ウルトラワールド:Scramble Engage   作:おろさん

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求める芸術(アルテ)、彩るインスピレーション 04

 

 

 

『塗りつぶしてやるわ!!!』

 

 ――場面は戻り。

 クロステラカイザーガイアのコックピットで操縦桿を握る奏海は、ソウクレイザー・イロドルオータムとの交戦に入っていた。

 

 操縦者であるベイキーは、装着された銃型武装『イロドルオータムシューター』を構え、不気味に光る液体弾を次々と撃ち放つ。

 

「……っと」

 

 奏海は即座に反応し、機体をひねるようにして回避。

 だが、避けきれずに地面へ付着した液体は、じゅう、と焼けるような音を立てながら周囲を腐食させていく。

 

「確かに毒だな……なるほど面倒そうだが……問題ない!」

 

 性質を見切った奏海は、迷いなくクロステラカイザーを操作。

 右腕パーツに展開された弓矢から、エネルギーの矢を数発、間を置かずに射出した。矢は正確にソウクレイザーへと命中する。

 

『何ッ!? ならば撃ち落とすのみ!!……って、あれ?』

 

 ベイキーは反射的に毒で矢を溶かそうとするが、視界に捉えていたはずのクロステラカイザーガイアの姿が消えている。

 

「遅ェよ!」

 

 次の瞬間。

 クロステラカイザーガイアは、いつの間にか背後へ回り込んでいた。至近距離から放たれたエネルギー矢が連続で突き刺さり、クリーンヒットする。

 

『ぐうううううううっ!!! ならば何もかも腐食させてしまえ!!!』

 

 苛立ちを隠そうともせず、ベイキーは周囲一帯へ向けて毒を乱射し始める。地形も空間も区別なく、腐食の雨が降り注いだ。

 

「っと、そうはいかねぇな!!」

 

 だが奏海は冷静だった。

 クロステラカイザーガイアの両手に、黒みを帯びたエネルギーの刃を生成し、連続して斬撃を放つ。飛来する毒弾は、すべて空中で切り裂かれ、霧散した。

 

『何ィ!!? ならば喰らえ毒葉&毒ガス!!』

 

 次に放たれたのは、紅葉を模した無数の葉状弾幕と、視界を覆う毒の霧。

 空間そのものを塗り替えるような攻撃だった。

 

「せいっ!!」

 

 奏海は動じることなく、再び斬撃を放つ。

 すると刃の軌道が空気を切り裂き、巨大な竜巻が発生。弾幕と毒霧をまとめて巻き込み、そのままソウクレイザー・イロドルオータムへと叩き返した。

 

『え、あっ、嘘でしょめぼぉっ!!?』

 

 ベイキーの悲鳴が響く。

 回避は間に合わず、竜巻は直撃。毒の影響もろとも機体を包み込み、ソウクレイザーは上空へと吹き飛ばされた。

 

「そろそろ、終わりにしようか!!」

 

 奏海は決着を告げるように言い放つ。

 クロステラカイザーガイアの両手にあったエネルギー刃は形を変え、無数のワイヤー状エネルギーとなって射出される。それらはソウクレイザー・イロドルオータムに絡みつき、動きを完全に拘束した。

 

 同時に、コックピット内へクロステラカイザーガイアを模した像が顕現する。

 奏海はそれをしっかりと掴み、必殺技の構えに入った。

 

「『クロステラカイザー・スターライトフェイルノート』!!」

 

 弓に膨大な力が籠められていく。

 奏海が像のグリップにあるトリガーを押し込んだ瞬間、五芒星を模ったエネルギーとともに、赤黒い一矢が放たれた。

 

【『ガイア』ARCHER PENETRATE!!!】

 

 矢は一直線に飛翔し、ソウクレイザー・イロドルオータムを正確に貫く。

 

『真のアーティストは、私じゃなかったかっ……アートは、爆発うううううううううううう!!!』

 

 断末魔の叫びとともに、ベイキーごとソウクレイザー・イロドルオータムは大爆発を起こし、完全に消滅した。

 

 爆発跡から、一冊のクロステラノベル――『秋物語』が弾き出されるように飛来する。

 奏海はそれを、反射的に受け止めた。

 

「ノベル……あの時計ロボの動力源って事で良いのか……?」

 

 手の中のノベルを見つめ、首を傾げる奏海。

 だが、その思考は――

 

 ドン、と。

 遠く離れた場所から響いた、派手な爆発音によって遮られた。

 

