ウルトラワールド:Scramble Engage   作:おろさん

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ノーモア・トレンディドラマ 05

 

 

「デストロォォォイ!!!」

 

 デストロイマンは右の手の平を突き出し、そこから何度もエネルギー弾を撃ち放つ。

 

「遅ェ!!」

 

 トラヴィスたちは、微妙に速度の遅いそれを見事にかわし、難なく距離を詰めようとする。

 

「ジカカカカカ!!!」

 

 だが、デストロイマンの背後から姿を現したウォークロックたちと、横から容赦なく銃弾を浴びせてくる無人機により、近づくことすらできない。

 

「鬱陶しい……!!」

 

 舌打ちするリーゼロッテの苛立ちに反して、ウォークロック数体が逆に距離を詰めてくる。

 

 迎え撃つトラヴィスとヴァイスがそれぞれ剣武器を振るうと同時に、リーゼロッテもトランクから人形エルフリーデを展開。

 

 ウォークロックの軍隊は次々切り伏せ、無人機もいくつか破壊したが、肝心のデストロイマンには何の攻撃も出来ていない。

 

「フハハハハハハ!!どうだ、私の力を思い知るがいいトラヴィス!!」

 

 挑発しているかのような態度で、ただ淡々とエネルギー弾を放ち続けているようだ。

 

「どこがテメーの力だよ、相変わらず姑息な戦法ばっか使いやがって……」

 

「かなり面倒……せめて残りのモビルドールを潰せばなんとかなるけれど……!」

 

 苛立ちを募らせるトラヴィスとリーゼロッテ。だが、状況は変わらないままだ。

 

「どうだトラヴィス……新たに手に入れたこの力を!さぁ、このまま私の最大奥義で貴様をデスト――」

 

 その時だった。ずっと余裕な態度を取っているデストロイマンの隣、その位置にいたモビルドールが粉砕された。

 

 突然の爆音に唖然とした様子で真横を見ると、彼の目前には、トーラスやバッタとは別の機動兵器が佇んでいた。

 

 その機動兵器の名を『ガンダム』。両腕が龍の頭のような武装となっているそれは、『アルトロンガンダム』だった。

 

「無人機を操っているのは貴様か……」

 

 コックピット越しにデストロイマンを睨みつけるのは、そのガンダムを操る青年『張五飛(チャン・ウーフェイ)』だ。

 

 不意打ちをくらったため、デストロイマンはかなり面食らっていた。

 

「うおマジかよ、あれってガンダムじゃねぇか!?」

 

「(さっきのはドラゴンハング……つまりあれはアルトロンガンダム……?)」

 

「(となるとアレに乗っているのは、革命戦争以降ずっと行方知れずだったという張五飛……?)」

 

 反対に、生でガンダムを見れた事にトラヴィスは純粋に感心しており、リーゼロッテとヴァイスはそのガンダムがこの場にいること自体に困惑半分だ。

 

「(見ているかトレーズ。今世界は、戦いを望んでいるんだ。俺は証明してみせる……お前達の導いた世界が、誤りである事を……!!)」

 

 そんな一同の態度に一切の反応を示さず、五飛はアルトロンガンダムの腕の武装『ドラゴンハング』を、残りの無人機に向けて伸ばす。

 

「まさか噂のガンダムまで現れるとは。だが問題は無い。奥の手で貴様もデストロイし――」

 

「うらっ!!」

 

 デストロイマンは、さっきまで焦っていたとは思えない振舞いでアルトロンガンダムの方に視線を向けていた。

 

 しかし完全によそ見をしている彼の隙を突き、トラヴィスは地面を蹴って背後に回ると、そのままビーム・カタナを振り下ろした。

 

 これにより、デストロイマンは爆散した。

 

「随分とあっけない……」

 

「いえ、まだよ。」

 

 あっけなく相手が倒れた事に戸惑い半分のヴァイスに、リーゼロッテはそう告げる。

 

「デストロォィ!!!」

 

 その瞬間、デストロイマンがもう1体。2人の背後を取りタックルを仕掛けて来た。

 

 不意の一撃を瞬時に察知し、二人は横へステップを踏み、それぞれ構える。

 

「今さっき倒されたはずでしたが……」

 

「便利な事に、量産してるらしいのよ、アレ。」

 

「攻撃当てれば簡単に倒せるけどな……ん?」

 

 警戒する2人、そしてずっとうんざりした様子のトラヴィス。

 

 ふと彼が振り返った途端と、何かがノックバックで軽く吹っ飛んでくる。どうやらメモリアのようだ。

 

「不意打ち喰らっちゃった……え、ん?あ、どうも……」

 

「おま、え、誰?プリキュア……なわけねぇよな」

 

 邂逅したこの2人。変身ヒーローまたはヒロインのような衣装のメモリアに目を丸くするトラヴィスに対し、彼女は気まずそうに頷いた。

 

