女義賊が、婚約者争いをぶっちぎる話   作:埃っぽい心

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 初投稿です。権力だの内政だの詳しく知らないので雰囲気で進んでいきます。

 幼少期は速攻で終わらせたいので次回には立派な義賊になっています。王宮に忍び込むのは少し先です。

 読みにくいなどありましたら、何でも指摘していただけるとありがたいです。


第一章 王子の婚約者候補になってしまった女義賊
1話 「女義賊、爆誕!」


 王城の中を駆け回る黒い影が一つ。

 

 高貴な空気を漂わせるこの場において、その存在は明らかに不適格であった。

 

 全身を黒い衣で覆い隠した姿は、どう見ても侵入者にしか見えない。

 

「『風の槌(エア・ハンマー)』」「『石の槍(ストーン・スピア)』」

 

 侵入者に向けて、四方八方から飛び交う魔法。

 

 追っ手を振り払おうと疾走する影は、それらをなんなくと受け止めた。

 

 どれだけ攻撃を受けようと手応えを感じさせないその振る舞いは、幻か何かのようである。

 

 しかし、只者ではない侵入者であっても、()()()だけは回避せざるを得ない。

 

「『竜炎尾(りゅうえんび)』」

 

 尋常ならざる炎は、まるで生きているかのようにうねりながら、しつこく侵入者を付け狙う。

 

 炎を放つ青年は、王城、ひいてはこのドラファイス王国の最高戦力。

 

 王子という身分でもある青年の視線と、侵入者の視線とが交差する。

 

 それぞれの瞳に宿すのは、執念深さと飄々さ。

 

 だが、全く対比的な感情のその奥には、一つだけ共通するモノがあった。

 

 ──目の前の相手を、もっと知りたい。

 

 興味関心に突き動かされる二人の応酬は、やがて他の追随を許さぬ領域へと突入する。

 

 物騒な追いかけっこの後には、無惨に傷ついた王城とボロ雑巾のように投げ出され気絶している貴族や衛兵たちだけが残されていた。

 

 王城を騒がしたこの不届き者が(のち)にこの青年──バーン王子の婚約者候補になるなどと、この時点で誰が予想できただろうか?

 

 

 ◇ ◆ ◇

 

 

 『婚約』──愛を誓う結婚の約束は、政略結婚となると話が変わる。

 

 時として、婚約とは、権力のための道具にもなり下がる。

 

 身分の高い者の婚約は、大きな争いの火種となることも珍しくない。

 

 王族ともなれば、なおさらである。

 

 もし、貧民の少女が婚約者候補になれば、身分不相応として消え失せるだけだ。

 

 哀れにも婚約者の候補となった少女は、まるで猛獣の檻へと放り込まれた(ねずみ)が如く──。

 

 だが、その少女は普通ではなかった。

 

 放り込まれた檻で、ある時は猛獣を翻弄し、ある時は猛獣を救う。

 

 これはいずれそんな数奇な人生を辿る、()()の少女の物語である。

 

 

 ◇ ◆ ◇

 

 

 とある静まり返った夜の貴族の屋敷。

 

 その正面に、一人の人影が佇んでいた。

 

 姿は10歳ぐらいの女の子であり、纏ったボロボロの布は服と呼べるかも怪しい。

 

 真っ黒な髪と瞳が特徴的な、貧民の子供といったところだろう。

 

 数少ない身近な人間からはクロと呼ばれているこの少女は、明らかに豪邸とは無縁の存在である。

 

 この場に似つかわしくないその少女──クロには、目的があった。

 

 ()()である。

 

 困窮に耐えかねてついに盗みに手を出すことにしたクロ。

 

 その心境は、緊張感と高揚感の狭間にあった。

 

 何しろ、これが初めての盗みなのだ。

 

 治安の悪い貧民街に住むクロだったが、これまで盗みとは無縁であった。

 

 とある事情で、食糧やお金を強奪されることはなかったのだ。

 

