Fate/Scramble U World ~秘封トラベラー・メモリアル~ 作:おろさん
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およそ60年前の『星間大戦』にて、危うく滅亡の危機に瀕した惑星・地球。
奇跡的な復興を遂げ、外宇宙進出にまで至った宇宙開拓の時代。それでもなおこの惑星では、絶え間なく戦いと混沌が繰り広げられていた。
地球圏統一連合によるコロニー圧制。
500年前から存在する、『マナ』と呼ばれる特殊テクノロジーを持つ始祖連合国の過剰な鎖国と軋轢。
超能力『トイズ』を持つ怪盗の悪事、それを追う探偵たちの衝突。
AI以上の知能を持つ『メダロット』の存在や扱いなどに関する議論。
宇宙開拓のトラブルが原因となった3年前の木連テロ……
更には、大っぴらになっていない事件も存在する。聖霊と聖女を巡る戦いの他、『ロストロギア』という古代文明の遺産、それを含めた異世界のアーティファクトの流出、及び一部普及・流通……
そう言った数々の問題が多発する中、やがていくつかの確執は肥大化。
ついには、コロニーと地球の戦争を中心に戦いが起きた。後に、『革命戦争』と呼ばれる事件である。
ガンダム五機の出現をはじめ、ラストリベルタス、ジェイル・スカリエッティ事件など、数々の死闘が発生。
最終的に、トレーズ・クシュリナーダの戦死と始祖連合国システムの崩壊をもって、戦いは終わりを迎えた。
その変革は多くの人の心を、少しずつでも変えるきっかけとなった。
しかし。だからと言って、全てが終わったわけではない。平和に異を唱え、自らの欲望をむき出しにする者もいれば、革命戦争の負の遺産も少なからず存在する。故に、まだ戦いは終わっていないのだ……
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冬木の海辺にて、突如として現れた奏海。
「むむ?どこかで見た顔と思いましたが、もしや346プロの茅森さんではございませんの?ゴリッゴリのゴスロリなので危うく初対面かと思いそうになってしまいましたの。」
「まぁ、プライベートでな。ってか久々なもんだな。あの時のロケからちょうど一年前だったか……」
「時の速さも凄まじいものですの……それはそうと茅森さんが守護者なんですの?でも其方は確かゴーバスターズの……」
「あー、半年前に色々あってな。今は守護者。」
「ほえー、それマジですの?」
「ああ、マジ。」
それに対し、ユミカは面識があるように会話を始めた。
「え、知り合い?どう言う事……?」
そんな二人に対しイリヤは首を傾げていると、
「一年前に、深海の生き物関係のロケがあってさ、ユミカさんはその時の協力者なんだって。」
「指輪もその時点で持っていたわね。お互い戦う気が無かったから、何事もなく穏便に済ませたって、Pさんは言っていたわ。」
「へぇ、そうなんだ――って待ってこの声!!?」
また違う声が聞こえる。その方を向くと女子高生が二人。片方は、ウェーブがかったミディアム程度の茶髪と茶色い瞳を持つ、今だと健康的ながら何処か儚い少女。もう片方は、深いネイビーのハイグラデーションボブで青い瞳を持つ、かなり大人びているミステリアスな少女。
アイドルである『北条加蓮』と『速水奏』だ。
「あなた達がイリヤちゃんに美遊ちゃん、蓮子さんとメリーさんね?」
「Pさんから色々と話は聞いているわ。フフ、よろしくね♪」
「うおおおお!!?北条加蓮ちゃんに速水奏ちゃん!モノクロームリリィだ!!」
「な、なななん、なんでこんなところに!!?あ、サインください」
「・・・え、えっと、実際どうしてこの町に?と言っても、お二人はただ単にプライベートなのは分かりますが。奏海さんも私服のゴスロリ女装だし……」
ちょっと久々且つ、文香とありす以外のアイドルとこうして初めてご対面したため、蓮子とメリーはテンションが上がっている。その横で美遊は若干引きつつも、加蓮と奏に疑問を投げかける。
「んー、なんというか、今回はついてきた感じなのよね。Pさんがちょっとこの辺りに用があるって事で。」
「それに折角の休暇なんだから、ついさっきまでくつろがせてもらったわ。たまには水遊びも悪くないものね。」
そう答える二人の言葉に、蓮子とメリーとイリヤは猛烈に食いついた。
「水遊び!?え、って事はさっきまで水着だったって事で……?」
「え?あ、うん、そうだけど。」
「そっかぁ、うわぁ見逃しちゃったなぁ。アイドルの綺麗な水着姿とか滅多に見られないのにもったいないなぁ……」
加蓮の返答に、イリヤ達はしゅんとして悔しさをにじませている。
「・・・あの、流石に神格化させ過ぎじゃ……この二人もアイドル以前に人なんだし……」
「いやまあ言いたいことは分かるさ。華やかな衣装……今回は水着。愛情込めて育てた魅惑のアイドル達が、それを着こなすことの何たる綺麗な事か。映えるぞ。」
結構な嫉妬を含む困惑の表情を浮かべる美遊だが、いつの間にか戻ってきた奏海が、保護者目線なのか何なのか分からない持論を投げ込んできた。
「今の発言……やっぱり茅森さん見てるんですね!?二人の水着姿!」
「どうです?やっぱ綺麗でしたか可愛かったですか尊かったですか!?」
「そりゃ綺麗だし可愛かったし尊かったに決まってるだろうて。」
目を輝かせながら詰め寄る蓮子とメリーに対し、奏海は満足げな笑みを浮かべて深く頷いている。