「うおっ……!?」

 

 奏海はコックピット内から、音のした方角へ視線を向ける。

 

「あの位置、アイツらがいた……嫌な予感はしてたが……とにかく一旦文香たちと合流しねぇと……!」

 

 そう判断すると、奏海はクロステラカイザーガイアを旋回させる。

 今頃残りのウォークロックを片付けたであろう、文香たちの元へ急行するために。

 

 

***

 

 

「いっ、つ……」

 

 ――その頃。

 先ほどの派手な爆発の余波で、プリズマたちは地面を転がるようにして吹き飛ばされていた。

 

「美遊と……鈴夜さんは……?」

 

 砂埃の中、プリズマは身体を起こしながら周囲を見渡す。

 

「私は……ここに……」

 

 すぐ傍でサファイアの声が返る。

 プリズマとサファイアは何とか立ち上がれたが、ビビットの姿だけが見当たらない。

 相当な距離を吹き飛ばされたのか、それとも瓦礫の向こう側か――判断する余裕はなかった。

 

「RAKUEAA……DAAAAAAA!!!」

 

 耳を裂くような咆哮とともに、ソルジャー世怪が接近してくる。

 

 その動きは明らかに異常だった。

 理性の欠片も感じられず、完全に暴走している。

 拳にエネルギーを集束させ、腕を突き出すたびに、凄まじい波動エネルギーが正面へ放たれる。それを、間髪入れずに何度も繰り返していた。

 

 波動エネルギーが無差別に飛び交い、二人は回避に専念するしかない。

 

「くっ……!」

 

 かわしても、かわしても、間合いを詰める余裕はない。

 

「CFX!QW""ZRF!FZ!"E#"ZEZ!!!F"#"ZEZF!ZF#!Z!"#"ZF!#!!!」」

 

 さらにソルジャー世怪は、腕からライフル状の武装を引き抜き、エネルギーを帯びた波動弾を乱射し始めた。

 

「暴走……急にどうして……!」

 

 侵蝕世怪人が、ここまで制御を失うなど聞いたことがない。

 サファイアの胸に、困惑と焦燥が一気に広がる。

 

「FSDVWERDCWGTERGT!!!"!!!」

 

「あああっ……!!」

 

「っ……!!!!」

 

 尋常ではない連続攻撃。

 回避しきれなかった衝撃が二人を直撃し、地面へと叩きつけた。

 

「どう……なって……」

 

 プリズマは歯を食いしばり、再び立ち上がる。

 だが、すぐ隣で倒れ込んだサファイアは、明らかに深手を負っていた。

 

「……っ、美遊!」

 

 立ち上がろうとするが、力が入らず動けない。

 

「”RWEFZ$"A""……fX"RFVXT……」

 

 唸り声を上げながら、ソルジャー世怪が迫ってくる。

 プリズマはサファイアの元へ駆け寄ろうとしたが――

 

 距離は、あまりにも近すぎた。

 次の攻撃まで、もう猶予はない。

 

「イリ……ヤっ……」

 

「っ……! っ……!!」

 

 深手を負い、変身が解除されたまま――それでも美遊は、必死に身体を起こそうとしていた。

 視線の先には、プリズマ……イリヤの姿がある。だが彼女は、その場に立ち尽くしたまま、足がすくんで動けずにいた。

 

 美遊には、その理由が痛いほど分かっていた。

 目の前のソルジャー世怪は、これまでの侵蝕世怪人とは根本的に違う。

 

 今まで戦ってきた相手は、そのほとんどが人間性を失くした者、あるいは元から歪みを抱えた存在だった。それ以外でも、暴力を躊躇わないものが多かった。

 そうした“分かりやすい敵”だったからこそ、イリヤは恐怖を乗り越え、迷わず戦えていた部分がある。

 

 だが――今回のソルジャー世怪は違う。

 まるで意志を奪われ、無理やり操られているかのような挙動。

 それでいて、常軌を逸したエネルギーを連発し、命を奪いかねない攻撃を繰り返している。

 

 極端であることに変わりはない。

 それでも、そこに感じ取ってしまった“違和感”が、イリヤの心を縛っていた。

 

 しかも、死を覚悟するほどの攻撃を何度も目の当たりにして、平然としていられる人間などそういない。

 

「もう……こんなの……でも……だめ……わかってるのに……」

 

