ウルトラワールド:Scramble Engage 作:おろさん
ツクモ「急に凄く不機嫌になって、イライラを引きずり続けた鈴夜さん。
そんな中で現れた指輪の戦士レッドファルコン。もしかすると、透明人間Vtuberって噂で有名な青春くりあなんじゃないかって噂が出てたけど、レッドファルコンは実際それっぽい感じの能力持ってたから信憑性が高そうで……
とにかくなんだかんだあって、鈴夜さんもイライラから目が覚めていつもの調子に戻ったたのは良かったんだけど、今度はもっとおかしなことが起こって……」
キラリ輝け!透き通る青春ライバー 01
「セイッサイ!!!コロ、ハハハハハハハハハハッハハハハハハズハフアフフWERC&E&%$%%&&HC%CH&%H$#CC$HW%$$%!!!!」
妙な姿に変貌したレベルアップ世怪は、奇声を上げながら拳を振り回す。すると、辺り一面に衝撃波を飛ばし始めた。
「チッ……!!」
それを奏海がバリアを展開し防ぐ。そんな中レッドファルコン(くりあ)が、暴走するレベルアップ世怪の姿にたった一人狼狽えている。
「何で……何であなたが……あれだけ暴れまわって、あんな……あああああああっ!!!」
「ちょっ、待っ――」
ビビットの制止も聞かず、彼女は酷く動揺する。クロステライザーを構えて、そのままレベルアップ世怪へ向かって走り出した。
「はあぁぁぁっ!!!」
レッドファルコン(くりあ)はそのまま飛び掛かり、相手に一撃を与える。
「バカネ……シンソコバアアアアアアアカアアアアアアアアア!!!」
しかし全くダメージを受けていない。レベルアップ世怪は右腕から刃を生やし、レッドファルコン(くりあ)に向けて振り下ろす。
「がっ……」
強烈な斬撃をもろに喰らい、壁に衝突するまで弾き飛ばされる。その衝撃で、(指輪は落とさなかったものの)そのまま変身が解けてしまった。
「っ……あ……!」
Vtuberとしての『青春くりあ』とほぼ瓜二つのその姿に、一同も少し動揺する。
「あの子……『青春くりあ』とそっくり……というより、まさか本人……?」
「自分の姿をそのままモデルに流用していたのでしょうか……いや、それより……!」
ちとせと千夜の視線の先には、くりあに迫るレベルアップ世怪。
「アハハハハハ……ニシテモオッカシイナ……アノトキシンダトオモッタノニ……」
「(んだと……?)」
妙な事を言ったソレに奏海は疑問を覚える中、そのレベルアップ世怪の肉体の一部が窓のように開く。
「デモイイ……オマエガシネバ……ワタシガイチバンナノ……ワタシガテンカヲ……」
それは、一人の女性の顔。おそらくレベルアップ世怪の素体となっている人物のはずなのだが、その表情は狂気に染まっている。
「何、あれ……というかあの状態って、いやでもまさか……って……」
狼狽えているビビットの視線の先。くりあに迫るレベルアップ世怪の前に、一人の女性が立ちはだかった。
「だめですっ……!!!」
「不破……さんっ……!?」
不破は両手を大きく広げ、くりあを自分の背中へ隠すように立ちはだかった。
「ハアアアア……?ナニ?ハ?イミワカンネ……デモイイヤシンジマエ――」
「お前五月蠅いっ!!!」
くりあを庇っている不破に対して、思考放棄するように殴りかかろうとするレベルアップ世怪。しかしその耳障りな言動に腹が立ったか、ビビットが銃撃した。
「センリツ!エジソン先生!!」
「りょっかいなのです!!」
「任せたまえ!!!」
ビビットの合図に合わせ、センリツが地面に自身のナノマシンを張り巡らせると、エジソンは強烈な閃光をレベルアップ世怪に浴びせる。
「このまま運送なのです!!!」
センリツがそう言った後。今の光で目を塞いだレベルアップ世怪が目を開けると、不破とくりあ、それどころか周囲にいた人達が全員いなくなっていた。
