ウルトラワールド:Scramble Engage   作:おろさん

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イリヤ「大量のクロスタルリングがクレイジークロックに強奪されている中で、未だ戦いを続ける指輪の戦士『パラレルファイター』。



冬木にやって来たダウナーな子『アルテ・クリープ』。その正体は天才芸術家であり、指輪の戦士『仮面ライダーガッチャード』だった!インスピレーションを求めて私達と戦って……次会った時が何か怖いなぁ。



そしてそんな中、また新たに現れた戦士……それも『守護者』!?しかも私と同い年くらいで……一体誰なの……?」







第4話:祭る出逢い、物言わぬ少女は何モンじゃ?
祭る出逢い、物言わぬ少女は何モンじゃ? 01


 

 

「クロスタルリング……回収完了。」

 

 ケンチク世怪を撃破した黒髪の少女は淡々と呟き、足元に転がっていたクロスタルリングを拾い上げる。

 

 突如現れた新たな守護者。蓮子、メリー、イリヤ、そして凛の四人は、その一連の光景を前に、ただ立ち尽くしていた。

 

「おーっほっほっほっほっほ!!」

 

 その沈黙を破ったのは、場違いなまでに高い笑い声だった。

 

「こ、この高笑いは……!!」

 

 聞き覚えのある凛が、即座に反射的に振り向く。そこに立っていたのは、金髪縦ロールが目を引く、いかにも貴族然とした少女。その背後には、長い紫髪を持つ、穏やかな雰囲気の少女が控えていた。

 

「倒したと思い込み、確認を怠った結果、敵に隙を見せる……なりたてとはいえ、少々甘くはなくってよ?」

 

「る……ルヴィアに、桜!? な、なんでアンタ達が……」

 

「貴方ともあろうものが、もう忘れてしまったのかしら、遠坂凛?(わたくし)達が日本へ来日したと、二週間前に話していたでしょう」

 

「そうですよ姉さん。……まあ、その様子だと色々あったのは分かりますけど」

 

 金髪縦ロールの少女は、フィンランド魔術の名門『エーデルフェルト家』の現当主『ルヴィアゼリッタ・エーデルフェルト』。

 

 そしてその隣に立つ紫髪の少女は、義妹である『(サクラ)・エーデルフェルト』。

 

 二人は、呆れ半分といった様子で凛を見ていた。

 

「この二人、知り合い?」

 

「……そうよ。うちの遠縁と、その遠縁に預けられてた、うちの妹」

 

「(片方妹なのね……でもあの二人、どこかで見覚えがあるような……)」

 

「……メリー?」

 

「美遊、ご苦労様」

 

 ルヴィアと桜は、黒髪の少女の元へ歩み寄る。『美遊』と呼ばれた少女は、コクリと頷きながら、無言で『Minecraft』のクロスタルリングを見つめていた。

 

「あ、ど、どうも……」

 

 そんな彼女に、イリヤはそっと近づく。だが美遊は黙ったまま、イリヤをじっと見つめていた。

 

「え、えっと……はじめまして……」

 

「……」

 

 返事はない。

 その視線に、イリヤは何を考えられているのか分からず、戸惑うばかりだった。

 

 そうしていると、展開されていたクロスタルプロテクターの結界が、ゆっくりと解除され始める。

 

「ん? あ、しまった……結界が解ける!もう!細かい話は後よ、後!!」

 

 凛は真っ先に気づき、校外学習中という立場もあって、慌ただしく美術館へと駆け戻っていった。

 

 やがて結界は完全に解除され、一同は結界外(元の世界)へ戻る。クレイジークロックに関する記憶も、無関係な人々からは自動的に消去されていった。

 

「……色々話すつもりでしたが、今はこの辺にしましょう。美遊、私達も行きますわよ」

 

 ルヴィアはそう告げ、立ち去ろうとする。

 

「私達も戻ろっか、メリー。そろそろ店長に勘づかれそうだし……」

 

「そうね。キラメイジャー指輪の力もそう長くもたないし……」

 

 蓮子とメリーも帰路につこうと、ライドシューターを顕現させようとした時。

 

「お待ちなさい」

 

「え?」

 

 二人の前に、ルヴィアが近寄ってきた。

 

「働き先に戻るのでしたら、良い方法がありますわ」

 

 そう言って差し出されたのは、扉の描かれた表紙のクロステラノベル。タイトルは『マタラ・ド・ラ・ゲート』。

 

「これって……クロステラノベル?」

 

