ウルトラワールド:Scramble Engage   作:おろさん

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集結クロスオーバー!果て無き守護者のスピリッツ! 03

 

 

 数分後。アニメショップ・マルチバースの裏側で。

 

「お待たせ。」

 

 奏海からの連絡を受けた鈴夜達は、マタラ・ド・ラ・ゲートのクロステラノベルを使用し、店の裏手へと転移してきた。

 裏路地特有の静けさの中に、既に何人もの気配が集まっている。

 

 そこにいたのは、奏海。そして346プロのアイドル五人。

 

 さらに――

 

 ありすのサーヴァントであるナーサリー。

 小梅のサーヴァント、サンソン。

 菜々のサーヴァント、アストルフォ。

 そして物陰に控えるように立つ、文香のサーヴァント、紫式部。

 

 いずれも令呪によって召集されたようだ。

 

 そして。

 

 見知らぬ白髪の男が一人。その背後に、さらに見覚えのない金髪の女性。

 奏海と対になるような位置に立ち、こちらを静かに見据えていた。

 

「ご、ごめん、ちょっと許可に時間が……」

 

「って、あら。鈴夜くん達に……それと、確かナーサリーさんと式部さん、そして初対面の人達……何か大世帯じゃない。」

 

 すると、店の中から蓮子とメリーも出てきて合流する。

 想像以上の人数に一瞬困惑するものの、すぐに状況を理解し、真剣な表情へと切り替えた。

 

「蓮子にメリー、久しぶりね。こうしてまともに話すのは初めてじゃないかしら?」

 

「そう言えばそうですね……仕事もありましたし……」

 

 ナーサリーと式部と、穏やかに言葉を交わす。

 だがその瞳は、互いの力量を測るように静かに観察していた。

 

「貴方達が、宇佐見蓮子さんとマエリベリー・ハーンさんですね。僕は小梅さんのサーヴァントの、シャルル=アンリ・サンソンと言います。美城プロダクションでは、マネジメントと衛生管理の仕事をさせて貰っています。」

 

 丁寧な一礼。

 

「ボクはアストルフォ!ウサミンのサーヴァントだよ!しかもセイバー!ちなみに広報担当!」

 

 対照的に、明るく元気な自己紹介。

 

 それぞれの名乗りを受け、蓮子とメリーも軽く会釈を返す。

 

「(バイト中、今まで気にしてなかったけど、あの人達もサーヴァントだったんだ……(byツクモ)」

 

「……にゃあ(byクオン」

 

 そして視線は自然と、白髪の男へ向いた。

 

「んー……おじさん、もしかして昨日の?」

 

 鈴夜が問いかける。

 

「ああ。」

 

 男は穏やかな笑みを崩さずに頷いた。

 

「俺は『尾張長人』。指輪の戦士『ボウケンレッド』でもある。」

 

 そう言って、ボウケンジャーの指輪を指に掲げる。

 確かに、昨日目にした力の主だ。

 

「で、こいつが俺と契約してる、セイバーのサーヴァントだ。」

 

 背後の金髪女性を指し示す。

 

「ま、よろしくな。」

 

 赤を基調とした軽装に身を包んだ、ボーイッシュな雰囲気の女性。

 軽い口調ながら、その佇まいには明確な戦士の気配があった。

 

「……そっちは、本名を名乗る気は無さそうだね。」

 

 鈴夜が静かに言う。

 

「ああ。サーヴァントの能力という手の内を明かす事になるから、真名はなるべく隠してるんだと。」

 

 奏海が補足する。

 

 そのやり取りの最中、長人が周囲を見渡した。

 

「ところで、守護者はあと2人いるんじゃなかったのか?あと、そっちのロシアハーフの嬢ちゃんはサーヴァントがいないのか。」

 

「……イリヤちゃんと美遊ちゃんは、諸事情でお休み中よ。」

 

 蓮子が落ち着いた声で答える。

 

「……アーニャは、サーヴァントと契約してません。」

 

 アナスタシアも静かに言った。

 

 その返答を受け、長人は小さく頷く。

 

「んで、どう言う了見だ。お前は何を知っている?前回のあの巨大ロボに関してもそうだ。」

 

 奏海が本題を切り出した。

 

 場の空気が一段と張り詰める。

 

「……言われなくとも、そこは説明するさ。」

 

