私が、友達が変わらずにいられる世界へ 作:アルトリア・ブラック(Main)
ースレイン法国最奥ー
魔導王に妹がいたという話は各国でもかなり話題になった。
「あの骸骨に人間の妹ね…人間の妹がいるとなれば、ますます人間から変異したって見て間違いないんじゃいなかしら」
番外席次の言葉に第一次席次は「そうだと思います」と話しながら
「神官長たちは魔導国への牽制のため、魔導王の弱点である妹君を何とかできないか交渉するとのことです」
「世界級アイテムでこちらに着かせるなんて言葉考えなかったの?」
「非常にリスクが高いことですので、それに関してはまだ検討して居ないとのことです」
「そう、法国に招待して懐柔させるのかと思ったけど」
番外席次はルービックキューブをいじりながら話す。
魔導国が建国されてから数ヶ月後、斜線堂奏はカルネ村付近にやって来ていた。
モモンガからの『外出時は絶対に100レベルNPCを付けるように』と口酸っぱく言われてしまえば仕方ない。
それに、この世界にはシャルティアを洗脳出来るだけのワールドアイテム持ちの者だっているのだ。
(…モモンガが心配するのも無理はないけど…ちょっと過保護じゃない…?)
「いやぁ、撒くのに時間が掛かりましたなぁ」
自分を横抱きにして木の上に乗り、透明化していた
その下を探すシャルティアとセバスを見る童磨
側から見れば説教物だが、童磨に関しては自分が許しているのでどんな抱き方もOKではある。
「シャルティアを撒くのは骨が折れた?」
「勿論!見つかったら串刺しにされると思うのでさっさと行きましょう!」
そう言ってある程度離れ、草原を歩いていると…
「!!」
童磨が当然目の前に飛んできて氷の壁を作り何かを防ぐ
「!敵?」
そう言いつつ攻撃が飛んできた方向を見る。
空に浮く白銀の鎧
《ぷれいやーか、あの魔導国の者か》
その声と鎧姿を見て
「…かっこいい」
「へ?」
そう呟くと童磨が唖然とする
「初めまして、私は斜線堂奏。貴方の言うプレイヤーではあります。とりあえず首が痛くなるので降りてきて貰えませんか?」
「ちょっちょっ」
止める童磨を無視して前に歩み寄る
(…レベルは90、強…でも攻撃の仕方は何となくわかる…戦闘職とはいえ単身で挑んでくるわけないから周囲に仲間か、あるいは…)
《世界断絶障壁》
周囲に結界が張られる
(…だろうねぇ…とりあえず、攻撃させないように敵意がないのを見せないと…魔導国関係を疑うってことは、魔導国のことを敵視してるなぁ…でも…)
攻撃をして来ない斜線堂奏とその後ろにいるNPCを見てあちらも緊張していた。
「私は、あの魔導国の人間?ではあります。でも、これだけは信じてください。私はこの世界を破壊したいわけじゃありません」
《ならば、何故、戦争をし、罪なき者達を虐殺した》
そんなこと人間社会では何百年と繰り返していた。
戦争に罪も罰もありはしない。正義も悪も決まっていない
勝てば官軍負ければ逆賊なんてよくある話だ。
ただ上がやれと言ったから起こる最悪なこと
「バハルス帝国に頼まれたからです。虐殺したアインズ・ウール・ゴウンは私の友人ではありますが、彼は流され主義というか、自分のギルドを守る為なら殺戮も厭わないんです。まぁそれが…私は嫌なんですけどね…」
ナザリックに閉じ込められる生活も飽き飽きした。沢山の本は今も持っている。
もっと世界を見たい、なのにレベルが低いという理由で籠の中だ
鎧は何が吟味しつつ、警戒は解かずその時はその場から居なくなった。
転移して居なくなったのを見つつ
「……童磨。このことはナザリックの面々に内緒にしておいて」
「いいんですか?どう見ても敵でしたけど」
「良いの」
そう言って背を向ける
〜2ヶ月後〜
『君はなぜ、凝りもせず会いにくる』
あれからも童磨や外道仮面を連れて鎧を探す日々だった。
何回も、何十回も顔を合わせ、やっと敵対心を無くせた。
「暇だからですよ、どうせ、魔導国にいたって閉じ込められるだけですし、リクさんの冒険譚を聞く方が有意義だと思いますし」
