月隠奇縁譚 〜魂祭りのマレビト、故郷に戻りて縁を復する〜   作:mimick

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第21話 月隠山のマヨヒガ

 夏休み中の川遊びに行った日から月日がまた一年流れ、辰巳たちは中学二年生となり、晃は小学三年生になっていた。

 

 辰巳たち男子の関係は特に大きく変わらずとも、出会ってから共に過ごしてきた月日は彼らの友情を確かに深めていた。

 

 それは傍目には親友と呼ぶに相応しい仲であるのだろう。何処かに遊びに行くにも四人は決まってつるんで行動し、何か馬鹿をしでかしては大人たちにまとめて叱られていた。しかし、その経験の共有は彼らの絆をより強固なものにしていたのだ。

 

 対して──彼らと同じく、それなりの時を共に過ごしていた晃は未だにその性別が女であると辰巳に気づかれることなく、一年の時が過ぎていた。

 

 元々は官九郎の仕掛けた、鈍い所のある辰巳がいつ晃が実は女の子なのか気づくかというイタズラであったのだが……あまりにも辰巳が気づかないので簡単にバラしては勿体ない、気づいた時には盛大に弄り倒してやろうという方針に変わっていたのだ。

 

 とはいえ、それは晃にも原因はあった。晃自身、男子と同じように活発に遊び回ることを好む性格であり、当時はまだ自身が男でも女でもどちらでもいいといったスタンスを普段から取っていた。

 

 毎日を楽しく過ごすのに忙しく、男らしく、女らしくという思考には中々ならなかったようだ。寮の大人たちには女の子ならお淑やかにだの、スカートを履いたらどうだだのと言われない訳では無かったが、何故そういった言葉をかけられるのか理解出来ず、結局は尽く無視していたと言ってもいい。

 

 スカートは捲れるしスースーするし、短パンの方が動きやすい。かわいい物も嫌いではないが、カッコいい物の方が好き。長い髪は遊ぶ時に邪魔だし洗うのも乾かすのも面倒くさい。そんなちょっとした拘り──自分の意思の方が晃には大切な事だったのだ。

 

 とはいえ、晃の性別が男か女かなどに関わらず、年長者四人組との関係は良好で、どこに行くにも晃はよく兄たちの後ろをついて回った。特に辰巳の背はやはり晃のお気に入りのままであった。

 

 ──そうして、関係は深まるも、大きな変化はないままに季節は巡り……再び夏がやって来た。

 

 辰巳の通う学校は皆部活動に入らなければならない決まりになっており、夏休みとは言え、部活の練習はそこそこの頻度でスケジュールに入っていた。

 

 発育がすこぶる良く、一年の時点で既に目立っていた辰巳は上級生の勧誘により柔道部に所属しており、その恵まれた体格と無尽蔵とも思える体力、圧倒的なパワーを武器に、部活に打ち込んでいたのだ。

 

 それと同じく、官九郎と秀平も同じく柔道部に所属していた。彼らは彼らで金があまりかからない、かつ、技能として残るものという事で選んだらしかった。現実的な考えを持つ、二人らしい選択であった。

 

 ちなみに四人組の内の残りの一人である恵多はバスケ部に所属し、相も変わらず女子ウケが良い。元々運動神経の良い恵多は2年ではあるが、既にレギュラーに入ることもあったようだ。

 

 そういった仕儀で夏休みの間は辰巳、官九郎、秀平の三人で部活の練習に行き、その帰りに竜養寮で遊ぶ。そこに恵多が合流するというのがパターン化していたのだった。

 

 

 ──その日もいつも通りの四人と晃は変わらず共に行動しており、特に何をするでもなく竜養寮の裏手にある御山の探検をしていた。

 

 というのも、毎日毎日サッカー、野球、たまに釣りと水遊びというのも飽き飽きしていた所だったのだ。

 

「あー、夏だぞ。キャンプしてぇ、海行きてぇ」

「キャンプかぁ、いいなぁ! バーベキューとかもしたい。肉が食いてぇ、肉が」

「恵多はいいよなぁ。親に頼めば食い放題なんだろ? 寮は皆平等だからな……」

「そりゃ言えばそうだけど、親とバーベキューしたって楽しくないだろ」

「なら俺らも連れてけばいいじゃん。恵多の親に俺らをキャンプ連れてってって言ってくれよ」

「……馬鹿言うな。父さんは最近仕事忙しそうだし、母さんにお前ら会わせたら倒れるわ」

 

 そこで誰が零したのかキャンプとかもしてみたいなぁ、という言葉。しかし、辰巳、官九郎、秀平にはそもそも周囲にキャンプに連れて行ってくれるような大人がいない。かといって、唯一可能性のある恵多の両親に四人プラスαまとめて連れて行ってくれ、というのも図々しいにも程があるというもの。

 