「ええ。これを持っていれば、いつでもあなた達の働き先へ戻れますの。一度訪れた場所であればどこへでも移動可能。ただし、一冊につき記録できる場所は一つだけですが。」

 

「へぇ、数を揃えられれば結構便利そうね。」

 

「ええ……初対面なのに、ありがとうございます」

 

「礼には及びませんわ。おーっほっほっほ!!」

 

「……」

 

「あの……」

 

 一方イリヤは、依然として自分を見つめ続ける美遊に、どう声をかけるべきか迷っていた。

 

 だがやがて、美遊が静かに口を開く。

 

「あなたの戦う理由は……何?」

 

「……えっ?」

 

 その問いは、イリヤの胸に、静かに突き刺さった。

 

*****

 

 数々の技術によって形成されたと思しき場所。簡潔に言えば、クレイジークロックのアジトと呼べる空間。名を『クロックワーク・ネクサス』。

 

 その内部にある、『格納庫』とも『整備工場』とも取れる一角でのこと。

 

「戻ったぞ、兄者」

 

 中華風の装束に身を包んだ少女、コロモが静かに帰還を告げる。

 

 その姿を確認してドクター・エビテンは彼女の元へ歩み寄った。

 

「いいところに戻ってきたな。で、向こうでの件はどうだった?」

 

「ああ。手間はかかったが、狙い通り呼び寄せることは出来た。こちらの提案にも乗ってくれた以上、ある程度は協力してくれるだろう。」

 

「そうか。なら、色々と本格始動も近いか。こちらも事を急がねばならんからな……」

 

 報告を受け、エビテンの表情がわずかに緩む。

 

「……兄者。今の発言から察するが、まさか――」

 

「……ああ、そのまさかだ。新たな守護者がまた確認された。変身者はまた小学生だが……守護者の指輪に選ばれただけあって、発揮する力は相当なものだ」

 

「あの時、取り逃した分を含めると……これで一気に三人。以前から確認されていた者も合わせれば……」

 

「とうとう、守護者が全て揃った、ということになるな。もっとも、まだ全員が互いを認識しているわけじゃないが……まあ、こうなることは最初から分かっていた。だからこそ、様々な勢力との戦いを想定し、時間をかけて準備をし続けている。アレもその一環だな。」

 

 そう言って、エビテンの視線が向けられる。ウォークロック達によって整備されているそれは、古時計と目覚まし時計を混ぜ合わせたような装甲を纏った、巨大なロボット兵器だった。

 

「よく見ると……あれは、確か――」

 

「シスターが回収()ってきた『例のモノ』をエネルギー源にして動く、巨大戦力だ。瑠璃川ダイヤのおかげで、ようやく実戦投入の目処が立った。それに合わせて、上級ウォークロック達の中から、厳選に厳選を重ねたパイロットを選出している。それぞれに適した専用機体と武装も上手い事造り上げた。」

 

「……兄者。そう考えると、量産戦闘兵としては、ずいぶん待遇が良くないか?」

 

 コロモの疑問に、エビテンは肩をすくめる。

 

「そうとも言い切れんさ。ウォークロック達は元々、形を持てず、時空の隅に追いやられた思念だ。私が作った依代と結びつくことで、ようやく明確な意思を持ち、会話すら可能になる……そうした思念体は、長年放置された結果や、『なりたい自分になれない』というジレンマから来るもの。つまり『闇』や『負の感情』が濃いからこそ、『例のモノ』の力との相性が抜群なんだ」

 

「それで、武装も個々に見合ったものを?」

 

「ざっくり言えばな。元々の力にも個体差があるから、それを補う意味合いもある」

 

「それもそうか……」

 

 エビテンの説明に、コロモは納得した様子だった。

 

「さて……試作機であるコイツの実戦データ次第で、改善点を判断したいところだが。あの機体のテストパイロットは……」

 

「お呼びでしょうかぁっ!!」

 

 勢いよく声を上げて現れたのは、一体の上級ウォークロック。そんな彼はどうやら、現在整備中の巨大ロボットのパイロットらしい。

 

 因縁こじつけ熱血漢『ケットー・ダイダン』

 

「『ケットー・ダイダン』、只今参上いたしましたぁっ!!ドクター、ご用件は何でしょうかぁっ!!」

 

「あ、ああ。いいタイミングだ。お前に、アレで実戦に向かってもらいたいんだが……」

 

「おおっ!!それはつまり、憎き守護者に倒された我が宿命のライバル、インテリー・デデーンの敵討ちが出来る、ということですなぁ!?」

 

