ウルトラワールド:Scramble Engage 作:おろさん
『ギガントデストロイヤーの力、思い知るがいい!!!』
巨大ロボに飛び移ったデストロイマンは、笑い声を響かせながらコックピットのレバーを引き寄せる。
その瞬間、ギガントデストロイヤーが右腕を真っ直ぐに突き出してきた。
「だったら……!」
対し、黒コートの少女はまた違う絵柄のカートリッジを取り出して、再びそれを大剣のスロットに滑り込ませる。
【コウフンガー】
「うおらぁっ!!」
その瞬間、彼女の左腕が瞬く間に巨大化。ギガントデストロイヤーの右ストレートを受け止めて、押し返してみせた。
「……行けっ!!」
直後、少女はメモリアへと視線を向け、そう強く言い放った。
唐突な呼びかけにメモリアは戸惑うものの、力強く首を縦に振り、風を切るように走り出した。
【『クロステラカイザーメモリア』!!!】
「せいやあああああああ!!」
クロステラカイザーを顕現させ、飛び込んだ勢いのまま、ギガントデストロイヤーの巨体に強烈な飛び蹴りを叩き込んだ。
『くっ……そ、そいつが例の巨人……!!こいつをデストロイすれば、私の計画もスムーズになるというもの!!』
「巨人……?オイ貴様、今の兵器の事を知っているのか。」
倒れたギガントデストロイヤーをデストロイマンは再び立たせると、五飛が言葉を投げかけてきた。
『兵器……?何も知らないとはいえ、随分とバカな事を言うじゃないか、ガンダムとやら。だが答える義理は無い!覚悟しろ、悪のガンダムも私がデストロイする!!』
しかし全く答える気のないデストロイマンは、アルトロンガンダムに向かって容赦なく拳を振り下ろしてきた。
「話が通じんか……まあいい、今は戦いに集中するのみ……!」
『ならばサービスしてやろう。』
デストロイマンが黒いカートリッジを掲げた瞬間、それに合わせるように、上空から何かが落ちてくるのが見えた。
それは紛れもなく、トーラスとバッタ。数機の無人機が再びこの場に出現し、空から舞い降りたのだ。
「ま、またモビルドールと木星蜥蜴……!!」
「力圧しか、如何にもだな……!」
『さぁ、トラヴィスの前に、貴様らをデストロイ!!』
身構えるメモリアと五飛の前に、ギガントデストロイヤーが迫りくる。
***
「あっちは無人機……こっちはついでにまた増えやがったか……!!」
一方その頃、屋上では。トラヴィスたちの視線の先に、新たなデストロイマンが5体増殖していた。
「さぁトラヴィス・タッチダウン、正々堂々と勝負しようじゃな――」
「うるっさ……」
少女は気だるげに呟くと同時に、大剣から閃光のようなレーザーを撃ち、デストロイマンの頭部たやすく粉砕した。
「くっ……ならば来い!!」
別個体がそう呼びかけると、上空から新たにトーラスが数体舞い降りる。
「いい加減そのワンパターンな所も飽きてきたところだ。そろそろ纏めてぶった切るぜ!」
「幸い、さっきみたく場所の悪さで劣勢になる事もないだろうし。」
トラヴィスとリーゼロッテが身構えるや否や、デストロイマンたちとトーラス数機が突っ込んできた。
だが、何の問題も無い。
「……おらぁっ!!!」
「ギーァ……!」
ビーム・カタナを振るって衝撃波を放つトラヴィス。リーゼロッテは魔法陣からギーァを顕現させ、迫りくるトーラスを一網打尽に粉砕していった。
「あっ、やべ――」
流石に焦りだしたデストロイマンたちだが、既に遅い。
次の瞬間にはトラヴィスとリーゼロッテが迫り、間髪入れずにビーム・カタナの閃光とエルフリーデの鋭爪が、彼らの身体を切り刻んだ。
「くっ……だ、だがしかし!!お前達にギガントデストロイヤーを倒せるわけがない!!」
「ふぅん……おまえ、みとおしがあまい。」
一体だけになってもまだ余裕ぶった態度のデストロイマンに対し、黒コートの少女が冷ややかに声をかけた。
『ぐううううっ……!!!』
その矢先に、ギガントデストロイヤーが攻撃を受け、かなり後ずさる姿が目に飛び込んできた。
「その兵器が何なのかは知らんが、筋は良いようだな。」
「兵器?これってそう言うのじゃないと思うけど……」
