ウルトラワールド:Scramble Engage   作:おろさん

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目覚めし伝説とワンダフル・ガールズ 02

 

 

 一方、アインツベルン邸――。

 

「じゃあ、ここからは『守護者』についてよ」

 

 イリヤのベッドに腰掛けたまま、凛は話を切り替える。

 

「『守護者』っていうのは、クロスタルリング絡みで、想定外の事態が起きた時に現れる指輪のこと。

 そして、その指輪に選ばれた人間が変身できる戦士の総称ね」

 

 そう前置きしてから、続ける。

 

「今回みたいな指輪の強奪事件や、侵蝕世怪人の出現。

 そういう異常事態に対処して、問題になった指輪を回収するのが、基本的な役割……って感じみたい」

 

 次に凛は、『守護者』の仕組みについて説明を続ける。

 

「前提として、指輪が引き起こした問題は、指輪の力で対処するのが一番手っ取り早い。

 ただし、クロスタルリングは、手に入れただけで誰でも力を使えるわけじゃない」

 

「つまり……?」

 

「簡単に言えば、『クロスタルリングに選ばれた人』だけが、その力を扱えるってこと」

 

「指輪に選ばれる……」

 

 イリヤは思わず呟く。

 

「なんだか、能力者バトルとか、そういうノリの特撮みたい」

 

 その言葉に、凛は少しだけ複雑そうな表情を浮かべる。

 否定しきれないのが、余計に厄介だった。

 

「……まあ、あながち間違いでもないわね」

 

 気を取り直して、凛は話を続ける。

 

「それで、基本的なクロスタルリングと、守護者の指輪には、いくつか決定的な違いがあるの。

 その一つが――『指輪絡みで発生した被害の修復』よ」

 

「修復?」

 

「例えば、あの図書館みたいにね。

 どれだけ派手に被害が出ても、事が終われば元通りになる」

 

「あっ……!」

 

 蓮子が思い当たったように声を上げる。

 

「図書館が一瞬で元に戻ったのも、怪人に巻き込まれた人たちが何事もなかったみたいに復活したのも……」

 

「ええ、全部それ」

 

 凛は頷く。

 

「もちろん、修復にも限界はあるらしいけどね。

 それでも、指輪の力で誰かが悪さをしても、被害を最小限に抑えられる」

 

 少し言葉を選びながら、凛は続けた。

 

「言ってしまえば、予防線であり、抑止力。

 だから多少トラブルが起きても、指輪の存在が一般人に広く知られずに済んでたの」

 

 そして、ふっと息を吐く。

 

「……魔術協会でも、知ってるのはごく一部の人間だけ。

 私自身も、2年前までは何も知らなかったくらいだし」

 

 一拍置いてから、

 

「……それでね。他にも守護者が使える“特権”みたいなものは色々あるんだけど……」

 

 そう言いかけた瞬間。

 

「……っ!!」

 

 凛は突然ベッドから立ち上がり、窓の外へ視線を向ける。

 続けて、魔術で作られたらしいレーダー状のアイテムを取り出し、思わず二度見した。

 

「……ごめんなさい。どうやら、説明はここまでみたい」

 

「えっ……?」

 

 イリヤが息を呑む。

 

「も、もしかして……侵蝕世怪人?」

 

 凛は静かに頷いた。

 

「ええ。

 新しいタイプの『侵蝕世怪人(ワールドロイド)』が、冬木に接近しているわ」

 

 レーダーを見つめながら、淡々と告げる。

 

「到着予測時刻は、深夜3時頃……」

 

 そして、蓮子とメリーに向き直る。

 

「……宇佐見さん、ハーンさん。

 今夜、侵蝕世怪人を待ち伏せしましょう」

 

 一瞬だけ躊躇いを見せつつも、

 

「本当なら、無関係の人間を巻き込みたくはない。

 でも、守護者の指輪を持つ以上……手伝ってもらいたい」

 

 2人は、少し考えるような表情で互いを見合わせ――。

 

「……わかりました」

 

 そう言って、静かに承諾した。

 

*****

 

「……」

 

 イリヤは、今の話を聞いて、胸の奥が少しだけ冷たくなるのを感じていた。

 

侵蝕世怪人(ワールドロイド)』。

 図書館を好き放題に荒らした、あの怪人のような存在が――この町、冬木に現れる。

 