「ハ?ハ?ハ?>」grフアkッケエケッケエkナンンアアアアアアアア!!!ドコニ!!ドッコニニゲヤガtッタクリアアアアアアアアアアアアアア!!」
「静かにしろ。」
すると。くりあが逃げた事に激昂したソレを、強烈なエネルギーで縛り付けた者が一人。コロモだった。
「兄者、これでいいか。」
彼女が背後に控えるエビテンに声をかけると、彼は頷いた。
「ああ。大事に至る前に確保出来てよかったが……流石にあまり良くないな……オイ、結局何なんだ?コレは。数年前に自然発生した初期製品なのは分かるが、パトレボルシオンはコイツを実験体にしてどうする気だ。連中の結成に関与してるお前も、知らないわけじゃないだろ。」
奇声を放ち続けるレベルアップ世怪を一瞥し、随分と不愉快な表情を見せた彼は、視線を背後に向ける。
「まあ、多少ながら知っているさ。」
そこにいる、仮面をつけた灰色目の少女『ハルカス=C=セリカアリス』。クレイジークロックのボス『ドクター・ベノディア』の側近である彼女は、最初にこう答えた。
「簡単な話……過去の遺産だよ。コンバーサリーのな。」
*****
「『青春くりあ』……その名前に聞き覚えがあったから、少しばかり協力者に頼んで調べさせてもらったよ。」
くりあと不破を√BACK-DOORSに連れて行き、くりあの治療を終え数十分後。奏海は、とある資料を彼女に見せていた。
「『
「……。」
「だが、約5年前。通っていたスポーツクラブで原因不明の爆発事故が起きて、酷い重傷を負ったそうだな。身体の欠損が多かったのに、しかし今こうして五体満足で生還している……ある程度は予想がつくが、答えてくれないか。何があったんだ?」
「……それに、君に敵意を向けていた侵蝕世怪人も、一体何なの?」
奏海と鈴夜の問いかけにくりあは顔を上げ、説明を始めた。
「まずあの化け物のことだけど……アレは元々、同じクラブのメンバーの子だった。それなりに仲良くしてたつもりだったけど……強い嫉妬を向けられてるのに気づかなくて、今思えば酷く焦ってたと思う……」
「でも、それがどうしてあんな……」
ツクモが首を傾げると、くりあは説明を続ける。
「具体的な事は分からない……確かなのは、あの子がかなり危険な薬を服用してた事……当時ダークウェブで有名だったってやつ……それを頻繁に投与してドーピングして……それに気づいた時はもう遅くて……豹変して、あんな化け物になった……」
「薬……」
その言葉に心当たりがあるのか、鈴夜はそっと拳を握りしめ、震えながら話すくりあの説明にじっと耳を傾けた。
「さっきと比べ物にならないほど暴れまわって……気づけばクラブを粉々にして、皆死んで……私も酷い怪我を負った……だけど、意識が途切れる前……この指輪を、誰かに渡された。」
そう言いながら、くりあは右人差し指にはめたライブマンの指輪を見せる。
「
震える彼女の手を、不破は優しく握る。
「目が覚めた時には、私は生きていた……怪我もほぼ治った状態で……だけどあの時の欠損が酷かったからなのか、テニスの腕が完全に落ちてしまって……それで私は、身体能力を取り戻す為に契約して……」
「指輪争奪に参加したのか……」
「うん……」
「……Vtuberをやってたのは?」
「元々の身体能力を失ったせいで、あの後に家と縁を切られて……だから稼ぐために……機材は手切れ金で揃えて、指輪の力でネットカフェで配信をこっそり繰り返してたら人気になって……それで暫くしたら、何でか私を見つけた不破さんにスカウトされて……」
「それで……いや、だとしても、ほとんど本名のまま配信していたんですか?自分自身とほぼ瓜二つのモデルで……」
「確かにあなたは綺麗な方だし、名前も……キラキラネーム気味だけど素敵な名前ではあるけれど……」
「これでもそこら辺に誇りを持ってるので……とにかく、そう言う経緯なんです。」
