ウルトラワールド:Scramble Engage   作:おろさん

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猫バカ女と青春キメラ 02

 

 

 

 時は現在へ戻り――それから一週間ほどが経過した頃だった。

 

「我々ハ保護ヲッ、シトージャアアアアアアアアアアアアア!!」

 

「向イ風ブッ壊サイイイイイイイイイイイイイイイイイイイ!!」

 

 深夜の冬木市、商店街エリア。

 クロスタルプロテクターによって展開された結界空間の中で、二体の侵蝕世怪人が咆哮を上げる。

 

「まさか侵蝕世怪人が二体同時に出てくるだけでも厄介なのに……よりにもよって、片方が飛行能力持ちとはねぇ……」

 

 守護者メモリア、プリズマ、サファイアたちは、それぞれ戦闘態勢を整えていた。

 

 虎のような外見をした人型――『ジュウケン世怪』。

 半身が黒、半身が緑の異形――『シップウキリフダ世怪』。

 

 ジュウケン世怪は地上を縦横無尽に駆け、圧倒的な速度で相手の体勢を崩しにくる。

 一方のシップウキリフダ世怪は、竜巻を発生させて自らを宙へ浮かせ、空からの急襲を得意としていた。

 

「ゲキギャギャギャギャギャ!!!」

 

「カアアアアアアアアツ!!!」

 

 ジュウケン世怪は走りながらヌンチャクを生成し、叩きつけるように振るう。

 同時に、シップウキリフダ世怪は上空から拳を振り下ろしてきた。

 

「そこっ――!」

 

「当タランナリイイイ!!!!!」

 

「隙ありっ!!」

 

「遅キーッヒッヒッヒ!!!」

 

 攻撃の隙を突こうとするものの、どちらも異様な反応速度でかわしてくる。

 このままでは埒が明かない――そんな空気が流れ始めていた。

 

「これ、ちょっとマズいんじゃないの!? 相手の動きが早すぎて、ほとんど一方的じゃない!?」

 

「飛行能力を持つ敵を先に仕留められれば勝ち筋は見える……となれば、こちらも飛行能力を持つ指輪を――」

 

「え、飛行? あ、そっか。」

 

 (桜と共に)ウォークロックを相手取っている凛とルヴィアの会話を聞き、プリズマはぽんと手を打った。

 

「飛んじゃえばよかったんだね」

 

 そう言った直後。

 彼女は別の戦士へ変身することもなく――普通に空へ飛んだ。

 

「え(・□・ )」

 

「( ◎皿◎)エ」

 

 侵蝕世怪人、ウォークロック、味方含め――プリズマ以外の全員が完全に固まった。

 

「ちょっ、ちょちょちょちょっと!! 何でいきなり飛べるようになってるのよ!!?」

 

「そ、そうですわ!! 明確に飛行能力を付与する指輪ならまだしも、飛行は強固なイメージが無ければ浮くことすら難しいはず――一体なぜですの!?」

 

 凛とルヴィアがほぼ同時に叫ぶと、プリズマは空中で首をかしげながら答えた。

 

「え、だって……魔法少女みたいな戦う戦士って、だいたい飛ぶし。それにこの姿、鳥っぽいし。よく考えたら――前のクロステラカイザーの時みたいに、飛べるかなーって……」

 

 あまりにも自然体な答えだった。

 

「な、なんて頼もしい思い込みっ……!!!」

 

 凛は思わず頭を抱える。

 

「飛べる……そう言えば、私の姿も猫と鳥っぽい見た目だから……」

 

 プリズマを見たメモリアが、半信半疑ながらも浮遊を試みる。

 

「そもそも、守護者が飛べないと断定した情報はありませんでしたね。」

 

「指輪そのものが規格外ですもの。想定の範囲と言えば範囲ですわ……となれば美遊! 貴方のその守護者の姿も蝶のようですし――」

 

 そう言ってルヴィアがサファイアへ視線を向けるが、

 

「……無理です。人は……飛べません。」

 

 あっさりと断言された。

 