 恐怖に飲まれ、プリズマの変身は解けていた。

 イリヤは膝を折り、今にも泣き崩れそうな表情で、荒い息を繰り返している。

 

「vrQW……zcECZ#……C"ZZCE……」

 

 ソルジャー世怪が、ゆっくりと距離を詰めてくる。

 一歩、また一歩――逃げ場はない。

 

「あ……う……」

 

「い……イリヤ……!!」

 

 美遊が、ようやく立ち上がった、その瞬間だった。

 イリヤが突然、腹部を押さえ、苦しそうに身を折る。

 

「う……ああっ……!!」

 

 ――何かが、外れた。

 

「っ……!?」

 

 美遊が正面を見ると、イリヤの身体から、異様なほどのエネルギーが噴き出していた。

 それは怒りでも恐怖でもない。強烈な“決意”のようなものだった。

 

「たお……さなきゃ……」

 

 ――どうやって?

 

「たすけ……なきゃ……!!」

 

 ――どうやって?

 

「たおして……たすけなきゃ……」

 

 ――どうやって?

 

「……たおす……そしてたすけだす……“その答えを、私は知ってる”」

 

 その瞬間。

 イリヤの手元へ、ひとつのクロステラノベルが舞い降りた。

 

『ハクレイナイト・インヴァース』。

 巫女の少女が描かれた、その表紙がはっきりと目に映る。

 

「ノベル……!? 急になんで……!?」

 

 突如出現した新たなノベル。美遊の驚きをよそに、イリヤは静かにクロステライザーを構えた。

 

 装着していた『ブレンドハーツ・エレメンタル』のノベルを外し、

 代わりに『ハクレイナイト・インヴァース』を差し込む。

 

【『ハクレイナイト・インヴァース』】

 

【STYLE CHANGE!!!】

 

変身(エンゲージ)!!!」

 

 守護者の指輪を装着し直し、イリヤは再び変身する。

 

【DRAW THE RAINBOW:GUARDIAN『プリズマ』!!!】

【REIMU STYLE!!!】

 

 聞き覚えのない音楽と共に、再び現れた守護者プリズマ。

 だが、その姿は、これまでとは明確に異なっていた。

 

 巫女装束を思わせる紅白の衣装に、装甲が組み合わさった姿。

 そして――最初から仮面を外した、見覚えのない表情。

 

 イリヤはそんな、『レイムスタイル』なる見た事のない姿に変身していたのだ。

 

 

***

 

 

「あれ……?」

 

 その頃――ガッチャード(アルテ)と共に共闘していたメモリアは、戦場の只中で、ふと胸の奥に引っかかる感覚を覚えた。

 

「今……何か、知ってる力が……?」

 

「■■■ー!!!」

 

「っと……!!」

 

 だが、その感覚を確かめる間もなく、シャドウサーヴァントが次々と出現しだす。

 メモリアは思考を切り替え、目前の敵との戦闘を優先した。

 

「……あっちもあっちで、きっと“いい色”が出てきたんだろうね……気になるけど」

 

 同じく異変を感じ取っていたガッチャード(アルテ)も、名残惜しそうに視線を逸らす。

 

「今は邪魔なのを先に片付けるしかないかぁ」

 

 そう言って二人は、再び目の前の敵へと向き直った。

 

 

***

 

 

「っと……気を失ってたけど、一体何が……」

 

 場面は戻り――

 少し離れた場所。避難のために即席で作ったのだろうか、地中の穴の中から、鈴夜がひょっこりと顔を出す。

 

 目に飛び込んできたのは、イリヤが見慣れない姿へと変身する、まさにその瞬間だった。

 

「あれ、何アレ……まさかの新フォーム?」

 

 一瞬で理解が追いつかない。

 

「……にしては、イリヤちゃん本人の雰囲気が、だいぶ違う気がするけど……」

 

 気になる点は山ほどあったが、鈴夜は余計な口出しはせず、少し離れた位置から静観することにした。

 

 

***

 

 

「うそ……どうなって……っ!!」

 

 一方、美遊が困惑している間にも、ソルジャー世怪は完全に戦闘を再開していた。

 右手に力を集中させ、一直線に波動を放つ。

 

「……展開」

 

 プリズマ(レイムスタイル)は、静かにそう呟く。

 

 次の瞬間、無数の御札と結界が空中に展開され、迫り来る波動を正面から受け止めた。

 

「CCZC"V……EWcwzE……!!?」

 

