ウルトラワールド:Scramble Engage   作:おろさん

37 / 46
見つめる狩人シンフォニー 04

 

 

「AAAAAAAA!!!AAAAAAA!!!」

 

 暴走したアース世怪が、理性を失ったように絶叫する。

 

「っ……」

 

 サファイアは歯を食いしばりながら、その前に立っていた。

 

 背後には――動かないプリズマ。

 

 アース世怪が、『無理やり暴走させられた尾張長人』という事実。先ほどそれを知った衝撃で、プリズマは完全に動きを止めてしまっている。

 

 サファイアは、そんな彼女を守るように前へ出て、アース世怪と対峙していた。

 

 だが――状況は圧倒的に不利だった。

 

 アース世怪の身体から吹き出す炎が、まるで暴風のように周囲を焼き払っている。

 

 近づこうとしても、その炎が壁のように立ちはだかり、まともに接近することすら出来ない。

 

 しかも。

 

 最悪のタイミングで――

 

 新たな敵が現れた。

 

 巨大な影が空から降り立つ。

 

 それは、レボルキング・マスパーマリサーだった。

 

『ほらほら、ぼさっとするんじゃない』

 

 軽い調子の声が響く。

 

 だがその声とは裏腹に、操縦しているシゲツの動きに一切の躊躇はない。

 

 レボルキング・マスパーマリサーの右腕パーツ――巨大な大砲『マスパーマリサーランチャー』が持ち上がる。

 

 次の瞬間。

 

 砲口から、無数の魔法弾が放たれた。

 

 まるで雨のように、サファイア達のいる方向へ降り注ぐ。

 

「危ないっ……!!」

 

 サファイアは反射的に動いた。

 

 まだ硬直しているプリズマの身体を抱えるようにして、魔法弾を避ける。

 

 だが、それだけでは終わらない。

 

 アース世怪の炎も同時に迫ってくる。

 

 炎と魔法弾。

 

 二つの攻撃を同時に回避し続けるのは、さすがに限界があった。

 

 足元が崩れ――

 

「っ……!!」

 

 サファイアは転倒する。

 

『ああもう何やってんのさ。そんなんじゃ物足りな――』

 

 シゲツが呆れた声を出す。

 

 レボルキング・マスパーマリサーの大砲が、ゆっくりと狙いを定める。

 

 砲口の向きは――

 

 倒れているサファイアと、動けないプリズマ。

 

 その二人へ向けられていた。

 

「せえええええええいっ!!!!」

 

 その瞬間。

 

 横から巨大な影が飛び込んできた。

 

 鋼鉄の拳がレボルキング・マスパーマリサーへ叩きつけられる。

 

 衝撃と共に、レボルキングの巨体が吹き飛ばされた。

 

【『クロステラカイザーメモリア』!!!】

 

 現れたのは、クロステラカイザーメモリア。

 

 メモリアが操縦する巨大ロボだ。

 

 どうやらメモリアは急行し、到着と同時にクロステラカイザーを顕現させたらしい。

 

「間に合った……!!」

 

 メモリアはコックピットから周囲を確認する。

 

 サファイアとプリズマがまだ無事なのを見て、胸を撫で下ろした。

 

 だが――

 

 プリズマの様子がおかしい。

 

 立ち上がろうともしない。

 

 完全に動きが止まっている。

 

『ちょっとちょっと、邪魔するとかアリ?……まあ、ざっくり仕留めさせてもらうけど!』

 

 吹き飛ばされたレボルキングが体勢を立て直す。

 

 シゲツの声が、楽しげに響いた。

 

『でしたら!!』

 

 そこへ、別の声が重なる。

 

 はきはきとした、妙に元気な声だった。

 

 時計を介し、別の巨大ロボが出現する。

 

 ソウクレイザーだ。

 

 パイロットのウォークロックの右腕には、禁忌の薬師の紋を慈愛の心と医療器具が不気味に囲い、命の脈動を刻み続ける、看護師用時計を模った腕章がつけられている。

 

 パトレボルシオンナイツ『キレンナ・ヘルパーシ』

 

『このパトレボルシオン親衛隊であるキレンナ・ヘルパーシが、シゲツ様を助太刀させていただきます!』

 

 誇らしげに名乗るキレンナ。

 

『ふぅん、ま、頼りにさせてもらうよ。』

 

 だがシゲツの反応は、あくまで軽い。

 

 どう見ても、本気で頼りにしているというより――

 