「な、なんて夢の無い……って、今さら何を言い出すのですか美遊!! クロスタルリングの力で出鱈目なことが起きているのですから、案外――」

 

「あ、あれは……クロスタルリングの力を、そのまま使っているだけなので……」

 

「なぜそこを切り離しますの!? 守護者の指輪もクロスタルリングの一種ですわよ!!」

 

 ルヴィアが反論を重ねていると――

 

「イツマデ待タセルウウウウウウウウウウウウ!!!」

 

「妙ニグダルナアアアアアアアアアアアア!!!」

 

 完全に放置されていたジュウケン世怪とシップウキリフダ世怪が、痺れを切らして再突撃してきた。

 

「ルヴィアお姉様!! 話してる場合じゃありません、また来てます!!」

 

 桜が叫び、同時にウォークロック達を薙ぎ払う。

 

 その瞬間――

 

「飛べる飛べる……とにかく……私たちは飛べるうう!!

 ――飛んだあああ!? ちょっと待って、コントロール利かなああああああああああっ!!」

 

 飛行イメージを必死に組み立てていたメモリアが、突然空へ射出された。

 凄まじい速度と突風を伴い、一直線に――シップウキリフダ世怪の方向へ。

 

「エ、チョットマ――ゴジャッペ!!!?」

 

 制御不能のまま激突。

 そのまま上空へ打ち上げられ、放物線を描いて軌道を変える。

 

【『メモリア』CROSS FINISH!!!!】

 

「何コノ展開イイイイイイイイイイイイイイイイ!!!???」

 

 シップウキリフダ世怪は真っ二つに切断され、地面へ直撃。

 直後、爆散した。

 

「ウ、ウソデショ……コワ……早ク逃ゲヨ――」

 

「残念、隙だらけっ!!!」

 

 恐怖で逃走を図ったジュウケン世怪の頭上から、プリズマが急降下する。

 

【『プリズマ』BERSERKER IMPACT!!!!】

 

 プリズマアックスセイバーU・アックスモード。

 全力の一撃が脳天に叩き込まれ、地面へと叩き伏せた。

 

「人生デ最大ニ意味ガ分カランノオオオオオオオオオオオ!!!??」

 

 叫びと共に、ジュウケン世怪も爆散。

 変貌していた二人の男女が、それぞれ地面へと投げ出された。

 

「……倒しちゃった……」

 

 さっきまでの苦戦が嘘のような結末に、凛たちは言葉を失う。

 

「その気になれば、意外と何とかなっちゃったね」

 

 プリズマは苦笑しながら着地し、変身を解くと、ジュウケン世怪から抽出された

『獣拳戦隊ゲキレンジャー』のクロスタルリングを拾い上げた。

 

「蓮子さん、メリーさん、大丈夫?」

 

 イリヤが呼びかけると、地面にめり込んでいた二人が何とか起き上がる。

 

「一応……なんとかね……」

 

「クロスタルリングも、無事ゲット。」

 

 蓮子は『仮面ライダーW』の指輪を掲げて見せた。

 

「勝てたのは良いとして……後で特訓が必要ですわね。特に美遊、空を飛ぶ訓練は必須ですわ。」

 

「蓮子さんとメリーさんは制御面。イリヤちゃんも調整が必要ね。」

 

 凛とルヴィアは、既に次を見据えていた。

 

「それも良いのですが……少し、お話よろしいです?」

 

「話? 今度は何――?」

 

 クロスタルプロテクターの結界が解除された直後、背後から声がかかる。

 明らかに聞き覚えのない声だった。

 

「どもなのです」

 

 振り返った二人の前にいたのは――

 二本のアホ毛を持つ黄髪ショート、丸い黒縁眼鏡、水色がかった瞳。

 深緑のブレザーにメンズスラックス、スチームパンク風アクセと黒いマフラー。

 そして背中から脚元にかけて、ふよふよと揺れる黒い腕のようなものが六本。

 

 そんな外見の、男装気味の少女だった。

 

「……だ、誰!? いきなり何なのよ!?

