ウルトラワールド:Scramble Engage 作:おろさん
「REVEAAAAAAAAA!!!!」
東京都内某所。ゲーム機材を思わせる奇妙な姿をした『レベルアップ世怪』と呼ばれる侵蝕世怪人が、大声を上げながら狂暴に暴れまわっていた。
「見た目に反して結構素早いでござる……!!」
「だー!!この私が!!慣れない足止めなんてするんじゃなかったわ!!」
あすみと闇はそれぞれ手持ちのメダロットをフル稼働させ、必死に足止めしている。先陣を切るウォークロックの軍勢は何とかなるが、とはいえそろそろ限界が近いようだ。
「あすみパイセン、ヤミパイセン!!何とか間に合ったみたいなのです!!」
と、地中からぬっとセンリツが這い出してきて、二人にそう声をかける。すると丁度良いタイミングで、奏海たちが駆けつけてきた。
「うおおう……こういう時、私達の前にお前らが真っ先に来るのも何か新鮮だな……」
「まあ、最近になるまで話した事あんま無かったのもあるんだろうがね。んでいつもの鈴夜は。」
「……少し遅れてくるらしい。」
その言葉と共にほんの一瞬、闇の顔に暗い影がよぎる。
「ジカカ――」
「っと雑魚キャラは早々に片付ける!!」
「思いっきり……!!」
そうしている間にウォークロックたちの群れが迫りくるも、飛び込んで来たトラヴィスとリーゼロッテの刃が、一瞬にして切り刻んだ。
「ま、今は俺らでちゃちゃっとやるか。ちとせも千夜も良いか?」
「ええ、私達で追い払っちゃいましょ。ね、千夜ちゃん?」
「無理をなさらない程度には、ですがね。」
奏海が声をかけるや否や、ちとせは楽しげに頷く。そんな彼女に、千夜は呆れ混じりの溜息をつきながら寄り添う。
「REEVEVEVEEEEEEEE!!!」
そして早々に、ウォークロック共々レベルアップ世怪が迫り来る。対する奏海は、赤黒い気の針を十本生成して投げつけ、相手の体制を崩して怯ませた。
「隙だらけ!」
「迅速に……!!」
ヴァンパイアロードさながらのダークな装いに変身したちとせから、コウモリを模した魔力弾が放たれ、ウォークロックの動きを止める。そこをメイド×騎士のような衣装に身を包んだ千夜が地を蹴り、剣で一瞬にして敵を切り裂いた。
「DEBAAAAAAAAA!!!」
「エルレイド、サイコカッターで向かい打て!!」
続いてレベルアップ世怪が迫り、対する千夜がモンスターボールを投げエルレイドを繰り出す。鋭い腕を鋭烈に振るい、サイコカッターの斬撃を飛ばし相手を押し返した。
「……お前ら指輪無くても普通に強くないか?(by闇」
「ソレは普通にそうかもだが(by奏海」
「オイ(by千夜」
雑談を平気で出来るくらい、早々にレベルアップ世怪を追い込む一同。
「GUGGGGGGGGIIIIII――」
対するそのレベルアップ世怪は、イライラしつつ構えを取ろうとする、その時。
「GA!!!???」
横一線に閃光が走り、レベルアップ世界に容赦なく直撃。
さらに一定の方向から次々と雨あられのように飛んでくるビームを、一同はそれを防ぐか、何とか軽く避けてみせた。
「今度は……」
奏海は一点を見つめて、何もないような場所に針を放つ。するとそれが、何かの金属……おそらく剣らしきものに弾かれ、鋭い金属音を響かせた。
それと同時に、空間にぼんやりと、人型を模ったワイヤーフレーム浮かび上がる。
【『ライブマン』!!!】
それが実体化し、現れたのはパラレルファイター『レッドファルコン』。
「……」
何も言葉を発さず、そのレッドファルコンは剣モードのライブラスターを向けてきている。
「指輪の戦士……妙なタイミングだな……」
「あら、いつの間にいたの?それとも……」