 それに恵多の母は一人息子の恵多を溺愛している。寮の子である官九郎や秀平と付き合っているのを悪影響がないかと心配しているという事情があった。

 

「──じゃあさ、秘密基地作りでもしねー? 漫画とか菓子とか持ち込んでさ、そこで遊ぼうぜ」

 

 そこで彼らは自分たちだけの拠点という意味で、この夏休みの間に秘密基地を作る事にした。その第一候補が竜養寮の裏山の中だったという訳である。

 

 近くにあるというのに、四人はあまり裏山に入った経験がなかった。それは月隠山だけでなくこの辺りにある山全体が月隠山の裾野であることから神聖な場所とされ、子どもが遊ぶ場所では無い、無闇に入ってはならないと周囲から言われていたことに理由がある。

 

 だが、今はそんな注意も頭からすっぽ抜けている。彼らの目的は秘密基地を作ること。目的さえ決まれば後は一直線。山は神聖な場所? 無闇に入ってはならない? そんなこと知ったこっちゃねーよ。むしろ人が来ないからバレないってことじゃんね。ラッキー。それが大人たちが定めた規則とは無縁の、子どもたちの本音であった。

 

 ──竜養寮の裏手にある山に入るには、竜養寮からは少し移動する必要がある。

 

 田んぼ道を抜け、山と平地の際を辿って少し、農業用水路に掛かった橋の向こう。そこには恐らくは林道──誰が使っているのかも分からない細い道があり、そこを更に辿ってゆく事で裏山に入る事が出来た。

 

「来たこと無かったけど案外普通だな」

「大人たちが神聖だ、神聖だって言うわりには何処にでもありそうな森なんだよな」

「でも、何が神聖なんだ?」

「さぁ?」

「……実は大人たちが隠したい何かがあるとか?!」

「そんなのこんな所にある訳ないだろ」

 

 諸々の道具を突っ込んで来た為、重くなったリュックを背負い歩く。自転車に乗ってきていたが、砂利と土の道で漕ぐのが大変だった為に、皆降りて自転車を押していた。ただ、荷物も何もない晃などは拾った木の枝をブンブン振り回しながら歩いていた。

 

 木々のアーチになった山道を歩きながらも四人の会話は弾む。どのような基地にしたいか、何を置くか、どれくらいの規模にするか。金をかけないで如何にして満足のゆく物が作れるか。それは秘密基地を作るという目的があるからこそであり、意見を出し合っている内に自然と口数は多くなる。

 

「なぁ、こんなとこに来てどうすんだよ? 俺、また川に行きたかった。これ終わったらザリガニ釣り行こうよ、タツ兄ちゃん」

「アッちゃん、基地作りも楽しいと思うよ」

「えー」

「アッちゃんは、どんな秘密基地がいい?」

「別にどうでもいい……」

 

 しかし一方で、秘密基地作りの何が楽しいかが分からない晃は四人の会話に入ってゆくことが出来ず、少しムクれてつまらなそうにしていたのだった。

 

 ──道を抜けた先には周囲が木に囲まれた雑草だらけだが広めの平場があった。

 

 その平場には石で組まれた土留めがあり、廃屋と称する事の出来る程に潰れ朽ち果てた日本家屋がある。現在こそ人の姿は影も形もないが、この辺りには昔、人が住んでいたと思われた。

 

 よくよく周囲を探索してみると人の手が加えられた形跡が伺え、土と落ち葉で埋もれているが水路のようなものもある。水は通っていないので水源の方か、途中のどこかで詰まっていると思われた。

 

「ここらへんが良さげじゃない? 家屋があって、近くに水路っぽいのがあるって事は誰かが昔いたってことなんだよね?」

「多分。だけど、水は来てないみたいだ。後で水路辿って見に行ってみようぜ。沢があるのかも」

「そうだな」

「良かったな、アッちゃん。もしかしたら魚捕りもできるかもしれないって」

「……」

 

 そうは言われても晃のしたい事とは違う。それはそれ受け入れてしまえば楽しいのかもしれないが、意固地になった晃は何も言わずに嫌そうな顔をして返した。それに近くに朽ちている廃屋があるというのも、背中がゾワゾワして気味が悪く感じられた。

 

「……あの家、何かヤダ」

「おいおい、ビビってんのか?」

「は、はぁ!? 誰がビビるかよ!」

「まぁまぁ、確かに気にはなるよな。後で少し探索してみる?」

「えぇ?」

「おぉ、それいいな! 何か使えそうな物があるかも!」

「確かに。腐ってない、まだ使えそうな木材とかもあればいいんだけど」

「……なぁ、タツ兄ちゃん。帰ろうよー」

「大丈夫だよ。ここにオバケはいないから。ほら、アッちゃんもこっち来なよ」

 

 晃が警戒するように廃屋の方を眉根を寄せて睨み、辰巳のTシャツの裾をギュッと掴んだのだった。

 