「(い、今更気づいたんですか……)」

 

「指輪の戦士……」

 

「えっ?」

 

 最初の時点でメモリアの姿を見ていたヴァイスは、少し呆れたように頭をかく。それに反し、リーゼロッテは目を見張り、息を吞んでいる。

 

「おっと、また会ったねェトラヴィスぅ」

 

 そんな中、メモリアが吹っ飛ばされた方向から、またもう1体のデストロイマンがのそりと姿を現した。

 

「無人機を動かしている奴もそうだが、妙な連中だな。内2人は聖女なのは間違いないが……それよりあの奇天烈な恰好の女は何だ?」

 

 一方の五飛は、アルトロンガンダムのツインビームトライデントで無人機を次々と粉砕しながら、駐車場にいるトラヴィスたちにちらりと視線を向ける。そんな中で、特にメモリアに奇妙なものを感じ取っていた。

 

「むっ……!」

 

 すると、駐車場からデストロイマンが勢いよく飛び出し、ジェットの轟音を響かせて急上昇する。

 

「さぁ第二ラウンドだ!」

 

 軽口を叩きながら、彼は飛来したまま、両手を突き出しエネルギー弾を撃つ。それは駐車場内にいるトラヴィス達に向かって飛んできた。

 

「さっきからやり口が面倒くせぇ……!」

 

「奴本人だけなら容易く処理できるというのに……!」

 

 一同は、軽やかにステップを踏んで彼の攻撃を避けていく。しかし反撃の機会が掴めない。

 

「どうだトラヴィス!」

 

「私の力に手も足も出まい!」

 

 二体のデストロイマンはこちらにちょっかいをかけるよう煽りや牽制を繰り返してるが、正直いてもいなくても大したことはない。

 

 故に問題なのは彼らではない。次から次へ銃撃を繰り返し、こちらの行動を邪魔するウォークロックの大群が一番厄介だ。

 

「ジャキャキャキャキャ!!!」

 

 間髪入れず、軍隊が再び銃口を此方に向ける。

 

「うおらあああああああっ!!!」

 

「おうっ!!?」

 

 その時だった。轟音と共に天井に穴が開き、何者かが飛び込んできた。その衝撃で、周囲にいた者達が軽く吹っ飛んだ。

 

 砂煙が晴れると、目の前にいるのは、黒いコートを羽織る長身の人物が立っていた。さっきの掛け声からして、少女なのは確かだ。彼女は、自らの背丈と同じくらいの大剣を装備している。

 

「ジカッ……!!?」

 

 黒コートの少女は、立ち上がっていくウォークロックたちを気にも留めず、コートの中から何かを取り出す。

 

 気のせいだろうか、一瞬「エモ」と声を発した、顔のような絵柄を持つ電池型のカートリッジ。それを彼女は、大剣についたスロットに滑り込ませる。

 

【シンペーダー】

 

「……はっ!」

 

 アスファルトに突き立つ剣の柄を、引き抜くように握りしめる。その瞬間、ウォークロックたちへ向けて鋭い波動が流れた。

 

「ジガッ!?」

 

 すると、それを浴びたウォークロックたちの手が力無く開く。手に持った銃が、一斉に床へと転がり落ちた。

 

 黒コートの少女はすぐさま、違う絵柄のカートリッジを剣に付け替え、同じように柄を握りしめる。

 

【ザイアーク】

 

 放たれた波動が強い重力へと変換され、ウォークロックたちを押しつぶした。

 

「ジギャーッ!!?」

 

「何!!?完璧な計画だと思ったのに!!だがまあいい、貴様もデストロ――」

 

 慌てるデストロイマンが再び決めポーズをとろうとした、その瞬間だった。彼の視界がふいにモノクロームへ反転し、気がつけば目の前にはトラヴィスが立っていた。

 

 トラヴィス・タッチダウンの秘めた力『ダークサイドモード』の1つ。その力で瞬時に間合いを詰めると、彼はビーム・カタナでデストロイマンを即座に叩き斬った。

 

「こうなれば仕方がない……奥の手を使おうじゃないか!」

 

「あっ、待てテメっ……!!」

 

 駐車場外で浮遊するもう一体のデストロイマンは、焦る様子もない。そのまま屋上を目指して急上昇する。

 

 その様子を視界に捉えたトラヴィスは、即座に追いかけ、迷うことなく屋上に続く階段へ駆け出した。

 

「逃がさない……!」

 

 同時に黒コートの少女は、自ら天井に開けた大穴めがけて跳躍。吸い込まれるように登っていく。

 

「な、何が何だかだけど、アレ追いかけないとね……ん?」

 

 メモリアも、トラヴィスと少女の背中を追おうしたが、外にはまだモビルドールがうろついている。やるからにはそれらも片付けながら進みたいところだ。

 