 防がれるとは思っていなかったのか、ソルジャー世怪は明らかに動揺する。

 だがすぐさまライフルとマシンガンを構え、波動エネルギーを弾丸に乗せて乱射する。

 

「……はっ!!」

 

 プリズマ(レイムスタイル)は軽やかに跳躍し、上空へ。

 一定の高度で静止すると、相手の乱射される弾丸も軽くかわしながら、御札と針を織り交ぜた弾幕を一気に放った。

 

「WEXRVWRWRTWCRTCRTB!!!?」

 

「……やぁっ!!!」

 

 攻撃を叩き込み、そのまま間合いを詰める。

 クロステライザーの斬撃が、連続してソルジャー世怪を捉えた。

 

「RVEWRQ!!……”FS$FRFRFSRF#!!!」

 

 だが、ソルジャー世怪も即座に体勢を立て直す。

 再び右手に力を溜め、波動を放とうとした、その刹那――

 

『ワンダフルパクトで人の姿に変身する犬飼こむぎ』→『キュアワンダフル』

『ニコガーデン』

 

再変身(エンゲージ)!!」

 

【『わんだふるぷりきゅあ!』!!!】

 

 ツメガバックルから瞬時に指輪を取り出し、プリズマ(レイムスタイル)は『キュアワンダフル』へと再変身する。

 

「ヘルプ!キラリンアニマル『ベアー』!」

 

 フレンドリータクトを構え、キラリンベアーの力を解放。

 桁外れの怪力でソルジャー世怪を持ち上げ、そのまま振り回して投げ飛ばした。

 

「CGYSAAA……!!?」

 

「……たあっ!!!」

 

 即座に元の姿――プリズマ(レイムスタイル)へ戻り、再び接近。

 力を溜めたクロステライザーの一突きが、ソルジャー世怪を地面へと叩き落とす。

 

「信じられない……知らない力と、あの戦闘能力……!!」

 

 美遊は、完全に形勢を逆転させたプリズマの姿に、息を呑んでいた。

 

「WERYYJU……UUUU……」

 

 大きなダメージを負い、ソルジャー世怪はよろめく。

 

「今……解き放つ」

 

【『プリズマ』CROSS FINISH!!!】

 

 一瞬で間合いを詰め、プリズマはクロステライザーをソルジャー世怪の腹部へ突き立てた。

 

 その瞬間――

 

「『うう……え……?』」

 

 内部に囚われていた、苦しげな表情の男性の姿が、はっきりと見える。

 

「掴んで!!!」

 

 プリズマ(レイムスタイル)の呼びかけに応え、男性は必死にクロステライザーを掴んだ。

 

 次の瞬間、引き抜かれた刃と共に、男性は解き放たれる。

 同時に、その身体の奥から、禍々しい宝石のような物体が露わになった。

 

「……はっ!!!」

 

 気絶した男性を安全な場所へ置き、振り返りざまに横一文字の斬撃を放つ。

 

 宝石とソルジャー世怪は、同時にその斬撃を受け――

 

「AAAAAAAAAAAAAAA!"!"!"!"!!!」

 

 宝石は砕け散り、ソルジャー世怪は爆散した。

 

「あっ……」

 

 戦いが終わった、その瞬間。

 イリヤの変身が解け、そのまま力尽きるように地面へ倒れ込む。

 

「イリヤ……」

 

 唖然とした表情のまま、美遊は彼女を見つめていた。

 足元に落ちていた『フルメタル・パニック!』の指輪を拾い上げると、眠るように気絶したイリヤの元へ駆け寄った。

 

 

***

 

 

「らあああいっ!!!」

「せいっ!!!」

 

 その頃――

 メモリアとガッチャード(アルテ)は、次々と現れ始めたシャドウサーヴァントの群れを相手に、息の合った共闘を続けていた。

 

「急に数が増えたけど……これくらいなら、まだ何とかなる……!!」

 

 メモリアは状況を素早く見渡し、敵の挙動を把握する。

 現れる数は多いが、動きは単調。連携さえ崩されなければ、十分に対処可能だ。

 

 多彩な力による、多彩な攻撃。

 2人は互いの間合いを意識しながら、敵に囲まれる前に数を減らしていく。

 

 メモリアはメモリアライドシューターUを構え、タイヤ型の弾丸を一発、撃ち放った。

 弾丸はワイヤー状のエネルギーで彼女の手元と繋がれ、そのままヨーヨーのように自在に軌道を変える。

 