 教会の炊き出しやごみ漁り、小動物の狩りなどで、飢えを凌ぐ毎日は大変である。

 

 周りの子供は、窃盗や強盗をする者がほとんどだった。

 

 そんな中でも、クロは良識を保ってきた。

 

 炊き出しの神父から良い子だと褒められることが嬉しかったのだ。

 

 しかし、不運が訪れる。

 

 自分が蓄えていた食料やお金の隠し場所が、何者かに見つかり荒らされたのだ。

 

 尾行に気が付かなかったのだろう。

 

 理不尽な現実に、ついに少女の心は折れた。

 

 これでは、生きていくことすらままならない。

 

 かといって、世話になっている神父も頼りにならない。向こうも自身の生活を切り売りしての炊き出しなのだ。

 

 となると、残された道はただ一つ。

 

 クロがされたように、他者から奪うことである。

 

 盗まれたのだから、自分も盗んでよいはずだ

 

 だが、クロの良識がそれを躊躇わせた。

 

(奪われるのはこんなに苦しいのだ。それを他人に味わわせてもいいのだろうか)

 

 悩んだ結果、少女はこう結論づける。

 

 ──貧しい人から盗んでしまえば、盗まれた人はとても困る。だが、裕福な人から盗めば、少ししか困らない、と。

 

 このような経緯で、少女は目ぼしい貴族の屋敷に侵入して、少しだけ金目の物をいただくことにしたのだった。 

 

 塀の上の高い鉄格子の柵を乗り越えれば、後戻りはできない。

 

 こうした場所というのは、本来は衛兵が巡回しており、侵入は困難である。

 

 加えて、貴族自身が自ら魔法によって誅を下すことだってある。

 

 物を知らない少女であっても、そんな場所に盗みに入ることが無謀だと理解していた。

 

 しかし、少女は無謀を覆すだけの特別な力があった。

 

 クロが裏から塀を超えて侵入し終えたそのとき、巡回の衛兵らしき足音が近づいてくる。

 

 音を聞いた少女は、やや焦りながらも()()()()()()()()()()

 

「……あれ? 変だな、ここに誰かいた気がしたんだが……」

 

 衛兵はしばらく広い裏庭を見まわしたあと、その場を離れていく。

 

 足音が遠ざかったのを確認して、影から這い出てほっと息を吐き出すクロ。

 

 これがクロが持つ秘密にして特別な力、()()()()()()である。

 

 今まで暴力や恐喝などを免れていた理由であり、他人からの悪意にクロが対抗する唯一の手段。

 

 そうして手際よくとはいかないまでも、順調に建物の中に入りこむ。

 

 明るい廊下の隅にある微かな影に、窮屈そうに潜んで息を殺す。

 

 この能力も万能ではない。

 

 影が小さすぎれば狭くて入れない。潜んでる影が無くなれば、その場に強制的に出現してしまう。弱点は色々だ。

 

 影の中から耳を澄ませるクロは、周囲に人がいないことを確認し、明るい廊下から近くの暗い部屋に転がり込んだ。

 

(一先ずここで休憩しよう)

 

 転がり込んだ部屋の中に目を凝らすと、棚には本がぎっしりと並んでいた。

 

 部屋にある細々とした金目の物を、クロは懐にしまっていく。

 

(これを売れば、しばらく食料には困らない。……でも、これだけの危険を冒して忍び込んだんだ。それに見合った戦利品が欲しい)

 

 罪悪感を無視して、価値のありそうな物を探しまわる。

 

 クロから見て、どの本がどのくらいの価値のものかなど、見当もつかない。

 

 それでも、本の背表紙にある鈍く月明かりが反射する装飾には目を奪われてしまう。

 

 文字が読めないクロには、雰囲気でしか価値を測れない。

 

 本選びは難航した。

 

 全ての本が分厚く、重量も結構なものだ。持ち運ぶことも考えたら、一つに絞らないといけない。

 

