Fate/Scramble U World ~秘封トラベラー・メモリアル~   作:おろさん

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トロピカれ!常夏の街の元令嬢 05

 

 

【アウェイキング!!!】

 

【『クロステラカイザープリズマ』!!!】

 

 クロステラカイザープリズマが起動し、イリヤはコックピットへ滑り込む。

 

「急いでるから、早いところ終わらせるよ!」

 

 操縦桿を握り、向こうに構えるソウクレイザー・パッチェへと狙いを定めた。

 

『フヒヒヒ!!このソウクレイザー・パッチェを侮ると痛い目見るから……行けファンネル!』

 

 ゴトーはソウクレイザー・パッチェを操作した瞬間、周囲に四基の鉱石型メカ『パッチェストーン』が顕現。間髪入れずに激しい銃撃が始まった。

 

「え、何そのハイテク兵器!?ちょっと厄介そうだけど……なんとか!」

 

 クロステラカイザープリズマを飛翔させながら、弾幕を避けつつイリヤは間合いを詰めていく。

 

『ムキュィィィ!!デカい図体で軽やかにっ、避けさせるもんか!!』

 

 対し、ゴトーは黒いカートリッジを取り出し、そのつまみを回すと、妙なコの字型の装置を取り出し滑り込ませる。

 

【ダルーイ】

 

 すると浮かび上がった気だるげな顔の絵柄の表面から、エネルギーが発せられた。

 

「よーしこのまま……あれっ?」

 

 振り撒かれたそれがクロステラカイザープリズマに浴びせられると、機体の動きがかなり鈍くなってしまう。

 

「え、どういうこと!?何か動きが合わないというか……」

 

『ハハハハ!!どうだどうだどうしたどうした、動きがトロ過ぎるだろうがぁ!!』

 

 戸惑うイリヤの隙を突くように、ゴトーは容赦なく銃撃を浴びせだした。

 

「お、思ったよりも厄介かも……!!?」

 

 

***

 

 

「粗方片付いたが……アイツちょっと手こずってるっぽいな……いよし、ここはさっき採掘したやつを……!」

 

 すべてのモビルドールを破壊し終えた奏海たち。苦戦を強いられているイリヤの姿を見ると、彼は素早く懐からある物を取り出した。

 

「イリヤスフィール、コイツを使え!!」

 

 それはエゴルギア一つと、メガホンのような装置を一つ。奏海は大きく振りかぶると、クロステラカイザープリズマへ向け、それらを荒々しく投げ放った。

 

「え、何!?」

 

 コックピットにいたイリヤは、不意を突かれながらも慌てて両手を伸ばし、それをキャッチした。

 

「今投げたエゴルギアっていう小さいのを、その『角醒器』に挿し込め!そしたらこう言うんだ、『角醒憑依せよ、潜角(センカク)』って!」

 

「センカク?よ、よくわかんないけどやってみる!!」

 

 エゴルギアのつまみを回し、イリヤはメガホン型の装置『角醒器』上部に装着させると、そのままそれに向かって力強く声を張り上げた。

 

「か……角醒憑依せよ、潜角!!」

 

 その瞬間。角醒器を通して、不思議なエネルギーがイリヤに、更にはクロステラカイザープリズマへと纏われる。

 

 

***

 

 

『ムキュキュキュ!!!何をしてるか知らないけどそのまま破壊――あれ?』

 

 ゴトーは構わず銃撃を続けようとした。だが、ほんの一瞬視線を外した隙に、クロステラカイザープリズマは忽然と姿を消していた。

 

『え?ちょっ、え、どこ行っ――』

 

「どっせぇぇぇぇぇぇぇい!!!」

 

 周囲を見回すゴトーだが、するとソウクレイザー・パッチェの背後から、クロステラカイザー・プリズマが不意に現れた。油断を突いた強烈な一撃が直撃して、機体は激しく吹き飛ばされた。

 

『ムキュィィァェ!!?なっ、なーなななななななな何が!?何が起こったの今!?』

 

 振り返っても、何もない。だが次の瞬間、ソウクレイザー・パッチェの脚部が掴まれ、巨体ごと容赦なく地中へと引きずり込まれた。それも、パッチェストーンを取り残したまま。

 

「これなら、同じ手はもう通用しない!!」

 