千夜とちとせは軽く分析にかかる最中、レベルアップ世怪がレッドファルコンを目がけて派手に飛び込んでいく。
「ZANBABAABBABABAAAAAAAA!!!!」
「……遅い」
対するレッドファルコンは一切動じる気配がない。次の瞬間、かき消えるようにその姿が消失。レベルアップ世怪の攻撃は不発に終わった。
「GU……GIE!!!?」
困惑しつつ、周囲をキョロキョロと警戒するレベルアップ世怪。そこへすかさずレッドファルコンの姿がまた浮かび上がり、ファルコンセイバーの鋭い一閃でレベルアップ世怪の脇腹をスパッと切り裂いた。
「GI……QAAA!!!」
レベルアップ世怪は、両手のハンマーでド勢い良く地響きを起こし煙幕を張る。煙が晴れる頃には、すでにその姿を消してしまっていた。
「行動の早い……」
少しダメージを与えた程度ですぐに逃げた相手に、レッドファルコンは呆れるようにため息をつく。
そんな静寂の中、新たな足音が近づいてくる。
「へぇ、また指輪の戦士じゃんか。侵蝕世怪人は……逃がしたっぽいな。」
それは鈴夜だった。彼はクロステライザーを構えつつ、レッドファルコンに視線を向ける。対するレッドファルコンもまた、ファルコンセイバーを構える。
「向こうもやる気満々みたいだし付き合ってやりますかね……そんじゃ、
【WONDERFUL THE ARCHIVE:GUARDIAN『ビビット』!!!】
守護者の指輪をはめこみ、守護者ビビットへ変身した鈴夜は、すぐさま間合いを詰めてレッドファルコンへ迫る。
「貴方も指輪の戦士……!」
ガキィンと高い金属音が響き、二人の刃が激しく火花を散らす。勢いそのままに、互いが一歩も引かぬとばかりに踏み込んだ。
【『ビビットキャストマシンガンU』!!!】
「撃ち抜く……!!」
「ライブラスター!!」
次は互いに銃を構え、一歩も引かない真っ向勝負の撃ち合いへ突入。実力はまさに五分だ。
「まっさかの急展開!!やっちまうのです鈴にぃ!!」
センリツたちはその光景を静かに眺め、そのうちの何人かは、応援もしくは見守るような視線を向けていた。
「ま、また何かバトルになっちゃってる……あれ誰?」
「お前か……いや、全然知らん。」
ツクモはひょいと歩み寄り、闇へ声を投げかける。しかし闇からしても知らない相手なので、困惑半分だ。
「というか随分遅かったが、何があったんだ?……まあ、随分と不機嫌さが出てたし、そう考えるとなんとなく察しが付くが……」
「え?ああ……まあ、はい、変な勧誘の人が突っかかって来たのを倒したというかそんな……」
「……おい、それはそうと変化があったようだぞ」
二人がそう会話しているのを、奏海は一瞥しながらため息をつく。
ビビットとレッドファルコンが戦う光景を指さすと、レッドファルコンの動きが少し止まる。
「そろそろ、予定が……!」
妙な事を呟いたレッドファルコンの姿がふっと消え、そのまま何事もなかったかのように静けさが戻る。
「予定?え、あ、ちょっと?……って、帰っちゃったのか……何だったんだよもう。」
「そもそも勝負仕掛けたのお主でござる……」
不満気な鈴夜にあすみがツッコミを入れるものの、彼は聞こえないふりをして振り向く。
「とりあえず一旦√BACK-DOORSに行かない?ちょっと今暇してたし。」
「……。」
いつもの調子に戻った鈴夜。しかしツクモは一人、さっきまでの彼の不機嫌な態度との差が引っ掛かっている様子だった。
*****
「おおお……今度はVelvetRoseの2人!いつも応援してます!あ、コラボの話も聞いてますので頑張ってください!!」
十数分後。√BACK-DOORSにて。戻ってきてすぐその場にいたのはイリヤ。ちとせと千夜の姿を見てまたハイテンションになっている。