 っていうかその黒い手もだけど、どこから出てきたの!?」

 

 凛とルヴィアが警戒すると、少女はあっさり答える。

 

「どこって、地中なのです」

 

 二人は揃って困惑した。

 

「あなた……何者? 今の出方的に、守護者?」

 

 変身を解いた美遊が尋ねると、少女は首を横に振る。

 

「ノンノン、不正解なのです。

 ボクは守護者でも、指輪の契約者でもないのです。

 ただ……関わりはありますけどね。あと、クレイジークロック側でもありません。本当に。」

 

 怪しさは増す一方だったが――

 少なくとも指輪に関係する人物であることは、間違いなさそうだった。

 

 

「ざっくり言うと……会わせたい人がいるのですよ」

 

 そう切り出したのは、黒い六本腕を背や脚から伸ばした男装少女だった。

 

「会わせたい人……?」

 イリヤは首を傾げ、少し考えてから続ける。

「……もしかして、私たちより前に守護者になった人……?」

 

「事前に情報を得ているとは、さすがなのです」

 

 少女は満足そうに頷いた。

 

「……ねえ、そういえば」

 今度は蓮子が桜の方を見て問いかける。

「残りの二人の守護者って、どんな人たちなの?」

 

「詳しいことは、どちらも本人から口止めされていまして……」

 桜は申し訳なさそうに前置きしてから続けた。

「ただ、変身者はいずれも男性だそうです」

 

「というわけで、明日の日曜に――」

 

 黒い六本腕の男装少女が、約束を取り付けようとした、その時だった。

 

「ガガガガガ!!」

 

 突如として、無機質な咆哮と共に謎の軍勢が姿を現す。

 だが、それはウォークロックではない。

 

「……メダロット?」

 

 ウスバキトンボ型のメダロット『ドラゴンビートル』と、猫型の『ペッパーキャット』。

 それらが、合計十三体も現れていた。

 どう見ても正規の管理下にはない――野良メダロットだ。

 

「な、なんか様子がおかしいけど……」

 

 イリヤがそう呟いた瞬間、彼女の横をレーザーが掠めていく。

 直撃した一体が爆散した。

 

「……あ・の・さぁ」

 

 低く、怒りを滲ませた声。

 

「ボクが大ッッッ事な話をしてる最中に、

 脈絡もなく割り込むんじゃねェのデスっ!!」

 

 男装少女が完全にキレた。

 背中や脚部から伸びた六本の腕が一斉に動き、レーザーが雨のように放たれる。

 

 それに反応したのか、野良メダロットたちもエネルギー弾や格闘攻撃で応戦してきた。

 

「え、えええ!? なにこれ、急に!?」

 

「メダロットって……人を攻撃できないんじゃなかったっけ……?」

 

 突然の戦闘に、蓮子とメリーは完全に困惑していた。

 

「無理矢理操られた野良メダロット、ですか」

 

 男装少女は鼻で笑う。

 

「だったら、“目には目を歯には歯”の精神で行くのです」

 

 そう言って彼女はスマホを取り出し、メダロッチを起動した。

 召喚されたのは、歯車を模したメダロット『カタカタマワール』。

 

「……状況は妙ですが、手短に済ませましょう」

 

「向こうもメダロット……」

「資料で見たことはあるけど、実物はあんな感じなのね」

「知能面だと、AIよりよほど高度そうだわ……」

 

 完全に置いていかれつつも、蓮子とメリーは妙なところで感心していた。

 

 その間にも、戦闘は始まっている。

 

「ガガッ……!!」

 

 野良メダロットの一部が先制攻撃を仕掛けてきた。

 

「遅いのです」

 

 センリツの指示を受け、カタカタマワールがエネルギー弾を連射する。

 攻撃のたびに威力が増す『カウントアタック』が発動し、

 敵のパーツは次々と破壊されていった。

 

 やがて、全ての野良メダロットが機能停止する。

 

「……こんなものですか」

 

 カタカタマワールが淡々と呟いた。

 

「速攻・大勝利ィ!!

 この程度、このボク――『佐鳥羽(サトバ)センリツ』の相手じゃないのです!!