アルトロンガンダムのドラゴンハングと、クロステラカイザーメモリアの銃撃が、ギガントデストロイヤーに突き刺さり続けている。戦況は完全にこちらのものだ。
『舐めるなよ悪の機動兵器共!!ギガントデストロイヤーの最終奥義を喰らうがいい!!』
と、ギガントデストロイヤーに乗るデストロイマンは、また黒いカートリッジを掲げる。するとギガントデストロイヤーは、腹部に禍々しいエネルギーを収束させていく。
『デストロイ最終奥義!!デストロイノ――ヴァフォッ!!!?』
しかしその瞬間。横合いから謎の何かが突撃してきて、収束させたエネルギーは呆気なく霧散した。
「今度は……何だろ、ワープして来たの……?」
「あれは……『黒い幽霊』か!!」
ふと視線を向けると、そこには中世の騎士を模したような、重厚な黒い機動兵器が佇んでいた。五飛はその機体を知っているようだ。
それは、『黒い幽霊』と呼ばれているもの。正式名称『ブラックサレナ』。
「あれが黒い幽霊ってやつか?」
「え、ええ。こんな形で早く見つかるなんて……」
視線を見合わせ、言葉を交わすトラヴィスとリーゼロッテ。すると、宙に浮くブラックサレナがトラヴィスの元に近づいた。
「あ、え、な、何だ?えーっと……よぉ、調子はどうだ?」
対し、とりあえず彼は雑に挨拶をなげかけてみたがスルーされる。そのままブラックサレナは、ぬらりと装甲の頭部を自身の肩に向ける。
そこには、どういうわけか一匹の猫が乗っている。それは、トラヴィスが良く知る猫だ。
「よぉ、やーっと見つけたぜトラヴィス!」
「ん?おまっ……『ジーン』!?何か今日は見ねぇと思ったら何やってんだお前。つかそんなおっさんくさい声だったか」
「(え、今喋った……?)」
何故か言葉を話す、微妙に太った体型の飼い猫『ジーン』。どういうわけかブラックサレナの肩にちょこんと乗っかっている。
それを見てリーゼロッテが困惑しているのも気にせず、トラヴィスとジーンは会話を続ける。
「細かい事は後。色々あって、このロボットを連れてくるよう頼まれたんだよ。」
「……それってシルヴィアからか?」
「いや、全然違うやつ」
ブラックサレナからふわりと飛び降りたジーンは、そう説明した。
「(流石に奴等はいないようだが……今は依頼を果たす)」
すると、ブラックサレナの視線が、ギガントデストロイヤーと数機の無人機へと転じられる。
その瞬間、機体は瞬間移動で距離を詰め、トーラスとバッタを一気に粉砕。あっという間に全滅した。
『黒い幽霊まで来るとは好都合!此処にいる悪を根こそぎデストロイしてやろう!!』
半ばヤケクソな態度のデストロイマンが、ギガントデストロイヤーを操りブラックサレナへと突っ込んでいく。
「自分勝手な正義に酔うお前に、負けるつもりはない……!」
漆黒の機体がまたしても虚空に消える。ギガントデストロイヤーの拳が空を切った瞬間、背後に現れたブラックサレナから容赦のないレーザーが放たれた。
「ええい!!オイ何をしている!!さっさと加勢に来い!!」
「ジカカカカッ!!!」
屋上にいるデストロイマンは完全に冷や汗をかき始め、虚空に向かって助けを求めた。すると、どこからともなく十数体のウォークロックが出現する。
「また来るのかよ……今更だけどデストロイマンのやつ、何か小者ムーブが酷くなってねぇか?」
「別にどうでもいい。数も多くないから、さっきみたいに場所の悪さで不利になる事もない。だからさっさと……ん?」
徐々に他者を当てにし始めたデストロイマンの体たらくに、トラヴィスとリーゼロッテはうんざりしてくる。
「どっせえええええええええい!」
【『プリズマ』BERSERKER IMPACT!!!!】
すると、屋上の床に空いた穴から、ひとりの人物が勢いよく飛び出してきた。豪快に振り下ろされた巨大な斧の一撃が叩き込まれ、ウォークロックたちが派手な勢いで吹っ飛んでいった。
「追いついた……!」
「あ、どうもはじめまして」
斧を振り下ろした本人のプリズマが軽やかに着地。後からサファイアも追いつき、たまたま視界に映ったトラヴィスとリーゼロッテに軽く会釈した。
