ウルトラワールド:Scramble Engage 作:おろさん
その頃、√BACK-DOORSにて。
奏海たちは一か所に集まり、尾張長人と契約していたセイバーのサーヴァントから、何か情報を聞き出せないかと話をしていた。
「……」
しかし、そのサーヴァントは俯いたまま黙り込んでいる。
表情には、戸惑いと悔しさが入り混じっていた。
主である長人が突然さらわれたばかりなのだ。本人としても、状況を整理しきれていないのだろう。
「……色々あるのは分かるんだけど、何か知ってる事とか教えてくれない?」
鈴夜が、できるだけ穏やかな口調で促す。
だが――
「……悪ィけど、言えねぇ。令呪まで使われて、喋るなって言われてるんだ。アイツ、自分から認めた人間に『U時空考古学』だとかを喋りたいっつーこだわりがあってよ……」
サーヴァントは苦い顔でそう答えた。
『令呪』。
それはマスターとサーヴァントの契約によって身体、主に手の甲に刻まれる紋章であり、魔力供給の証であると同時に、サーヴァントに対する絶対命令権でもある。
どうやら長人は、その令呪を使って――
自分の調べていた事を、サーヴァントの口から外部に話せないよう命じていたらしい。
「それにアイツ元々、何か警察とか騎士団っぽい組織の一員らしくてさ。その責任と、あと調べてたその考古学が重要なモノっぽいって理由から、大事な事は徹底的に秘密にしてたのもある。」
そう付け加えるサーヴァント。
その言葉を聞きながら、
「悉く裏目に出てますね……」
ありすが小さく呟く。
周囲にいた面々も、呆れ半分、そして心配半分といった様子で話を聞いていた。
「マスターを倒したやつも、正直心当たりがないわけじゃないんだが……アイツが使ってた武器がU時空考古学ってのに関係するからなのか、言葉に出来ねぇ……」
サーヴァントは歯噛みするように続ける。
「改めて言うが、オレから得られる情報なんて全くと言っていい程無ぇ。知ってるにしても、口酸っぱく言われてたせいで大したことも言えない。」
その声には、はっきりともどかしさが滲んでいた。
知っているのに、言えない。
それが今の彼女の状況だった。
「……あー、ったく! まどろっこしいんだよさっきから!」
ついに、奏海が痺れを切らす。
勢いよく立ち上がり、そのままサーヴァントの前まで歩み寄った。
「えーっと……ああもうめんどくさいから言うが、サーヴァント『モードレッド』!」
その名前を聞いた瞬間。
サーヴァント――モードレッドは驚いて顔を上げた。
「……って、ああそうか。あの時宝具使ったから、それで察したってのか……」
すぐに納得したように呟く。
先の戦闘で彼女は宝具を使っている。
『
「モードレッドって、アーサー王のやつだったっけ?でもその人って男の人じゃ……」
ツクモが首を傾げる。
「ああ、たまにあるんだよ。男性として知られてる大昔の人が、実は女性でしたーってやつ。」
鈴夜が軽く補足する。
英霊の真実は、必ずしも歴史書の記述と一致するとは限らないのだ。
「あんまホイホイ使う技じゃねぇが……」
そのやり取りの横で、奏海がぽつりと呟く。
そして右目にかかっていた髪をかき上げた。
隠れていた右目が、淡く光を帯びる。
その光がまっすぐ――モードレッドへ向けられた。
「うおっ!?何すんだよ急に……ん?」
一瞬驚いたモードレッドだったが、すぐに違和感に気づく。
さっきまで胸の奥に引っかかっていた、あの強いもどかしさが――
消えていた。
「何だ?モヤモヤしてたのが何かスッキリしてやがる……」
首をかしげながら呟く。
そして、ふと奏海を見て目を細めた。
「お前、まさか令呪の命令をかき消し――」
「それについては後だ」
奏海がすぐに言葉を遮る。
「多くは求めないから、話してくれないか。あの狩人の事も、この世界で何が起きてるのかも。」
その声音は、先ほどまでの苛立ちとは違い――
まっすぐに真実を求めるものだった。
*****
その頃。
「貴方、一体……?」
美遊の前に現れたのは、金色に近い髪を三つ編みにした少女だった。黒い瞳を持つ、どこか落ち着いた雰囲気の少女である。
「ああ、失礼。私はこういう者です」
そう言って、少女は一枚の名刺を差し出した。
受け取った美遊が視線を落とす。
そこには――
『蛯名コロモ』
と書かれていた。
……無論、既に勘のいい者なら気付くだろうが、その話はまた後である。
「ど、どうも……」
美遊は少し戸惑いながら頭を下げる。
「急に話しかけてしまい、すみません。何やら随分とお悩みのようでしたので……」