童磨が離れた所で辺りを警戒していた。
『………』
不思議な少女と出会った。
傍らに連れているえぬぴーしーはどう見ても邪悪なのに彼女は清廉だった。
魔導王の他に仲間がいるというのは知らなかったが、彼女の話から察するにれべるが低いという理由で外には出れなかったらしい。
(…私なら倒せるな…しかし)
そう少しでも考えれば童磨と呼ばれた男と外道仮面と言われた化け物がこちらを見てくる。
この二人は明らかにこの少女より強い
しかし、彼女の言うことは聞く
一から仲間を強くする以前に彼女をこちら側に取り込めないか、考えていた。
(…リク、彼女は正義の心を持っているだろうか)
斜線堂奏ことアリアナ・ウール・ゴウン・オーウェルの存在が発表されたのは魔導国が建国されて半年経った頃だった。
魔導王の妹として大々的に周辺国家へ伝わった。
その姿は恐ろしいものではなく長い透き通るような金髪に青の瞳を持つ女性として
「…3回もシャルティアを撒いたから、シャルティアかなり落ち込んでましたよ」
「あら、それなら童磨を責めてくれないかしら?私の足ではシャルティアは撒けないわ」
「斜線堂奏様〜?俺が悪いんですか〜?」
街並みが見えるテラスでそう話す二人と後ろに控えている二人のメイドと童磨
「冗談よ」
「…今までは確かに、お…私が悪かったです。心配しすぎて閉じ込めるなんて真似をして…」
モモンガがシュンッとした姿勢になる。
本当に、去られられたら困るのだろう。
「ほんとね、この見た目でもアウトだけれど、本当の姿でやってた行為はまさにロリコンの犯罪者って感じだったわよ」
「う…反省してます」
メイドやNPCがいても関係なく、モモンガは支配者らしい言動はなくなる。
「勿論、レベル上げを中途半端な所で終わらせた私にも責任はあるけれど、童磨や影人間がいれば基本的に私は死なないわ」
そう言って影に潜むNPCに声を掛かる
「所で…本当に使節団として他国に行くんですか?」
「えぇ、アルベドには迷惑をかけるけれど、まずは自分たちの国を見て回らないとね」
ー斜線堂奏ー
自分達の国内を歩く時は警戒されないように童磨とセバスを連れて歩く
そして、その横には天使を連れたアインズがいた。
なるべくカルマ値は善で人間を見下さない人間と頼んだ
その観点から言えば童磨は違うだろうが、そこは目を瞑ってほしい。
自分の作ったキャラクターだから信用しているのだ。
「…みんな、出てきましたね…俺の時は出てこなかったのに…」
辺りを見ると建物から少し身を出しこちらを見る人々、窓からこちらの様子を伺うものがいた。
「…やっぱり人間の方がビビらないかぁ…」
アインズがしょぼくれているのを見て
「人は知らないもの、怖いものには近寄り難い生き物って警戒して近づかないのよ」
「斜線…アリアナsがいるから出て来るのかぁ」
「一度メイドや従者は下がらせて二人きりで歩いてみれば良いと思うわ」
「それでは御身方を御守り出来ません!」
メイドの言葉に微笑み
「じゃあ、童磨一人残して天使隊も一人残して撤退。この国じゃ、王と王女に攻撃をしようとする愚か者なんていないでしょう?」
そんなに信用ならないかしら?と言われメイドはしどろもどろだった。
ー2時間後…ー
「こういう風に撒くんですね…」
「あら、ひと聞き悪い」
二人と童磨、天使の一人と共に街を歩いていた。
「わっ」
段差にヒールが引っかかり転けそうになる。
ガッと腕と腰辺りを支えてくれる
「だ、大丈夫ですか?!」
モモンガが心配そうに言って来る
「ありがとうございます。助かりました」
そうニコリと微笑むと
「あっ…」
パッと手を離される
「ご、ごめんなさい」
しどろもどろになるモモンガにニコリと笑い
「こういう時はタメ口にならないと、返って怪しまれますよ、お兄様」
モモンガはうっという顔をしていた。
チラッと童磨達を見る
「俺は人間を見てるので大丈夫ですよ〜」
辺りをキョロキョロと見回していた。