 イリヤは、指輪を持っていない。

 無理に関わる必要はないし、そもそも、こんな非日常にまともに関われる自信もなかった。

 

 あの時点で、心の許容量はとっくに限界を超えていたのだ。

 

 下手について行けば、足手まといになるだけ。

 仮にそうならなくても、自分に何かが出来るとは思えなかった。

 

 ――それでも。

 

 どうしてだろうか。

 

 「このままじゃ、ダメな気がする」

 

 図書館の時(さっき)みたいに、あっという間に怪人を倒した蓮子さんとメリーさん。

 きっと、二人なら大丈夫だと頭では分かっている。

 

 それなのに。

 

 義兄の同級生、というだけでなく。

 出会ったばかりの、不思議な年上の二人のことを――どうしても放っておけなかった。

 

*****

 

――時が経ち、誰もが寝静まった深夜。

 

「……行こう、メリー」

 

「……ええ」

 

 丁度いい時間に目を覚まし、こっそり客室を出る蓮子とメリー。

 凛が指定した待ち合わせ場所へ向かうため、玄関に辿り着き、扉を開けて外へ出ていく。

 

*****

 

「……」

 

 一方のイリヤ。

 

 家の中で、誰かが外へ出たような微かな音を聞き、ベッドから起き上がる。

 

「(やっぱり……気になる……)」

 

 そう心の中で呟きながら、

 セラたちが眠る部屋に気付かれないよう慎重に歩き、玄関へ向かう。

 

 そして、蓮子とメリーにも悟られないよう、そっと扉を開け――外に出た。

 

*****

 

 冬木市深山町。

 アインツベルン邸から少し離れた道を歩く、蓮子とメリー。

 

 そして、その後ろを、一定の距離を保ちながら追うイリヤ。

 

「(……思い切って、ついてきちゃった……)」

 

 自分の行動に、今さら疑問を抱きながら歩く。

 

 来いと言われたわけでもない。

 脅迫状のようなものを突き付けられたわけでもない。

 

 「気になる」――それは確かだけど、

 本来なら踏み込むべきじゃない領域のはずなのに。

 

「……ねぇ、メリー」

 

 歩きながら、蓮子が口を開く。

 

「……言わなくても分かるわよ」

 

 メリーは、少しだけ苦笑しながら返す。

 

「私たちが今いる、この世界について……でしょ?」

 

「(……何の話してるんだろう?)」

 

 物陰に身を潜めながら、イリヤは耳を澄ます。

 

「……流石に、メリーも分かるよね」

 

 蓮子は、少し言い淀みながら続ける。

 

「私たち、イリヤちゃんの家の前で倒れてて……

 自分の名前と、お互いの事以外、ほとんど何も思い出せなかった」

 

「それで、色々調べてみたけど……」

 

 蓮子は、渋い表情のまま言葉を継いだ。

 

「多分……ううん、明らかに。

 私たちは『この世界の住人』じゃない」

 

「……!?」

 

 その言葉に、イリヤは思わず息を呑む。

 声が漏れそうになり、慌てて両手で口を押さえた。

 

「前提として――指輪の事を除いても」

 

 メリーが冷静に補足する。

 

「冬木市を含めて、初めて知ったと感じる物事や用語、カルチャーが多すぎるの」

 

「例えば……」

 

 蓮子が指を折りながら挙げていく。

 

「高度な知能を持つ『メダロット』。

 『346プロ』や『765プロ』みたいなアイドル事務所。

 『聖霊』という超常的存在が見える『聖女』。

 それに、『聖霊庁』みたいな組織」

 

 メリーも続ける。

 

「他にも、『キラ』、『木星蜥蜴』、『革命戦争』に『ガンダム』、『移民船団』、『オーラ・マシン』、『殺し屋ランキング』……」

 

「ネットニュースやオカルトサイトで見かけたものを含めれば、数えきれないほどあったわね」

 

「……でも」

 

 蓮子は静かに締めくくる。

 

「私たちは、それを何一つ知らなかった。

 『思い出せない』というより……初めて触れる感じが、どうにも強すぎる」

 

「総合的に考えると――」

 

「ここは、私たちにとって未知の世界」

 

 二人は顔を見合わせる。

 

「そんな世界に迷い込んで、同時に多くの記憶を失って……

 そして、『指輪』を手に入れた」

 

「……これが、何を意味しているのか」

 