  自分より遥かに高い本棚によじ登りながら本を見ていると、本棚の裏でがちゃりと音がした。

 

「っ!?」

 

 クロは慌てて影に潜り、音で周りの様子を伺う。

 

 誰にも気づかれていないらしい。

 

 ため息を吐いたクロは、改めてその本棚を調べる。

 

 どうやら隠し扉となっていたようだ。

 

 クロは少しワクワクしながら、その先に足を踏み入れた。

 

(こんなに念入りに隠しているなら、きっとすごい物──それこそ、お宝なんかが隠されているに違いない)

 

 そう胸を高鳴らせるクロ。

 

 クロが入った先は、机と椅子のみの簡素な部屋だった。

 

 少しがっかりしたものの、よく見ると机の上に一冊の本が置かれている。

 

 さっきまで物色していた本よりは薄く持ち運びやすそうな本であったが、装飾も特にない。

 

 しかし、隠し部屋にあったという事実が、クロの琴線に触れた。

 

 煌びやかな装飾の本がたくさんある中でこの本だけ地味という異質さにも、何か惹きつけるものがあった。

 

(これはきっとすごいお宝に違いない)

 

 ホクホク顔で本を抱えて無事脱出したクロは、そのまま夜の闇に消えていった。

 

 この時のクロは、知らなかった。

 

 今しがた盗んだこの本が、何の金銭的価値もないただの自作小説であることも、その本によって自分の人生が大きく変化することも。

 

 

 ◇ ◆ ◇

 

 

「どうしよう、この本」

 

 本を抱えて住処に戻ったクロは、これからについて悩んでいた。

 

 細かい金目のものを売れば、しばらく飢えることはない。

 

 元々貯蓄を奪われていたことも考えれば、盗品のほとんどを生活に充てることになるだろう。

 

 となると、最初の盗みで残る成果は、たった一つの本のみ。

 

(初めて盗んだにしては、上々だろう。問題は……うん、読めん)

 

 本をめくりながら、クロはため息をつく。

 

 そう、本の正確な価値が分からないのである。

 

 クロが過ごしてきたのは、親もいない中で路上でごみをあさる日々だ。

 

 そんな人間には、この本の文字が全く読めない。

 

 今更ながら、隠し部屋にあったという漠然とした理由で盗み出したことを後悔するクロ。

 

 しかし、その初めてにして唯一の成果であった本の価値に、クロは大いに興味を持った。ボロっちいが実はすごい内容なのでは、と。

 

 次の日、本の内容について尋ねに、クロは定期的に炊き出しをもらう教会を訪れた。

 

 貧民街から近いところにある教会は寂れており、なんとか一人の神父が切り盛りしている。

 

 このブラウン神父はたまにご飯をくれるというもあり、クロにとって唯一信頼できる大人だ。

 

 クロの良識も元を辿れば、ブラウン神父から教わったものである。

 

 いつもより緊張する手で、教会の押し扉を開ける。

 

 盗みを働いた人間は、すでに善良といえるはずがない。

 

 ブラウン神父の信頼を裏切っているで、会うのが少し後ろめたい。

 

 しかし、買い叩かれないためにも、知識があって信頼できる大人の協力は必要不可欠である。背に腹はかえられない。

 

「ブラウン神父」

 

 声をかけたクロに返事をしたのは、やせ細った茶色い髪の初老だった。

 

「おや、クロですか。……申し訳ないのですが、今は食べ物はありませんよ。私も、もう2日はまともに食べていないので」

 

「食べ物の話じゃないよ。この本を見てほしいんだ」

 

「本というと、それですか? 随分汚れていますが……」

 

 ブラウン神父はそれがあまりにもボロボロだったため、捨てられていた物と勘違いしたようだ。

 

 少し胸が痛むのを耐えながら、曖昧に頷く。

 

 クロはすでに悪人の道に踏み出したのだ。もう引き返せない。

 