 長人はポケットから鉄くずを取り出す。

 錆びた金属片――ただの廃材にしか見えない。

 

 それを台の上に置き、手をかざす。

 

「……前提として、クロスタルリングを手に入れた者は、副作用として様々な力を手にする。」

 

 そう言った次の瞬間。

 

 鉄くずは形を変え、組み上がり、ハムスターが住めそうな小さなケージへと変化した。

 

 魔術とも科学とも異なる、“構築”の力。

 

「俺の場合、指輪能力は建造(ビルディング)。そしてこの前の巨大ロボ『ダイボウケン』は、その力を応用して復元・再起動させた、疑似サーヴァントのような存在だ。」

 

「疑似サーヴァント……?」

 

 その単語に、場の何人かが息を呑む。

 首を傾げる者、警戒を強める者、それぞれ反応は違うが、軽い話ではないと理解している。

 

「まあ、そこは後々説明するとして……そもそもの話だ。」

 

 長人は視線を少し遠くへ向けた。

 

「俺はこの時空で起きている数々の奇妙な異変の全貌を知るために、異世界『ドウガトピア』からやってきた。」

 

「ドウガトピアって、前にあの猫ミームのパラレルファイターが言ってた……」

 

 メリーが思い出すように口を挟む。

 

「そっちとはちょっと勝手が違う場所だがな。」

 

 長人は否定も肯定もせず続ける。

 

「その旅の途中で知ったのが、『U時空考古学』……大昔、強大な『起源』が終わらせたという“大戦”の神話だ。」

 

 そう言って、長人は古びた書物を一冊取り出した。

 

 革張りの装丁。

 明らかに、ただの歴史書ではない。

 

「その一環として、その鍵となるであろうお前達守護者の事も知ったんだ。それに、俺達契約者の指輪も、元々はその大戦に関わった英雄たちの力……とされている。まあ、俺にもその実態はまだ、全部を把握しきれていないんだが。」

 

 長人はそう前置きしながらも、視線を逸らさない。曖昧さを認めつつも、確信めいた響きがその声にはあった。

 

「全世界を巻き込む異変が起こりし時に現れる守護者……クロステラカイザーの召喚をはじめ、数々の力を使いこなす存在。それが“守護者”だ。

 

 そして、その力によって、やがて時空に生じた歪みを正す。……例えば、お前達が連れているサーヴァントのようなケースも、その“歪み”に含まれる可能性がある」

 

 言い終えると同時に、長人は一同を順に指差した。まるで、ここにいる全員がその問題の当事者だと言わんばかりに。

 

「……どう言う事?」

 

 ツクモが、明らかな警戒を滲ませながら問い返す。

 

「流石に知らないだろうから言うが……まずそもそも、今のサーヴァントのシステムは、本来のソレとは完全に異なっているんだ」

 

「……!!」

 

 その言葉に、奏海をはじめ、何人かが息を呑んだ。自分たちが“普通ではない”と示唆されたのだから、当然だ。

 

「1つ聞くが、サーヴァントと契約してる奴等は、どう言う経緯でサーヴァントと出会ったんだ?」

 

 長人は確認するように問いを投げる。

 

 最初に口を開いたのはツクモだった。

 

「経緯……って言うなら、クラスカードっていう不思議なカードからアンとメアリーが……」

 

 彼女の言葉を継ぐように、センリツが頷く。

 

「……ボクもそんなところなのです」

 

 小梅も、控えめに続けた。

 

「私も……寮で不思議なカードを拾って、そこからサンソンさんが……」

 

 菜々は、少し考えてから口を開く。

 

「ナナの場合、消えかかっていたアストルフォさんを何とか助けようとして、勢いで契約した感じです。……あ、でも本人曰く、カードを通じて召喚されたとは……」

 

 文香とありすも、ほぼ同様だった。

 

「私達も、それに近い……と思います」

 

「ナーサリーさんの方は、最初に力が暴走して、少し騒動を起こしてしまいましたが……」

 

 それぞれが語る中、鈴夜だけは一言も発さない。視線を伏せ、ただ沈黙を保っていた。

 

 全員の話を一通り聞いた長人は、小さく息を吐く。

 

「……やはりな。その『カード経由』という時点で、本来は有り得ない。何ならクラスカードなるアイテム自体が、この世界にとっては明確な異分子だ」

 

「……そ、そうなの?」

 