 言葉が途切れ、二人は黙り込む。

 それを聞きながら、イリヤもまた、物陰で俯いていた。

 

「……とは言っても」

 

 沈黙を破ったのは蓮子だった。

 

「流石に、1日目で答えが出る話でもないよね。

 というか、1日で起きた出来事の量が多すぎるっていうか……」

 

 軽く首を振り、

 

「……まあ、今は目の前の事に集中しよっか」

 

 メリーは小さくため息をつきながらも、

 

「それも、そうね」

 

 そう返し、二人は凛との待ち合わせ場所へ向かっていった。

 

*****

 

「(別の世界から来た……かぁ……)」

 

 一方のイリヤ。

 

 その会話を聞いて、二人の存在がますます気になってしまう。

 

「(悪い人たちじゃない……それは、間違いない)」

 

 でも――。

 

「(もし、本当に別の世界の人たちだとしたら……

 あの人たち……ううん、私たちも含めて……

 

私が思っているより、ずっと大変な事に巻き込まれている……

 そういう事、なのかな……)」

 

*****

 

 少しして、蓮子とメリーは待ち合わせ場所に辿り着く。

 

「……!! 待ってたわ。来てくれてありがとう」

 

 そこは、イリヤや士郎たちが通う『穂群原学園』。

 二人の姿を見つけると、凛はすぐに駆け寄ってきた。

 

「(うそ……ここ、学校……!!?)」

 

 思いもよらない場所に連れて来られたイリヤは、驚きつつも物陰に身を隠し、遠くから様子をうかがう。

 

「ところで……」

 

 蓮子が周囲を見回しながら首を傾げる。

 

「なんで学校の校庭なの? 待ち伏せにしては、ちょっと不自然というか……」

 

「そういえば、説明してなかったわね」

 

 凛は軽く頷き、すぐに答える。

 

「クレイジークロックの怪人たちは“時計”を媒介にしたワープが出来るみたいなの。」

 

「時計?」

 

「ええ。“クロック”って名前の通りね。

 壊れていようが、壁掛けだろうが、携帯の時計機能だろうが関係ない。

 “時計”として成立していれば、そこから唐突に現れるわ」

 

「じゃあ、図書館の時も……」

 

「そうでしょうね。」

 

 蓮子とメリーは、興味半分、納得半分といった表情で頷く。

 凛はそのまま話を続けた。

 

「……ただ、そのワープには結構手間がかかるみたいなのよ。

 どうも、“繋がり”みたいなものを事前に作る必要があるらしくて、その時に魔力を使うの」

 

 そう言いながら、凛はポケットからレーダーのような――よく見ると携帯電話にも似た道具を取り出し、二人に見せる。

 

「これが『クロスタルプロテクター』。

 時計塔が開発した特別な魔術礼装で、そのワープ準備の魔力反応を感知できるの」

 

「あの時に取り出してたの、それだったんだ」

 

「……で、その反応が、この学校に集中してた、と」

 

 興味津々な蓮子に、凛は頷く。

 

「そういうこと。だから、ここで待ち伏せして叩こうって判断したわけ」

 

 少し得意げに、凛は続けようとする。

 

「ちなみにこのクロスタルプロテクター、私から見てもかなり使いやすくてね。他にも便利な機能が――」

 

 ――その時だった。

 

 校舎の時計から、『ゴーン』と古時計のような重い音が、何度も鳴り響く。

 

「――あら。どうやら、お出ましのようね」

 

 一同が校舎の時計へ視線を向ける。

 

 すると、時計の文字盤が歪み、その奥から空間が裂けるようにして――大量のウォークロックが溢れ出す。

 そしてその先頭には、侵蝕世怪人が1体。さらに、その周囲を固めるように銅色のウォークロックが3体、姿を現した。

 

「本当に、時計を通してワープするのね……」

 

 呆然としつつも、蓮子は侵蝕世怪人の姿に目を凝らす。

 

「……ん?」

 

 てるてる坊主と画材を無理やり混ぜ合わせたような外見の侵蝕世怪人『ヒダマリ世怪』。

 そして、明らかに雰囲気の違う銅色のウォークロックたち。

 

「(あの侵蝕世怪人……どこかで……)」

 

「……あの銅色のウォークロック、普通より少し強いタイプかしら」

 

 メリーが警戒するように呟く。

 

 だが、そんな二人の観察を遮るように――。

 