コロモはそう言いながら、美遊の方へ一歩近づいた。
「……いえ、何も……」
しかし美遊は、視線を落としたままそう言うと、ルヴィアの豪邸の方へ戻ろうと歩き出す。
その背中に――
「……そうやって、目を逸らすつもりですか?」
コロモが、ふいにそんな言葉を投げた。
「……何が言いたいの?」
思わず、美遊は振り返る。
「いえ、失敬。仕事柄なのか、生まれつきの才なのか……」
コロモは軽く肩をすくめる。
「はたまた、私の家族にそっくり故か。何かを抱え込もうとしている人を見ると、どうも踏み込んでしまうのですよ」
「……」
美遊は何も答えない。
「……とはいえ、今は深追いするのは止しましょう」
コロモはあっさりと話題を切り上げた。
「流石にこの場で言うべき話題ではないので」
その言葉の直後だった。
「あれ、美遊?」
声が聞こえる。
振り向くと、そこにはイリヤが立っていた。
どうやら蓮子とメリーと一緒に外出するところだったらしい。
「その人は……?」
イリヤが、美遊の隣に立つコロモを見て首を傾げる。
「おや……」
コロモは三人の顔を見渡した。
そして、特に――蓮子とメリーに視線を向ける。
ゆっくりと近づきながら、ぽつりと呟いた。
「こんなところに、見知った顔がいるとは」
「え?あの……」
「どこかでお会いしましたっけ……?」
蓮子とメリーは、そろって首を傾げる。
「おや……?」
その反応を見て、今度はコロモの方が首を傾げた。
彼女の記憶では、この二人とは確かに過去に会っているはずだ。
だが、この様子だと――本当に覚えていないらしい。
それもそのはず。
蓮子とメリーは、冬木市へ転移する前の記憶をほとんど失っている。
転移直前の出来事すら曖昧な状態なのだ。
そのため、コロモの存在を覚えていないのも無理はない。
――と、その時。
「AAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!!!!」
突然。
耳をつんざくような、凄まじく――そして不気味な雄叫びが響き渡った。
「今のって、まさか……!!」
イリヤ達が顔を見合わせる。
同時に、ポケットに入れていたプロテクターへメール通知が届いた。
送信者は、遠坂凛。
内容は――
クレイジークロックの戦力が出現した。
という緊急連絡だった。
「……行こう、美遊!」
「……うん」
イリヤの言葉に、美遊は一瞬だけ俯く。
だがすぐに顔を上げ、二人は声のした方向へと走り出した。
残されたのは――
「……」
コロモ一人。
彼女は遠ざかる背中を見送りながら、小さく呟く。
「思ったよりも早いな……好都合ではあるが、過度なことをやってくれる……」
どこか呆れたような口調だった。
「まあいい。今は利用するしかあるまい」
わざわざ起きた騒ぎだ。
使えるものは使う。
コロモは、静かに視線を細めた。
「……試させてもらうぞ」
その視線の先にいるのは――
「美遊・エーデルフェルト、それと、
*****
広い交差点にて。
「ジリリリリリッリリ!!!」
甲高い機械音を響かせながら、七体ほどのウォークロックが暴れ回っていた。
手にした魔法の杖のような銃を振り回し、無差別に発砲している。
突然の異常事態に、周囲の市民は状況を理解できないまま逃げ惑っていた。
「AAAAAAAAAAGAAAAAAAAAAA!!!!」
その中心には――
赤黒く歪んだ獅子のような巨大な頭部を持つ
両手から炎を放ち、周囲を焼き払いながら暴れ回っている。
「侵蝕世怪人……!久々に人前で堂々と……!」
「早く倒さないとよね!行きましょう!」
蓮子とメリーが素早く状況を判断する。
「(……今は、余計な事は考えない。)」
美遊は小さく呟いた。
「美遊……?」
その様子を見て、イリヤが首を傾げる。
だが、すぐに三人はそれぞれの守護者の指輪を取り出し――クロステライザーへと装着する。
【UNCOVER THE SECRETS:GUARDIAN『メモリア』!!!】
【DRAW THE RAINBOW:GUARDIAN『プリズマ』!!!】
【COMPASSION THE SILENCE:GUARDIAN『サファイア』!!!】
眩い光に包まれ、三人は守護者の姿へと変身。
そのまま一直線に敵陣へ飛び込んだ。
【『プリズマアックスセイバーU』!!!】
「せいやぁっ!!!」
プリズマが武器を斧形態へ変形させ、地面へ叩きつける。
衝撃が地面を伝い、交差点全体が揺れた。
突然の振動に、ウォークロック達の動きが一瞬止まる。
「これで……こう!!」
その隙にプリズマがクロスタルプロテクターを起動。