 ツクモや菜々は思わず、自らのサーヴァントの方を振り返る。

 

「まあ、実際そうですからね」

 

「否定はしないよ」

 

「らしいよ?」

 

 アンとメアリー、そしてアストルフォは、苦笑交じりに頷いた。彼ら自身も、自分たちの在り方が“例外”であることは理解しているらしい。

 

 長人は続ける。

 

「この世界の魔術師や、関連する記録について出来る限り調べさせてもらった。サーヴァントという存在は、本来『聖杯戦争』という儀式の中で召喚されるものだ。

 

 それは願望機たる聖杯を巡り、七騎の英霊とそのマスターが争う、極めて危険かつ不穏な儀式だ」

 

 空気が重くなる。

 

「だが、大昔に発生した『何か』の影響で、そのシステムに不具合が生じた。完全に消え去ることもなく、かといって正常でもない。中途半端な形で残存したんだ。

 

 そこに、同時期に出現するようになったクラスカードが噛み合った。その結果、本来の聖杯戦争とは別ルートで、サーヴァントが召喚可能になったらしい」

 

 そして、言葉を区切る。

 

「しかも、マスターへの負荷を極力抑えるため……強い魔力消費なしで肉体を維持し、疑似的な形で現界する――言わば『半受肉』状態に作り替えられている。コイツに関してもそうだ。

 

……まあ、マスターとの契約が無いと、どっちみち存在を保てないらしいんだが。」

 

 長人は、黙したままのセイバーサーヴァントへ視線を向けた。

 

「だが、どんなに都合が良かろうが、それは“異変”だ。本来あるべき形から逸脱している以上、いずれは終わらせねばならない。……元の聖杯戦争が好ましいものだったとは言わんがな」

 

「あの、1つ良いですか?」

 

「……何だ」

 

 口を挟んだのは蓮子とメリーだった。

 

「……どうして、さっきから今の状況自体を『異常』だって前提でものを言っているんですか?」

 

 真っ直ぐな疑問だった。

 

「……事実として異物だろう。守護者であろうものが、何か問題でも?」

 

 長人は即答する。

 

「そもそも、指輪争奪に何者かが割り込んでいる事にしろ、サーヴァントの事にしろ。放置すれば、世界規模でこじれる可能性すらある案件だ。現に、悪用を目論む人間を見たんじゃないのか?

 

 だからこそだ。より良き未来の『発展』のためにも、そう言った歪みを修復する。それが守護者の役目じゃないのか?」

 

「……それは、『発展』というには違う気がします」

 

 蓮子が静かに反論する。メリーも続けた。

 

「ツクモちゃんが、アン・ボニーとメアリー・リードのお陰で活気を持ち始めたり、346のアイドル達のサーヴァントが、美城プロダクションという会社の為に何か行動してくれたり……」

 

 彼女たちは、現実に起きている変化を一つ一つ示す。

 

「イレギュラーな形だとしても、サーヴァントの悪用の危険があるとしても……そのイレギュラーを通して、何かを良い方向に変えようとしてる事も事実なんじゃないんですか?」

 

 そして、決定的な問い。

 

「仮にソレが悪だって言うなら、どうして貴方もサーヴァントを連れているんですか?」

 

「……!」

 

 その言葉に、長人は一瞬、言葉を失った。

 

 周囲の視線が、彼へと集中する。

 

 蓮子とメリーは、さらに言葉を重ねようと口を開いた。

 

「……私達は、この世界の事をまだよく知らない。なので何が正しいのかは、よくわかりません。けれど……」

 

 蓮子は、一度だけ長人から視線を外し、それからまっすぐに見据え直した。

 

「この世界で、何かの為に頑張って生きてる人達の事は、あんまり悪くは言いたくない……とは思います。」

 

 メリーも、小さく頷きながら続ける。

 それは強い断言ではなかった。けれど、迷いながらも絞り出した本音だった。

 

 ――その言葉を聞いた、長人は。

 

「……」

 

 一瞬、沈黙する。

 

 そして次の瞬間。

 

「ッーハッハッハッハッハ!」

 

 空気を震わせるほどの、大きな笑い声を上げた。

 

 まるで、何かを待っていたかのように。あるいは、想定外の答えをもらったかのように。

 

「……なるほどな!まだ答えが見つかってないなりに絞り出した言葉が……そう来たか!」

 

 心底楽しそうに、そう言い放つ。

 

