が出来なかった。

 

 まぁいつかまた会える日が来るかと思い演遊町をそのまま出た訳だが。

 

 そして次に住むことになったのは演学(えんがく)町。ここは『ロールファイト』にかなり力を入れた町であり、『ロールファイト』専門の学校があるぐらいだ。

 

 授業で『ロールファイト』出来るとか天国かな? そう思った俺は迷うこと無くその学校に転入することを決めた。

 

 そして転入初日。最初の『ロールファイト』の授業で俺は腕試しとして同じクラスの少女と『ロールファイト』をする事になったのだが───

 

「私の先攻ね! ドロー! 折角ですしこの召喚方法を試させてもらうわ! 私は手札から『薔薇姫(ローズ・プリンセス)の誓い』を発動! 手札にあるローズと名のついたロールカード2枚を墓地に送り、『ウィングデッキ』から『ローズ・プリンセス』をステージに『アピアランス召喚』!!」

 

 ピ、ピ、ピ、と性別も年齢も違うというのにユウト君と同じく『ロールファイト』で俺にしか聞こえない謎の電子音を鳴らす少女と出会い、初めて知る召喚方法で上級ロールカードを召喚されボコられてる最中に俺は思わず天を仰いだ。

 

 この時点で既に、また何かヤバい事件に巻き込まれる予感が俺にはあったからだ。

 

 そうして案の定、この学校の校長が悪の組織と通じていたり、生徒達を洗脳して悪のアクターを量産しようとしていた事が発覚したり、計画に気付かれた悪の組織が闇のカードを使って学校ごと生徒を消し去ろうとしてきたりと……まぁまたヤバい事件が起き、予想通り俺はその事件に巻き込まれた。

 

 なんとか事件は無事に解決したが、ユウト君然り、あの少女然り、謎の電子音がする奴にはきっと疫病神でも着いているのだろう。本当に勘弁して欲しい。

 

 その思いが天に届いたのか、はたまた偶然タイミングが良かっただけなのか。

 

「チュウト君、実は我がロールファイトアカデミアの姉妹校から交換留学の話が出てマーシて……英語の成績がクラスで1番良い貴方がもしよければ行ってみまセーンか?」

「マジすか!? 行きます行きます!!」

 

 あの同じクラスの少女と一緒に居たらこれ以上面倒な事件に巻き込まれる予感がしたから、俺は担任の先生から伝えられた話にすぐさま飛び付き親にもあの手この手で口八丁を回して速攻で許可を得た。

 

 そうして、俺は僅かな手荷物とパスポートを持って海外へと速攻で留学する事にした。

 

 仲のいい友達には暫く学校を離れることを事前に伝えといたが、具体的にいつから行くとまでは言わなかった。またいつか戻ってくるんだから態々言うのも照れくさかったしな。

 

 そんな訳である日俺は海外へ留学したのだが……まぁ『ロールファイト』の学校の姉妹校ならそこも『ロールファイト』を専門にしてる学校な訳で。

 

「へぇ、君が留学生? ならその実力を確かめてみないとね!」

 

 今度は人種も違うというのに、ユウト君やあの少女と同じく謎の電子音を鳴らすアクターの登場に俺はもう白目を剥くしかなかった。

 

 ……とまぁ、長くなったがこんな感じで俺は各地で様々な人達と出会い、色んな事件に巻き込まれては誰かと一緒に解決してまた違う地へ移動するという事をここ数年で何度もしてきた訳だが、その中であの謎の電子音について分かった事がある。

 

 あの電子音を鳴らす奴はとんでもない疫病神であり───そして、とんでもなく『ロールファイト』の神様に愛された「天才」なのだ。

 

 人種も性別も年齢もバラバラで、けれどその俺にしか聞こえない電子音を鳴らす奴は『ロールファイト』が決まって強い。どんな奴でもまず絶対勝てない。

 

 悪を打ち倒し、誰よりも強く『ロールファイト』という舞台(ステージ)の上で強く輝き続ける者達。

 

 まるで、言ってしまえば物語の主人公のような───そんな「天才(バケモノ)」達なのだ。

 

 だから勝てなくて当たり前、負けてしまっても当然の事でしかない。

 

 ……あぁ、けれど。

 

「そんな「天才(バケモノ)」達に勝ってみてぇよな」

 

 手元に握った1枚のチラシ。そこにはワールドロールファイトリーグ───通称WRFLの宣伝が「世界一のアクターは誰だ!?」というデカデカな文字と共に載っていた。

 

「よし、行くか!」

 

「天才」には負けてばっかりだったんだ。こういうお祭り時ぐらい、たまには勝っても文句はねぇだろ? 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◆◆◆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【RF8】チュートリアルお兄さん【登場?】

 

1:名無しのアクター ID:UJtiy8Z1W

 お前ら今作もチュートリアルお兄さん出てくると思う? 

