ウルトラワールド:Scramble Engage   作:おろさん

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芸術少女ケミストリー 03

 

***

 

「(・m・)」

 

 少し時間が経ち、昼頃。

 凛や士郎とは別のエリアにあるレストランで、蓮子たちは昼食を取っていた。

 

 だが、イリヤはというと、どこか機嫌が悪いような、そうでもないような――

 はっきり言えば、ほんのりと焼きもちを焼いている表情をしている。

 

「……あの、イリヤちゃん?……イリヤスフィールさーん?」

 

 その様子に、蓮子とメリーは困惑していた。

 

「(……士郎さんが凛さんと少し仲良くしてるのを見ただけで、急にこうなるって……どういう事かしら?)」

 

 メリーが小声で蓮子に問いかける。

 

「(……メリー。イリヤちゃんの両親の話、本人から聞いたよね?)」

 

 蓮子は、そう前置きしてから続ける。

 

 イリヤの両親は、従者を一人連れて、現在は海外を飛び回っている――

 その話は、イリヤ自身の口から聞いていた。

 

「(それは聞いたけど……あれ、そう言えば……)」

 

 メリーは、ふと気づく。

 イリヤスフィール・フォン・アインツベルンと、衛宮士郎。

 義理の兄妹とはいえ、名字が違う理由についてだ。

 

 両親の話を聞いた後、セラに確認したところ――

 

「(イリヤちゃんの父親と母親、戸籍、入れてないんだったわね……)」

 

 夫婦ではあるが、戸籍を入れていない。

 理由までは聞かなかったが――

 

 この二週間、アインツベルン邸で生活を共にしてきて、はっきり分かることがある。

 イリヤが士郎に対して、明らかに恋心を抱いているという事実だ。

 

 ……それを踏まえると。

 両親が戸籍を入れていないという事は、衛宮姓の士郎と、アインツベルン姓のイリヤは、

 義理の兄妹であると同時に――()()()()()()になったとしても、法的には問題がない。

 

「(・m・)」

 

 その結論に辿り着き、二人は顔を見合わせて苦笑する。

 そんな事など知らない様子で、イリヤは無表情のまま、エビフライとカレーを黙々と食べ続けていた。

 

「……あ、そ、そろそろアルテ・クリープが来る時間じゃなかったかしら?」

 

「え、あ、そうじゃん!?とりあえず、食べ終えないと!」

 

 壁掛け時計を見て、来館時間が迫っている事に気づいた二人は、

 残り少ない昼食を急いで平らげるのだった。

 

***

 

 数分後。

 急遽開催された、アルテ・クリープ作の美術品展示室。

 

 蓮子たちより先に昼食を終えた凛と士郎は、すでにその展示室へ辿り着いていた。

 

 風景画、人物画、抽象的で力強い作品。

 アニメ調の絵柄や、ゲームに出てきそうなモンスター風のキャラクター画まで――

 どれも一目で引き込まれる、圧倒的な存在感を放っている。

 

 何も知らなければ、これらが小学生ほどの少女による作品だとは、誰も思わないだろう。

 

「こうして生で見ると……確かに、かなり迫力あるな」

 

 士郎は、率直な感想を口にする。

 

「……」

 

「あれ?またどうしたんだ、遠坂?」

 

「え?……い、いえ。何でもないわ」

 

 士郎に声をかけられ、凛は誤魔化すように答える。

 だが、彼女の視線は依然として作品から離れない。

 

 違和感。

 それも、言葉にしづらい種類のもの。

 

「……ねえ、衛宮くん」

 

「え?」

 

 突然、苗字に「くん」付けで呼ばれ、士郎は驚く。

 

「私の思い違いかもしれないけど……

 ここに展示されてる絵、何か変じゃない?」

 

「変?」

 

「うまく言えないけど……物足りないというか。

 何かが、決定的に欠けてる感じがするの」

 

「違和感、か……」

 

 士郎は少し考え込み、

 

「そう言われると……ネットやテレビで見た、一番高値で売れたっていう作品と比べると、

 熱意がこもってない……というか、魂が乗ってない感じはするかもな」

 

 凛の感覚に、士郎も思い当たる節があったらしい。

 

「……あれ?ところで、肝心のアルテ・クリープが来る時間、もう過ぎてないか?」

 

「え?……って、嘘。もう十分以上過ぎて――っ!!?」

 