 

 ──それから四人は平場の端にあった一際大きな木の下にいそいそと陣取り始めた。

 

 その木は幹が辰巳たち五人で手を繋ぎあったよりも太く、樹高も二階建ての屋根を優に超える、それこそ御神木になっていても不思議ではない立派な木だ。

 

 大木の下は生い茂る枝葉が影となり、夏の日差しを遮る。日中でも涼しさを感じることが出来た。そんな場所を見つけてしまえば、子ども達が集まろうとするのは必然だったのかもしれない。

 

「デケー……こんな木、初めて見た」

「確かに凄い太いな。どれくらい古いんだろ」

「こんなところに立派な木があるなんて知らなかったよ」

 

 グルグルと木の周りを見てみると、地際の根が露出して洞になっている場所がある。そこには小さな朽ちかけた祠があった。

 

 無視してしまえばそれまでだったのだろう。だが、辰巳の目には何故かそれが不思議と気になって目が離せなかった。まるで、何かを訴えかけて来るような心地すらする。

 

「……なぁ、この辺に拠点作る前に、先にこの祠直さないか。ほら、少しだけ場所を貸してくださいってさ」

「それはいいけど、どうやって直すんだよ?」

「うーん……どうしようか? ボロボロだし、新しく作った方がいいのかな」

「俺らに作れるか?」

「いや、無理だろ。下手な物作るより、これ以上雨風が当たらないように屋根でもかけたらどうだ?」

「それでも雨避け作るには材料が必要になるんだよな」

 

 その祠は朽ちてこそいるが、それでもまだ形を留めている方であった。

 

 しかし、年月による劣化と風雨によって傷みが激しく、不用意に触れば崩れてしまいそうな程の状態である事は確か。そんな状態でもなお形を保っているのだから、職人というものは凄いものだ。四人は祠の前に集まりウンウンと悩み、頭を捻らせるのだった。

 

 □

 

「──ちぇっ、何だよ。こんなの何が面白いのかわかんねーよ」

 

 ぶつくされる晃。四人の話題は基地作りから祠の保護に。しかし、晃にはその価値も意味も分からない。お気に入りの兄も、施設の兄たちも構ってくれないが為に、只々つまらなかった。こんな場所にいたくない。帰りたいと言っても聞いて貰えないのだから。

 

 不貞腐れた晃は、足元に転がっていた石を力一杯蹴り飛ばした。その石は放物線を描きながら、向こうの藪の中に消えてゆく。すると、突然、ぎゃん! と驚くような鳴き声が聞こえ、ガサガサと音を荒げて逃げてゆく何かの気配を感じた。

 

 ──石が藪の中に消えてしばらく。晃はその音に驚いたように硬直していた。すると、そのすぐ近くからまたガサリと、草の揺れる音がする。

 

 その音は晃の耳にも届き、音の正体を探ろうとソロソロと気配を殺しながら近づき辺りを注意深く見渡す。すると、茂みが小さく揺れており、その草葉の隙間から白い影が見えたような気がした。

 

 ジッとその様子を伺う。見えたのは猫くらいの大きさの白い何か。ピクピクと長い耳を動かしているのが見える。

 

「兎だ……」

 

 そう。それは兎だった。白い毛並みに赤い目を持つ個体である。晃の小学校には動物小屋があり、そこには学校で飼育している茶と灰の兎がいたので、それが兎である事はすぐに分かった。ただ、その白兎は学校の成体のものと比較しても若干小さいようで、もしかしたらまだ子どもなのかもしれなかった。

 

 そして、その兎は晃の存在に気づいているのかいないのか、初めの内は茂みの中に身を潜めて姿を隠そうとしていたが、突如としてピョコピョコと動き出す。

 

「あっ、まてっ」

 

 息を殺して様子を伺っていた晃がハッとして白兎の姿を追いかけ始める。辺りは木々が生い茂り、下草もある為、視界は良くない。必然的にガサガサと大きな音を立てて後を追うことになった。

 

「いてて……」

 

 血こそ出ていないものの、固い葉や枝が晃の肌をチクチクと傷つけて痛みを発する。晃は半袖、短パンという格好であり、山を歩くには到底合っていない装い。それでも追うことを諦めることはなかった。

 

 小さく脚の早い兎を追うには晃は明らかに不利ではあった。しかし、白兎は晃を挑発するかのように、または追いかけてくるのを待っているかのように時に立ち止まり、長い耳を毛繕いする仕草すら見せている。

 

 晃もつられるように、どんどんと藪の中へ踏み入ってゆく。すると、茂みに紛れて子どもであれば一人がなんとか通れる程の道がある所に抜けた。ただそれは人が通った跡のようなものでは無く、周囲の藪が踏み倒されたり掻き分けられた形跡のある獣道だ。

 

「くそ、アイツ俺の事、絶対バカにしてやがる!」

 