「ギギギ……!!」

 

 機械音混じりの不快な唸り声。

 

「相手はやる気満々みたいね。早速、始まるわよ」

 

 ウォークロックたちが、魔法の杖のような構えで銃型武器を向けてくる。

 凛は即座に、二人へ戦闘開始を促した。

 

「おおっと、早速来たね。……行こう、メリー」

 

「え? ……ええ、そうね。早く変身を――」

 

 蓮子はクロステライザーを、メリーは指輪を取り出す。

 次の瞬間、二人の身体が光に包まれ――。

 

 右目が蓮子、左目がメリーの色をしたオッドアイ。

 長めのツートンカラーの髪。

 神官のような意匠の衣装を纏った、ひとりの少女の姿。

 

 ――二人は、再び融合した。

 

「そういえば……肝心の融合、どうするのかって一瞬考えたけど」

 

 凛は少し拍子抜けしたように呟く。

 

「意外とあっさり出来てよかったわ……」

 

 凛自身、融合方法を詰めていなかっただけに、内心かなり安堵していた。

 

 少女は、すぐさまクロステライザーに守護者メモリアの指輪を装着する。

 

変身(エンゲージ)!!」

 

【CLAP YOUR HANDS!!!】

【UNCOVER THE SECRETS:GUARDIAN『メモリア』!!!】

 

 8bitとギター、ピアノが混ざり合った音楽に合わせ、手拍子。

 そうして、少女は『守護者メモリア』へと変身を遂げる。

 

「AAAAAAAAAAAAA!!!!」

 

「ジキキキッ!!!」

 

 変身と同時に、ヒダマリ世怪とウォークロックたちが一斉に襲いかかってきた。

 

 ウォークロックの銃弾。

 ヒダマリ世怪が放つ、魔力の込められた絵具。

 

 メモリアは右へ、左へと軽やかに身を翻し、それらを避けていく。

 

「これくらいなら……なんとか――」

 

「IEEAAAAAAAAAA!!!」

 

「っと!!」

 

 ヒダマリ世怪の放った絵具が、メモリアの足元に付着――直後、爆散する。

 

 メモリアは高跳びのような跳躍で、辛うじて爆風を回避した。

 

「危ない危ない……。

 なんとなく、そんな気はしてたけど……本当に爆発するとは」

 

「AAAAAAAAAAAAA!!!!」

 

 怪人たちは、間髪入れずに距離を詰めてくる。

 

「ハッ!!」

 

 その時、横合いから凛が飛び込み、ウォークロック1体を掌底で真上へ吹き飛ばした。

 

結界(プロテクト)……起動ッ!!!」

 

 クロスタルプロテクターの大きめのボタンを叩くと、校庭全体を覆うように、半透明の結界が展開される。

 

「(こ、これ……!? 周囲を守るタイプの結界……!?)」

 

 校門付近でそれを見たイリヤは、慌てて校庭へ忍び込み、近くの大きな木の陰に身を隠した。

 

 ――足元に転がっていた、仮面のような形の指輪に気づかないまま。

 

「り、凛さん……? 今のは、何を?」

 

 メモリア(メリー)が問いかける。

 

「クロスタルプロテクターの別機能よ。

 周囲に魔術結界を張ったの」

 

「守護者の力で修復できるとはいえ、例外はどうしても出るからね。

 念には念を入れておいたの」

 

「要するに……」

 

 メモリア(蓮子)が理解したように言う。

 

「心置きなく戦える、ってわけね」

 

「そういうこと! ちなみに私にも適応されるから、生身でも安心して戦えるわ」

 

 ウィンクしながら、凛は加勢する意思を示した。

 

「AAAAAAAAAAAAA!!!!」

 

「ジリリリリリリリ!!!」

 

 ヒダマリ世怪とウォークロックたちが、再び絵具と銃弾を放つ。

 

「っと!!」

 

 メモリアと凛は左右に散開。

 結界に触れた飛び道具は、火花を散らして消滅した。

 

「ギッ!? ギギギギ!!!!」

 

 突撃しながら連射してくるウォークロックたち。

 

「今度はこっちのターン!!」

 

 迎え撃つ二人。

 

 銃身で殴りかかる攻撃をクロステライザーで受け止め、押し返す。

 隙を突こうとする相手には回転斬り。

 さらに銃弾を刀身で受け流し、逆に撃ち返す。

 