 弾除け程度にしか思っていない態度だった。

 

 それでもキレンナは気にする様子もなく、

 

 ソウクレイザー・エーリーンを前へ進ませる。

 

『消し飛ばす……!!』

 

 シゲツが叫ぶ。

 

 レボルキング・マスパーマリサーの砲口が光る。

 

 同時に射撃開始。

 

 魔法弾が一斉に放たれる。

 

 キレンナも続き、ソウクレイザー・エーリーンの武装――『エーリーンボウガン』から矢を連続発射した。

 

「早いけど……!!」

 

 メモリアは即座にクロステラカイザーメモリアを操作する。

 

 敵の攻撃を避けながら、機体を横へ滑らせる。

 

 そして建物の陰へ潜り込み、射撃戦へ持ち込もうとする。

 

「(とは思ったけど、あの感じ、こっちを倒すためなら破壊に遠慮が無いと見たわ……)」

 

 メモリアは冷静に状況を分析する。

 

 特に危険なのは――

 

 レボルキング・マスパーマリサー。

 

 あの火力で建物ごと撃ち抜かれれば、隠れる意味は無くなる。

 

 クロステラカイザーの右腕の銃を構え、牽制射撃を行う。

 

『ふーん、わざわざ誘い込むなんてねぇ!!』

 

 シゲツが笑う。

 

 レボルキングのランチャーが再び光り始めた。

 

 巨大な魔力が集中していく。

 

「今だ……!!」

 

 その瞬間を待っていた。

 

 メモリアは、クロステラカイザーの武装を起動する。

 

 タイヤ型のエネルギー弾が放たれた。

 

 狙いは――

 

 レボルキングのランチャーの砲口。

 

『っ……!!?』

 

 エネルギー弾が見事に砲口の内部へ突入する。

 

 次の瞬間。

 

 内部でエネルギーが暴発した。

 

 爆発と共に、ランチャーが大きく破損する。

 

「よし……!!」

 

 メモリアがコックピット内でガッツポーズをする。

 

『お前っ……!!』

 

 シゲツの声に苛立ちが混じった。

 

 しかし――

 

『ご安心くださいシゲツ様!このソウクレイザー・エーリーンのスペシャルな機能にお任せあれ!』

 

 キレンナが自信満々に言う。

 

 ソウクレイザー・エーリーンの左腕パーツ――『ヒールアンテナ』が展開された。

 

 そこから放たれる特殊な音波。

 

 その波動がレボルキング・マスパーマリサーへ降り注ぐ。

 

 すると――

 

 破壊されたはずのランチャーが、みるみるうちに修復されていく。

 

「うそっ……!?」

 

 メモリアが思わず叫ぶ。

 

『へぇ……便利じゃん。流石に見直さないとね……!!』

 

 シゲツが愉快そうに笑う。

 

 完全に修復されたランチャーが再び構えられた。

 

 レボルキング・マスパーマリサー。

 

 そしてソウクレイザー・エーリーン。

 

 二体の巨大ロボが並び立ち――

 

 再びクロステラカイザーメモリアへ迫ってくるのだった。

 

 

***

 

 

「SFRWERWERWEEWRFWEREWRARRAWERWRFW!!!Q」

 

 暴走したアース世怪が、意味の分からない咆哮を上げながら炎を乱射する。

 

 サファイアはその攻撃を避けながら、まず最優先でイリヤを戦場から離れた場所へ避難させていた。

 途中で変身が解けてしまったイリヤを、このまま前線に置いておくわけにはいかなかったからだ。

 

 だが――

 

 状況は、決して好転していない。

 

 確かに向こうでは、メモリア達がレボルキングを抑えてくれている。

 しかし、それでも目の前のアース世怪は凄まじい暴走状態に陥っていた。

 

 その猛攻を、サファイア一人で食い止めるのは――明らかに無理があった。

 

「GINNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNGAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAANOOOOOOOOSEEEEEEEEEEEEEEEEEIBAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!!!!」

 

 アース世怪が絶叫する。

 

 炎だけではない。

 

 燃え盛る剣を振り回し、滅茶苦茶に薙ぎ払う。

 

「っ……!!」

 

 サファイアは何とかそれを回避する。

 

 だが、徐々に後退を余儀なくされていた。

 

 炎の波、巨大な斬撃、止まらない猛攻。

 

 その全てが、じわじわとサファイアを追い詰めていく。

 

「っ……だめ……なのに……」

 

 その様子を、イリヤは遠くから見ていた。

 

 必死に身体を動かそうとする。

 

 だが――

 

 動けない。

 

 身体が、まるで凍りついたように動かなかった。

 

 頭では理解している。

 

 今すぐ止めなければ、尾張長人はもたない。

 

 あの不気味な宝石に操られ、無理やり暴走させられている状態なのだから。

 

 だが――

 

 もし倒してしまったら?

