ウルトラワールド:Scramble Engage 作:おろさん
「ジリリリリリリリ!!!」
東京都内、くりあの事務所の地下駐車場。十数体のウォークロックが忍び込んで、事務所内への侵入を試みようとしていた。
「っと待ったァ!!」
そこに駆けつけた鈴夜が目の前に割り込み、クロステライザーを豪快に振り下ろして、敵を文字通り吹き飛ばしてみせた。
「ハッハー!打ち取ったりィ!!」
「ったく、張り切りおってよ……」
「勢いで追いかけちゃったけど、とにかく追いついた……」
ガッツポーズをとる彼の元に、奏海とツクモが追い付いてくる。
「念のため後ついて来たけど、妙な空気なのです……」
センリツもその後ろをついていた。
「む……来るぞ!」
奏海がそう声を上げた瞬間、二か所から派手な爆発音が響く。
砂煙が止むと、そこには上級ウォークロックのココデーと戦うレッドファルコン(くりあ)、そしてうなり声をあげ暴れているレベルアップ世怪だ。
「指輪の戦士に、指輪の怪物……上手い事漁夫の利狙うに賭けてみる……!!」
レッドファルコン(くりあ)が再び透明化により姿を消す。その矢先に、ライブラスターの激しい銃撃が、様々な方向から浴びせられていく。
「それが君の答え……だったら全力で答える!
【WONDERFUL THE ARCHIVE:GUARDIAN『ビビット』!!!】
その行動で何かを理解した鈴夜も、守護者ビビットへ変身し、高速でレッドファルコン(くりあ)がいるであろう方向へ走り出した。
「おい突っ走るなって――っ!」
「ヘイヘーイ、守護者がしゃしゃり出るなら好都合なんでぃすケド~??」
奏海は急いで彼を追いかけようとしたが、ココデーがターゲットを変えてこちらに殴りかかってきた。
「REEEEVOVOVOVOOVOVOV!!」
一方レベルアップ世怪は、もろ取り残されたツクモとセンリツに迫る。
「え、ちょっ、
「仕方ないからボクらでなんとかするのです!!」
「い……いいあああ、ああ、わ、分かりました!!とにかくお願いアンさんメアリーさん!」
「オッケー、行くよアン!」
「お任せあれ!」
霊体状態でツクモの後ろにいたアン&メアリーも出て来て、それぞれ戦闘開始となった。
***
「せい右ストレェィト!!」
「ボクシングスタイルか……つか随分と遠慮なくやってくるなお前……!」
ボクシングの要領でストレートを繰り返すココデー。対する奏海は超加速で回避しつつ、手のひらに生成した気のバリアで瞬時に攻撃を弾く。
「キヒヒヒ!お前が接近戦にそこまで強くないのは把握済み!変身すらさせる前にガンガン攻めて潰しちゃうんでぃすケドー!!」
「そこを把握してるのは悪くないが……そういうのを解決するのが戦術ってもんさ。」
奏海はそう言って、右腕をココデーに向ける。
「……ふっ!!」
その瞬間発せられた赤黒いエネルギー。それが召喚術式を形作った瞬間、ココデーの目の前に千夜が姿を現した。その手に握られた鋭利な刃が、容赦なくココデーを薙ぎ払う。
「続けていくぞ!!」
「魔法使いさんと息を合わせて……それっ!」
奏海は気で弓矢を作り、十数本の矢を放つ。その後ろには(同じく喚び出された)ちとせが佇み、コウモリの弾幕を飛ばした。
「どべっ!!?しまった召喚能力持ってるんだったよコイツゥ……!!だったらこっちも出し惜しみしないんでぃすケド!!」
弾幕を受け吹っ飛んだココデーは、立ち上がってすぐに何かを取り出す。それはなにやらゆとりのありそうな面持ちの顔を持つ、黒い小型カートリッジだ。
「キッヒヒ!結菜様からお借りした力、見せてやるんですケド!!」
そう言った瞬間、カートリッジから放たれるもやがココデーを包む。そしたら同じ姿のウォークロックがもう一体現れる……つまり、分身した。
「あれって……つか、戦闘兵も手の込んだ事するもんなんだな……」
「よくもまあ、そんな悠長な事を言うなお前は……」
少し関心を示す奏海に千夜はそう言う。ただその表情は、呆れというよりは苦笑に近い。
「そう言うなや。まあこういう時は、相手のやる気に誠心誠意答えてやるさ。」
すると、奏海も何かを取り出す。しかしそれはクロスタルリングではない。ココデーがさっき取り出したカートリッジに似ているが、大分デザインが古代チックだ。
「あら、久々に使うのね。」
その古代チックなカートリッジを見つめ、ちとせがそう言葉を紡ぐ。
「まーな。こういう時は、そう出し惜しみはしてられないわけだし。」
そう言い返した奏海は、そのカートリッジのつまみを回す。壁画のような絵が、楯のような角を持つ獣の姿を投影する。
「角醒憑依・盾角……っと」
彼の赤黒いエネルギーがカートリッジを包むと、彼自身に分離するタイプの盾が装着された。
「え、ちょっ、なんでぃすそれ!!?でもそんなん関係ないんでぃすケド!!」
「……少しこの世界の知識が足りないんじゃないかっ!」
ボクシングのステップで踏み込んで、早いスピードで殴りかかる二体のココデーに対し、奏海は盾を振るいバリアを展開。硬いエネルギーシールドでパンチを防いだ。
「んなっ!?」
「……せいっ!!」
シールドから無数の棘が突き出しココデーを吹っ飛ばす。続いて振るわれた盾からは新たな盾が生成され、フリスビーさながらに回転しながら放たれたそれで、更に容赦なく後方へと吹き飛ばした。