 

2:名無しのアクター ID:N64zbJ5ot

 さすがに出るだろ、ロールファイトシリーズ皆勤賞のチュートリアルお兄さんだぞ

 

3:名無しのアクター ID:nJ8e9eG3y

 でも今作って今までの主人公と関連キャラ全員登場させるんでしょ? 

 さすがにチュートリアルお兄さんは出る幕無いでしょ

 

4:名無しのアクター ID:p3HLZG06X

 いや、逆にチュートリアルお兄さんが出ないでどうするよ? 

 全作品の主人公と絡みあるのチュートリアルお兄さんだけやぞ

 

5:名無しのアクター ID:zJd1gbElU

 言うてでもなぁ……チュートリアルお兄さんそんな活躍してた訳じゃなくね? 

 ストーリーの流れでいつの間にかパーティ入りしてたけど、大体どの作品でも影薄かったやん

 

6:名無しのアクター ID:iZEU39BkU

 >>5お前、言ってはならん事を……

 

7:名無しのアクター ID:yH+8OcQpu

 分からんだろ! 俺達がラスボス戦してる時にチュートリアルお兄さんが実は裏で敵に増援が来ないように足止めしてくれてたかもしれんだろ!? 

 

8:名無しのアクター ID:Xj7y2sFIl

 >>5初代では普通にラスボス戦に参戦してたんだよなぁ……

 

9:名無しのアクター ID:GX2MEhWa2

 けどチュートリアルお兄さんってどの作品でも1番初めに戦うけど地味に強くね? 

 

10:名無しのアクター ID:nC5AtypXX

 >>9分かる、俺も初代のRFをやった時チュートリアルお兄さんにボコられかけてめっちゃピコピコ無駄に操作しまくってた

 

11:名無しのアクター ID:kQyLBVZ5o

 あの時代は今と比べてカードの種類も召喚方法も少なかったから、とにかく数並べて殴り勝つかデカイモンスター並べて勝つかの2択だったからなぁ

 

12:名無しのアクター ID:MEY3CaxMt

 2から色々とバグり出したよな、ウィングデッキとアピアランス召喚が出てから何でもアリになり始めた感あるわ

 

13:名無しのアクター ID:U76cZDohC

 あ〜それは確かに……最初使ってて訳分からんかったけど慣れたらマジでエグかったな

 

14:名無しのアクター ID:0Yq3/B510

 おかげさまで色んなカードが作られては禁止にされていきましたな……運営さんデスカイの解禁いつですか? 

 

15:名無しのアクター ID:tfvkKH4vT

 >>14おじいさん、デスカイはもうずっと幽閉されてるでしょ

 

16:名無しのアクター ID:qDHzgxAu8

 >>14絶対に出すことを許さん

 

17:名無しのアクター ID:MA/B0y74b

 >>16デスカイ被害者の方かな? 

 

18:名無しのアクター ID:9DIOa4Fc4

 てか、今更だけどチュートリアルお兄さんのデッキってどんなカード入ってんだろうな? 

 

19:名無しのアクター ID:fsKhPZwWA

 作品によって毎回デッキ違うもんな

 チュートリアルお兄さんのデッキってなんか変な弱小カードとか入ってそう

 

20:名無しのアクター ID:XGgQFXMKJ

 >>19逆にとんでもないレアカードばっかりのデッキだったらチュートリアルお兄さんからレアカードお兄さんに改名だな

 

21:名無しのアクター ID:UhjBRXse8

 意外とレアカードも入ってるんだよなぁ……4の時とか確かリムート入ってたぞ? 