 

 人格を反転させられている彼を、元に戻せる保証はない。

 

 下手をすれば、そのまま命を落とすかもしれない。

 

 イリヤにとって、それだけは絶対に避けたい未来だった。

 

 もともと人を見捨てることが出来ない性格。

 

 その優しさと、戦う覚悟の揺らぎ。

 

 それらが絡み合い――

 

 イリヤの身体を完全に縛り付けていた。

 

「動いて……動いてよっ……」

 

 震える声が漏れる。

 

「このままじゃ、美遊もっ、長人さんもっ……」

 

 呼吸が荒くなる。

 

「何で……」

 

 胸が締め付けられる。

 

 やがて――

 

 イリヤは過呼吸を起こし始めていた。

 

 その時だった。

 

「嗚呼……可哀そうに……」

 

「っ!!?」

 

 声がした。

 

 すぐ後ろから。

 

 イリヤが振り向くと、そこには一人の女性が立っていた。

 

 教会のシスターのような衣装。

 

 だが――

 

 どこか歪んでいる。

 

 装飾も、布の重なりも、何かがおかしい。

 

 そして何より。

 

 浮かべている笑みが、あまりにも不気味だった。

 

「怖いわよね?苦しいわよね……?」

 

 女は優しい声で語りかける。

 

「私が救ってあげる……」

 

 その声は甘く、慈悲深いようにも聞こえる。

 

 だが同時に――

 

 言葉では説明できない異常さが滲み出ていた。

 

「こ、来ないで……」

 

 イリヤは後ずさる。

 

 だが、女性は静かに歩み寄ってくる。

 

「イリヤ……!?」

 

 その光景に気づいたサファイアが叫ぶ。

 

 すぐに駆けつけようとするが――

 

 アース世怪が立ちはだかる。

 

 激しい炎の猛攻が、それを許さない。

 

「迷える魂に……我が救済を……」

 

 女はゆっくりとマスケット銃を取り出す。

 

「全てを諦めて……楽になりなさい……」

 

 銃口が――

 

 イリヤへ向けられる。

 

「っ……イリヤ――」

 

 サファイアの声が届く前に――

 

 

***

 

 

『しぶといなぁ、もう……!!』

 

 シゲツが苛立った声を上げる。

 

 レボルキング・マスパーマリサーのランチャーから放たれる攻撃を、クロステラカイザーメモリアがギリギリで回避し続けていた。

 

「だったら……!!」

 

 メモリアが操縦桿を引く。

 

 クロステラカイザーが素早く体勢を変え、再び武装を展開する。

 

 放たれたのは――

 

 タイヤ型のエネルギー弾。

 

 弾丸は大きくカーブしながら飛び、狙いを定めた。

 

 ソウクレイザー・エーリーンの左腕パーツ。

 

『何ッ!!?アンテナが……!!』

 

 ヒールアンテナが粉砕される。

 

 修復能力の要となる装置を破壊され、キレンナの声に焦りが混じった。

 

「これでもう復元は出来ない……!!」

 

『ふぅん、考えるじゃん……ん?』

 

 シゲツは特に気にした様子もなくレボルキングを動かそうとする。

 

 その時。

 

 通信が入った。

 

『ヴァーレン?急にどうしたのさ。』

 

『コンバーサリー様が出向いた。私達は、侵蝕世怪人を連れて撤退しろと命令だ。』

 

 短く、事務的な声だった。

 

『……了解。

 あ、命令が出たから、私達はこれで。』

 

 シゲツはあっさりそう言うと、レボルキング・マスパーマリサーを反転させる。

 

 そのまま、この場から撤退しようとした。

 

「撤退……!?って、逃がさないわよ!!色々と聞きださなきゃならないんだからっ!!」

 

 メモリアはすぐさま追撃の準備に入る。

 

 クロステラカイザーにエネルギーを集中させた。

 

「『クロステラカイザー・秘封クロスショット』!!!」

 

【『メモリア』RIDER SHOOTING!!!!】

 

 背中パーツのタイヤが二つ射出される。

 

 同時に、右腕パーツの銃から強力なレーザーが発射された。

 