 白兎の走っては止まり、走っては止まりという行動に、バカにされていると感じたのだろう、晃は怒った。そして、足場が多少なりとも良くなったせいで、追いかける速度も上がる。その分だけ白兎と晃の距離は段々近づいてゆく筈なのだが、それでも白兎には呑気に尻尾を振りながら、時に飛び跳ねる余裕さえあった。

 

 白兎を追いかけることで頭がいっぱいになり、晃は元いた場所から大分離れてしまっている。既にどんな道を通って現在地まで来たのかは覚えてはいないだろう。だが、その重大な事実にも気が付かずに追いかけることをやめられない。目に映るのは白い物体のみ。追うことに夢中で、絶対に捕まえてやるという考えに拘泥してしまっていたのだった。

 

 そして──獣道の先に光が見え、木々の傘と藪を抜けたその先には太陽の日の射す空間があったようで……立派な瓦屋根の乗った大きな門──四脚門が晃の目の前に急に現れた。

 

「うっ……」

 

 それを見た瞬間にキーンと酷い耳鳴りがした。急に頭が痛くなり、目を瞑り額を押さえる。不思議な程の静寂の中にいる筈なのに、耳の中で高い音が継続的に鳴っている気がした。

 

 ゆっくりと目を開き、細めた視線を前に向ける。件の白兎はというと、門の内側に入り、一度だけ背後にいる晃の事を振り返ると、そのまま門の奥にある屋敷の中へと消えてゆく。

 

 そこでようやく晃は我に返った。

 

「……あ、あれ……ここ……何処……?」

 

 周囲をキョロキョロと見渡しても見知った景色など何処にもない。それに目の前に屋敷が突然現れたように感じられて、何故だか分からないが怖くなった。それは徐々に心の底から不安が迫り上がり、心情を染め上げてゆくようであった。

 

「たっ……タツ兄ちゃーん!! 官九郎ー! 秀平ー! 恵多くーん!」

 

 堪らずに晃が今日一緒に遊びに来た、信頼する人たちの名前を叫んだ。しかし、晃の呼び掛けに対する返答はない。静寂の中、ヤバい、どうしよう、と息を呑んだ。

 

 目の前には山の中にポツンとある大きな屋敷。辺りを見渡しても、正門と思われるその近辺には麓と行き来する為の道など見当たらなく、ただ広い空き地に突如として屋敷だけが現れたような違和感があった。

 

 その屋敷の立派な門についても、造りは古いが風雨に曝された劣化などはまるで見受けられない。それこそまるで、時間から切り離されているような──

 

 チラリと覗き、目を引いた門の先の光景。そこの奥には大きな屋敷の玄関──踏石に式台、一段上がった畳の間が見え……流石にその奥は晃の位置からは見えなかったが。ただ、そこに至るまでも石畳が敷いてあり、まだ小学三年生でしかない晃にとっては、まるで見たことの無い様式の異質な玄関に思えた。しかし一方で、それはどこと無く竜養寮にある寺の本堂への入口にも似ているような気がした。

 

「ど、どうしよう……タツ兄ちゃん……」

 

 流石に心細くなり声が震える。晃が考えついた選択肢は幾つかあった。目の前の屋敷に足を踏み入れ道に迷ってしまったことを伝えて助けて貰うか、元来た道を引き返して勘を頼りに進み皆の元に辿り着ける事を祈るか……もしくは門を潜る事なく屋敷の前で力の限り叫び助けが来るのを待つか。

 

 しかして、小学三年生の晃と言えど、覚えてもいない獣道と藪の中を進む判断は危険に思え、かといって屋敷の門の前で情けなく辰巳や兄たちの名前を呼び続けて泣き喚くのは幼心にも羞恥心を煽られることだった。

 

 それでもしも助かったとしても、泣き喚いている時に見つけてくれたのが辰巳であったとしたら、晃は恥ずかしくて二度と顔を合わせられなくなると思うくらいには嫌だった。

 

「い、いやだ……! タツ兄ちゃんに情けない泣き顔なんて絶対見られたくない……!」

 

 故に、晃が取った選択肢は初めの一。目の前の屋敷にいるであろう住人に助けを求め、辰巳たちがいなくなった晃を探しに来てくれるか、竜養寮に電話で連絡して貰い大人たちが来るまで待たせて欲しいとお願いすること。

 

 門の先でメソメソ泣いていても何も解決する事は無いのだから。晃は意を決して門を潜り玄関口まで行くことにした。

 

 瓦屋根の立派な四脚門を恐る恐る潜り、敷地に入る。屋敷の玄関口まで続く石畳は意外と長く、それまでには路端に植えられた苔生した松や青々とした竹、完熟した実を付けた梅の木が植えられていた。晃が梅の木の隣を通った時にはフワリと良い香りがしたのだった。

 

「すいませーん!」

 