「せ、正確には、今回送り込む侵蝕世界人の護衛だが……まあ、順序的にはそうなるはずだ。間違ってはいない」

 

 あまりの勢いに若干引きつつ、エビテンは答える。

 

「……ところでお前。

 そのインテリー……確か、守護者に倒されたらしい個体と、そんな関係だったのか?」

 

 コロモが尋ねると、ケットーは胸を張って叫んだ。

 

「もちろんですとも!あの日、超特性限定弁当争奪戦で、俺を打ち破ったあの男!!!真の強敵と書いて“友”と呼ぶ存在!!決着はいずれつける定めだったというのに……それをぉっ!!」

 

「……は、はぁ……」

 

 怒っているのは分かるが、何やら妙な因縁が混ざっている熱弁に、コロモは半歩引く。

 

「とにかく、メンテナンスが終わり次第、出撃しろ。それまではイメージトレーニングでもしていろ」

 

「かしこまりましたぁっ!!」

 

 エビテンはそう告げ、ケットーを下がらせた。その後すぐ、コロモが口を開く。

 

「……そ、それで兄者。あいつが護衛する侵蝕世界人とは?」

 

「一言で言えば、実験体だ。ここ最近の頭がおかしくなってる連中を、上手い事利用できないかって話が出てただろう?それを利用したやつ。」

 

「ああ……なるほど」

 

「現状、ワイルドライザーで『侵蝕世界人に変身』できるのは、上級ウォークロックのほんの一部と、性癖が極端なあの女くらいだ。もしこれが成功すれば、十分に状況をかき乱せるんだ。行くぞ、コロモ。侵蝕世界人の巨大化も確立してないし……それに、そろそろ新しい武器もも完成させないといけないからな。」

 

「……分かった」

 

 コロモはそう答え、兄の後を追った。

 

*****

 

 数日後。

 アニメショップ『マルチバース』。

 

「おまえらー、ちょっとぺーすおそい!」

 

 蓮子とメリーは、今日もマルチバースでバイト中。 先輩であるフランから、作業ペースの遅さを指摘されていた。

 

「え……いつも通りだと思いますけど……」

 

「ふらんとのめはごまかせない。みっかくらいまえ、おまえら、とちゅうからにもつはこび、すごくはやかった!せっきゃくはかいめつてきだったけど……じかんたったら、いつもどおりのぺーすにもどった」

 

 美術館でのアルテ・クリープ案件の際、蓮子とメリーはキラメイジャー指輪の力で『代役ン』を召喚し、一時的にバイトを任せていた。

 

 しかし代役ンは、姿をコピーできるだけで、人間性や接客能力までは再現できない。そのため接客が壊滅的になり、作業効率だけが異様に上がるという、極めて不自然な状態になっていたのだ。

 

 結果、作業が異常に早いのに、接客がダメだったのが、時間が経つと全部元通りという不審なムーブは、当然店側に目を付けられていた。

 

 ――つまり、現在も絶賛疑われ中である。

 

「てんちょーはがんむししてたけどさすがにそうはいかないから。あ、でも、あのときのぺーすでさぎょうできて、せっきゃくもいつもどおりなら、ぼーなす、つけるっててんちょーいってた。だから、やれ」

 

 フランからジト目で無茶ぶりを受ける二人。

 

「い、言いたいことは分かりますけど……」

 

「むちゃぶりいってるのは、これでもじかくしてる。でもこれ、ぎょーむめーれー。せんぱいのいうことは、すなおにきくもの」

 

 見た目も口調も幼いが、ここでは確かに先輩。加えて、事実上サボり同然のことをしていた負い目もあり、二人は善処しますとだけ答えつつ、作業に戻る。

 

「あと。もしできなかったら、みっかまえの、せっきゃくひどかったぶん、きゅーりょー、へらすから。ななせんえんくらい、まいなす」

 

「……っ!?」

 

 その一言で、蓮子とメリーは冷や汗を流しながら、山積みの段ボールを必死に運び始めるのだった。

 

 

***

 

 

 数時間後、昼休憩の時間。

 

「つ か れ た……」

 

 まだ昼だというのに、椅子に座り込んだ蓮子とメリーは、机に突っ伏していた。

 

 午前中から急かされるような指示が続いたせいで、体力を根こそぎ持っていかれたのだ。

 

「仕方ないとはいえ……ツケが一気に回ってきた感がすごいわね……」

 