 狙いはレボルキング・マスパーマリサー。

 

 だが――

 

『かくなる上は、盾となる!!!』

 

 キレンナが叫ぶ。

 

 ソウクレイザー・エーリーンが前へ飛び出した。

 

 レボルキングの前へ割り込み、攻撃を全て受け止める。

 

『パトレボルシオンに栄光あれえええええええええええええええええ!!!!』

 

 その叫びと共に。

 

 ソウクレイザー・エーリーンは、パイロットのキレンナごと爆散した。

 

 爆発の跡から、光る本が飛び出す。

 

 『ドクターエーリン』というタイトルのクロステラノベル。メモリアはそれを回収した。

 

 だが、その隙に――

 

 レボルキング・マスパーマリサーの姿は消えていた。

 

「逃げられちゃったけど……」

 

 メモリアが悔しそうに呟く。

 

 しかし今はそれよりも。

 

「それはそうと、早くイリヤちゃん達のところに――」

 

 そう言ってクロステラカイザーを動かそうとした。

 

 その時。

 

 パァン!!

 

 乾いた銃声が響いた。

 

 その音がした場所は――

 

 ちょうど。

 

 イリヤ達がいる方向だった。

 

「まさか……」

 

 メモリアの背筋に、嫌な予感が走った。

 

 

***

 

 

 同時刻。

 

 謎のシスターの女性が放った、銃弾らしきもの。

 

 それが――

 

「あ……ああっ……!!」

 

 サファイアの、動揺した声が響く。

 

 放たれた銃弾は、まっすぐに飛び――

 

 イリヤの身体を貫いていた。

 

「っ……っ……!!?」

 

 衝撃に耐えきれず、イリヤの身体が後ろへ崩れ落ちる。

 

 地面に倒れ込むその姿を見て、サファイアの顔が青ざめた。

 

「おや……?」

 

 しかし。

 

 銃を構えていた女性は、意外そうに首を傾げた。

 

「おかしいですね……何故効果が出ない……?いえ、ジュエルは既に生み出されているハズ……」

 

 女性は、淡々と呟く。

 

 確かに彼女は――イリヤの心臓を撃った。

 

 だが今、彼女が不思議に思っているのは、イリヤが生きていることではない。

 

 撃った“結果”が、想定と違っていることだった。

 

「イリヤちゃんっ!!!」

 

 そこへ、メモリアが飛び込んでくる。

 

 クロステラカイザーから飛び降り、そのままクロステライザーを振り抜いた。

 

 鋭い一閃が、女性を斬り裂こうとする。

 

 しかし――

 

「はぁ……腹立たしいですが、下見は十分でしょう。」

 

 その刃が届く寸前。

 

 女性の姿は、ふっと霧のように消えた。

 

 まるで最初から存在しなかったかのように。

 

 そのまま、姿をくらましてしまう。

 

「SCXESAWZCWAZWACZWAZWZA!!!!」

 

 暴走したアース世怪が、なおも意味不明の叫びを上げる。

 

「はーいはい帰還帰還」

 

 軽い声が響いた。

 

 ヴァーレンだ。

 

 彼女は手をかざすと、奇妙な紋様のバリアを展開する。

 

 そのバリアが暴走するアース世怪を包み込み――

 

 強引に拘束した。

 

 アース世怪は抵抗するが、暴走しているせいでまともに制御が効いていない。

 

 そのまま、ヴァーレンはアース世怪を連れて空間の裂け目へ消えていった。

 

「イリヤっ……!!」

 

 敵が去ったのとほぼ同時に。

 

 変身を解いた美遊が、全力で駆け寄ってくる。

 

 後ろからは、同じく変身を解いた蓮子とメリーも続いていた。

 

「美遊……蓮子に、メリー……」

 

 イリヤはかろうじて声を出す。

 

 意識は――ある。

 

 だが、身体がうまく動かせない。

 

 胸のあたりを押さえようとしても、腕に力が入らないようだった。

 

「生き……てる……」

 

 美遊が、震える声で呟く。

 

 イリヤは確かに生きている。

 

 それを確認して、胸を撫で下ろす。

 

 だが同時に。

 

 その表情には、もう一つの感情が浮かんでいた。

 

 悔しさ。

 

 そして、自分を責めるような苦い感情。

 

 その時だった。

 

「ぐあっ……!!!」

 

 後方で爆発音が響く。

 

 次の瞬間。

 