合成(ミックス)……!!」

 

【エックスレックスエクストラッシュ!】

 

 一方、ガッチャード(アルテ)は新たなカードを一枚、エクスガッチャリバーに装着。

 剣を逆手に持ち替え、そのまま地面へと突き立てる。

 

 瞬間、赤い爪のようなエネルギーが迸り、前方を薙ぎ払った。

 

「■■■……!!!」

 

 斬撃が走り、シャドウサーヴァントの群れが一気に消し飛ぶ。

 残ったのは――最初に現れた、鋭い爪の武器を持つ一体のみ。

 

 アサシンクラスのシャドウサーヴァントは、隙を突くように間合いを詰め、爪による連続攻撃を仕掛けてくる。

 

「……はああっ!!!」

 

 メモリアは一瞬も怯まず、正面から踏み込んだ。

 勢いを乗せた突進が、敵の頭部にクリーンヒット。

 体勢を崩したところへ、間髪入れず追撃を叩き込み、そのまま吹き飛ばす。

 

「……いいね……いいねいいね!!

 高鳴るよ、その感じ!!!」

 

 ガッチャード(アルテ)は、その背後へと一気に回り込み、クロステライザーで連続斬撃を浴びせる。

 彼女の表情は、明らかに昂揚していた。

 

「この色……この高鳴り……嗚呼!

 ぼくのインスピレーションを、これでもかってくらい掻き立てる!!」

 

 斬りながら、彼女は語る。

 

「やっぱり、ぼくの目に狂いは無かった!

 宇佐見蓮子とマエリベリー・ハーン……

 君たちは、この時空に生まれた新たな可能性の中でも――

 ぼくからすれば、特に突出した存在だ!!」

 

 そして、噛み締めるように言葉を続ける。

 

「ぼくの知らない世界()……

 ずっと、こういうのが見たかった……

 あわよくば……出来るなら、ずっと見続けたい……!!」

 

「……それが、貴方の願いなのね。」

 

 メモリアは、その言葉の奥にある本音を察し、静かに応じる。

 視線を交わし――そして、2人は同時に前を向いた。

 

 その瞬間。

 吹き飛ばされていたシャドウサーヴァントが、最後の力を振り絞るように突進してくる。

 

「それじゃあ、これで……」

「終わらせる!」

 

 2人は同時に足へ力を溜める。

 

【『メモリア』CROSS FINISH!!!】

【スチームホッパーフィーバー!】

 

 跳躍。

 迫る攻撃をかわし、空中で軌道を重ねるように必殺の蹴りを放つ。

 

「――――!!!!」

 

 斜め一直線に突っ込み、キックはシャドウサーヴァントへと正確に突き刺さった。

 

 次の瞬間、敵は爆散し、完全に消滅した。

 

「……共闘……コラボレーション……

 高鳴るなぁ……!」

 

 ガッチャード(アルテ)は、これまでにないほどの興奮を滲ませる。

 だが――すぐに、メモリアの方へと視線を向けた。

 

「……でも。時間は、有限だよね。」

 

「指輪の戦士である限り、戦いはこれから。

 ……そう言う事よね。」

 

 2人は、自然と距離を取る。

 ガッチャード(アルテ)はエクスガッチャリバーを、

 メモリアはクロステライザーを、それぞれ構え直す。

 

「……。」

「……。」

 

 沈黙。

 互いの覚悟を確かめるような、短い間。

 

 そして――

 

 時は来た。

 

「はあああああああああっ!!」

 

 同時に駆け出し、一振り。

 

 互いに交錯し、そのまま背を向けて立つ。

 

「……ハハッ……。」

 

 直後、膝をつき、倒れたのは――ガッチャード(アルテ)だった。

 

 WINNER『GUARDIAN MEMORIA』

 

「……。」

 

 メモリアは何も言わず、変身が解除されたアルテの方を静かに振り向く。

 

 やがて、アルテのクロステライザーが光となって消滅する。

 同時に、彼女が所持していた――

 『仮面ライダーガッチャード』

 『機動武闘伝Gガンダム』

 『キラキラ☆プリキュアアラモード』

 『GA 芸術科アートデザインクラス』

 

 計4つの指輪が宙を舞い、メモリアの元へと引き寄せられる。

 

 メモリアは、それらを確かに受け取った。

 

「あーあ……ぼくの負けかぁ。」

 

