戦いは嫌なので音楽をしたいと思います。   作:名無し

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UAが1000超えて嬉しいです。
にしても「読者層が似ている作品」の欄がカオスなことに…原作がバラバラすぎる…



音楽少女と一人楽団

ハルが町を探索したり、たまにライブをして稼いだりして数日がたったころ、一通のメッセージが入った。

 

「なんでしょうか?」

 

近くのベンチに腰を掛けて、メッセージを開く。

確認すると、イズからのものだった。

 

『楽器ができたから取りに来てね』

 

「思っていたより早かったですね……では行きますか」

 

ハルはイズの店へ向けて移動を始めた。

 

 


 

 

ハルが店の中に入ると、カウンターの向こう側でイズが待っていた。

 

「あら、いらっしゃい」

 

「楽器の受け取りにきました」

 

「はーい、奥の部屋にどうぞ」

 

「では失礼します」

 

イズがカウンターを持ち上げてハルを奥へ招き入れた。

 

「この部屋に保管してあるわ」

 

そう言ってイズが扉を開け放つと、そこには楽器たちが飾られていた。

その光景にハルは目を輝かせる。

 

「おお……!」

 

「気に入っていただけたようで何よりよ」

 

「はい……!こちら代金です!」

 

ハルは代金をイズに払い、楽器たちを手に取っていく。

 

「サックスとクラリネットのリードはサービスで付けといたわ」

 

「何から何までありがとうございます……」

 

ハルは楽器を全て受け取ると深々と頭を下げる。

 

「あ、それと追加の発注を……」

 

「その前に装備は変えないの?」

 

「楽器が先です」

 

「そう……」

 

イズは未だに初心者装備のままであるハルの服装を注意しようとしたが、ハルの意思は固かった。

 

「それで追加なんですが……ピアノとドラムセットを、どちらもアコースティックでお願いします」

 

「分かったわ。他にはない?」

 

「そうですね……フォークギターをもう一つと、タンバリン、をお願いします」

 

「あら、今回は少ないのね」

 

「同時に大量ではなく小分けに注文しようかと思いまして……ではそろそろ」

 

「待って」

 

今回の注文を終え、店を出ようとするハルをイズが呼び止める。

 

「どうしましたか?」

 

ハルが振り返ると、イズが不敵な笑みを浮かべて告げる。

 

「この店にはまだ部屋があるのよ」

 

「はあ……?」

 

ハルはイズの言葉の意味を理解できずに首を傾げる。

その様子を見てイズは別のドアに手をかけて部屋を開け放つ。

 

「こ、これは……!」

 

そこにあったのはドラムセットとグランドピアノ、アコースティックベースの三つだった。

 

「貴女なら注文すると思って先に作っておいたのよ」

 

「最高……最高ですイズさん!」

 

思いもよらない出来事にハルのテンションはMAXになっている。

その様子を見てイズは満足そうに頷いた。

 

「そこまで喜んでくれたならよかったわ」

 

「本当にありがとうございます!御代は1000万で大丈夫ですか?」

 

「多いわよ……三つ合わせて760万ゴールドよ。ドラムセットとピアノは他より高いの」

 

「十分安いです!」

 

ハルは嬉々としてイズに代金を払う。

 

「うん、丁度ね」

 

「私としてはイズさんに御礼をしたいのですが……」

 

「別にそんなもの要らないわよ」

 

テンションが元に戻り、少し申し訳なさそうにするハルに向けてイズは気にしなくていいと言う。

しかし気が収まらないハルは食い下がった。

 

「それでも、私の気が済まないんです」

 

「うーん……じゃあ、貴女の音楽を私に聴かせてくれる?」

 

「そんなことでいいんですか?」

 

イズの頼みにハルは思わず聞き返す。

 

「フィールドに出ないで音楽だけでここまで稼いでいるのだからそれだけの価値があるのよ」

 

「そういうものですか?」

 

「そういうものよ」

 

余り自分の価値について理解していないハルにイズは溜め息をつく。

ハルは既に『NewWorld Online』で最も有名なプレイヤーにまで上り詰めているのだ。

 

「では……【並列演奏】」

 

ハルがスキルを使うと、脳内に思い描いていた楽器たちが周囲に現れる。

アルトサックス、トランペット、ドラムセット、フォークギター、フルアコースティックベース、グランドピアノがハルを囲むようにしたところで演奏が始まる。

 

(これは……中々に制御が難しいですね)

 

その全てを並列思考で動かしており、オート演奏について完全に忘れているようだ。

 

「誰が袖に咲く幻花ただそこに藍を落とした」

 

マイクなどないにも関わらず、楽器にも負けない声が部屋に響く。

 

(伴奏があるだけで全然違う……やっぱ楽しい!)

 

これまで以上に活き活きとしながら音を奏で、歌を紡ぐハルにイズは戦慄していた。

 

(目の前で聞くのは初めてとはいえ、これまで以上に楽しそうに歌ってる……この子の上限はどこにあるの!?)

 

そんな考えの中でも曲は進み、サビに入っていく。

 

「声よ轟け夜のその向こうへ涙で滲んでたあんなに遠くの景色まで響き渡れ!」

 

曲の疾走感がハルのテンションを高くしていく。

 

「何を奏でて誰に届けたくて不確かなままでいい」

 

「どんなに暗い感情もどんなに長い葛藤も」

 

「歌と散れ―――」

 

ハルは手を天に掲げ。

 

「残響」

 

その手を握った。

そのまま曲は進み、ハルの演奏は終わった。

 

「どう……でしたか?」

 

「凄かったわよ。歌姫なんて呼ばれているのが分かるほどに」

 

「私ってそんな呼ばれ方してたんですか!?」

 

感想を聞いたらいつの間にかできていた恥ずかしい二つ名にハルの顔が赤くなる。

 

「ふふふ……これからは曲の幅も広がるんじゃない?」

 

「そ……そうですね。本当にありがとうございました!」

 

ハルはそのまま逃げるように店を出ていく。

 

「また来てね~」

 

「は、はい!」

 

恥ずかしくなったハルはその日、もう何もせずにログアウトして寝たという。





今回の曲は
Aimerより『残響散歌 - from the first take』
でした。

鬼滅の刃第二期遊郭編のオープニング曲である『残響散歌』をYouTubeチャンネルの「The First Take」にてオリジナルアレンジを加えたバージョンですね。
ジャズ風のアレンジがとてもカッコいい曲です。

楽曲がリクエストではなく作者の趣味に走る……
メタ的に言うとエレキギター・エレキベース・キーボードというメジャーな楽器が使えないことが原因です。
ファーストテイクのアレンジ見たりBUMP OF CHICKENやMr.childrenみたいなメジャーなバンドの構成を確認したりと色々しているんですが、どれもこれもエレキギターやキーボードが居るんですよ……ベースに至ってはアコースティックベースが希少種すぎます。
テコ入れしようかな……

それと、楽曲のリクエストなんですが曲名が被っているものもあるのでアーティスト名を添えて欲しいです。
Butter-flyのリクエストが二通来ているんですがデジモンかバンプか木村カエラさんか分からない……

次回 「依頼」
テコ入れ回でもあります。メイプルとの出会いは……多分二、三話あとかな……

ハルは相棒を手に入れる?

  • 七層まで待て
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