 そう考えながら思考を巡らせつつ、ふと足元に目をやると、地面に何かが転がり落ちていた。

 

「クロスタルリング……?何でここにあるのか分かんないけど、使ってみる価値はありそうね。」

 

「え、あ、いつの間に落ちて……」

 

 それは、クロスタルリング。リーゼロッテがトランクの中に入れていたもの。だが先ほど黒コートの少女が降ってきた衝撃でトランクが開き、飛び出たらしい。

 

「よっし、再変身(エンゲージ)!!」

 

『『JETMAN』のアルファベットと並行飛行するジェットマシン』→『レッドホーク』

『ジェットホーク』

 

【CROSSTAL RING!!!】

 

【『ジェットマン』!!】

 

 クロステライザーに指輪をはめ、軽くクラップ。メモリアは、『レッドホーク』の姿に再変身した。

 

「ジェットウィング!これならちゃんと飛べる!!」

 

 レッドホーク(メモリア)の背から翼が広がり、ふわりと身体が宙に浮く。勢いよく駐車場から飛び出すと、彼女はそのまま一気に屋上を目指して駆け上がる。

 

 道中、トーラスとバッタの放つレーザーやミサイルを華麗にかわしつつ、受け身と滑空を繰り返す。そしてバードブラスターのレーザーで次々と撃ち落としていった。

 

「ち、違う変身ヒーローっぽくなった……って待って、それ一応借り物なんだけど……!」

 

 呆気にとられていたリーゼロッテだったが、ハッと我に返り、メモリアを慌てて追いかけ階段へ走った。

 

「え、あっ、リーゼロッテ殿……お、置いて行かれましたが、私も急いで追わなければ――」

 

 同じくのヴァイスも、リーゼロッテの背中を追いかけようとした時。

 

「な、何とか着いた!後は……って、あれ?」

 

 背後から声がして振り向くと、そこには彼女にとっても知らない子供……イリヤと美遊の姿があった。

 

「な、なんかいつの間にか大分倒されてる?」

 

「イリヤ、今はそれより……」

 

「え、あ、そっか!」

 

 大方敵が片付いたような光景に困惑したが、それは一旦後回しにし、2人は小走りでヴァイスに駆け寄った。

 

「え、い、いや何をやっているのですか!此処は危険です、直ちに――」

 

「あの、ここにリーゼロッテっていう人いませんでしたか?」

 

 慌てるヴァイスに対し、イリヤがそう質問する。

 

「え?……そ、それなら階段を上がりましたが、貴方達は一体……?」

 

「それについてなんですけど、下の階にルヴィアさんっていう魔術師の人がいるので話はそこから……」

 

「魔術師?……ということは、貴方達がラーゲルクヴィスト司令官の言っていた……?」

 

 美遊の返しに、ヴァイスはまだ首を傾げていた。

 

 

*****

 

 

「妙な状況ではあったが、無人機は片付いた。後は実行犯だけだが、あれはサイボーグでいいのか……?」

 

 屋上。アルトロンガンダムを動かす五飛の視界には、デストロイマンが佇んでいる。

 

 そこへ、息を切らす様子もなく階段を駆け上がってきたトラヴィス、レッドホークの力で宙を舞い降りたメモリア、そして屋上の穴から這い上がってきた黒コートの少女が、ほぼ同時に姿を現す。

 

 四人は互いに呼吸を合わせるようにして、デストロイマンを完全に包囲した。

 

「来たか……だが、既に私の勝ちは決まった!」

 

 迎え撃つデストロイマンは、どこ吹く風とばかりに余裕そうな顔をしている。そして笑みを浮かべたまま、黒い何かをヒョイと掲げてみせた。

 

 それは、さっき黒コートの少女が使ったカートリッジと同じ造形をしていた。

 

「それって……!?」

 

「チッ……!!」

 

「トラヴィス・タッチダウン!クレイジークロックの支援により手に入れた、私の秘密兵器を見せてやろう!」

 

 メモリアの動揺と、黒コートの少女の舌打ちを気にも留めず、彼はカートリッジのつまみを回し、爽やかな顔つきの絵柄をセットする。

 

 その瞬間、カートリッジからドロドロと噴き出した黒い霧。それがたちまちビルの駐車場をも見上げるほどの、デストロイマンそっくりな巨大ロボットへと姿を変えた。

 

「今度は巨大ロボかよ……!」

 

「HAHAHAHAHA!!!!これぞ『ギガントデストロイヤー』!!その力を見せてやろう!!そしてその時こそ、貴様の命日(デストロイデー)だァ……!」

 

 

 

 







=クロスタルリングカセット=
『鳥人戦隊ジェットマン』
イラスト:『JETMAN』のアルファベットと並行飛行するジェットマシン→レッドホーク
固定絵:ジェットホーク
指輪能力:飛行
所有者:リーゼロッテ→蓮子&メリー

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