 

22:名無しのアクター ID:eBwVDNbx9

 あったな……思えばあの頃から手札誘発も増え始めたのか

 

23:名無しのアクター ID:fb0rEsnJq

 >>21ドヤ顔で効果発動させようとしてリムートで無効化されて逆に殴り殺された間抜けおりゅ? 

 

24:名無しのアクター ID:cGI4/in/k

 >>23貴様の顔面を凹ませたろうか

 

25:名無しのアクター ID:r41cieddG

 >>23お前を殺す(デデン! 

 

26:名無しのアクター ID:yQ6pD6oTF

 >>23てめーはおれを怒らせた

 

27:名無しのアクター ID:ZLsKo7sQT

 意外とブチ切れてるやつ多くて草

 

28:名無しのアクター ID:8KGtDWkBu

 まぁ気持ちは分かる、何回初動カードをリムートやファビュラスで無効化された事か……

 

29:名無しのアクター ID:qfXaqCV/p

 どいつもこいつも悲しみを背負っておるわ

 

30:名無しのアクター ID:+hrDDpV/H

 てか、話戻すけど新作にもチュートリアルお兄さん出て欲しいよな

 

31:名無しのアクター ID:wM7zzfMkW

 俺は歴代キャラ達とチュートリアルお兄さんの絡みを見たいんだ

 

32:名無しのアクター ID:yTPPVdbxb

 >>31分かる、どんな反応するのか見てみたいよな

 

33:名無しのアクター ID:jrqS3h91w

 案外何も反応しないとかは? 「チュートリアルお兄さん? あぁ、居たねそんな人」みたいな

 

34:名無しのアクター ID:IlpBdR/az

 それはさすがに無いやろ、一緒に町やら学校やら世界やら救ってきた仲間だし

 

35:名無しのアクター ID:ut7mNjmGo

 シリーズが続くにつれてどんどんラスボスが破壊する規模が増えてってるのいつ見ても草なんよなぁ

 

36:名無しのアクター ID:joBqhsrHh

 最終的には前作の銀河系全てを滅ぼすが最高地点か? 

 

37:名無しのアクター ID:49rTW84+5

 分からん、8でそれ以上を出してくるかもしれん

 

38:名無しのアクター ID:lEga/R3xA

 銀河系全破壊よりもエグいのってなんだよ

 

39:名無しのアクター ID:WbrbmLtyZ

 >>38チュートリアルお兄さんが最初から居なかったみたいに過去改変されるとか? 

 

40:名無しのアクター ID:OihnoTyBN

 >>39それは辛い

 

41:名無しのアクター ID:wiVtviWTi

 >>39人の心とかないんか? 

 

42:名無しのアクター ID:M4aPd8hfx

【速報】チュートリアルお兄さん登場確定! 

 

43:名無しのアクター ID:Zda0K7ZA3

 >>42お、マジ? ソースどこよ? 

 

44:名無しのアクター ID:uOCcyMiAM

 >>43さっき新作のPVが発表されてたからそれ見ろ

 

45:名無しのアクター ID:pUOGGRakF

 あ、もう公開されてんのねどれどれ……

 

46:名無しのアクター ID:za/5E+GDq

 おぉ、マキアスも出るのかこれは熱い! 

 

47:名無しのアクター ID:0FfxRIp5a

 ピーツーめっちゃ大人っぽくなってる!? 

 

48:名無しのアクター ID:YswgFsrmc

 おぉ、チュートリアルお兄さん……え、チュートリアルお兄さん? 

 

49:名無しのアクター ID:+WCQkajKB

 何ですかそのサングラスに不敵な笑みは

 

50:名無しのアクター ID:2fHXGBrpV

 え、もしかしてこれチュートリアルお兄さんが今作のラスボス枠の可能性ある? 

 




舞台の用語って遊戯王みたいに使えそうだな、という1発ネタの作品です。

簡単用語解説
『ロールファイト』……遊戯王の亜種。ライフポイントが違うぐらい。
『アクター』……デュエリスト
『ステージ』……フィールド。場。
『ロールカード』……モンスターカード。
『アイテムカード』……魔法、罠カード。
『ビギニング』……ドローフェイズ
『マチネ』……メインフェイズ1
『アクション』……バトルフェイズ
『ソワレ』……メインフェイズ2
『エンド』……ターンエンド
『ウィングデッキ』……エクストラデッキ
『アピアレンス召喚』……融合召喚
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