「ギッ……!!!」

 

「IIII……!!!」

 

 数体のウォークロックが次々と撃破される。

 

 次にヒダマリ世怪が、絵具を集め、サッカーボールほどの塊を形成した。

 

「っと……ええと。たぶん、こうね」

 

 メモリアはクロステライザーに装着されたクロステラノベルを押し込む。

 

 鼓舞するような音楽が流れ出す。

 

【『メモリアライドシューターU』!!】

 

 手拍子と共に、黒と紫のバイクを思わせる銃が顕現する。

 

「おお……こんなのも出せるのね。

 ……じゃあ、こんな感じで!!」

 

 迫るウォークロックへ銃弾を連射。

 車輪状の弾丸が縦横無尽に跳ね回り、次々とクリーンヒットして撃退していく。

 

「そんでもって!!」

 

 左手のハンドルを捻り、エネルギーをチャージ。

 

「AAAAA!!!!」

 

 ヒダマリ世怪の放つ絵具の砲弾に対し、メモリアも銃を構え、チャージショットを放つ。

 

【『メモリア』RIDER SHOOTING!!!!】

 

 衝突したエネルギーが爆風と煙を巻き起こす。

 

「A……AAAAAA!!」

 

 そのまま、メモリアの一撃が押し勝ち――ヒダマリ世怪へ直撃、

 

「待った!!!」

 

 ――する直前。

 

 横合いから放たれた魔法弾が、エネルギー弾に命中し、相殺された。

 

「ここからは……私も、お相手してもらいましょうか」

 

 姿を現したのは、より強そうな銅色のウォークロック。しかも右腕には独自の紋章まで。

 最初の3体とは明らかに別個体だった。

 

「また出てきたけど……喋った!?」

 

「銅色のは普通に喋るのよ! しかも、名前持ち!」

 

「え、そんなのあるの……?」

 

 驚くメモリアに、凛が補足した直後――。

 

「クレイジークロック隊員『インテリー・デデーン』」

 

 銅色のウォークロックは、芝居がかった口調で名乗る。

 

「敬愛するドクターのため、そしてクレイジークロックの野望達成のため……

 守護者を排除してみせましょう」

 

 そう言って、二つのアイテムを取り出す。

 

 一つは、『仮面ライダーゼロワン』のクロスタルリング。

 もう一つは、クロステライザーUに酷似しながらも、色も形も歪んだ武器――

 『侵蝕世怪譚』のクロステラノベルが装着された、異形のクロステライザーだった。

 

 

「指輪と……く、クロステライザー!?形は大分違うけど、なんで――」

 

「これぞ侵蝕世怪人(ワールドロイド)生成装置『ワイルドライザー』……

その力、見せてあげましょう。」

 

『衛星ゼア』→『ゼロワン』

『ライジングホッパーのライダモデル』

 

侵蝕生成(ワイルドクラフト)

 

 クロステライザーに似たアイテムを目にして、凛たちは驚きを隠せない。

 しかしインテリーと名乗る銅色のウォークロックは、それを意にも介さず、ゼロワンの指輪を『ワイルドライザー』へと装着した。

 

 次の瞬間、インテリーの身体は、禍々しいエネルギーと、モザイク状に文字化けした物体に包まれていく――

 

繧シ繝ュ繝ッ繝ウ(ゼロワン)

 

 バッタに似ていなくもない、歪なシルエットの怪人。

 侵蝕世怪人『エーアイ世怪(ワイルド)』へと変貌したのだ。

 

侵蝕世怪人(ワールドロイド)に……変身、した……!!?」

 

「その通り。

 本来、侵蝕世怪人は指輪以外の媒体を必要としない存在だが……」

 

 エーアイ世怪はそう言うと、次の瞬間にはメモリアの目前へと移動していた。

 

「私のような『媒体』があれば、その力はさらに別の形へと拡張される。」

 

 メモリアは咄嗟に防御態勢を取ろうとするが、反応が一瞬遅れた。

 

「っ……!!!!」

 

 アッパーカットを受け、身体が宙を舞う。

 それでも空中で体勢を立て直し、地面へと着地。すぐさまメモリアライドシューターUで反撃の弾丸を放つが――

 

「フフフフ……」

 

 エーアイ世怪はその場から一歩も動かず、上半身をわずかに動かすだけで、すべての弾丸を回避してみせた。

 

「それなりではあるが……其方の動きはすでに()()()()()した。

 故に、こちらの勝機――やれ!!!」

 

 その合図と同時に、ウォークロックたちが再び出現。

 加えて、ヒダマリ世怪も攻撃を再開する。

 

「よりによって、こんな……!