「指輪の力で仕事をどうにかしよう、って発想自体が失敗だったわ……」

 

 安易に力を私用に使えば、後で面倒事を引き起こす。そんな(そも前に凛に似たような事言われてたような)当たり前のことを、二人は身をもって思い知らされていた。

 

「そもそも、このバイト自体がセラさんとの約束でやってるものだし……よっぽどのことがない限り、仕事で指輪の力を使うのは控えた方がいいわよね」

 

「ただ、それだと侵蝕世怪人が出た時、イリヤちゃん達に任せっきりにもなるし……こういう時、何かうまいやり方はないものかねぇ……」

 

 起き上がり、出来上がったカップラーメンをすすりながら、二人はぼんやりと考え込む。気持ちも少し沈みがちだ。

 

「おつかれ。あいせきするよー」

 

 そう声をかけてきたのはフランだった。近くのスーパーで買ってきたらしいパック寿司を手にしている。

 

「じゅかいんは、こっち」

 

「ジュ」

 

 フランの後ろから、もう一名。木のような尻尾を持つ、黄緑色のトカゲのような存在が現れ、無言で席に着く。同じくスーパーで買ってきた惣菜パンを、黙々と食べ始めた。

 

「……毎回思うんですけど、なんでこの人、そのままの姿で食事してるんですか?」

 

 蓮子は、もはや慣れた口調で尋ねる。

 

 フランとO.R.店長曰く、彼はマスコット的立場の存在『ジュカイン』。

 

 着ぐるみではない、というか普通に何かの生き物なのは確かだが、とある理由から誰もあまり気にしないような存在らしい。

 

 ただ、「ジュ」「ジュカ」としか喋らない彼の姿はどこか既視感もある。

 

 バイト初日にこの姿を見た時、蓮子とメリーが本気で困惑したのも無理はない。

 

「まえもいったでしょ。とっぷしーくれっと」

 

 だが謎だらけの存在のことを、フランははぐらかす。

 

「まあちょっと言うなら、じゅかいんは、すごいぱわーをもってる。」

 

「ジュカ!」

 

 サビ抜きの寿司を食べながら言うフランと、それに合わせて何故かボディビルダーめいたポーズを取るジュカイン。

 

 その光景に、蓮子とメリーは思わず苦笑した。

 

 考えてみれば、フランも含めて、この店は妙な存在が多い。セラが胡散臭がるのも無理はない。

 

 それでも結局、従業員たちは皆いい人ばかりで、からかわれることはあっても、悪意を向けられたことはない。気づけば二人とも、この職場に自然と馴染んでいた。

 

「まあ、それはそれとして。さっきまで、おまえら、なんのはなししてた?」

 

「えっ」

 

 フランの問いに、二人は一瞬固まる。さっきまでの話を少し聞かれていたらしい。

 

「い、いやぁ……は、反省会、というか……」

 

「あやしい」

 

「ジュ……」

 

 慌ててごまかそうとした結果、逆にジト目で詰め寄られる形になる。

 

「じとー……」

 

「ジュカカ……」

 

「あ、あははは……」

 

 迫ってくる二人に、蓮子とメリーは苦笑いを浮かべる。

 

 しばらく沈黙が続いた後、フランが口を開いた。

 

「……なんちゃって。

 いまは、ふかおいしない。いまのところ、おたがいさま」

 

 そう言って昼食を平らげると、フランとジュカインは席を立った。

 

「……おたがい、さま?」

 

「やっぱり、色々と妙よね……あっ、麺、伸びてる」

 

「えっ、あっ……!」

 

 不可解な余韻を残されたまま、

 二人は慌てて汁を吸い切った麺をすすり始めるのだった。

 

 

 

 






=登場人物補足=
『桜・エーデルフェルト』
元ネタ:間桐桜(Fateシリーズ)
遠坂凛の妹である遠坂桜。
ある経緯(多少言うとFateの外典作品の1つの裏設定的な経緯で)間桐家ではなくエーデルフェルト家に預けられた。その結果ルヴィアが自分色に染め上げたようで、明るい性格で、実にスタイルの良いプロレスラーみたいな事になってる『桜・エーデルフェルト』へと化した。
本作では(おそらく)衛宮士郎(プリズマ☆イリヤ基準)とは関わっていない様子。


=クロスタルリングカセット=
『Minecraft』
イラスト:ブロックの建設物→スティーブ
固定絵:ブロックで建築した家とブタとクリーパー
獲得者:美遊
指輪能力:クリエイティブモードのように任意のブロックを生成する


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