「あらあら、そんなに喜んでくれるなんて嬉しい事言ってくれるじゃない?(byちとせ」
「この子は……ああ、お前と同じ守護者か?……守護者の人選どうなっているんだ?(by千夜」
「まぁ選ぶのは指輪だし(by奏海」
「ん?え、今まさかのお前呼び!?何かまさかの親しそうな関係に見えますがどう言う事なんですかね!!(byイリヤ」
「何にでも反応するなこの子……(by千夜」
そんな会話をしていると、鈴夜が咳払いして話を切り出す。
「ところで、集まってたのを考えると……何か盛り上がってたようだけど、何の話してたのさ?」
「あ、そういえばそうじゃん。そこのところどうなの?」
イリヤも気になるようで、そう聞いてくる。
「あー、まあざっくり言うと……」
***
「なーるほど、そう言えばそんなRyutuberいたね……どんな子だっけ?」
「こういうの。」
鈴夜にそう言われて、奏海はスマホで動画を見せる。
青春くりあ。ALIVEと呼ばれるVtuberグループ所属。彼女の場合は主に、お悩み相談のような雑談配信の他、スポーツに関するゲーム実況をメインに投稿している。
奏海が見せた動画そういう内容の動画が主。(外見もどことなく堕天使を思わせる姿なので)クールに見えるくりあだが、言葉の端々には隠し切れない熱や楽しさがこぼれていた。
「へぇ。中々良い子じゃん。この子が今回VelvetRoseとコラボなんだって?……また不思議な組み合わせだけど。」
「企業間で色々あるんだよそりゃ。後余計な事言うけどちとせと千夜だけがコラボ相手ではないぞ。」
「そうそう。飛鳥ちゃんや蘭子ちゃんとか、その辺りの子達にもオファー来てるから、どうせなら盛り上がりたいじゃない……あら?」
話が盛り上がり始めた頃、ちとせはイリヤが小さく首を傾げているのに気づいた。
「青春くりあ……んん……?」
「あら、急に浮かない顔をしてどうしたのかしら?」
「え?ああ、えっと……実は、前に蓮子とメリーがオカルトサイトで見た話がちょっと気になって……その青春くりあの事なんだけど……」
イリヤは一回黙り込んだが、すぐこう言った。
「『透明人間Vtuber』っていう噂なんだけど……ネットカフェの室内で動画配信している声が聞こえるけど、部屋の中に誰もいないとかっていう……それがそのくりあって人なんじゃないかって……」
「透明人間……いや、オカルトサイトなんだからそんな……ん?」
「……なあお前、何かそれっぽいのさっき見かけなかったか?透明人間。」
「まあ、そうっぽいな。」
ちとせと千夜、奏海は、何やら察した様子で顔を見合わせた。
「へぇ……それまた面白そうじゃん。その子何処にいるの?」
「Vの中身を知っちゃダメだろ」
それに鈴夜はさらに興味津々に聞くものの、普通に奏海にそう言い返された。
「……ケチ」
***
同時刻。誰もいない路地裏にて。
先程まで鈴夜と刃を交えたレッドファルコンが、その道を歩いていた。
「私以外の指輪の戦士……ああいう感じなんだ……それに何だかアイドルの子達も……」
「見つけましたよ!」
ぶつぶつ呟いているとその後ろから、声をかけられた。その人は、若干おっとりしている雰囲気の白髪の女性のようだ。
「あっ……不破さん……」
「はぁ……やっぱりまたどこかふらついてましたね?ほら、帰りますよ。その特撮ヒーローの姿から戻ってください、
「ごめん……」
不破という女性の叱責を受け、レッドファルコンは変身を解く。
長い白髪と、透明感のある色の目が特徴的な少女。その姿は、Vtuberの『青春くりあ』にそっくり。
というより、もろ瓜二つだった。