 ハッハー!!!」

 

 名乗りを上げたセンリツは、完全に上機嫌だった。

 

「……なんというか、急展開すぎて理解が追いつかないけど……凄いですね」

 

 そこへ、イリヤが近づいてくる。

 

「ぬ、おお! 分かっているのですね、尊きお方!」

 

「と、尊い……?」

「……ちょっと待って、なんで写真撮ってるの?」

 

 センリツがスマホを向けてきたため、イリヤは思わず引いた。

 

「……っと、その前に後始末なのです」

 

 センリツはカタカタマワールと共に、倒れたメダロットのティンペットへ近づき、

 近くに転がっていたメダルを拾い上げる。

 

「あの……話についていけてないんだけど、そのメダルって?」

 

 メリーの問いに、答えたのはカタカタマワールだった。

 

「違法コピーのメダルだな。

 制御が杜撰で、悪用されることが多い。

 おそらく野良に取り付け、強制的に操っていたのだろう」

 

「……とんでもない事をしてくれるのです」

 

 調査を終えたセンリツは、改めて言った。

 

「改めて、明日の日曜に。

 会わせたい人と、その仲間を連れて来るのです。

 そこで、ちゃんと話をするのです」

 

 そう言い残し、カタカタマワールをメダロッチに戻すと、

 黒い物質に包まれるようにして、地中へと姿を消した。

 

「……嵐みたいな子でしたわね」

「本当に地中から出てきていたみたいですし……」

 

「とはいえ」

 桜が静かに続ける。

「残り二人の守護者と接触できる機会を、与えてくれました」

 

 一方その頃、イリヤは考え込んでいた。

 そこへ美遊が近づく。

 

「ねえ美遊……」

「残り二人が、私たちより先に守護者になったってことは……

 先輩、ってことだよね?」

 

「……そうなると思う」

 

「やっぱりかぁ……」

「どんな人なんだろう。

 さっきのセンリツさん、男装してたし……

 もしかして女装男子だったり……?」

 

「……それは、どうなの?」

 

 美遊はそう返しつつ、先ほどの出来事を思い返していた。

 

(佐鳥羽センリツ……)

(かなり妙な存在だけど……それより――)

 

(あの人の近くから、『あの気配』を感じた……)

(ということは、まさか……『アレ』を……?)

 

「……美遊?」

 

 急に真剣な表情になった美遊を、イリヤは不思議そうに見つめる。

 だが、その意味を知ることはなかった。

 

――美遊のその表情の意味自体を、イリヤたちが知るのは、

 まだずっと先の話である。

 

 

*****

 

 

翌日、日曜日。

昼食を済ませた頃、商店街で合流する前に、イリヤと蓮子、メリーの三人は街から少し離れた林の中を訪れていた。

 

「とりあえず、昨日の戦いを踏まえると……特訓は必要だよね、ってことで、人目につかなそうな場所を選んでみたんだけど……」

 

 そう言いながら、蓮子とメリーは少し難しい表情をしていた。

 二人の視線の先には――守護者プリズマに変身し、空中を比較的自由に飛び回っているイリヤの姿がある。

 

「どうかな?」

 プリズマがふわりと降りてきて、二人に尋ねる。

「何か……分かったこととか、ある?」

 

 だが、二人は揃って首を横に振った。

 

「うーん……」

 メリーが唸る。

「“飛ぶ”ためのイメージ、っていうのかな。あと一歩で掴めそうなのに、どうしても霧がかかったままなのよね……」

 

「無意識に、変に難しく考えすぎてるのかも」

 蓮子も続ける。

「理屈で組み立てようとして、逆にピンと来ないというか……」

 

 空中戦をスムーズにこなせるようになるため、先ほど一度、二人は守護者メモリアに変身して飛行訓練を試みた。

 

――結果は散々だった。

 

 上方向はまだしも、横移動の制御が効かず、勢いよく突っ込んでは木々に激突。

 その反動で上空へと吹き飛び、放物線を描いて地面に落下。

 最終的には変身解除、という流れである。

 

(なお、その騒ぎで近くに住み着いていた野良メダロットのセイテイキングに、しっかり怒られた)