「え?どういう……?」

 

 あまりにも急な態度の変化に、場の七割ほどは状況が飲み込めず、ぽかんとする。

 

 だが――

 

「……まあ、だろうと思ったよ。」

 

 奏海は、どこか納得したように呟いた。

 数名もまた、長人の真意を察したらしく、大きくは驚いていない。

 

「いやはや、すまねぇ。さっきはらしくねぇことを言っちまった。」

 

 頭を掻きながら、長人はあっさりと謝る。

 

「……薄々そうだと思ってましたけど、やっぱり試してたんですね。」

 

 メリーは呆れ半分で言う。

 

「ああ。守護者ってのがどういう連中なのか、確かめたくてな。それにこの様子じゃ、ほとんど全員、2人と同じ気持ちっぽいし。」

 

 長人は周囲を見渡す。

 否定の声は上がらない。それが答えだった。

 

「……まあその、なんだ。この時空で、今何が起きているのか。その全貌を俺は知りたい。しかしな、調べれば調べる程に根が深い。裏に何層も何層もあるみたいでな……流石に1人では限界だ。」

 

 彼の声色が、ほんの少しだけ真面目になる。

 

「そこでだ。守護者は様々な逸材を集め、共に戦う存在でもあると知ってな。それで昨日や今日の様子を見て、見極めさせてもらっていたってわけだ。異変をどう解き明かし、どう解決出来るのか、そういう風に考えてさ。」

 

「それってつまり……」

 

 蓮子が言いかけるが、

 

「……おっと、合点がまだ早いぞ?」

 

 長人は手を軽く上げて遮った。

 

「次は戦闘面のテストをさせてくれ。そもそも、俺はお前達に頼みがあって接触したんだからな。」

 

「頼み……ってなると……」

 

 メリー達は顔を見合わせる。

 脳裏に浮かぶのは、昨日出現したあの異形。

 

 長人がダイボウケンを操作し、吹き飛ばした侵蝕世怪人。

 

「ああ……あの怪物だ。あれは元々、ある理由から俺が追っている犯罪者でな。」

 

 その目が、僅かに鋭くなる。

 

「単刀直入に言って、そいつを倒して確保したいんだ。」

 

 その言葉には、冗談も試しも含まれていなかった。

 

 

*****

 

 

 その頃のイリヤ達。

 

「あ、あの、これは何かむらむらして……すいませんでした変なスイッチが入って……」

 

 イリヤは床に両手をつき、見事な土下座を披露していた。

 

「い、いえ、イリヤが悪いわけじゃないし……」

 

 メイド姿の美遊は、困ったように視線を泳がせる。

 先程までの騒動を思い出し、少しだけ頬を赤らめた。

 

 ――ほんの数分前。

 メイド姿の美遊を見続け、再度イリヤの中で何かが弾け飛び、謎のテンションで暴走。結果、今に至る。

 

「……と、ところで、宇佐見さんとハーンさんはどうしたの?」

 

 空気を変えるように、美遊が話題を切り替えた。

 

「え?ああ、2人ならバイトだけど――わうっ!?」

 

 その瞬間。

 

 開け放たれた窓の外から、何かが高速で飛来した。

 

 ヒュンッ、と空気を裂く音。

 

「え!?い、今の何!?手裏剣!?」

 

「お、落ち着いてイリヤ……確かに凄い勢いで回ってたけど、手紙みたい……」

 

 壁に突き刺さっているのは、十字型の金具に固定された封筒だった。

 見た目はほぼ手裏剣だが、中心にはしっかりと手紙が結び付けられている。

 

 美遊は慎重にそれを抜き取り、封筒を開けた。

 

「……何コレ?」

 

「え、何々?……うん……?」

 

 イリヤも横から覗き込む。

 

 そこに書かれていたのは――

 

『果たし状:本日の深夜2時にて、静まり返った商店街にて、侵蝕世怪人と共に待つ』

 

 一瞬、部屋の空気が止まる。

 

「は……果たし状!?え、何で!?」

 

 イリヤの絶叫が、部屋いっぱいに響いた。

 

 

 

 







04に続く。



―――――

*注釈:本作品は、自著の文章をAI(ChatGPT等)で推敲・校正して投稿しています。ストーリーや台詞はすべて作者が作成したものですが、読みやすさ向上のために文章の整理を行っています。



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