 むしろ勝手に勘違いしてくれたのはありがたい。それを利用させてもらうとしよう。

 

 そう切り替えて、クロは口を開く。

 

「ブラウン神父! 私、この本に内容がなんて書いてあるか知りたい!」

 

 そうせがむと、ブラウン神父は快く了承した。

 

 その後、空いている時間は、その本を使って文字を教えてもらうことになった。

 

 内容は、どうやら物語が書いてあるらしい。

 

 分厚くはないが、文字を知らない子供が読むにしては量が多いそうだ。

 

 別の本を進められそうになったが、そこは突っぱねた。

 

 内容を把握するには、時間がかかるだろう。売るのは、まだまだ先になりそうだ。

 

 ついでに仕事の手伝うことを条件に、余裕がある時に優先的に食べ物をわけてもらうことになった。

 

 なんでも、素行の良いクロなら、雇っても問題ないだろうと判断したらしい。

 

(あれ? これでは盗みに入った意味が……)

 

 クロは複雑な感情を抱きながら、教会に通い続けるのだった。

 

 そこから季節が一巡したころ、クロはその本の全容をようやく知ることとなる。

 

 ブラウン神父から内容を教わる内に、本の価値などそっちのけで物語に没頭していた。

 

 その物語における主人公は、正義の名のもとに盗みを行っていた。義賊というらしい。

 

 読み進めるにつれて、神父からはなぜか微妙そうな顔をされた

 

 だが、クロはこの本にとてつもない価値があることを確信する。

 

 そこまで生活に困っていない今、手放すなど以ってのほかだ。

 

 義賊モノの小説の内容を全て読み終えたクロには、一つの目標が生まれた。

 

 そう、義賊である。盗みを大義と結びつける義賊が、クロにとって眩しいものに感じたのだ。同じ盗みでもクロとこの義賊では大違いである。

 

 神父のもとでの手伝いと並行して、文字を覚えたクロに色々な学習教材を与えられた。

 

 なんでも、知り合いのお下がりらしい。

 

 義賊が目標のクロにとって、そこまで惹かれるものは無かったが、唯一魔法の本だけは興味を持った。

 

(この教科書で魔法を練習して、影に潜る力を磨こう。いつか義賊となって、この貧民街を救うんだ)

 

 そう誓ったクロは、最初に盗んだ本を返しに行くことにした。

 

 義賊は、悪い貴族以外から物を盗んではいけない。

 

 なので、実力が伴ったら、盗んだ本をこっそり忍び込んで返しにいくことにしよう。

 

 直接返しに行くのは、怖いからなしだ。

 

 この素晴らしい本を返すのが名残惜しくないと言ったら嘘になるが、内容は別の紙にも写した。

 

 クロに、その本への未練はもう無い。

 

 こんなに価値のある本を盗んでしまって、貴族の人はきっと夜も眠れていないだろう。

 

 そう思うと、クロの魔法の訓練はとても捗った。

 

(魔法の教科書にある五大属性ってのはよくわからなかったけど、魔法とは魔力を使って行使するものらしい)

 

 人の目がないところで、クロは四六時中魔法に勤しんだ。魔法は使えば使うほど鍛えられるらしい。

 

 幸いなことに魔力が尽きても倒れるだけであり、クロにとって飢えで倒れるのとそんなに不快感は変わらなかった。

 

 魔力が底をつくことでも成長するらしいので、一刻もはやく本を返却するために無茶を重ねる。

 

 いつしかクロは、魔法の扱い方も格段に上達していた。

 

 出来ることも増えて、今では影に体以外も入れることができる。

 

 物を入れてる間にも魔力を消耗してしまうが、何かを持ち運びのにこれほど便利なことはない。

 

 魔法のおかげもあってクロのゴミ漁りの効率も上がったので、教科書をくれたブラウン神父には頭が上がらない。

 

 いっそ魔法が使えることを周囲に打ち明けようかと、考えたこともあった。

 

