Sideハクト
「これでひとまずは良しか…」
専用機もなんとか一式開発が完了した報告を受けた俺は一息つく。
どうにも此処数週間からゴアズや他の宇宙海賊共の動きが小規模しか見られないのが不穏を感じるが…恐らくうちのゾイドやMSに怖れおののいて何らかの対策を講じているのだろうか…。
まあそれが出来るとは思えはしないが。
「よし、彼も呼んで話を交わすべきだろうな。
サキュナ、外線を繋いでくれ」
「承知致しました」
用心に越した事はないと思い立ち俺はサキュナにある人物への通信を頼んだ。
「『やあ、キミの方から通信が来るだなんて珍しい事もあったものだね』」
「最近はどうなんだい?」
「『帝国の上層部の馬鹿な老害共のせいで軍の離職率を抑えるのに必死だよ全く…君が我が部隊に卸してくれたMSとやらの性能、機能美において本当に素晴らしい!それを知った今となれば機動騎士なんてたかが知れている…未だに第三兵器工場の様な明らかな出来損無いとの取引を切らない彼等には聊か疑問を感じているさ…』」
「ははは…所でお兄さん達と共に都合のつける日は何時かな?」
ガルシーガ・ザビ、真逆かのザビ家に関係するキャラがこの世界に居るとは予想していなかったが彼は良き友人の一人だ。
ダイクン家やジオン公国は流石に存在していないので彼を縛る業なども無論無い。
主に帝国内関係の事柄で色々と助けてもらっている。
「『ガルマ兄さん達もかい?って事は…』」
「詳しい事は会談にてだ…」
ちなみにギレンは父親であるデギンの暗殺計画を事前に教えたので逮捕され帝国刑務所に現在も収監されている。
「『ふむ、それならばしばし待ってくれたまえ』」
「ああ」
ガルシーガは数分程度席を外す。
そして戻ってきて告げてきた。
「『兄上達にも話をした所三日後との事だ』」
「あい、了解した」
会談の約束を取り付け俺は通信を切った。
その頃、Side?
「我が頭脳ながら末恐ろしい!コレさえあれば帝国や貴族騎士など最早敵ではない!
私の名は歴史に刻まれ長きに渡り轟く事となるだろう!」
「(ああ、お姉様、皆…)」
私の名はシャリーサ・レタ・ローズブレイア…とある国の姫騎士として日々を過ごしていましたがある日宇宙海賊の中でも最悪極まりないと云われているゴアズ海賊団の突然の襲撃を受け故郷は攻め滅ぼされました…私は姉と共に奴等に立ち向かいましたが敵の戦力は圧倒的で追い詰められこうして捕まってしまい挙句に体をゴアズの仲間の可笑しな実験によってこの世の者とも思えない化物の体にされてしまいました…。
きっと姉や他の人質達も私と同じ様な目に遭ってしまっているかと思うと試が痛みます…。
「離して!離しなさいよ!」
どうやら又一人人質が連れて来られたらしい。
「【紫炎の姫勇者】と呼ばれ宇宙海賊に恐れられていたこの女も所詮は機動騎士がなければ只の小娘だな」
「くっ!?…このアメジストに何かあったら帝国が黙っていないわよ!」
「!」
アメジスト!…その名は耳にした事がある…そんな彼女でもゴアズに敗北してしまうとは…。
「五月蠅いですねえ…貴方方には私の復讐の手駒となるしかないのですよ。
気が変わりました、あの飼育係が改造するまで待っていようかと思っていたんですがねえ…」
「え…」
ゴアズにブーディーと呼ばれていた怪しげな男が注射器を取り出しアメジスト様に注射する。
「折角ですからそのまま付き合って頂くというのも一興でしょう!」
「ッ!?!?~」
ブーディーは近くに居た海賊団員の剣を借りアメジスト様の右腕に向かって振り下ろし半分を切断した。
先程の注射はやはり私達にも打った麻酔だったようでアメジスト様は声にならない悲鳴を上げていた。
「仕方の無い事なんですよね…私が天啓によって開発したこの画期的なシステムを扱うにはね!」
「い、イヤ!?…や、やめて!…」
片腕を失わされたアメジスト様の必死な懇願も虚しくブーディーには完全に無視され鈍い音が再び響き渡った。
「あああ!?…」
アメジスト様の四股は無残にも斬り落とされその現実が受け入れられないのか彼女は麻酔のせいもあってかそのまま気絶してしまった。
当の悲劇を引き起こしたブーディーは彼女に止血処置を施した後に高笑いしながら部屋を出ていった。
「帝国なんかに仕えているから悪いのよ…いい気味ね」
直後にやって来た明らかに海賊の仲間とは思えない青いストレートロングヘアーの女性が気絶したアメジスト様にそう物悲しげそうに呟いたかと思うとすぐに出ていった。
「今のは…」
私は訳が分からず己が身に迫る運命に怯えるしかなかった。