 相手を引き込んだクロステラカイザープリズマが、右腕のセイバーで斬りかかる。形勢は逆転し、イリヤはどんどん攻め込む。

 

『あっ、待って、やべ、自慢のストーンどこ!?待ってイキってごめんなさい止め』

 

「そうはいかないよ!というかさっきも言ったけど急いでるから……すぐに終わらせるっ!!」

 

 イリヤは次に、『ヨイヤミイーター・ルーミア』のクロステラノベルを取り出して、クロステライザーを模った像へかざす。すると、クロステラカイザープリズマにエネルギーがため込まれる。

 

「『クロステラカイザー・『ムーンライト』・カレイドバード with潜角ダイブ』!!」

 

 暗黒の地中を自在に駆け、クロステラカイザープリズマが超高速で突撃する。ソウクレイザー・パッチェの巨体を猛烈な勢いで巻き込み、地殻を切り裂くように猛進。その勢いのまま、一気に深海へと突き抜けた。

 

【『プリズマ』BERSERKER IMPACT!!!!】

 

「せいやぁぁぁぁぁ!!!」

 

 そして、ソウクレイザー・パッチェを貫いた。

 

『海よ、私は散ったァァァァァ!!』

 

 機体はそのまま、ゴトーごと爆散。砕けた機体の中から出て来た『パチェのアトリエ』というタイトルのクロステラノベルが、イリヤの手に収まった。

 

「このまま、この勢いでっ!!」

 

 しかし彼女は、クロステラカイザープリズマの高速移動を止めない。向かう先は、あの装置が埋まっていた場所。

 

 その真下へ潜り込むと、機体の両手パーツを取り換える。すぐそのまま凄まじい速度で、かつ慎重に装置を掴み取る。

 

「獲ったどおおおおおおおおおお!」

 

 その勢いのまま海上へと突き抜け、激しく海を割って飛び出した。

 

 

***

 

 

「REZARIAAAAAAAAAA!!!」

 

 焦るように杖を振り回し、光弾を乱射しているレンキン世怪。それに対し、サファイアとキュアサマー(ユミカ)は勢いよく、且つ冷静に回避し間合いを詰めている。

 

「装置は回収した……だったら、早く貴方を倒す……!!」

 

「要は速攻で、華麗にダイレクトアタックしてやりますの!!」

 

「え?あっ、ちょっ」

 

 キュアサマー(ユミカ)はサーフボードを手に取ると、レンキン世怪へ向かって豪快にぶん投げ、そのまま海の方向へとぶっ飛ばす。

 

「イッツァサーフィンですの!!」

 

 彼女は勢いよく助走をつけ、そのままサーフボードへと飛び乗る。すかさず指輪能力で波を増幅させると、湧き上がる豪快な大波を見事に乗りこなしていく。

 

「PUBEEEEEEEEEEEE!!!???」

 

「ハートルージュロッド……プリキュア!おてんとサマーストライク!ですの!!」

 

 大波でさらにダメージを負ったレンキン世怪に、キュアサマー(ユミカ)がハートルージュロッドを構える。先端のリップを塗り、投げキッスからエネルギーの太陽を生成。そのままレンキン世怪へ思いっきりぶつけた。

 

【『サファイアドリルランサーU』!!!】

 

「まあ、とにかく……終わらせる!!」

 

 先程の直撃で、凄まじい勢いでこちらへと吹っ飛んでくるレンキン世怪に対し、サファイアは冷静にドリルランサーを構える。するとその先端に、高濃度エネルギーがギラギラと溜まっていく。

 

【『サファイア』LANCER STRAIGHT!!!!】

 

「……ハァッ!!!」

 

 そのまま一直線にランサーを突き刺し、レンキン世怪を貫通。

 

「ABAAAAAAAAAAA!!!???」

 

 そしてレンキン世怪は爆散した。

 

「いよーし!!ビクトリーですの!!クロステラカイザーも拝めたし今日は高鳴る事ばかりですの!」

 

「何とか終わった……後は……ん?」

 

 無事に勝利したと喜び、笑顔で変身を解くユミカ。しかしその横で、サファイアは違和感を抱いたか、静かに爆発跡を振り返る。

 

「待って……まだ終わってない!」

 

 その一声と同時に。

 

「SYUTAAAAAAAAA……!!」

 

 レンキン世怪の肉体が再生し、釜の液体含めて完全復活していた。

 