 直接魔法を使って働いた方が、よりお金を稼げるだろう。

 

 一方で、未だ治安が悪い貧民街で、身を守る術を隠し通すことにも利点はある。

 

 影に隠れることで身を守っているクロだが、影の前で待たれてはどうしようもない。

 

(この魔法にも、弱点はあるんだ。魔法は隠し通そう)

 

 なにより、あの物語でも普段から正体を隠していた。正体が分からない方が、かっこいいのだ。

 

 そうして月日が経ち、本を返せるぐらいには魔法に自信がついたクロは、ついに本を返却することを決める。

 

「ずいぶん待たせてしまった。必ずや、この素晴らしい本をお返ししよう!」

 

 運命の日から3年。そこには年相応の痛々しさを獲得した、黒衣の少女の姿があった。

 

 

 ◇ ◆ ◇

 

 

 吾輩の屋敷で奇妙な事件が起きたのは、今から5年ほど前のことだった。

 

 密に自作小説を執筆していた吾輩の隠し部屋が、暴かれたのである。

 

 さらには、吾輩の自作小説も忽然と消えていた。

 

 椅子に預けた丸い体を揺らして蓄えた白いひげを撫でながら、吾輩は現実を逃避する。

 

 これは由々しき事態だ。

 

 まずは身内の犯行を疑った。

 

 だが自作小説のことは隠しているので、大事なものが盗まれたとしか言えず追求まではかなわない。

 

 しばらくは思い悩んだが、小説のことは諦めることにした。

 

(誰に知られたかは知らぬが、あの小説に、未練はない)

 

 あれは、失敗作というべきものだ。完結させたものの、内容を読み返すと恥ずかしく読めたものではない。

 

 隠し部屋の騒動は、本を捨てて全く別のものを書き直そうかと迷っていた矢先の出来事だった。

 

 処分するか迷い続けるぐらいなら、これでよかったのかもしれない。

 

 よくよく考えたらあれに著者は記していない。

 

 つまり、犯人は吾輩があの本を所有していたとしか思っていないはずである。

 

(いざとなれば、知り合いが書いたとでも誤魔化そう)

 

 そう算段を立てて、今回の出来事を胸の奥底に封印した。

 

 あの本の紛失から5年ほど経って、心の平穏を取り戻した頃。

 

 自室で寝ていた吾輩は、誰かの気配を感じた気がしてふと目が覚めた。

 

 周りの様子を伺うと、感じたことのない魔力の残滓が僅かに漂っている。

 

(この屋敷で魔法を行使できるのは、吾輩のみ。つまり、侵入者か!)

 

 吾輩は警戒しながら魔法で部屋の明かりを付けたが、すでに侵入者は去ったようだった。

 

 一体何が目的だったのかと思案しながら、衛兵を呼びに行こうとする。

 

 そこで吾輩は、ふとあることに気が付いた。

 

 ベッドの側の机の上に、布で包まれた何かが置かれているのだ。

 

「寝る前に、こんなもの置いた覚えは無いのだが……?」

 

 不思議がりながら布の包みをほどくと、そこには盗まれたはずのあの本があった。……なぜ?? 

 

 まさか、侵入者が置いて行ったのだろうか。

 

 何の意味があるのだろうか。まさか返しに来たとでもいうのか。

 

 様々な思考がよぎっては消える。

 

 一応、本物かを確かめるために本を開く。

 

 すると紙が一枚挟まっており、そこには何かが書かれている。

 

 侵入者からのメッセージのようだ。

 

『あなたの大切な本を盗んでしまったことを、ここにお詫びする。義賊ブラックムーンより』

 

 そこに書かれていたのは、吾輩が書いた恥ずかしい小説の主人公からの謝罪文だった。

 

 吾輩はそっと本を閉じ、ベッドの中で悶絶した。




 『ブラックムーン』という名前が世に広まる程に吾輩さんは悶絶します。
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