 声を張り上げ、屋敷の中に誰かいませんかと問いかける。しかし、晃が何度力の限り声を張り上げようが、それ以上に叫ぼうが、誰かが晃の目の前に現れる事は無い。

 

「誰もいない……? うぅ……どうしたらいいんだよ……」

 

 晃が靴を脱いで式台の上で右往左往していると、一段上がった場所の畳の間、更にその奥に続く板張りの廊下の真ん中で、白兎が香箱座りで晃を見つめていた。

 

「あっ、アイツ……!」

 

 晃はムッとした。そもそもあの兎が俺の前に現れなかったら、こんな事にはなっていなかったのにと。そして観察してふと気づく、あの白兎はこの屋敷に妙に慣れているように見えることを。

 

 そして、その白兎も晃をジッと見つめたまま逃げる素振りも見せることはない。もしかしたら、ここで飼われているのだろうか、と晃は思った。

 

「……ごめんなさい!! お邪魔しますー!! 入りますよー!! 電話貸してくださーい!!」

 

 不法侵入になるが仕方がない。あれだけ呼び掛けたのだ、もし誰か人と遭遇したら呼び掛けても返事がなく、中で家主が倒れているのかと思ったとでも言おうと晃は悪知恵を働かせた。

 

 ──耳を澄ます。屋敷の中はシンと静まりかえっており、人のいる気配はやはりしない。晃は玄関で靴を揃えると式台から登り、入口にある畳の間に入った。畳の間には屏風が飾られており、その絵を見てみると春夏秋冬の季節ごとの山々の様子が精緻に描かれているようだった。

 

「えっ? えっ? 絵が動いた?」

 

 魅入られるようにジッと絵を見ていると、絵の中の鳥が動き出し、飛び去ったように見えた。驚いてゴシゴシと目を擦ってもう一度絵を見ると、絵の中の鳥は元の位置に戻っていて、その後動き出すことは無かった。

 

 そろそろと辺りを警戒しながら進む。白兎にも注意を払いながら畳の間を抜け、そこから続く板張りの廊下を進む。白兎は今度は逃げることなく晃が来るのを待っているかのようであり、晃が目の前に来ると鼻をフスフスとヒクつかせていた。

 

「……全く、お前のせいで俺は皆と逸れちゃったんだからな。ほんと、どうしてくれるんだよ……」

 

 そう白兎に拗ねたようにぶつくされる。少なくとも、遭難してしまったのは白兎のせいではなく、晃自身の失敗である。

 

 白兎はその言葉を聞いているのか、聞いていないのか……白兎は反転するとピョコピョコと跳ね、晃の行く先を道案内するかのように廊下を進んで行く。

 

 晃もそれについて行く。道中、廊下からは屋敷の庭園が見えた。庭園には広い池が作られており、その中央には大きな岩が幾つか。池の対岸には小高い丘となっている森。まるで、森までもが庭の一部の風景になっているようであった。……とはいえ、小学生である晃には何かスゴイでかい池があるなー金持ちが住んでるのかな? という感想くらいしか湧かなかったのだが。

 

 ──それからもピョコピョコと進み、白兎はとある襖戸の前で立ち止まるとカリカリと戸の縁を引っ掻いた。

 

「開けろってことかよ?」

 

 白兎に誘われるがままに、障子戸を少し開ける。隙間から覗いた中はやはり畳の敷かれた部屋であったが、人の気配は感じられない。

 

 スーッと、障子戸を静かに開けると始めに白兎が中に入ってゆき、部屋の中央に置かれた大きな座卓の一辺──並ぶように敷かれた二枚の座布団の内、片方の上に乗ると再び香箱座りで丸まる。そのフニャッと潰れた姿をみて、まるで餅みたいだと晃は思った。

 

「俺も入っていいの……? お邪魔しますー……」

 

 部屋の中に足を踏み入れ落ち着きなくキョロキョロと周囲を見回す。その部屋は広く、床の間にはよく分からない文字が書かれた掛け軸が掛けられ、野花が活けられている。また、壁際には大きくはないが重厚な和箪笥が置かれ、存在感を示していた。隣の部屋と繋がっているらしく襖戸で仕切られているのが特徴的で、その他にテレビや電話といったものは一切見受けられなかった。

 

 座卓は数人囲んで掛けられそうな大きな物で、赤白橙黄の花々と手毬の細やかな文様が刺繍された織物がその上に掛け布として敷かれている。

 

 ──ふと、気づく。座る者のいない、もう一方の座布団の前には赤い実や橙色の実、黄色い実、黒い実の入った木皿が置かれている。

 

「これって、何の果物だろ? 丸いのはサクランボって奴なのかな……」

 

 晃はふらふらと白兎のいる座布団まで行き、ストン、と座り込む。そして、その座卓の上にあった木皿の中身を興味深げに覗き込んだ。

 

