ウルトラワールド:Scramble Engage 作:おろさん
イリヤ「色々あって私達が出会ったのは、何か物騒なことしているトラヴィスって人と、聖女のリーゼロッテさん。
増えたり巨大ロボに乗ったりする変なサイボーグと戦ってたら、噂のガンダムと黒い幽霊まで現れて。後から来た私には何が何だかで……
でもそれより、そう言えばあの黒いコートの人、一体なんだったんだろう……?」
晴天爽快?クリアなあの子はバーチャル少女 01
夜中。つい先ほどまで激闘が繰り広げられていた駐車場の屋上。指輪の力により元通りになったその場所に、誰かが一人佇んでいた。
赤色ベースのスーツを身に纏ったその男の目前には、転がり落ちていた黒いカートリッジ。デストロイマンが持っていたソレを、すくい上げるように手に取った。
「この世界には、銀河連邦警察もギャバンも存在しない。けど、この世界にエモルギアは存在している……」
男は空を仰いだまま、おもむろに言葉を紡ぎ始めた。
「多元地球Ν1108-7……通称『U時空』。『第7時空』なんて呼ばれてる世界の1つか……この事案、やっぱ一筋縄じゃ行かないな……」
*****
あれから数日が過ぎた、ある日の夕暮れ時。
東京の片隅に佇むフジヨシ情報処理高校の周辺は、オレンジ色の西日に包まれていた。
放課後の帰り道。飼い猫クオンを抱えながら、ツクモはアンとメアリーの二人と並んで歩を進めている。
「フンフフーン♪なんだかんだでイイ感じ~♪」
「しばらくスルーしてあげましたけれど、随分浮かれていますね。」
「マスターにしては、割と珍しいじゃないか。」
いつになく機嫌の良さそうなツクモ。その様子にアンとメアリー、そしてクオンは目を丸くして顔を見合わせる。
「色々あったけど、最近かなり充実してるからさぁ……そんなわけで、折角だから何か買ったことのないもの買いたいなぁって思って。メダロットとか良さそうなんだけど。」
「確かにマスター、前と比べてそこそこ前向きになったからねぇ……ん?」
そんなお喋りをしながら歩いていると、前からすっと知らない影が近づいてきた。見れば、メイド服をまとった女性。それがツクモたちに向かって、迷いなく声をかけてきた。
「少々よろしいでしょうか、私はハイパーボール教団の坂東と申します。皆さま早速ですがハイパーボールに興味はございませんか?」
「ハイパー?……いや、よくわかんないし別にそう言うの興味ないんで――」
ツクモは引きつった笑みでじりじりと後退する。だが、坂東と名乗るその女性は、獲物を狙う肉食動物みたいに強引に距離を詰めてきた。
「おやおや食わず嫌いはいけませんよ?下っ端の身とは言え折角なので教えてあげて差し上げましょう!ハイパーボールはダサくない!!オシャボ厨がごちゃごちゃ言いますがそんな奴等に見せつけ――」
「ちょっと、いきなり出て来て何マスターに変なちょっかいを――」
見かねたアンとメアリーが、二人の間に割って入ろうと鋭く踏み出したその時。坂東が伸ばした右手が、激しい音を立てて払いのけられた。
「アタシの友達に何ちょっかいかけてるんだよ。」
現れたのは、他でもない鈴夜だった。彼はツクモの腕をぐいと引っ張ると、坂東から引き離すように歩き出す。
「えっと……鈴夜さん?」
いつもなら人を引っ張りまわすくらい明るい彼。しかし今はツクモがパッと見ても分かるくらい、あからさまに不機嫌な態度だ。
「ほら、行くよ。」
「あ、うん――」
鈴夜は坂東を見ようとせずに、そのまま立ち去ろうとする。しかしその瞬間、頭上から何者かが猛然と飛び降りてきた。
間一髪でその強襲を避けると、視線の先、坂東のすぐ隣に一人の男が立っていた。
「貴様……今の行い、少々無礼ではないかね。」
『5つのデンジリング』→『デンジレッド』
『ダイデンジン』
「仕方がありませんね……穂上さん、此処は少しお灸を据えてあげましょう。」
『ゴセイカード』→『ゴセイレッド』
『テンソウダー』
穂上という名の男と坂東。二人は、右人差し指にはめていたクロスタルリングをすっと抜き取り、クロステライザーを構える。
「えっ……まさかの指輪持ち!?見落としてたな……」
「
ツクモが驚愕しているのを他所に、穂上と坂東は指輪をクロステライザーにはめ込む。
【『デンジマン』!!!】
【『ゴセイジャー』!!!】
軽くクラップを行い、穂上は『デンジレッド』に、坂東は『ゴセイレッド』に変身した。
「……下がってて。あれなら1人で何とかなる。」