多少困惑する千夜とちとせの言葉に、少し拗ねたようにそう返しつつ、くりあは一通りの説明を終える。ただ、元凶への恐怖と怒りで、その手は未だに震えていた。
「……。」
そんな彼女の様子を、鈴夜は黙ってじっと見つめていた。
「(やっぱり、まだ終わって……)」
*****
一方、クレイジークロック本部『クロックワーク・ネクサス』にて。
「ガアアアアアアアアッ!!ダセ!!ダセエエエエエエエエエエエエエエエエエアアアアアアアアアアアアアアア!!!!」
檻の中にねじ込んだレベルアップ世怪が暴れ続けている。それをほぼ無視するように、エビテンとコロモはハルカスの説明に耳を傾けていた。
「コンバーサリーは元々、かなり過激なカルト宗教の人間だったからな。この侵蝕世怪人の素体が摂取してたのが、そのカルトが作った薬だった。」
「……ああ、概ね分かったよ。オーバードーズで悪意を肥大化させたのがソレなのか。薬の作用を知っていたコンバーサリーは、回収したそいつを利用する気だったわけだ。」
淡々と述べるハルカスに対し、腕を組みながらエビテンは納得する。
「まあそんな感じだろうな。とはいえ流石にそのまま利用するのは非効率。だからコントロールのために、弱いガワを作ったようだったが……」
「瑠璃川ダイヤが言うには、パトレボルシオンは今回の侵蝕世怪人を放任させたと聞く。大方、無差別破壊の方向で利用するつもりか。実際、事情を知らない守護者たちがガワを破壊したことで、まさに暴れ出したわけだからな……む」
コロモも色々腑に落ちたようにそう言葉を紡ぐ。すると、真横のレベルアップ世怪の様子がおかしくなる。
「ダセ……ザケルナアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアdぜ23qqqfxgc546ch¥4」xzfc5hk6c83g4xmcyb7ghc」gb542ゆb4xcg785ういyb4gx73g1v76y9btvx67zb9g4y9」
奇声を放ったレベルアップ世怪が、檻を粉砕。三人をガン無視して、時空間の穴にそのまま直行してしまった。
「ここまで来ると最早イレギュラーだなあれは……仕方ない、私はフォローの方に向かう。」
コロモはため息をつきつつ、レベルアップ世怪の後を追うようにこの場を後にした。
「……ハルカス、そっちはどうするつもりだ。殺しの命令は出てない以上――」
「いや……それでもやりようはある。お前達が手こずっている連中の実力くらいは確認したいし。」
素っ気無い態度のエビテンに対し、ハルカスは少し考えるような動きをした後にそう答えた。
「それに、アレを放置するのはマズいだろうからな。取り押さえないと洒落にならない事になる。」
「……それはドクター・ベノディアの見解か?」
「そりゃそうさ。というかドクター・エビテン、そこら辺はお前も分かっているんじゃないのか?……アレの素体が、そろそろ限界なのも。」
*****
「あっ、
「……助けてくれたことは、ありがとう。」
場所は戻って√BACK-DOORS。粗方の事情聴取を終えたくりあが、不破の制止も聞かずに椅子から立ち上がって、この場を出ようとしていた。そんな彼女に対して、奏海が問いかける。
「……あの怪人を探すつもりか。」
「あれが生きてるなら、ケジメをつけなきゃならない。じゃないと私は進めない……」
「……何処に進むつもりなの?……君は、何のために戦うの?」
くりあのその言葉に対し、鈴夜が口を開く。
「……私は、元の身体に戻りたいだけ――」
「じゃあ……何でそんなに辛そうなの……?」
その一言に、くりあは立ち止まる。
「……だとしても。」
そう呟くと、彼女はそのまま、透明化で姿を消してしまった。
「待ってくださいっ、
不破は見えないハズのくりあを追うように、駆け足で走り出す。
「
鈴夜はそれを見つめたまま、小さく呟きうつむいた。