 アルテはそう呟きながら、ふらつく身体を支えるように一歩踏み出し、よろけつつも立ち上がろうとする。

 

「これで、ぼくは指輪争奪から脱落、か。

 ……結構、寂しくなるものなんだね。」

 

 どこか他人事のようでいて、その声音には確かな未練が滲んでいた。

 

「でも、貴方の願いは……叶った……そうなんでしょ?」

 

 変身を解いた蓮子とメリーが、そう言いながら歩み寄り、そっと手を差し伸べる。

 

 アルテは一瞬だけ驚いたように目を瞬かせ――そして、柔らかく微笑み、その手を取った。

 

「……なんだかんだ、ぼくのわがままに付き合ってくれてありがと。

 お陰で、とっても良い絵が描けそうだよ。」

 

 立ち上がりながら、彼女は続ける。

 

「それに……ここまで他人に熱中したの、いつぶりだろ。

 人生で一番、昂っちゃったかも。」

 

「そう言ってくれると……なんだか、嬉しいかも。」

 

「私達も、楽しかったわ。」

 

 その言葉に、蓮子とメリーも自然と表情を緩める。

 互いに、短いながらも確かな時間を共有したことを、心のどこかで噛み締めていた。

 

 ――と、その時。

 

 指輪の力が限界を迎え、生成されていた美術品のような異空間が、ゆっくりと輪郭を失い始める。

 世界が溶けるように歪み、やがて穂群原学園の校庭の光景へと戻っていった。

 

「……ああ、そうだね。そろそろ、ぼくは行かなくちゃ。」

 

 アルテは、空間の変化を感じ取り、そう口にする。

 

「……どこかに行くの?」

 

「というか……一応、この学校の生徒なんじゃ……」

 

 蓮子とメリーの問いに、アルテは肩をすくめる。

 

「ぼく的には、学校はちょっと物足りなくてね。

 たまーに、こっそり登校するくらいが丁度良いの。」

 

 そして、急に身を乗り出すように、目を輝かせた。

 

「……それより!

 君達のお陰で、今まさにインスピレーションが沸き上がってるんだ!

 出来たら、完成したら君達にも届けてあげるよ!

 

 まあ、そんなわけだから――

 今はこの思いを、全部キャンバスにぶつけたい!」

 

 勢いよく振り返りながら、

 

「だから、ええと……とにかくバイバイ!!

 また、いつか!!!」

 

 アルテは、これまで見せたことのないほどの笑顔で、そのまま駆け出していった。

 

「……すっごい子だったね、アルテちゃん。」

 

「そうね……またね、アルテちゃん。

 貴方の指輪は、私達が預かるから。」

 

 蓮子とメリーは顔を見合わせ、自然と笑みを交わす。

 

「ひゃああっ!!?」

 

 ――その瞬間だった。

 

 完全に空間が消滅し、校庭へと戻った途端、聞き覚えのある悲鳴が響いた。

 

「えっ、今度は何事!?」

 

 振り向いた先。

 凛とルヴィア、そして桜が、こちらに向かって吹き飛ばされてくる。

 

「え!?なんで、ここに凛さんたちが……!?」

 

「れ、蓮子……あれ……!!!」

 

 困惑しながらも、メリーの指さす先を見ると――

 

「フハハハハッハハッハッハハ!!!

 コノ世ノ全テヲ、我ガ手中ニスルナリイイイイイイイイイイイイ!!!!」

 

 そこに立っていたのは、新たな侵蝕世怪人。

 歪な蝶の羽を持ち、漆黒の鎧に身を包んだ――

 『ロータス世怪』だった。

 

「うそ……こんな時に……!!」

 

「気を付けて!

 ……アイツ、速さが尋常じゃない……!!!」

 

 凛の警告と同時に、ロータス世怪が凄まじい速度で移動を開始する。

 

「くっそ、地味に面倒な……!」

 

「こっちは、結構疲れてるんだけどな……」

 

 ガイアとビビットが応戦しているものの、押し切れない。

 互角――いや、消耗の差が、じわじわと現れ始めていた。

 

「宇佐見さん、ハーンさん……!」

 

 聞こえてきたのは、美遊の声。

 文香たちに、眠ったままのイリヤと共に背負われている。

 

「えええっ!?

 わ、私達が戦ってる間に、何が起きてたの!?」

 

「でも、これ……まさか、ちょっとピンチなんじゃ……?」

 

 そうこうしている間にも、ロータス世怪がこちらへ迫る。

 

「ハハハハハハ!!!

