Fate/Scramble U World ~秘封トラベラー・メモリアル~ 作:おろさん
「さっきの感覚、オーラ・ロードが開くのかと思ったが……」
冬木市の港。その上空に静止するのは、昆虫のごとき異彩を放つ、紫色の機動兵器。
その名は『ダンバイン』。
「俺の近くにはダンバインがあった……じゃあ、マーベルはどうなったんだ……?」
『ショウくん、大丈夫かい……?』
機体に乗るショウに対し、成り行きでついてきたRoRoは気を遣うが、
「大丈夫だ。RoRo、まずは出来る事からやろう。」
ショウはそう返した。
『君が知ってる機動兵器だってのもそうだけど……とりあえず、翻訳機能が無くても言葉が通じるようで助かったよ。お互いに異なる世界から来たみたいなのに不思議だなぁ。』
「バイストン・ウェルと地上と同じさ。お互いの言葉で喋ってても、テレパシーみたいなもので通じ合えるらしい。」
『なるほど……っ!!?』
その時、RoRoは機体から離れた向こう側から、徐々に接近する何かの反応を感知した。
『あっちの方角から何か来る……なにこれ!?セプティマに似てる気もするけど、何だか気味が悪いよ!!』
「耳元で怒鳴るな!」
『うおっ!?』
急に大声を上げたRoRoにショウが強く言い返す。
「って、すまない、つい、いつものクセで……」
『あ、そういう。ううん、気にしないでよ。』
急いで謝る彼をよそに、RoRoは気にとめる様子もなく話を続けた。
『そのチャムって子も、結構賑やかなんだね。』
「見た目は全然違うけど、どことなく君にそっくりかな。」
『へぇ。その子に会えると良いね。』
「RoRoも、そのアキュラって奴に会えると良いな。」
『うん。その時はボクとアキュラくんのコンビネーションと、ボクに隠された様々なハイテク機能を……っといけないいけない、そろそろ来るよショウくん!』
その言葉が響くと共に、目の前の空間が歪み、何かが姿を現した。
「ぎxf4hc3r9h943c3-!!!!」
それは、切り絵や布地などを張り合わせたようなアナログな外見の異形。ウサギ人形や砂場など、何らかの物体を形作った存在が三体も現れたのだ。
「何だ、あれは……!?バイストン・ウェルの怪物とも違うようだが……」
『改めて解析しても、やっぱりよく分からない……ショウくんも知らないの?』
「ああ……俺が地上にいた頃……少なくとも大戦中には、あんなものはいなかった……だが、わかる。アレは多分敵だ……!」
不気味なそれらに対し身構えるショウたちだが、それらはダンバインに向かって容赦なく、不気味なエネルギー弾を放ってきた。
「っ、一度下がるぞ!」
やむを得ずダンバインを後退させたその瞬間、RoRoが咄嗟に声を上げた。
『ショウくん、後ろからも何か来る!』
「挟まれたか……!」
『あれっ?待って、複数来るけど、うち一つ……これって……!!』
と、彼女の声色に安心が混ざる。刹那、二方向から同時に影が動いた。現れたのは、計3人以上の何者か。
「あれって……昆虫……?」
「あれはダンバイン!きっとマーベルだ!」
「とりあえず、知り合いが乗ってるみたいね……!!」
片方。桃色の髪の少女と、青髪のクールな雰囲気の少女、そして小さな妖精のようなその姿は、いろは、やちよ、そしてチャム。
ダンバインの姿にいろはは少し戸惑いを見せたものの、チャムの発言を聞いてやちよは納得した様子だった。
「急いでダンバインのところに行って!早く!」
「う、うん!わ、分かった!分かったからそんな耳元で叫ばなくても大丈夫!……やちよさん!」
「ええ!……違う世界だとしても、そう迂闊に見せるものでもないけど……今回ばかりはやむを得ないみたいよね!」
すると、いろはとやちよの指輪が変形し、神秘的な輝きを放つ宝石へと覚醒する。瞬間、光が二人を包み込み、その装いを一変させた。
そして勢い良く地面を蹴って、ダンバインの方向へ跳んでいく。
「み54んc594h4hf―――!”!!?」
その時、ダンバインへ再び攻撃を仕掛けようとした異形に、丸鋸のようなエネルギー弾が直撃した。不意の一撃を受けた異形は、たまらず後退する。
「モキュ、モキュキュ!!」
「……お前の仲間が近くにいるのか。それに、RoRoはその妙な機体に乗っているようだな。」
もう片方。白い妙な生物……言わば小さなキュゥべえと、機械鎧を纏う白髪の青年ことアキュラ。
小さなキュゥべえを肩に乗せ、ジェットエンジンのようなメカで空を駆けるアキュラ。彼は眼下に佇むダンバインを見下ろし、そう呟いた。
『アキュラくん!』
「あっちから来る二人組……隣にいるのは、チャムか!」
こちらに向かってきた面々の内、それぞれ見知った顔を見つけたRoRoとショウは、すぐそちらに向かいダンバインを着地させた。
『良かった、はぐれた時は流石に焦ったけど、すぐ合流出来て良かったよ……!』
「ああ。それとどうやら、それぞれの相棒が入れ違いになっていたようだな……」
そういう感じでようやく合流。再会を喜ぶRoRoにアキュラはそう返しつつ、いろはたちに視線を向ける。
「モキュキュ!」
「貴方も一緒に飛ばされていたのね……」
「あ、あの、この子を保護してくれて、ありがとうございます!」
「ああ……」
小さなキュゥべえの元へと駆け寄ったいろはとやちよ。いろはは、傍にいたアキュラに向き直り、感謝の言葉を述べた。