繰り広げられるトークに美遊はすっかり匙を投げ、話題にされてる加蓮と奏に目をやった。しかし当の二人は奏海の言葉にまんざらでもない様子で、頬を染めて嬉しそうに視線を逸らしていたため、それ以上の口出しは止めた。
「……何か段々センリツさんみたいになってる二人はもう置いておいて……茅森さん、そもそも何の目的で来たんですか?」
流石に蓮子たちほどのめり込んでいないようで、イリヤは段々ついていけなくなったのか、呆れた様子でそもそもの本題を切り出した。
(*なおそんな彼女を見て、美遊はとても安心した)
「何って……『エゴルギア』の採掘だよ。」
「エゴ……?」
「んあ?知らんのか。十年くらい前から発見された、異世界のアーティファクトでな、一つ一つに『角獣』っつー古代の生き物が……」
「???」
淡々と説明する奏海だが、四人は普通に首を傾げる。
「……ああ、そうか、ここらの地域だとそういうのに疎いんだったか……まあ、この際だ。言い損ねてたのもあるから、色々言っておかないとな……」
***
「(・□・)」
数分後。四人……というか主に美遊は唖然としていた。
一年前の大きな戦い『革命戦争』。奏海から前提として語られたのは、ネット検索では到底たどり着けない、(10年以上前からの含めた)表沙汰になっていない事件のいくつか。
そしてどうやら、奏海やアイドル達を含め、美城プロダクションは、革命戦争における戦いの功労者たちと面識を持っているらしいのだ。
「よく考えてみたら、そもそも奏海さん達って革命戦争が起きてる頃にアイドル活動のアレコレやってるんだったよね……」
「というかそれ聞かされると、そんな前向きにアイドルやれること自体も尚更すごいわね。特に加蓮ちゃんなんて、昔は病弱だったのに、今だとすっかり健康的で輝いてるっていうまさに奇跡の子なんだし。」
蓮子とメリーが深く感心したように頷く。自分のことを褒められて、どこか照れくさそうに口元を綻ばせる加蓮を一瞥しながら、奏海はふっと微笑んでから話を続けた。
「んでまあ、会長のツテ関係で『時空管理局』っていう特殊な組織……と、最近じゃ『プリベンター』や『ネルガル』って所とも協力して、前々から手を回してくれてる案件も多いんだ。ポケモンやサーヴァントも、それで何不自由なく動けてるってワケ。」
「ポケモン……そういえば何回か見かけてたけど、どうしてポケモンがいるの?有名なゲームのキャラクターが出てきちゃってるけど大丈夫なの?」
「まあ……大丈夫ではないな。そもそも込み入った経緯で異世界から流れ着いちまったのがほとんどなんで、外宇宙から密猟されたの保護して引き取った……って事にしてなんとかしてもらってる。」
「い、色々初耳な事が多いですけど……異世界の事、それなりに詳しいんですね。それで、さっき言ったエゴルギアって一体……」
イリヤの問いに奏海がうなずくと、今度は美遊が疑問を投げかけた。
「さっきも言ったが、古代の生き物『角獣』が封印されてるものらしい。10年くらい前から発見されるようになって、いつの間にか普及しちまったんだ。ちなみに、一定条件でその角獣の力を引き出すやつらがいてな、そいつらは『ハンター』って呼ばれてる。」
「ハンター……この辺だと見たことないけど、それは聞いたことあるかも。トイズみたいな超能力ってことでいいのかな?」
「そういえばこの前茅森さんそれっぽいの使ってたわね。鎌振り回してたやつ……」
と、イリヤと蓮子が言う。
「ああ、そんなん。ちなみにアレは『
「ちなみに普通は『角醒器』っていう、メガホンみたいなアイテムでエゴルギアを使うみたいなんだけど……Pさんは自分の能力を応用して、いつの間にかシームレスに使えるようにしちゃったのよ。」
「え、何かさりげなくとんでもないことしてない……?」
「ま、違う世界の要素を掛け合わせるとそういうのも出来るんだよ。」
奏海の横で奏がそう補足したことに対してメリーは驚いたが、奏海はいつもの調子でそう言った。
「とにかく、色々言わせてもらったがそういうわけなんだ。ちなみに水遊びに入る前に二つくらい見つけたが……場合によっては売るかなぁ」
「……普及してるとはいえ、普通に売れるんですか?」
「ああ、一つ2000円前後。」
「……何でそんな安いんですか?」
「鎌角含めて、同じ種類のが既にたんまり見つかってんのよ……まあ、俺からの説明諸々は一旦この辺として……」
知らぬことばかりだった美遊が終始最も驚愕した様子を見せつつ、奏海はふと横に目をやった。
「かなり待たせちまったって悪かったな。」
「いえいえ問題ございません。この世界の歴史や神秘を語る事は素晴らしいことですの。」
健気に待っていてくれたユミカが、ふわりと微笑みながら近寄ってくる。
「しかし何だかんだ言って、茅森さんが守護者なのは、かなり話が早いし色々助かりますの。其方の審美眼は凄まじい故、協力者は大体信頼できる人ですの!」
「あの、さっきから協力者って事を気にしているように聞こえますけど、結局どう言う事なんですか?」
随分と期待に満ちた眼差しを寄せる彼女に対し、美遊はその真意を問いただす。
「ん、ではでは身共の番ですの。実を言うと結構重要なことで、国際機関の信頼できる人達にも知ってほしいことですの。」
「重要……」
「ゴホン、まず結論、というか頼みを言いますと……」
一度咳ばらいを挟んで、ユミカは意を決したように口を開いた。
「皆様に……この町の海に葬られた、『あるもの』を見つけ出してほしいんですの!」