鈴夜がそう声をかけて、ツクモやクオンはもちろん、アンやメアリーまで下がらせる。
そして自身もクロステライザーを取り出し、指輪を装着。
「
【CLAP YOUR HANDS!!!】
【WONDERFUL THE ARCHIVE:GUARDIAN『ビビット』!!!】
華麗な動きでクラップを行い、鈴夜は守護者ビビットへと姿を変える。
その変身を見届けるやいなや、デンジレッド(穂上)はデンジスティック、ゴセイレッド(坂東)はスカイックソードを構え、迫り来る。
「覚悟っ!!」
「遅い」
それに対し、ビビットは鋭く振り下ろされた刃をひらりと舞うような高速移動で難なくかわし、背後に回り込んでみせる。
こちらもクロステライザーを振るい、斬撃を見舞う。だが、相手の二人もそれぞれ武器を掲げて、それを受け止めた。
「さっさと倒して、ハイパーボールの素晴らしさを教えてやるっ!!」
一旦、互いにバックステップで間合いを外しつつ、デンジレッド(穂上)とゴセイレッド(坂東)が再び迫って、得物を激しく振り回す。ビビットはその猛攻を、まるで踊るかのように容易く回避していく。
「(動きがワンパターンだし、他の技を使う様子すらない。って事は指輪を手にして間もないっぽいな……だったら手っ取り早い……!)」
【『ビビットキャストマシンガンU』!!!】
相手の実力と知識がまだまだだと見切ったビビット。そのまま距離を取った彼はノベルを押し込み、マシンガンを顕現させて一気に力を溜め込む。
【『ビビット』CASTER SPARK!!!!】
超高速の弾丸が、デンジレッド(穂上)とゴセイレッド(坂東)の体を続けざまに撃ち抜き、爆散。
「ダメだったっ……!!」
「ハイパーボールは……ダサくない……」
激しい爆煙とともに吹き飛ばされる二人はそのまま変身解除され、右手に持つクロステライザーも消滅。
そして失神した二人の元から、『電子戦隊デンジマン』と『天装戦隊ゴセイジャー』の指輪がカランと音を立て、ビビットの足元へと転がった。
「圧勝だったね、鈴夜さ――」
「……行くよ。」
変身を解き、二つの指輪を拾い上げる鈴夜。そこへツクモが言葉を投げかけながら歩み寄るが、鈴夜の反応は冷淡そのものだった。
気絶した穂上と坂東をゴミでも見るかのような目で見下ろすと、そのまま背を向けて歩き出してしまう。
「ちょっと、先程からその態度はどう言う事なんですか?流石にいただけませんわね……」
「相手も変なヤツらだったけど……それはそれとして怒らせたみたいだし、あんまり褒められたものじゃ――」
アンとメアリーの発言を一切気に留めず、鈴夜はスタスタとそのまま進んでいってしまった。
「何であんなに怒って……」
かなり珍しく険しい表情を露わにする彼の姿を前に、ツクモは小首を傾げ、戸惑いと不安を隠せずにいた。
背後から見つめる視線に、誰も気づかないまま。
「今のが……」
*****
「んで、大体事情は教えて貰ったわけだがよ……やっぱ思い返しても随分妙な状況だなぁオイ。」
場所は変わり、√BACK-DOORSにて。数日前に事のあらましを聞かされたトラヴィスは、そう独り言を呟く。
「つか、ここもここでまたなんつーご都合良さそうな場所なんだか。どっかのゲームで見たようなキャラクターがうじゃうじゃいやがるし……」
「愚痴を言うならどっか行ったらどうなの……」
と、真横に座るリーゼロッテは、面倒くさそうに話しかける。
「それはそれ、これはこれだ。そう言うお前もいつまでここに居座る気なんだよ。聖霊庁さまは魔術師と協力関係結べたんだからお役御免なんじゃないのか?」
「聖霊庁に頼まれて、守護者とやらに接触したのはそっちも同じでしょ。それに、協力関係と言っても、それはロード・エルメロイっていう理解のある人とかに限った話よ。そもそも聖霊庁と魔術師って仲が悪いんだから。」
「それこそ何でだよ。ファンタジーみたいな力持ってるのは同じだろ。」
「いや、全然違う。普通ならまず価値観の違いで意見が合わないし、魔術師は聖女の事を『聖霊に媚び売ってるガキ』だって見下すこと多いし……」
「え、マジで言ってんの?」
「マジ。というか、私も魔術師とギスギスしないで会話成り立ったの今回が初めてよ。相手が遠坂家やエーデルフェルト家の子とは思わなかったけど……まあ、要はとにかく仲が良くないんで、魔術師とか外部の人間と話すなら、都合のいい場所に居座った方が良かったりするのよ。」