「
【ESCORT THE DREAM:GUARDIAN『ガイア』!!!】
その次に奏海は守護者ガイアに変身すると、クロスタルリングを四つほど取り出した。
「千夜、ちとせ、準備は出来てるな?」
「言うまでもありません。」
「バッチリよ♪」
『桜田ヒロム』→『レッドバスター』
『モーフィンブレス』
『ファイブマンの額のエンブレム』→『ファイブレッド』
『Vチェンジャーブレス&Vチェンジャーコンパクト』
『コンドルとナス』→『ポポ』
『氷山』
『桜舞う満月の夜』→『関谷なる』
『鳴子と舞傘』
【CROSSTAL RING!!!】
【『ゴーバスターズ』!!!】
【『ファイブマン』!!!】
【『アイスクライマー』!!!】
【『ハナヤマタ』!!!】
クロスタルリングをクロステライザーに装填させ、四体のアバターを顕現させる。
その内、アバターのレッドバスターとファイブレッドを千夜に、アバターのポポと関谷なるをちとせに憑依させた。
「ソウガンブレード……Vソード……参る!!」
「氷漬けになっちゃいなさい!」
超加速で間を詰め、千夜の双剣がココデーの分身へと直撃。さらに、ちとせのよさこいの舞により弾幕を展開し、それが真っ直ぐ直行した瞬間に分身は音もなく凍りついた。
「え、ちょっとまってヤバ――」
【『ガイアフレイムアーチU』!!!】
【『ガイア』ARCHER PENETRATE!!!!】
「……撃ち抜く!!」
そしてガイアがクロスボウ武器で銃撃。分身ココデーをそのまま貫き爆散させた。
「いいいいいっ!?ま、マズイんでぃすケド……こうなったら出でよ、ソウクレイザー!!!」
相手の強さにココデー本体は焦り出すと、駐車場外に出る。そしたら、巨大ロボ・ソウクレイザーが転送された。
『これで切り抜いてやるんでぃすケドォ!!!』
ココデーはそれに飛び乗ると、専用機『ソウクレイザー・ハンレイヨーム』を動かし始めた。
「ロボ戦……やるっきゃないか」
【アウェイキング!!】
【『クロステラカイザーガイア』!!!】
ガイアはため息交じりにそう呟き、クロステライザーにノベルを付け替えてクロステラカイザーを顕現させる。
「そろそろ、手短に済ませてもらう……!」
コックピットに転送された奏海は、クロステラカイザーを動かし、ソウクレイザー・ハンレイヨームと向かい合った。
*****
「『
一方。レッドファルコン(くりあ)はライブラスターの銃撃をビビットへ向ける。更に撃ったレーザーも透明化させて避けづらくした。
「っ……なんのっ!!」
【『ビビットキャストマシンガンU』!!!】
ビビットも、マシンガンで追尾弾を乱射させる。しかし透明化を繰り返すレッドファルコン(くりあ)に攻撃が上手く当たらず、むしろガンガン攻められている。
「強い……だ・け・どっ!!」
ビビットは爪に纏わせたエネルギーで斬りかかるものの、そもそも見えない相手に対してやみくもに振るっているせいでまともに当たらない。
「(さっきの時と比べて、随分動きが鈍い……これなら……)」
「ジカカカカカ!!」
レッドファルコン(くりあ)が間合いを詰めようとした時に、二人の周囲にウォークロックが迫ってきた。
「こんな時に……!!」
対しビビットが構えると、ウォークロックが間髪入れず飛び掛かってきた。
「鈴夜さんっ――」
レベルアップ世怪と交戦するツクモやセンリツがそちらに視線を向けた、その瞬間だった。
「かぁぁぁぁぁぁつ!!」
ウォークロックのうち一体が、目前に現れた人物に殴り飛ばされる。鈴夜のサーヴァントであるエジソンだ。
「あ、エジソン……」
「『あ』ではない!実にもって嘆かわしいぞミスター鈴夜!忘れて貰っては困るぞ、このトーマス・アルパ・エジソンのことを!!」
「ライオン頭……え、何……?」
レッドファルコン(くりあ)がその姿を見て困惑するのを放置し、エジソンはビビットに視線を向けて話し続ける。
「しかしさっきのはなんだ、らしくない酷い戦い方ではないか……原因の予想はつくが、少々引きずり過ぎているようだな。だがいいか、これだけは言わせてもらおう!今の戦い方はハッキリ言って相手にとって、言わばコストの無駄遣い!それ以上に、対戦相手に対する最大級の侮辱である!!」
「ぶ、侮辱て……」
「その通りだ!私にはわかる……あのレッドファルコンとやらは、己の誇りの為に……失った
「誇り……?」
「そうだ!それ故にミスター鈴夜、君はその覚悟に己の最大出力で応えなければならん!!苛立ちで思考停止しているようだが、思い出したまえ!そもそも君は何のために力を振るっているのだ!!」
「あっ……」
エジソンの叱責を受け、ビビットはハッとする。
そして少し考えこんですぐ、彼は自分の頬を両手で強めに叩いた。
「……あー、うん。我ながら変な方向に行ってた、のかな。そういえばそうじゃんか……ありがとうエジソン。」
「例には及ばん。さて、周囲の戦闘兵は私が請け負おう。」
目が覚めたビビットは、レッドファルコン(くりあ)にクロステライザーの剣先を向けた。
「ついさっきと比べて、面構えが変わった……来る……!」
レッドファルコン(くりあ)も、彼の変化に警戒する。
「気を取り直して……第2ラウンド、始めるよ!」