「これ……長人さんのと同じ……だったらイリヤ――」

 

「ああ……不愉快……何とも不愉快で哀れ……」

 

 サファイアは急いでクロステラカイザーに乗るイリヤに声を掛けようとした……だがその瞬間、不気味な声が聞こえてきた。

 

 それに合わせて、空間の裂け目と共に現れたのは、とても歪な修道服を纏った女性……コンバーサリーだ。

 

「何故……何故貴方達は折れないのでしょうか……諦めず勝利を掴む事の愚かさが何故分からないの……可哀そうに……」

 

 意味不明な持論を呟きながら、コンバーサリーはマスケット銃の銃口を向けて来た。

 

「貴方は、確か……下がってユミカさ――」

 

「遅い」

 

 サファイアが振り返った瞬間、一発の銃弾がユミカに直撃する。衝撃音は起きない。弾丸は彼女の体に触れた瞬間、まるで分子をほどくように音もなく溶け込んでいく。

 

「はぐっ……!?」

 

 ユミカの心の中に生じる、不快な感覚。それが彼女を蝕もうとする。

 

「さぁ……我が救済に身を委ねなさい……諦め事が救済……それこそが正しきこと……」

 

「……何を、そんな馬鹿げたことを……」

 

 コンバーサリーが笑みを浮かべた瞬間、ユミカの様子に変化が起こる。

 

「……は?」

 

 それは、コンバーサリーが想定しているものではない。

 

「身共は諦めるなんて……そんな選択肢は最初っから持ち合わせていませんの……それに……それに……」

 

 ユミカの周囲に常軌を逸した熱量が渦巻く。

 

「身共は……身共は……身共は……いつだって前に……前に……進みますのおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!!!!」

 

「ユミカさん……!?」

 

 だが。それは良い状況とは言えない。それをサファイアは、直感で感じ取っていた。

 

「しゃらああああああああああああっ!!!」

 

 ユミカの指輪から放たれた炎が彼女を包み、変貌をもたらしている。

 

 その瞬間、轟音とともに強烈な爆発が起き、凄まじい衝撃波が周囲を呑み込む。抗う間もなく、この場にいた殆どは激しく吹っ飛ばされた。

 

「っ……!!?」

 

 美遊もまた、その衝撃で変身が解ける。

 

 そして砂煙が晴れて、視界に映るその姿。ユミカは、クロステライザーを介さずキュアサマーに変身していた。

 

 だが、本来の姿と違う。所々の衣装の端や装飾は焦げ付き、暴走族のような赤い学ランを纏い、そして陽炎が立ち込めた姿になっていたのだ。髪色もほぼユミカ自身と同じ赤色だが、ヒーターのように眩しく発光している。

 

「大炎上する常夏……『キュアサマー・ヒートアップ』……ですのおおおおおおおおおっ!!」

 

「え、ちょっ……うそ、いや、え、ええ……!?」

 

 そのユミカの異様な変化を目にして、美遊は驚愕に目を見張り、戦慄に身を震わせ、ただ困惑するしかなかった。

 

「……焼き尽くして……やります、のっ!!!」

 

 






=NEXT=

美遊「ユミカさんの暴走、それにより起こる装置の異変……

状況の分からない中で現れたのは……え、えっと、お爺さんはどちら様で……

装置の真実が判明する時、私も覚悟を決める。いつか起こる戦いの為にも。そのためにもまずは、ユミカさんを正気に戻す……!!

次回、第15話『暴走荒波サーフィン!深海に眠る戦の遺産』。」


・今サブタイトルの元ネタ:トロピカル~ジュ!プリキュア
(夏海まなつの口癖)

***


=クロスタルリングカセット=
『トロピカル~ジュ!プリキュア』
イラスト:4つの変身ハートクルリング→キュアサマー
固定絵:マーメイドアクアポット&ローラ&くるるん
指輪能力:活性(パッション)
所有者:榎小路ユミカ


侵蝕世怪人(ワールドロイド)・巨大戦力=
『ソウクレイザー・パッチェ』
搭乗者:上級ウォークロック『トリナベ・ゴトー』
固有武器:パッチェストーン
ベース:パチュリー・ノーレッジ
(ウォークロックの名前の元ネタ:後藤ひとり(ぼっち・ざ・ろっく!)×アナベル・ガトー(機動戦士ガンダム0083))

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