 こうなったら、一か八か――」

 

 凛が行動に移ろうとした、その瞬間。

 背後から迫っていたウォークロックたちに気づくのが遅れ、取り押さえられる。

 

「しまっ――」

 

「凛さん!?……ひゃっ!!?」

 

 助けに入ろうとしたメモリアに対し、侵蝕世怪人二体とウォークロックたちが一斉に攻撃。

 銃弾が数発命中し、怯んだところをヒダマリ世怪の絵筆で叩きつけられる。

 

 さらに、跳ね上げられた上空から、エーアイ世怪のキックが脳天に叩き込まれた。

 

 大きなダメージを受け、メモリアは地面に叩きつけられる。

 

「さて……念には念を入れましょうか。」

 

 エーアイ世怪の一声で、ウォークロックたちが集まり、メモリアの四肢を拘束する。

 前半身は完全に無防備な状態だ。

 

 エーアイ世怪は、右脚に力を溜め始める。

 

「(こ、これ……どう考えても、完全にピンチじゃない!?)」

 

 物陰からその光景を見ていたイリヤは、思わず息を呑む。

 

「(で、でも……どうすればいいの?

 私が止められるわけない……けど……)」

 

「こんな……ことをやって……何を、するつもりで……っ!!!」

 

 メモリアは拘束を振りほどこうとするが、蓄積したダメージのせいで力が入らない。

 

「我らの目的、か?

 ……フン。残念ながら、答えるわけにはいかない。」

 

 エーアイ世怪は、冷たく言い放つ。

 

「『冥土の土産に教えてやる』などというのは、敗北フラグ……

 故に、何も知らぬまま死んでいけ!!!!」

 

 ゼロワンのライジングインパクトを思わせる必殺キック。

 エーアイ世怪は高く跳び上がり、メモリアへと突進を開始する。

 

「何、も……」

 

 イリヤの足は、完全にすくんでいた。

 このままでは、メモリアが倒されてしまう。

 それでも、自分には立ち向かう術が――

 

『――……―え――』

 

「……え?」

 

 その時、不意に声が、直接頭の中に響いた。

 同時に浮かぶのは、学校の友達、先生、冬木の街の人々、そして家族の姿。

 

『戦―……―え――』

 

――彼女の思考は、その瞬間だけ、異様なほど冴えていた。

 

 記憶をほとんど失い、何も分からないままこの世界に放り込まれた、あの二人。

 本当は不安で仕方ないはずなのに、それでも彼女たちは、必死に立ち向かい、戦っていた。

 

 その二人が、何も知らないまま死んでしまうかもしれない。

 

「くたばれええええええええええええええええええええっ!!!」

 

 イリヤが迷っている間にも、エーアイ世怪は必殺キックの構えを完成させ、メモリアへと突っ込んでいく。

 

 世界中の多くの人々は、今起きている事態を何も知らない。

 そんな人々を、何も知らない二人が守ろうとしている。

 

 では、自分はどうなのか。

 

 危険なことが起きていると、この目で見た。

 それを、見て見ぬふりをするのか。

 

――それで、良いのか?

 

 見て見ぬふりをすれば、セラも、リズお姉ちゃんも、お義兄ちゃんも――

 

『戦え……抗え……』

 

――良いわけが、無い。

 

「だ……め……だめ……」

 

 そして気が付けば、幼い少女は――

 

「だめええええええええええええええええええええええええっ!!!」

 

『戦え……抗え……そして――』

 

 守護者にとどめを刺そうとする化け物の、真正面へと走り出していた。

 

「えっ!?」

 

 立ちはだかるイリヤの姿に、その場にいた全員が凍りつく。

 

『そして……掴み取れ……

 お前自身の『願い』を、掴み取れ!!

 『イリヤスフィール・フォン・アインツベルン』よ!!!』

 

 

 

 








*注釈:本作品は、自著の文章をAI(ChatGPT等)で推敲・校正して投稿しています。ストーリーや台詞はすべて作者が作成したものですが、読みやすさ向上のために文章の整理を行っています。




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