 赤い実の正体はサクランボでは無くユスラウメ。サクランボに似てはいるが保存がきかない為、市場に出回ることはあまりないものだ。

 

 他にも枇杷、木苺、桑の実など山で取れる果実が沢山、木皿に盛られている。その見た目はまるで宝石のように煌めいていた。晃にとっては存在を知ってはいても、どれも食べたことのない未知の果実である。

 

 美味しそうだな、と思うと同時にグゥと一度お腹がなった。

 

「……い、一個だけ……いいかな……」

 

 香箱座りで丸くなっていた白兎は、そんな晃の様子を観察して、まるで食べてよしと言っているかのように目を細めて鼻をフスッと鳴らす。

 

 ユスラウメを一粒摘み上げると恐る恐る口へ運ぶ。口に入り、舌の上に乗りプチッと皮が弾けた。

 

「ん〜っ……!」

 

 瞬間、さっぱりした甘みと爽やかな酸味が口の中に広がり、思わず晃は声を漏らす。初めて食べるユスラウメは晃に得も言われぬ感動を与えた。

 

「も、もう一個だけ……!」

 

 そこからはもう止まらなかった。次に手を伸ばした橙色の実は完熟しているのか柔らかく、強い甘みに、良い香りが口いっぱいに広がり、その美味しさに目を見開いた。

 

 黄色いつぶつぶした実は驚くほど甘味が強く、仄かな酸味がありジューシー。口に入れて実が弾けると口いっぱいに甘味が広がり自然と笑みが溢れた。ずっと味わっていたい甘さで、手が止まらなくなる。とても好みの味だ。

 

 黒い実は……見た目を奇妙に思ったのか一個手に取ってみたが、そのまま皿の中に戻した。

 

 夢中になってパクパク、パクパクと食べすすめる。三つ四つ五つと……続けて食べている内に木皿にあった果実はどんどん減り、とうとう黒い実を残して全て晃の胃の中に収まってしまった。

 

「あっ……全部、食べちゃった……」

 

 ハッとして木皿の中身を覗くと、顔色を悪くした。見知らぬ家に上がって、しかも勝手に食物を食い散らかす。明らかに大人にバレたら怒られる事案だった。

 

「こ、この家の人探して謝らなきゃ……」

 

 そう思い、立ち上がろうとした時である。晃の視界がブレた。突如として目眩に襲われ、気がつけば晃は畳敷きの床に倒れ込んでいた。

 

「は……はれ……?」

 

 目の前がグワングワンと動いているように錯覚し、上手く身体に力が入らない。段々と呂律も怪しくなってきていた。白兎が驚いたように晃の顔に鼻を近づけてフスフスしている。

 

 グルグル、グルグル……世界の中で自身の体が回転しているような感覚。そして、視界に靄がかかるようにホワイトアウトしてゆき、意識が落ちてゆこうとしていた。

 

「兄……ちゃ……」

 

 そんな晃の様子を心配しているのか、白兎がペロペロと頬を舐める感触だけが妙に残っていた。

 

 

 ──カランカラン……カラカラカラン……

 

 先程までは聞こえなかった筈の、どこか懐かしさを思い起こさせる木琴のような、木炭を叩くような音が聴こえた気がした。その涼しげな音に誘われるようにして、晃の意識はそこで途絶えた。

 

 □

 

 微睡む意識。揺蕩うように、意識と覚醒の狭間を行き来する。闇の中で胎動し、光と共に覚醒する。

 

『────────』

 

 ふと、音が響いていることに気づく。優しげな声。穏やかで、愛情深く、温かな慈しみを感じる。それは子守唄なのだろう。その唄をきっかけにして、ゆっくりと意識を浮上させていった。

 

 ザザー……チャポン……ザザザー……バシャン。

 

 ──それは古い記憶の果て。無意識の奥底に眠る経験。遠く耳に聞こえてくるのは、行ったこともない、テレビの中の映像でしか知りえない海の音。

 

 鼻で感じるのは嗅いだことのない微かな海の匂い。そして病院や小学校の保健室にも似た匂い。目を薄っすらと開ける。視力が弱く、光にも慣れていないのか眩しくて目を眇めた。周囲はボヤケて見え、どのようになっているのかは未だ判然としない。ただ直接光がかからないよう、影となってくれている存在がいることだけは何となく分かっていた。

 

 ──明晰夢。意識はあるが、体の自由はない。不思議な夢の中の世界みたいだと、晃は何となくそう思った。

 

 目が徐々に光に慣れると周囲の様子がボンヤリとだが分かるようになる。

 

 瞼をパチパチと瞬く。目の前では晃の記憶にはない女性がいて、自身を見下ろしていた。どうやらその夢の中では晃は赤子となり、女性に抱かれているらしかった。

 

 ゆらり、ゆらり。女性のあやす動きは波のように揺らめき、見知らぬ女性に抱かれているというのに不思議と安心感が湧いてくる。見知らぬ女性は誰なのだろう。もしかしたら母なのかもしれない。ふと、晃はそんな事を考えた。