 モードレッドとビビットが吹き飛ばされ、地面に叩きつけられた。

 

 その後ろでは、ありすと文香を抱えたガイアが後退している。

 

「別動隊は退いたか……しかし……」

 

 爆煙の中から、二つの影が歩み出てくる。

 

 ドクター・エビテン。

 

 そして、狩人アイズ。

 

 二人は遠くからイリヤ達の様子を見つめていた。

 

「コンバーサリー……余計なマネを……」

 

 アイズが小さく呟く。

 

 声には、明らかな苛立ちが混じっていた。

 

「待て……あの感じは……」

 

 しかし次の瞬間、エビテンは眉をひそめる。

 

 どこか引っかかるものを感じたようだった。

 

 それは――

 

 先ほどのシスターの女性が抱いていた疑問と、どこか似ていた。

 

「……気になるところではあるが……今はここらで切り上げさせてもらう。」

 

 やがて、狩人アイズ――変身を解いたコロモがそう言う。

 

 そして、スマートフォンを取り出す。

 画面に映る時計が光り、二人の姿は光に包まれ――

 

 そのまま転送され、撤退していった。

 

「おい……一体何が……」

 

 変身を解除した奏海が、困惑した声で尋ねる。

 

 だが。

 

 蓮子とメリーは言葉を失っていた。

 

 美遊も、イリヤを抱えたまま沈黙している。

 

 まるで、何を言えばいいのか分からないかのように。

 

「ちょ、ちょっと……さっきまで何が起きたの……?」

 

 そこへ、凛達が駆け戻ってくる。

 

 状況を見て、慌てて問いかける。

 

 しかし。

 

 誰も答えない。

 

 重い沈黙だけが、その場に落ちた。

 

 ……確かなのは、二つだけだった。

 

 一つ。

 

 今回の戦いは、ほとんど敵の思惑通りに進んだこと。

 

 そしてもう一つ。

 

 イリヤの身体に――

 

 何か、良くない影響が残された可能性があるということ。

 

 誰も口にしない。

 

 けれど、この場にいる全員が、同じ不安を胸の奥で感じていた。

 

「イリヤ……私……ああ……」

 

 美遊が、震える声で言葉を紡ごうとする。

 

 だが、その先が続かない。

 

 何を言えばいいのか。

 

 どう謝ればいいのか。

 

 そもそも、何が起きたのかさえ――まだ分からない。

 

 言葉になりかけた声は、そのまま空気に溶けていった。

 

 周囲には、ただ重たい沈黙だけが広がる。

 

 遠くで、戦いの余波で崩れた瓦礫が小さく転がる音がした。

 

 その静けさの中で。

 

 イリヤは、かすかに息を吐く。

 

 意識はある。というより、そもそも命に別条は全くない。

 

 だが、心の中に、何かが入り込んでいる。不気味で、おぞましい何かが。

 

 イリヤは、苦痛の中で、それを感じ取っていた。

 

 それが何を意味するのか。

 

 この時、まだ誰も知らなかった。

 

 

 

――続く

 

 






=NEXT=

イリヤ「不気味な何かを植え付けられた私は、守護者でいる事の意味と、その代償を知る。

感じた事のない恐怖を何度も味わって、守護者であり続ける事を迷い始めた私の元に現れたのは……私のママだった。

そんな中、美遊は何か思いつめて……しかもその美遊の前に、狩人アイズがまた襲い掛かってくる。そのピンチに、私は……私達は……!

次回、第10話『カレイドスコープ・エール』!




……その力で、奇跡を起こす……!!」


・今サブタイトルの元ネタ:戦記絶唱シンフォギア

***


侵蝕世怪人(ワールドロイド)・巨大戦力=
『アース世怪(ワイルド)
使用指輪:星獣戦隊ギンガマン
憑り付いた人物:尾張長人(強制暴走)
侵蝕スキル:暴走する銀河の炎スキル

『ソウクレイザー・エーリーン』
搭乗者:パトレボルシオンナイツ『キレンナ・ヘルパーシ』
(ウォークロックの名前の元ネタ:キモナシ先生(妖怪ウォッチ)、フレンズヘルパー(星のカービィ))
固有武器:エーリーンボウガン、ヒールアンテナ
ベース:八意永琳



―――――

*注釈:本作品は、自著の文章をAI(ChatGPT等)で推敲・校正して投稿しています。ストーリーや台詞はすべて作者が作成したものですが、読みやすさ向上のために文章の整理を行っています。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。