周囲に結界が展開され、空間が歪む。
次の瞬間――
戦場は、一般人の視界から完全に切り離された特殊空間へと転移していた。
既に凛達が周囲の避難誘導を済ませている。
なので、これで遠慮なく戦える。
「ジカカカカカ!!!」
ウォークロック達が一斉に襲い掛かる。
三人はクロステライザーとそれぞれの専用武器を駆使し、次々と攻撃を叩き込んでいった。
「VAAAAAAAAAAAAAAAA!!!!」
アース世怪が咆哮。
再び炎を噴き上げながら、大剣を振り回す。
「わっと……!!」
横から振り抜かれた剣を、プリズマが軽やかに回避する。
【『サファイアドリルランサーU』!!!】
「迅速に……刺す……!!」
サファイアが一気に距離を詰める。
ドリルランサーの高速回転を唸らせながら、連続の突き。
「GI……!!」
何度も突き込まれた衝撃に耐えきれず、アース世怪はバランスを崩し――そのまま地面へ転倒した。
「隙は与えさせない……!!」
サファイアはそのままランサーに力を溜める。
とどめの一撃を叩き込もうと、槍を振り上げた――
「ちょっと待った!」
――銃声。
弾丸がドリルランサーへ直撃した。
「っ……!?」
衝撃でサファイアの攻撃が弾かれる。
その隙にアース世怪は転がるように逃げ、距離を取った。
「だ、誰……って、あれっ!?」
次の瞬間。
展開していたはずのプロテクターが、突然解除された。
結界が霧のように消えていく。ただし幸い、周囲に一般人はいないようだ。
「な、なんでプロテクターが……?」
メモリアが困惑する。
銃弾が飛んできた方向を見ると――
そこに二人の少女が立っていた。
一人は黒に近いショートミディアムの髪をした青い瞳の少女。
もう一人は白く長い髪を持つ緑の瞳の少女。
「ダメじゃないか。折角の実験体をそんなあっさり倒しちゃ」
青い瞳の少女が肩をすくめる。
「同感」
緑の瞳の少女が静かに頷いた。
「プロテクター、貴方達が解除したの?」
メモリアが警戒しながら問う。
「私達自身がやったわけじゃないけどね」
青い瞳の少女は、意味深にそう答えた。
二人から漂う気配は、明らかに普通ではない。
「名乗りたいところだけど、準備が整わないと風情に欠ける」
緑の瞳の少女が言う。
「だからまあ、先に名乗って」
そう言って、プリズマ達の背後を指さした。
振り向く。
そこには――
チャイナ服姿の、ついさっき美遊達と接触してきた人物が立っていた。
「……その態度だけはどうにかしろ、別動隊」
前座のように扱われ、コロモは露骨に嫌そうな顔をする。
「貴方、さっきの……!?」
サファイア達が驚く。
「みんな!」
そこへ、既に変身したビビットとガイアが駆けつける。
「ちょっと、なんでプロテクターが解除され……」
「……待ちなさい、あそこにいる者達は一体何者なのかしら?」
「何だか不気味な雰囲気です……!」
凛、ルヴィア、桜も合流した。
「……おい、あそこにいるチャイナ服の女ってまさか……」
ガイアとビビットは、コロモの姿に見覚えがある様子だった。
「……数が増えて来たか」
コロモは周囲を見渡す。
「……まあ、私も名乗らねば不作法ではある」
そう言うと、ゆっくりと前に出た。
「私はコロモ……クレイジークロック所属の『蛯名コロモ』。指輪回収の主な担当であり……この度、新たな力を手に入れた」
そう言って取り出したのは――
ガントレット型の銃。
そして奇妙なクロスタルリング。
銃の手の甲部分には、『タイムハンター』という題名のクロステラノベルが装着されている。
「それって……!!?」
その武器には、見覚えがあった。
先の戦いで――
尾張長人を倒し、彼を連れ去ったあの狩人の武器。
「
コロモは指輪を銃――『タイムブラスター』へ装着する。
すると。
ピアノとギターを組み合わせたような音色が鳴り響いた。
どこかエレガントで、どこか不気味。
洒落た旋律が戦場に流れる。
音楽に合わせて銃身を鳴らす。
くるりと回転し――
光と装甲が彼女を包み込んだ。
ゆっくりと振り向く影。
スタイリッシュな装甲。
だが同時に、重厚なパワータイプの構造。
翻るマント。
そして――
狩人の仮面。
その姿は、まさしく戦場のハンター。
【HUNTER SYSTEM『EYES』】
その名を――
狩人『アイズ』。
03に続く。
―――――
*注釈:本作品は、自著の文章をAI(ChatGPT等)で推敲・校正して投稿しています。ストーリーや台詞はすべて作者が作成したものですが、読みやすさ向上のために文章の整理を行っています。