 凛が時間を確認した、その瞬間だった。

 彼女が身につけていた時計を介して、異変が起こる。

 

「危ないっ!!!」

 

「え?急にな――どぅっ!!?」

 

 凛は咄嗟に士郎を庇い、そのまま二人まとめて吹き飛ばされた。

 

「……う、うっかりしてた……!!」

 

 軽く頭を打ち、気絶した士郎の無事を確認した後、

 凛は、吹き飛ばされる直前にいた場所へと視線を戻す。

 

「GAGYAGYA……!!!」

 

 そこに現れたのは、侵蝕世怪人――

 『ケンチク世怪』だった。

 

 美術館の中に、異形の存在が姿を現したのだ。

 

 

「な、なんだっ!? 化け物!!?」

 

「だ、誰か……いやぁぁっ!!?」

 

 突如として現れた化け物に、来客たちは悲鳴を上げて逃げ出した。

 

「GIGIGIGIGIGIGIHIHIHIHIHI!!!」

 

 ケンチク世怪は、逃げ惑う人々を見て嘲るように笑い、右腕のツルハシを地面へ突き刺す。

 すると、来客それぞれの逃走方向に、ブロックの壁が次々と生成された。

 

 突然出現した壁に顔面を強打し、人々は次々と気絶していく。

 

「AGYAHAHAHAHAHA!!!」

 

 さらにケンチク世怪は、気絶した人々を見下ろしながら、ブロックで巨大な時計を作り出した。

 

「ジリリリッ!!!」

 

 その音を合図にするかのように、ウォークロック達が姿を現す。

 

「クロスタルプロテクター展開っ!!」

 

 凛は即座にクロスタルプロテクターを起動。

 結界を美術館の外まで一気に展開し、美術館とほぼ同じ内部空間を生成する。

 同時に、士郎を含む無関係な人々は自動的に結界の外へと転送された。

 

「凛さん!!!」

 

 そのタイミングで、イリヤ達三人が駆けつける。

 

「GIGIIIII……」

 

「って、昨日の侵蝕世怪人……もう復活したの!?」

 

「理由は後! 倒すことに変わりはないわ!」

 

 ケンチク世怪を見て一瞬身構えたメリーだったが、蓮子の言葉に小さく頷く。

 

「……そ、そうね」

 

 戦うため、守護者メモリアの指輪を右人差し指から外そうとした、その時――

 

「AIAAA――IGYALTU!!!?」

 

 展示されていた絵画がガタガタと震え出した。

 次の瞬間、そこから大量のホーミングレーザーが放たれ、ケンチク世怪へと集中砲火を浴びせる。

 

 2、3発被弾したところで、ケンチク世怪は慌てて自分の周囲をブロックで覆い、防御に入った。

 

「えっ!? 絵の中から……え、これってゲームみたいな……」

 

「ゲームじゃないんだよねぇ、これが。」

 

 イリヤが呆然としていると、ケンチク世怪が防御に専念して動きを止めた、その隙に。

 

 コツ、コツ、と足音が近づいてくる。

 

 やがて曲がり角から姿を現したのは――

 

 絵具やペンキが付着した、ぶかぶかの白いアトリエコート。

 赤みがかった瞳に、緑を基調とした髪。

 気だるげな雰囲気を漂わせる、小学生くらいの背丈の少女。

 

 ――ただし、近くで見ると小学生にしてはやや胸囲がある。

 

 『アルテ・クリープ』だった。

 

「あ、アルテ・クリープ……!?」

 

「(……け、結構ある方だったの……!?)」

 

 蓮子(とイリヤ)が思わず視線を逸らした、その瞬間。

 

「ジキキキッ!!!」

 

 ウォークロック達が一斉にアルテへ襲いかかる。

 

「おっと。」

 

 アルテは慌てる様子もなく、カードを一枚取り出した。

 指輪が光り、近くに飾られていた月の絵――その“月の部分だけ”を取り込む。

 

【ネミネムーン!】

 

 カードから、月を思わせるキャラクターが現れ、ウォークロック達の周囲をふわりと飛び回る。

 

「ジ……キ……」

 

 次の瞬間、ウォークロック達はその場で眠りに落ちた。

 

「ね、眠った……?」

 

「ぼくの指輪の力、『合成(ミックス)』だよ。

 二つのものを一時的に混ぜて、予想外の力を引き出すんだ。」

 

 凛の視線に応えるように、アルテはあっさりと説明する。

 