「……ま、そんなもんか。俺も俺で普通こういうのに関わるガラじゃねぇし。」
「殺し屋の貴方に頼まなきゃならないほど、切羽詰まってるって事なんでしょ。ここ最近の聖霊庁も時空間の歪みだかの対応に追われてるのに、色々な理由で足の引っ張り合いとか起きて色々と対応遅れるというかなんというか……その分こっちに仕事が回って来るからいいけど。」
「人の知らない間に、色々起きてるもんだなァ……」
「そういうものでしょ。あの子達もあの子達で、世界中で何が起こってるのかは具体的には知らないみたいだし……」
「知らないって、何が知らないことなのかしら?」
不穏混じりな会話を交わす二人の耳に、突如として見知らぬ声が飛び込んでくる。
振り返った彼らの目に映るのは、どことなく上品な装いの赤目金髪の少女。彼女はどこか楽しげに、興味津々といった様子でこちらをじっと見つめていた。
「貴方たちが、新しい協力者だっていう殺し屋さんと聖女さん?話には聞いてたけど、何だか面白そうな雰囲気ね。」
「おま……え、お嬢さん普通に誰?」
「早い話、お前らのお仲間。」
「状況的に言うなら、今のところ……ではあるのでしょうが。」
トラヴィスが首を傾げている背後から、さらに二人の人影が現れた。一人は奏海、そしてもう一人は、また見慣れないショートボブの黒髪少女だった。
「あら、千夜ちゃんに
「お嬢様……興味があるのは分かりますが、だからと言って先走らないでください……」
「んで、そこにいる二人が、イリヤ達が言ってた奴等だな。初めまして、俺は茅森奏海。美城プロダクションのアイドルプロデューサーで、守護者。」
「プロデューサー?じゃあその二人って……」
首を傾げるリーゼロッテに、二人は頷く。
「はい、アイドルです。私は『白雪千夜』、こちらは私が仕える『黒埼ちとせ』お嬢様です。」
「よろしくね~♪」
「日本のアイドルプロデュース業界がどういう仕組みか知らねぇが、プロデューサーがアイドルそんな軽いノリでに連れて良いのかよ?つっても、片方があんなノリで近づいてきた時点で、単なる守られ役じゃ無ェんだろうが……」
「それはそれとして、黒埼ちとせと白雪千夜……『VelvetRose』って何か最近コラボだとかあるんじゃなかったっけ?」
「オイ……って、コラボ?」
呆れた様子のトラヴィスを他所に、リーゼロッテはスマホでネットニュースを開いて見せる。どうやらVTuberと共演するトピックスが載っていた。
画像に映る、綺麗な白髪が特徴的なそのVTuberに、トラヴィスは見覚えがあった。
「ああ、そいつはちょっと前に見たことあるな。ALIVEってグループの『
「簡潔なところはそれで合ってるが……まあとにかく、会社の親睦とかそんなんで――んあ?」
奏海がコクンと頷いた途端、突然スマホが震えた。相手は†漆黒の闇†のようだ。
「なんだ?珍しくお前から電話を……え、あ、ああ、分かった。」
電話を切ると、彼はクルッとこちらを振り返った。
「東京に侵蝕世怪人が出た。急ぐぞ。」
=パラレルファイター=
『坂東』
元ネタ:ぽへチャンネル
イメージCV:金元寿子さん
使用クロスタルリングカセット:天装戦隊ゴセイジャー
職業:ハイパーボール教団員
願い:ハイパーボールの良さを広める
『ハイパーボール教団』の一員を名乗るメイドの少女。ツクモたちの前に現れて勧誘をしようとしたが、どういうわけか物凄く彼女を嫌悪した鈴夜に邪魔されたのを理由に、ゴセイレッドに変身し襲い掛かるがあっさり負けた。
『穂上』
元ネタ:ぽへチャンネル
イメージCV:杉田智和さん
使用クロスタルリングカセット:電子戦隊デンジマン
職業:ハイパーボール教団員
願い:ハイパーボールの良さを広める
『ハイパーボール教団』の一員を名乗る男性。何故かニワトリのパーカーを着ている。
デンジレッドに変身し坂東と共に襲い掛かるも、ロクに指輪の力を使いこなせず普通に負けた。
なお実際、坂東と穂上は単なるゲーム同好会の人たちで、この場合のハイパーボールはポケモンのアイテムの話。ムーンボールとかラブラブボールとかそういう珍しいタイプのモンスターボールに対抗心を燃やして、迷走している変人がこの二人。
=クロスタルリングカセット=
『天装戦隊ゴセイジャー』
イラスト:ゴセイカード→ゴセイレッド
固定絵:テンソウダー
所有者:坂東→鈴夜
『電子戦隊デンジマン』
イラスト:5つのデンジリング→デンジレッド
固定絵:ダイデンジン
所有者:穂上→鈴夜