夜語りの屋敷   作:死して尚、彼女は何を思うのか。

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第四夜 遺品整理

 

 

俺の知り合いの不動産屋が、ある古びたアパートの一室の遺品整理を頼まれたんだ。

その部屋には、数年前に一人暮らしの年配の男性が孤独死してから、ずっと誰も入っていなかったらしい。

 

普段は遺品整理なんて慣れたもんだって言ってた彼も、その部屋に入った瞬間、異様な空気に圧倒されたそうだ。

部屋の中は埃っぽくて、どこか腐敗臭にも似た臭いが鼻を突いた。壁や天井はひび割れ、古い壁紙は剥がれかけていて、照明も壊れていて月明かりがかろうじて差し込んでいるだけ。

まるで時間が止まっているような感覚だった。

 

特に不気味だったのは、ベッドの脇に置かれていた、革表紙の小さな手帳だった。

埃を被り、擦り切れた表紙には、長年の使用感があった。彼が手帳を手に取ったとたん、風もないのにパラパラと勝手にページがめくれ始めた。

驚いてすぐ閉じたが、その瞬間、背筋に冷たいものが走ったという。

 

それだけじゃなかった。

部屋の隅からは、微かな物音がしたり、壁の影がわずかに動いているように見えたり。

「誰もいないはずなのに、何かがいる気配がして、まとわりつくような視線を感じた」と彼は震えながら語った。

 

手帳は持ち帰り中身を確認したが、ほとんどが意味不明の文字や数字の羅列だった。

ただ、ところどころに短い日記のような文章が書かれていた。

 

「今日は誰も来なかった。部屋が狭くなった気がする。」

「窓の外から誰かがじっと見ている。」

「声が聞こえるが誰もいない。」

 

ページを追うごとに、書いた人物の精神がどんどん壊れていく様子が見て取れた。

 

その後、知り合いは夜になると、その部屋の夢を見るようになった。

夢の中で彼は狭い部屋に閉じ込められ、逃げ場もなく、見えない何かにずっと見張られている感覚に苛まれた。

目覚めても耳の奥に囁くような声が残り、安心できなかったという。

 

彼は手帳に触れないようにし、考えないようにしていたが、次第に精神的に疲弊していった。

 

遺品整理とは単なる物の片付けではなく、その人の「最後の痕跡」を掘り返す行為だ。

その痕跡に触れることで、知らず知らずのうちに何か得体の知れないものを呼び覚ましてしまうのかもしれない。

 

だからもし、遺品に触れる機会があったら、軽率に扱わない方がいい。

誰かの最期の思い出は、時に残酷で、逃れられない影を落とすことがあるのだから。

 

俺はこの話を聞いてからというもの、遺品整理の仕事に対しても、人の死に対しても、今まで以上に身が引き締まる思いがしている。

 

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こんな感じで1000字超えています。

もし加筆や続編が欲しければ言ってくださいね。

 

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