「それにしても……そこの二人のお姉さん。

 あのアニメショップの近くを歩いてた時、一目見て『面白そう』って思ってたけど……まさか指輪持ちだったとはね。

 状況的に、そこのぼくと同い年っぽい娘も、そうなのかな?」

 

「え!? ……ええっ!?」

 

「あの時、私たち見られてたの!?」

 

 二人は思わず声を上げる。

 

「見てたよ。……っと、その前に。」

 

「GI……!!」

 

 レーザーが止んだのを確認し、ケンチク世怪がツルハシを振り上げる。

 

【ハピクローバー!】

 

 アルテがカードをかざすと、ツタが伸び、ケンチク世怪の身体を拘束した。

 

「GAIAI!!!?」

 

 転倒するケンチク世怪を無視し、アルテは蓮子達へと向き直る。

 

「ねえ。

 この館内にある、ぼくの作品についてどう思う?」

 

「えっ?」

 

「いいから。……一枚でいい。じっくり見て。」

 

 言われるまま、蓮子達は絵に目を向ける。

 

「い、いきなり何かと思ったけど……普通に、結構いい絵だと思うけど……」

 

「……待って、イリヤちゃん。」

 

 蓮子は違和感に気づく。

 

 ネットで見た、アルテ・クリープの絵。

 画面越しでも伝わる、心を掴むような“何か”。

 

 ――だが、ここに展示されている絵には、それが薄い。

 

 魅力はある。

 けれど、『熱意』が感じられない。

 線は粗く、色もどこか色あせている。

 

「……あれ? よく見ると、確かに……」

 

 イリヤも気づいたようだ。

 

「ねぇ……これ、全部手抜き?」

 

 問いかけに、アルテは小さく笑う。

 

「……うん。正解。

 ソファで寝転がって、マーブルクッキー食べながら描いたやつ。

 二年前の絵を弄っただけだよ。

 ぼくにとっては、正直“駄作”。」

 

「そ、そんな……」

 

 凛も動揺を隠せない。

 

「でもね。

 怪物や、君達みたいなのをおびき寄せるには、ちょうど良かった。」

 

 アルテは続ける。

 

「ぼくは生まれつき、人とは違う『色』が見える。

 心の目、ってやつかな。

 

その『色』からインスピレーションを受けて、ぼくは絵を描き始めた。

 好きなように描いてたら、アマチュアの画家顔負けの絵が描けてさ。

 七年くらいで“天才芸術家”。

 元々頭も良かったし、両親も子煩悩だったから、特に苦労もなかった。」

 でもさ……」

 

 少しだけ、声の調子が変わる。

 

「周りに寄ってくるのは、金とかブランド目当ての大人ばっかり。

 そういうのが増えて、だんだん、楽しくなくなった。」

 

 アルテは指輪を見せた。

 

「一年前半前、この指輪を拾って指輪の戦士になった。

 そこから、楽しさが戻った。」

 

合成(ミックス)の力。それで新しいものを作ったり、応用してオリジナリティを生み出したり。

 時々、同じ指輪の戦士と戦ったり……」

 

 そして、蓮子達を指さす。

 

「君達を見つけた。」

 

「君達の色は、虹色を超えてる。

 状況で変わる、不思議な色。」

 

 クロステライザーを構える。

 

「だからさ。

 ぼくと戦ってみない?」

 

「怪物を倒すでもいいし、指輪を奪うでもいい。

 ……ぼくのインスピレーション、引き出してくれる?」

 

――勝負を挑まれた。

 

「ちょっと待って――」

 

 イリヤの制止も届かず。

 

「今は……やるしかない!!」

 

 蓮子の声に応え、変身を開始する。

 

「「変身(エンゲージ)!!」」

 

【CLAP YOUR HANDS!!!】

 

へーんしん(エンゲージ)。』

 

【CROSSTAL RING!!!】

 

 異なる音楽が重なり、変身が完了する。

 

【UNCOVER THE SECRETS:GUARDIAN『メモリア』!!!】

【DRAW THE RAINBOW:GUARDIAN『プリズマ』!!!】

 

【ガッチャーンコ! スチームホッパー!】

【『ガッチャード』!!!】

 

 

 

 








―――――

*注釈:本作品は、自著の文章をAI(ChatGPT等)で推敲・校正して投稿しています。ストーリーや台詞はすべて作者が作成したものですが、読みやすさ向上のために文章の整理を行っています。

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