 

『ふぇっ……ふえっ──────』

 

 訳も分からぬ内に自らの口から漏れる、甲高い赤子の鳴き声。空腹か、オムツか、はたまた何か他に原因があって機嫌が宜しくないことを示しているのか。我慢することは出来ず、勝手に溢れる。そんな様子を見てか、女性は今度はお尻をポンポンと優しく叩きながらあやし始めた。

 

 ──カランカラン……カラカラカラン……

 

 女性が晃の注意を引くように、何かを頭上に掲げる。その手には奇妙な矢印のような入れ墨がある。そうして女性が手に持ったそれを揺らして見せた。

 

 聞こえる不思議な音色。意識が逸れてピタリと泣き止む。気になって目を眇めて見るがそれの正体はやはりハッキリとしなかった。ただ、それは白っぽく、細長い何か。それらを何本も吊るしたようなものが、風に揺れるとカラカラと小気味良い音をたてていた。

 

 穏やかな空気と心地良い安心感に包まれていた。

 

 自分の母や父がどのような人だったか、これまで気にならなかった訳では無い。学校のクラスメートの大抵には親が二人いるのだから。でも、何故自分には親がいないのかハッキリと身の回りの大人達に聞いたことも無かった。

 

 それは周囲の兄姉、弟妹にも同じように親がいなかったから。聞けば周囲を困らせる。子ども心に、そんな事は分かりきっていたから。

 

 ただ漠然と、晃は自分が捨てられたから竜養寮にいるのだと思っていた。だから、おそらくは母の夢を見て、晃は自身を捨てたことへ怒るでも、悲しむでもなく、ただただ嬉しく思った。自分にも母がいたんだと。自分が何者であるかの一端を知れたから。

 

 ──ゆらり、ゆらゆら

 ──カラン、カラカラカラン……

 

『かなさんどー、あーきー。なんくるなくても……』

 

 そっと目を閉じる。心地良い空気、その声を聞いて心が温かくなった気がした。でも──

 

 

「……かなさんどって、何?」

 

 動かなかった口が動き、聞き慣れた声が発声された。それに驚いてハッと目を開ける。

 

「お? アッちゃん、目、覚めた?」

「タツ、兄ちゃん……?」

 

 目を開き、気がつけば晃は辰巳の背中に負ぶさっていた。

 

「あれ……? 俺……」

「アッちゃん、山の中で一人で歩いたら駄目だよ。俺も皆も、アッちゃんがいなくなって、すげー心配したんだからさ」

「ご、こめんなさい……」

 

 晃が最後にいた場所の記憶を思い出そうとしていると、辰巳が背中の晃に向けて注意した。本来なら激怒して然る所だが、辰巳は昔から探し物と道案内が()()だった。

 

 超直感とでも言うのか、見知らぬ土地でも道に迷った事はないし、目的地や探し物は何となくどこにあるかが分かり、見つからなかったことなど無いという異能じみた特技を持っている。故に、注意した側の辰巳にも少し危機感の足りない部分があった。

 

 晃が謝罪の言葉を小さく呟くと辰巳はそれ以上何も言う事はなく、前を向いて再び歩き出す。

 

「……ねぇ、タツ兄ちゃん。かなさんどって知ってる?」

「えぇ? 何それ。何かの食べ物?」

「俺もわかんない……」

「?」

 

 問われた辰巳が逆に不思議そうな顔をした。聞いたことのない言葉であったし、サンドというくらいなので、食べ物か何かのことだと思ったのだった。

 

「それよりアッちゃん、あんな所で何してたの? 空でも眺めてた?」

「あんな所?」

「広い原っぱの真ん中でぐっすり寝てたからさ。最初、暑くて倒れたのかと思って焦ったよ……」

「えぇ? 俺そんなとこに行ってない……」

 

 歩きながら尋ねた。辰巳が晃を見つけた場所は道無き森を抜けた先にあった、草丈の低い原っぱ。まるで木々の侵入を拒んでいるかのように急に現れた野原。

 

 そこで辰巳が晃を発見し、ぐっすり眠りこけているのを見つけて連れ帰った。

 

 しかし、聞けば晃はそんな所には行った記憶が無いという。ならどうしていたのかと聞いてみる。

 

「そうだ! タツ兄ちゃん、聞いてくれよ。藪の中に白い兎がいてさ、そいつを追いかけて行ったら、すっごい大きな屋敷があったんだ」

「屋敷?」

「うん。それで俺、一人になったのに気づいて怖くなって……屋敷の人に助けて貰おうと思って大声で玄関から呼んだんだけど誰も出て来なくて」

「うん」

「でも、このまま一人だとヤバいって思ったから電話借りたくて中に入ったんだ。そこにさっきの白い兎もいたし、屋敷に慣れてるみたいだったから多分人も居るはずだって……」