 

 容易く飛行できているイリヤからヒントを得られれば、と思っていたのだが、どうにも考えが固まらない。

 

「……それなら」

 そこへ、美遊が声をかけた。

「イリヤの“飛ぶ”イメージを、そのまま参考にしてみるのがいいと思う」

 

「え?」

 イリヤが振り返る。

「美遊? どうしてここに?」

 

「ルヴィアさんに言われて、私も飛び方を身につけようとしたけど……上手くいかなくて」

 美遊は少し気まずそうに言った。

「それで、イリヤから教われば何か分かるかもしれないと思って、探していた」

 

 そして、思い出したように続ける。

 

「イリヤ、昨日言っていた」

「“魔法少女は飛ぶもの”だって。

 なら、その基になった“飛ぶ”という感覚の、はっきりしたイメージがあるはずだと思って……」

 

「元……?」

 イリヤは一瞬きょとんとし、やがて思い当たったように頬を掻く。

「あー……それなら……」

 

 そう言って、少し恥ずかしそうにスマートフォンを取り出した。

 

***

 

『雲の中に逃げても無駄だ! この空で散れ!!』

 

『\マジカル☆ブレードムサシ 第伍話「空の華」/』

 

 派手な音楽と、派手なバトル演出。

 二刀流の剣を操る魔法少女が、空を自在に駆け巡るアニメだった。

 

 偶然見つけたベンチに座り、イリヤはサブスクアプリでその映像を美遊たちに見せている。

 

「……こ、これ……?」

 美遊が戸惑いがちに呟く。

 

「う、うん……」

 イリヤは小さく頷いた。

「私の“魔法少女”とか、“ヒーロー”とか、“飛ぶ”っていうイメージの大元、だと思う。

 ……正直、ちょっと恥ずかしいけど」

 

 画面を見つめながら、美遊は困惑した表情を浮かべる。

 

「……航空力学も、重力も、慣性も、作用反作用も無視した動き……」

「そんな……」

 

「そ、そこはアニメだから!」

 イリヤが慌ててフォローする。

「固く考えずに見てほしいんだけど……!」

 

「やっぱり、フィクション由来のイメージだったのね」

 メリーが感心したように言う。

 

「ということは……」

 蓮子が冗談めかして続ける。

「空想と現実の区別が曖昧になってる的な?」

 

「ちょっと待って、それどういう意味!?」

(byイリヤ)

 

 軽いやり取りの後、イリヤはふと二人に尋ねた。

 

「そういえば、蓮子さんとメリーさんは、“飛ぶ”イメージってどんな感じなの?」

「制御はアレだけど……飛べないわけじゃないよね」

 

「えっと……」

 蓮子は一瞬考え、メリーと視線を交わしてから鞄を開いた。

 取り出したのは、『ヨイヤミイーター・ルーミア』と題されたクロステラノベル。

 

「あ、それ……」

 

「クロステラノベル?」

 美遊が目を見開く。

「見たことないけど、いつ手に入れたの?」

 

「前にね」

 蓮子が説明する。

「イリヤちゃんが、あのソウクレイザーって巨大ロボットを倒した時に、私たちの手元に落ちてきたの」

 

 少し間を置いて、言葉を選ぶ。

 

「……それで、このノベルを手に入れた時にね。

 ほんの少しだけ、思い出したの。記憶を」

 

「えっ……!?」

 美遊が息を呑む。

 

「本当に、断片的だけど」

「私とメリーが、どうやって出会ったのか……それくらい」

 

 そして、続けて言う。

 

「それと同時に、ぼんやり思い出したことがあって」

「多分、それが私たちの“飛行”のイメージなんだと思うの」

 

 美遊は驚きながらも、静かに話を聞いていた。

 

「はっきり覚えてるわけじゃないけど……」

 蓮子が言う。

「二人の女の子が空を飛びながら、戦ってる光景が浮かんできたの」

 

「それを元に、行けるかなって思ったんだけど……」

 メリーが肩をすくめる。

「記憶が曖昧すぎて、制御のイメージが全然掴めないみたい」

 