「ショウ……ショウ!」
「もう大丈夫だ、チャム。俺がいる。そこの君たちも、チャムを保護してくれて感謝する。」
胸に飛び込んできたチャムを抱きとめ、ショウは言葉を返しつつ、いろはとやちよの二人に向かって礼を述べた。
「98y6むctん4m0,3@rj8ん9!!!!」
そうこうしていると、異形たちが再び攻撃を再開した。
「連中は、俺達を逃がす気はないらしいな!」
再びダンバインを飛行させ、身構えるショウ。
「や、やちよさん、あれってどう見ても……!」
「ええ、あれは間違いなく『魔女』……私達と同じで飛ばされてきたのかもしれないけど、だからって結界も無しに、直接現実世界に出てくるなんて……」
いろはとやちよは、そう言葉を交わしながらも警戒しだす。
「アレを知っているようだな。」
その発言から、察したようにアキュラが問いかける。
「はい……アレは魔女って言って……話すと長くなるんですけど、倒した方が良い、怪異や災厄みたいなものです。本来なら、直接現実に出てくることも、普通の人に見える事もないハズなんですが……」
「その魔女を倒すのが、私達『魔法少女』です。尤も、こうして表立つことも本来有り得ないんですけど……」
「魔女……(妙だな……その魔女と、この子達からは、似たようなものを感じる……)」
二人の返答と説明から、ショウは少しだけ違和感を抱いたが、
「とはいえ話は後だ。奴等が敵である以上、前に出るぞ!」
一旦気持ちを切り替え、ダンバインの剣装備を構えた。
「ショウ・ザマだ……それで、チャムを保護してくれた君達は。」
「『環いろは』、魔法少女です。こっちは……」
「同じく『七海やちよ』よ……最後に貴方は……」
「……アキュラだ。」
『そしてボクは、アキュラくんが作ったバトルポッドことサポートAIであるRoRo!よろしく!』
軽く自己紹介を済ませた後、
「見たところ、君達は直接戦えるようだし……まずはこの状況をどうにかしたい。手を貸してくれ。」
「……分かった、礼も兼ねて、今は指示に従おう。」
そのまま異形こと魔女に接近。戦闘が開始した。
『よーし、行くよアキュラくん!』
「皆やっちゃえー!」
「耳元で怒鳴るな!」
チャムの大声に対し、ショウはちょっとだけ笑顔で返した。
「(そういえば、離れた所からも魔女の気配を感じる……だとしたら、急がなくちゃ……!)」
いろははそう考えつつ、魔法のボウガンを構えた。
そして、いろはが察知した魔女の気配のある場所は……
*****
「l、いmぬytq687よいんj!!!!」
一方のイリヤ達。黒いイリヤをおびき寄せるための作戦を実行していた最中で、突如として異形……魔女が4体現れ、一同に襲い掛かって来た。
【UNCOVER THE SECRETS:GUARDIAN『メモリア』!!!】
【WONDERFUL THE ARCHIVE:GUARDIAN『ビビット』!!!】
【ESCORT THE DREAM:GUARDIAN『ガイア』!!!】
「ちょいちょいちょい!!なーんでこういう時に知らん怪物現れるんだよ!!?」
タイミング悪く襲撃を仕掛けてきた敵に対し、鈴夜たちは迷わず即座に守護者へと変身。そのまま応戦を開始した。
「な、何でしょうかアレ……」
「お前何か知ってるか!?」
「え!?い、いやアレ私も初めて見るんだけど……!?」
「……!!」
困惑するめぐみやロクショウ、ツクモの横で、カービィは警戒し、魔女の元へ突っ込んでいく。
「え、襲撃!?え、あのちょっと待って私どうすればいいの――」
「こんな時に想定外の敵だなんて、随分とラッキーじゃない?」
その時だった。吊るされっぱなしのイリヤの目の前に、裏守護者グレイルこと黒イリヤが現れたのは。
「ほ、ホントに来た……!?あ、貴方は一体何者なの!?クレイジークロックの刺客!?それに、あの何かコラージュみたいな怪物は何!?」
「はぁ?そんなわけないじゃない。あと、今出て来た変な化け物は私も初めて見たわ。何なのかしらねぇ?まあ便乗できるから良いけど」
魔女に一切の興味を持たないグレイルは、イリヤに視線を向け、ダガーを構える。
【SLASH STYLE】
「何か大所帯で待ち伏せしてるし、まずあからさまな罠だってバレバレだったけど……まあいいか、一応それなりに台本考えたんでしょうし、乗ってあげる!!」
「っ、捕縛対象切り替えっ!!」
イリヤにめがけてグレイルが地面を蹴り上げた時、凛は魔術の白い布を引っ張り上げる。
地中から這い出たそれは、吊るされたイリヤの拘束を瞬時に断ち切ると、そのままグレイルへと巻き付いた。
「……ふぅん」
だがグレイルは、瞬時に布を切り刻んだ。
【DRAW THE RAINBOW:GUARDIAN『プリズマ』!!!】
【COMPASSION THE SILENCE:GUARDIAN『サファイア』!!!】
「やっぱりあっさりと……!!」
「こんな事になった以上、いくつかはアドリブでやるしかない……!!」
瞬時にイリヤは変身し、サファイアに変身した美遊と共に、グレイルに視線を向けつつクロステライザーを構える。
「さーて……結構変な事起こってるみたいだけど……これもこれで絶好のチャンス、じゃないかしら?」
不敵な笑みを浮かべたまま、グレイルはそのダガー武器……もとい、『プリズムテガスラッシュ』というガントレット武器を構えた。