「さてと……2人とも、私に代わって!!」
すると真っ先にサファイアが、クロステラカイザーを操るメモリアに向かってそう声をかけた。
「オッケー!」
メモリアがその言葉に深く頷くと、『出陣!クロステラカイザー』のノベルが、サファイアのクロステライザーへと瞬時に付け替えられる。
【クロステラカイザーサファイア!!!】
「よし……」
神官のようなバトルドレスに身を包み、コックピットへと滑り込んだ美遊。右手に持つのは、『ドクターエーリン』のノベル。
ノベルが変形すると、クロステラカイザーサファイアは、どこか名医のような神秘的な装甲を身に纏った。
【クロステラカイザーサファイア『EIRIN STYLE』!!!】
「クロステラカイザーの武装追加……私にも出来た……一気に片付ける!」
美遊が操縦桿を動かすと、クロステラカイザーサファイアの右腕の槍が、エイリンスタイルによる弓を介してレーザーを連続で放つ。
それがギガントデストロイヤーにすべて炸裂。これまでダメージを与え続けていたこともあって、あともう一息というところだ。
『姿を変えたところで――ぐっ!?』
現実から目を背けるように、デストロイマンはギガントデストロイヤーのエネルギーを充填し始めた。
「これ以上、貴様の遊びに付き合うつもりはない。」
しかしその瞬間、アルトロンガンダムのドラゴンハングが牙を剥き、ギガントデストロイヤーの両腕部を噛み砕いた。
それと同時に、ブラックサレナと共に間合いを詰めて、クロステラカイザーサファイアが鋭い光を放ちながら右腕に力を蓄えていく。
「速攻で終わらせる……『クロステラカイザー・『八意』・バタフライ』!!!」
【『サファイア』LANCER STRAIGHT!!!!】
【『天網蜘網捕蝶の法』!!!】
幾条ものレーザーが光の網となり、ギガントデストロイヤーを囲う。
「最大出力で決める……!!」
敵の巨体に突き刺さるレーザーに合わせ、ブラックサレナが突撃。ギガントデストロイヤーの巨体を豪快に貫く。
『デストロォォォォイ!!?』
そのまま爆発音と共に、ギガントデストロイヤーが粉々に砕け散った。
「な、そんな馬鹿な!!調整が足りていなかったというのかっ……!!?」
屋上の方のデストロイマンは、目の前でギガントデストロイヤー(と搭乗者ごと)が木っ端微塵に吹き飛ぶ光景を目の当たりにし、かなりうろたえている。
「で、最終的にこうなるってか。」
「高を括っておいてすっかり劣勢になっちゃってさぁ」
そんな彼に、トラヴィスとリーゼロッテが近寄る。
「かくなる上は――」
足裏のジェットエンジンの轟音を響かせ、デストロイマンは空の彼方へ逃げ去ろうとした。
「逃がさない!!」
すると、メモリアのライドシューターがタイヤ型のエネルギー弾を放つ。そこから伸びたエネルギーの糸が、デストロイマンの片足にするりと絡みついた。
「……ないす」
【シンペーダー】
黒コートの少女が瞬時に、剣のスロットにカートリッジを装填。放った波動をデストロイマンが浴びた瞬間、彼の内部に積まれていた武装やジェットエンジンがパージする。
「っと、手っ取り早くて丁度いいぜ!!」
「これで終わり……!!」
それによって落下するデストロイマンを見逃さず、トラヴィスとリーゼロッテが同時に間合いを詰める。それぞれの技が閃いた瞬間、デストロイマンを一瞬にしてバラバラに斬り刻んだ。
「くっ……だ、だが既に分かっているだろうトラヴィス・タッチダウン!私を倒した所で私は終わらない!!改めて調整を重ねてまた現れる!!それが新生デストロイマン!!いつか、この世の悪を、デストロォォォォォォイ!!!!」
負け惜しみを早口でまくし立てながら、そのまま爆散した。
「ふぅ……今回も何とかなったわ……」
敵が全部倒されたのを確認すると、メモリアは変身を解いて、蓮子とメリーの姿に戻る。
「ん?……え、アイツ今分裂しなかったか?」
「分裂というより、元々二人組だったみたいね……」
蓮子とメリーの姿を見て少し面食らうトラヴィスに対し、事情をリーゼロッテは察しつつ、背後へ視線を向けた。