 二人は、少し情けなさそうに笑った。

 

「なるほど……」

 イリヤは頷きつつ、美遊を見る。

「じゃあ美遊はどう? このアニメを最後まで見たら、何か掴めそう?」

 

「えっ……」

 美遊は少し考え、首を横に振った。

「多分、無理

 

 原理が分からない

 揚力じゃなくて浮力が必要なのは理解できるけど、それだけだと“浮くだけ”で……

「移動するなら、重力ベクトルを制御する別の力が――」

 

「ストップストップ!」

 イリヤが慌てて手を振る。

「ちょっと待って、ひとつ言わせて!」

 

 少し考えてから、イリヤは言った。

 

「……みんな、難しく考えすぎなんじゃないかなって。

 頭が良いからこそ、理屈で見すぎてるというか……」

 

 そして、ふと思い出したように続ける。

 

「前に見たアニメで、こんな台詞があったの。『人の空想は、魔法事象の種を宿すものだ』って」

 

「……物理事象じゃなくて?」

 美遊が首を傾げる。

 

「うん。でも意味は近いと思う」

 イリヤは笑った。

「今は実現できなくても、未来なら当たり前になる想像もあるってこと。

 それを物理って呼ぶか、魔法って呼ぶかの違いなんだって」

 

「……つまり『考えるな!感じろ!』……みたいな?」

 

「……」

 

「あー、納得いかない顔してますねー……」

 

 少し微妙な空気になりつつも――

 

「……でも」

 美遊は立ち上がった。

「完全には理解できなかったけど……考え方は、少し分かった気がする」

 

「戻って、もう一度練習してくる」

「何かあったら、すぐ来るから」

 

 そう言って、美遊は林を後にした。

 

「行っちゃったね……」

 イリヤが呟く。

 

「私たちも、もう一回やってみる?今度は、やり方を変えて」

 

「そうね」

 メリーが頷く。

「曖昧な記憶に頼りすぎてたのかもしれないし……」

 

 こうして、蓮子とメリーは再び練習を始めることにした。

 

***

 

――三分後。

 

「飛べ……らあああああ↑あああああ↓あああああ↑あああああ↓あああああ!!?」

 

 メモリアに変身し、今度こそと浮かぼうとしたが――

 一瞬安定したかと思えば、そのまま上空へ吹き飛び、放物線を描いて街の方向へ飛んでいってしまった。

 

「え、結局なんで!?」

 イリヤが叫ぶ。

「もうここまで来ると、飛ぶイメージの問題じゃない気がするんだけど!?」

 

 そして、はっと気づく。

 

「……って、あの方向……商店街!?」

「昨日のことがあるから、念のため移動手段を用意しておいて正解だった……!」

 

 原因がまったく分からないまま、

 イリヤは『マタラ・ド・ラ・ゲート』の表紙を開き、

 メモリアが飛んでいったであろう商店街へと急ぐのだった。

 

 

 








=クロスタルリングカセット=
『仮面ライダーW』
イラスト:風都タワー→仮面ライダーW
固定絵:ガイアメモリ(サイクロン、ジョーカー)
獲得者:蓮子&メリー

『獣拳戦隊ゲキレンジャー』
イラスト:「獣拳」の文字と獣拳使いのシルエット→ゲキレッド
固定絵:ゲキタイガー
獲得者:イリヤ



侵蝕世怪人(ワールドロイド)・巨大戦力=
『シップウキリフダ世怪(ワイルド)
使用指輪:仮面ライダーW
憑り付いた人物:過激な愛護団体
侵蝕スキル:飛んでいけるサイクロン

『ジュウケン世怪(ワイルド)
使用指輪:獣拳戦隊ゲキレンジャー
憑り付いた人物:過激な愛護団体
侵蝕スキル:ゲキ速タイガースピード



―――――

*注釈:本作品は、自著の文章をAI(ChatGPT等)で推敲・校正して投稿しています。ストーリーや台詞はすべて作者が作成したものですが、読みやすさ向上のために文章の整理を行っています。


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