「んー」

「すごく古くて、中も広くてさ。兎についていって屋敷の中を歩いてたら、そいつ戸を引っ掻いて開けろって仕草したんだ」

 

 そうして晃が白い兎の後について行った先には誰を招く為の物だったのか、座布団の敷かれた部屋があった。そこの部屋に置かれていた美味しそうな果実を見て、誘惑に耐えられなくなりつい食べてしまったと。流石に悪いことをしてしまったと感じ、家の人を探して果実を食べてしまったことを謝ろうと思ったのだが……そこから記憶がないのだという。

 

 話を聞いて、しかし、と辰巳が首を捻った。晃の言うような屋敷を辰巳は道中にも見た覚えはない。辰巳が晃を見つけた野原にも屋敷とは呼べるものは当然存在していなかった。かといって晃の様子は嘘を言っているようにも見えず、晃自身嘘を付くような子ではないことも辰巳は知っていた。

 

「そうか、果実なぁ」

「タツ兄ちゃんは兎見なかった?」

「いなかったと思うけどなー。俺が近づいて逃げたのはあり得るかもね」

 

 辰巳が晃の言うような白兎は見ていないと言うと、晃は残念そうに肩を落とす。

 

「まぁ、アッちゃんが無事で良かったよ」

 

 ──不思議な事もあるものだと思う。とはいえ、辰巳は大袈裟に驚くことはない。それは身の回りには不思議な事が意外と存在していることにだいぶ前から気がついていたから。

 

 例えば、自分の直感も、たまに感じる違和感、時折遭遇する妙な既視感も。辰巳が母にそう話すと、母はそういった事象を信じてはおらず、気のせいだと否定していたが……そういう理由の説明出来ない不思議があってもいいんじゃないかと辰巳は思っていたから。

 

 それに、晃が目撃したという兎についてもそうだ。そもそも今の季節は夏。夏の山で()()()など果たして存在するのだろうか? 野うさぎは春夏は毛皮が茶色で、雪深い地では保護色の為に白く生え変わる。もし仮にアルビノが野生化しているのだとしたら筋は通るが……厳しい自然環境では白く目立つアルビノが長生き出来るとは思えない。

 

 だから、晃の遭遇した夏の山の白兎という不思議も、あり得ないと否定するのでは無く、きっと存在するのだろうと肯定した。だって、その方が面白いからと。

 

「ふあぁ〜……あいつ餅みたいに柔かそうでさ……タツ兄ちゃんにも見せたかったな……」

 

 晃が辰巳の背で欠伸をした。時節は夏ではあるが、森の中は涼し気な風が吹いていた。感じるのは辰巳から伝わる体温。その温かさにホッとした。

 

「眠いの?」

「うん……」

 

 疲れていたのもあるだろう。それに辰巳に迎えに来て貰えたことで、もう大丈夫だと安心したことも大きい。辰巳の歩みに身体が揺すられる毎に、次第に晃の瞼は重くなっていった。完全に信頼しているように辰巳に身体を預け、肩口に頬を置く。そうこうしている内に辰巳の背中から寝息が聞こえてくる。

 

「──おーい! アッちゃーん! どこだー!?」

「返事しろー!」

「辰巳?! 見つかったか!?」

 

 そのまま晃を背負ったまま歩いてゆくと、声が聞こえて来る。その声の主は官九郎、秀平、恵多の三人のもの。三人はあまり離れる事なく、広場周辺を主に探していたようだった。

 

「見つかったよ」

「助かったぜ、辰巳……流石、失せ物探しはお手の物だな……」

「辰巳がいて本当に良かった……見つけて来てくれて、ありがとな」

「まじで焦ったー……もし見つからなかったら大人呼ぶ羽目になってた」

 

 そうホッとしつつも、盛大な溜め息をついた。それから晃が静かなことに気が付き、皆で辰巳の背中にいる晃に目をやる。

 

「コイツ……寝てやがる」

「コイツはどん」

 

 官九郎と秀平が眉を釣り上げて、怒りの表情を作った。これだけ心配をかけておいて、当の本人は呑気にも安らかな表情で寝入っていたのだから。

 

「まぁまぁ、疲れてるみたいだし。起こさないで寝かせといてあげよう。怒るのは後にしてさ。続きやろうぜ」

「はー……まぁ、いいか。後でしっかりとっちめておくからよ」

 

 そう言って、リュックから取り出したブルーシートを地面に敷いて晃を寝かせると、四人は再び祠の雨避け作りに没頭することにしたのだった。

 

 

 一陣の風が吹き、青々と茂る葉が擦れ合いサワサワという音を木霊させる。

 

 ──カラン……コロン……カラカラカラ……

 

 心地良い風が晃の頬を撫でる。そのざわめきの中に、涼し気な音が混じっていた気がした。




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