 女ハ捕マエ――」

 

 高速移動で距離を詰めた、その瞬間。

 

「ユベッ!!?」

 

 横合いから、地響きが轟いた。

 凄まじい衝撃波が走り、ロータス世怪が吹き飛ばされる。

 

「今のは……」

 

 衝撃の来た方向を見ると――そこには、大型のロボットが立っていた。

 5つのビークルが合体した、巨大な機体。

 

「クロステカライザー……じゃ、ない……?」

 

「あれって……まさか……」

 

 美遊は困惑し、ガイアは確信に近い予感を抱く。

 

 そのロボの名は――『ダイボウケン』。

 

 そのコックピットに乗るのは、ヘッドライト付きのメット。

 胸元には、コンパスを模したシンボル。

 赤き戦士――

 

『ボウケンレッド』だった。

 

 

*****

 

 

 その頃。

 

 アルテは、走りながら、胸の内で静かに思索を巡らせていた。

 

「(宇佐見蓮子に、マエリベリー・ハーン……

 君達と、君達の仲間は……確実に、ぼくが見た色以上の伸びしろを持っている……)」

 

 足を止めることなく、彼女は続ける。

 

「(それに、この先……

 他にも、君達を待ち受ける更なるアートがある。

 ……そんな気がするんだ)」

 

 そして、楽しげに口元を緩める。

 

「(次に会う時……

 その色が、どんなふうに輝いているのか……

 とっても、楽しみだよ!)」

 

 

 

 

――次回へ続く。

 

 

 

 

 








=NEXT=

蓮子「新たなパラレルファイター『ボウケンレッド』降臨!巨大なロボット『ダイボウケン』を操って何を考えているのか。どうして私たち守護者の前に現れたのか……指輪争奪の秘密も、ちょっと明らかに!?

それはそうと、冬木市に奏海さんやアイドル達が来てくれたのよ!スタッフだっていうサーヴァント達も一緒にいるけど、何かするのかな……?

そして、アイドル達は何故戦う力を得たのか、何故サーヴァントのマスターになったのか、あと何でポケモンを持ってるのか!とにかく色々語られるし語りたい!

次回、第8話『集結クロスオーバー!果て無き守護者のスピリッツ!』!私達の冒険は、まだまだ始まったばかりよ!」


・今サブタイトルの元ネタ:GA 芸術科アートデザインクラス
(芸術)
(彩る→原作の主な舞台『彩井高校』)

***

=登場人物・用語補足=


佐鳥羽(さとば)鈴夜(すずや)
オリキャラ
イメージCV:小林大紀さん
フジヨシ情報処理高校2年生。ギャル風の女装男子。
(曰く、猫みたいな外見をしてた)未知の生物と掛け合わされた『合成獣(キメラ)』。生い立ちには不明な点が多いが、本人はフジヨシでの学園生活と青春を全力で謳歌している。
どことなく快楽主義的な面があり、面白半分に他人を異変へ引き込むこともしばしば。生活費の出所は謎。346プロにバイト志願した事もあるらしいが、『言動が馴れ馴れし過ぎる』『履歴書が流石にきな臭い』と言う理由で却下されてる。
同じ合成獣(キメラ)の妹分『佐鳥羽センリツ』がいる。
高校の先輩及びハッカーの『†漆黒の闇†』に協力して貰って、クロスタルリングを含めた周囲で発生する様々な異変を探る。
素の状態で『高速移動(?)』が可能。
守護者の指輪と、『アーティストハイスクール』のノベルの力で、守護者『ビビット』に変身出来る。『ビビットキャストマシンガンU』での射撃の他、爪型エネルギーでのひっかき攻撃も実は可能。
契約サーヴァントは『トーマス・エジソン』。メダロットも所持しており相棒は『ノワールカッツェ』。
好きな食べ物はこんにゃくゼリー