そこにさっきまでいたはずの黒コートの少女の姿は、いつの間にか消えていた。
「(終わったか……)」
「待て!お前には聞きたいことがある!お前は……何者だ!?話に聞く『テンカワ・アキト』だというのか!!」
ブラックサレナは、背を向けて静かに去ろうと進む。その姿を見た五飛は、アルトロンガンダムを動かして、機体を逃がすまいと背中を追っていった。
*****
「そうですか……わざわざお伝えいただき、ありがとうございます。」
その頃空港では。避難を終えていたリリーナは、先ほどの戦闘で起きた事を、ヴァイスから電話越しで伝えられていた。
「(やはり、この世界には未だに悪意が蔓延っている……近頃起きている襲撃の話も、かなり根深い者なのかもしれない……だとしても、私は平和を諦めません。革命戦争を経て、人々の心は変わり始めている……だからこそ……)」
通話を終えたリリーナは、自分の胸元を押さえながら、ゆっくりとうつむきながら、足を進めた。
「はぁ……案の定ではあったが、駄目だったか。」
そんな彼女の真後ろに、灰色目の少女が腰を下ろしながらそう呟いている。
「デストロイマン……そもそも、リリーナ・ドーリアンの抹殺指示は下されていなかったのを……まあいい、関係のない事だ。」
少女『ハルカス=C=セリカアリス』はそう言いうやなや、ひょいと立ち上がるなり、あっという間に姿を消した。
*****
「お・ま・え・ら……ようやくみつけた」
駐車場を出た途端、蓮子とメリーの前に仁王立ちするフランの姿。ポーカーフェイスを装ってるものの、明らかに激怒している。
「あっ、えーと、そのこれには込み入った事情が」
「しらんわ!ばかあるばいとどもが!!」
慌てて2人は弁解しようとしたが、そもそも結局バイトをサボって抜け出してきた身。フランには問答無用で首根っこを掴まれ、そのままズルズルと引きずられていった。
その途中、フランの姿を見つめる二人。先に沈黙を破ったのはメリーだった。
「えっと……あの、さっきは、助けてくれてありがとうございました。」
「……なんのはなしかな。」
その言葉を耳にした途端、フランはふいっと頬を背け、そのまま表情を変えずに二人を引っ張りつつ歩き去った。
***
「で、何がどうなってるんだよコレ。」
一方、トラヴィスは状況をよく分かっていない様子だった。ヴァイスがイリヤたちから事の次第を聞かされたのは察せたが、だとしても唐突な展開の多さゆえか、彼は困惑したままだった。
「……さっきの二人組と、この小学生の子二人……きっと指輪使いよ。」
そこで、リーゼロッテが沈黙を破る。
「指輪って……さっきのアレか?」
「うん……というかあのまま持っていかれたままだわ……」
「あの……」
すると、イリヤが会話に入って来た。
「それについてなんですけど……トラヴィスさんとリーゼロッテさんですよね、二人にも説明しないといけない事があって……」
「……?」
***
ってなわけで、俺はクロスタルリングやクレイジークロックのこと、他にもいろんなことをこの後聞かされるわけなんだが……まあ、これ以上は長くなるから、具体的な描写は一旦次回に持ち越しだ。多分な。
え?急にどうしたんだって?ああ、この際だから、1つ大事な事を言おうと思ってな。
この世界では、ノーモア★ヒーローズ3とは繋がらない。3のキャラが出る事はあっても、ソレは原作通りじゃない。
え?それもそれで何でそんな事ぶっちゃけたのかって?そりゃあ……
ノーモア★ヒーローズが大体メタ発現を平然と言うゲームだからだよ。初登場の今回なんでさっきのやつは言わせてもらった。ってかこう言っておかないと原作知ってるやつは……いやこれ以上は止そう。
そんじゃ、そういうわけだからよ。随分時間かかりまくったわけだけど、これにて第11話は終わりだ。またな。
byトラヴィス・タッチダウン
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・今サブタイトルの元ネタ:鳥人戦隊ジェットマン(愛称『戦うトレンディドラマ』)