茅森(かやもり)奏海(かなみ)
オリキャラ
イメージCV:斎賀みつきさん
美城プロダクションに所属する27歳のアイドルプロデューサー。メカクレ髪。設立間もないアイドル課を軌道に乗せた立役者であり、圧倒的なスカウト能力を持つ。
鷺沢文香や橘ありすをはじめ、現在346プロに所属するアイドルの(矢継ぎ早に)スカウトを行い、それに影響を受けた先輩後輩同僚も同様のスカウトを行ったことで、346プロに多くの売れっ子アイドルを生み出している。
献身的かつ求道的な、守護者的な気質を持つ。基本的にアイドル達の事を下の名前で呼ぶ。
観察眼と審美眼にかなり優れている。そのためか趣味の1つが人間観察。なお年収と資産が未知数。
346プロ周辺に発生している異変に何かと関り、その際アイドルたちが突然手にした、魔法少女のような力の正体を追ってもいるが、現在のところ大きな成果は得られていない。
プライベートだとゴスロリ寄りの女装をする事が多いが、本人は女装の自覚がない(ただし中世的な身なりと長髪のせいで、赤の他人から女性だと間違われやすい)。仕事の時は、髪は短く見えるようにして(若干着崩して)スーツ姿。
人間離れした身体能力を持ち、超加速や『気』というエネルギーを用いた剣・弓矢・レーザーを駆使して戦う。
守護者の指輪と、『超次元アイドル伝説 クリスタルグルーヴ』のノベルの力で守護者『ガイア』へと変身出来る。固有武器はクロスボウ『ガイアフレイムアーチU』。
守護者の中で彼だけ指輪の力が異なっており、使用するクロスタルリングに込められたパラレルファイターのアバターを召喚出来る。
更に、召喚したパラレルファイター(アバター)の力を、アイドル達に付与する事も出来る。
しかしこの力を惜しみなく使うとなると、異変にアイドル達がより深く関わる事になる。彼女たちへの危害を恐れるあまり、これまで変身を躊躇い続けていた。
しかしアイドル達の覚悟を聞いて腹を括り、本格的に戦うことを決めた。




=パラレルファイター=
『アルテ・クリープ』
元ネタ:クリーパー(Minecraft)、玄口むうる(ドルフィンウェーブ)
イメージCV:藤本侑里さん
使用クロスタルリングカセット:仮面ライダーガッチャード
職業:天才芸術家小学生
願い:自分の知らない世界()をいつまでも見たい
天才芸術家の小柄な少女。マイペースな性格。他の人には見えない『色』が見える。毎日『インスピレーション』を探し求めている。
パラレルファイターであり『ガッチャード』へ変身出来る。
2つの物を混ぜて新たな1つに形成する指輪能力『合成(ミックス)』を持つ(カードと何かしらの物体を合わせてケミーカード擬きを作製していた)。
有名になってから、寄って来る人の人間性のせいで退屈さを感じており、物事に対しインスピレーションを求めたがる性分がある。
指輪を得て活力を取り戻し、最近だと蓮子とメリーにご執心。彼女たちからインスピレーションを得ようとしている様子。
実は穂群原学園の生徒。学校に行くときは大抵身分を隠していたらしい。
激闘と共闘の末に、蓮子とメリーに負けて指輪争奪から脱落。しかし蓮子とメリーを通して自分の願いを叶えた彼女は、彼女たちの新たな可能性に目を輝かせるのだった。




=クロスタルリングカセット=
『GA 芸術科アートデザインクラス』
イラスト:彩井高校の風見犬→山口如月
固定絵:カンバスに描かれた素猫
指輪能力:絵の実体化、及びそれによる空間生成
所有者:アルテ・クリープ→蓮子&メリー

『フルメタル・パニック!』
イラスト:マオ機とクルツ機のM9 ガーンズバック→相良宗助
固定絵:ARX-7 アーバレスト
指輪能力:エネルギー生成
獲得者:美遊

・指輪所有者状況
『仮面ライダーガッチャード』
『機動武闘伝Gガンダム』
『キラキラ☆プリキュアアラモード』
所有者:アルテ・クリープ→蓮子&メリー


侵蝕世怪人(ワールドロイド)・巨大戦力=
『ソルジャー世怪(ワイルド)
使用指輪:フルメタル・パニック!
憑り付いた人物:何かの実験体にさせられた一般人
侵蝕スキル:強制暴走ラムダ波動スキル

『ソウクレイザー・イロドルオータム』
搭乗者:ベイキー・ペンダッコ
(ウォークロックの名前の元ネタ:タコツボベーカリー(スプラトゥーン)×ペンキー(ペーパーマリオシリーズ))
固有武器:イロドルオータムシューター
ベース:秋穣子&静葉




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*注釈:本作品は、自著の文章をAI(ChatGPT等)で推敲・校正して投稿しています。ストーリーや台詞はすべて作者が作成したものですが、読みやすさ向上のために文章の整理を行っています。

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