戦いは嫌なので音楽をしたいと思います。 作:名無し
ちょっと時間が空いて6月なのに夏のように暑さが厳しくなってきた今日この頃、皆さんはどうお過ごしでしょうか?
不定期更新らしく時間が空きました。頻度はなるべく落としたくないけど頑張っていきます。
遅れた理由は単純にやる気ですね。アレもコレもと考えていたら時間が空いてやる気が下がっていきました。
今回はテコ入れ回となっています。
楽器が少なすぎたんで……
【歌姫】という二つ名をいつの間にか得ていたことに恥ずかしくなって急いでログアウトした浩はベッドの上で悶え、転がっていた。
(恥ずかしい……メディアから言われる宣伝じゃなくて二つ名ってところが本当に恥ずかしい……)
浮世離れした年齢不相応の少女である浩にも一応の羞恥心はあった。
マスメディアから散々言われた称号も、二つ名として勝手に広まっていくことは恥ずかしかったらしい。
「まぁ……いいです。切り替えていきましょう」
深呼吸をした後「スン」という音が似合うかのように落ち着いた。
ここに誰かが居たら「うわぁ!急に落ち着くな!」と言われていただろう。
「久しぶりに連絡でも……おや?」
近況報告もかねて別居している両親に連絡を取ろうとスマホを手に取ったとき、仕事用に公開してあるメールアドレスにメールが届いていることに気がついた。
ファンメール用のアドレスではなく、依頼用のアドレスだったため気になった浩はそのメールを確認する。
件名 PV出演依頼
From NewWorld Online運営
伊沢 浩様、日頃より弊社VRMMO『NewWorld Online』をご利用いただき誠にありがとうございます。
今回は伊沢 浩様に『NewWorld Online』のPVに出演していただきたくご連絡させていただきました。
詳細は添付されている資料よりご確認ください。
「PV出演ですか……」
浩はメールに添付されていた資料を確認し、収録がVR空間で行われることを確認する。
「これなら受けられそうですね……」
その後、両親に依頼の概要と受けたい理由などを説明し、見事に許可を得た浩は早速運営に返信し、トントン拍子で収録の日になった。
「この時間帯にログインすればいいんですよね?」
浩のソフトは指定された時間にログインすれば収録のための空間に飛ばされる仕様になっている。
その時間になり、電脳世界へダイブした。
「あ、ハルさん!」
ダイブしてすぐ、ハルに気が付いた縫いぐるみのようなアバターが近づいてきた。
「運営の方でいいんですよね?本日はよろしくお願いします」
「いえいえこちらこそよろしくお願いします!」
軽く挨拶をして周囲を見渡すと、複数の運営スタッフのアバターが居る。
見た感じは初期設定のときの空間に似ていた。
「では、こちらへ」
縫いぐるみのようなアバターのスタッフに案内されて電脳空間の中央へ移動する。
そこには複数の楽器が置いてあった。
「すみません、【並列演奏】ってここでも使用できるんですか?」
「はい、この空間でもスキルは使用できるようになっていますよ」
「ありがとうございます。では……」
スキルが使えることを確認し、ハルは楽器たちを収納していく。
「準備できました」
「了解でーす!ではリハーサル入りまーす!」
ハルの言葉にスタッフが反応し、リハーサルの開始を告げる。
「スキル、【並列演奏】」
「5秒前!4!3!」
2、1という言葉の代わりに指で数えられ、0になったところでハルは演奏を始める。
そのまま演奏を終えるとスタッフが声をかけてきた。
「お疲れさまでした!」
「お疲れさまです。修正点はありませんでしたか?」
「いえいえ!完璧ですよ!本番もよろしくお願いします!」
そう言ってスタッフは離れて行った。
運営側である程度確認をしてから本番をするようで、ハルが少し待っているとスタッフが戻って来た。
「このまま本番、大丈夫ですか?」
「大丈夫です」
「了解です。では……本番入りまーす!」
スタッフの声でハルは再び準備する。
「【並列演奏】」
「5秒前!4!3!」
合図と共にハルはピアノを奏で、ギターを鳴らす。
「木漏れ日の向こう遠く彼方へと手を伸ばしたのは魔法のような碧い空」
歌いだしは完璧。
ハルは先ほどのリハーサルよりも楽しそうに、活き活きと演奏していく。
「寝転んだまま耳を澄ませば楽しそうなあの笑い声」
笑顔を浮かべながら演奏していくハルは、そのままサビに入っていく。
「もう一回明日へ一緒に歩いて行こう」
「世界はときめきに溢れている」
「さあ今度は何が起こるだろう心が躍り始める」
リハーサルの前に録音しておいたエコーも付け加えられ、曲の完成度はリハーサルよりも高い。
「手を取ったのなら誰もまだ知らない」
「もっと素敵な」
「冒険へ――」
見事一曲を歌い上げたハルにスタッフが声をかけた。
「お疲れさまでした!」
「お疲れさまでした。これで大丈夫でしょうか?」
「はい!それで報酬なんですが……本当にこれでいいんですか?」
「これ
ハルの剣幕にスタッフは少し気圧されてしまう。
「分かりました……エレキギター2つとエレキベース、シンセサイザーとキーボードをゲーム内でハルさんにプレゼントいたします……金銭はかなり少ないですが」
「リアルマネーは有り余っているので」
「あ、そうですか」
そう、ハルは報酬に現段階では入手のできない楽器を希望していたのだ。
幼少期からの稼ぎに加えて家が裕福なので金銭報酬は体裁のための少額となっている。
「ではお疲れさまでした」
最後にそう言ってハルはログアウトした。
余談だが、数日後にリリースされた『NewWorld Online』の新PVにあった「伊沢 浩/ハル」の名にプレイヤーや浩のファンたちによってネットがお祭り騒ぎになったという
契約はこんな簡単じゃないし依頼とかは色々複雑?
ご都合主義ですそんなもん。調べるのもめんどくさいし。
主人公の年齢を中学二年生から高校二年生に変更しました。
・やりたいネタ的が15歳以上じゃないとできなかったこと。
・塞ぎ込んでいる状況で親が居ないのは一人暮らしをしているからという裏設定だったけど中学生で一人暮らしは無理がある。
という理由です。
やりたいネタは次話に出します。
今回の曲は
佐々木李子より『PLAY THE WORLD』
でした。
本作の原作である『痛いのは嫌なので防御力に極振りしたいと思います。』のアニメ第一期エンディングテーマです。
オープニングテーマじゃない理由は歌詞にありまして…第一期の『究極アンバランス!』にも第二期の『この盾に、隠れます。』にもメイプルを思わせる歌詞が堂々とあり、まだメイプルが登場していない現段階、それもゲーム公式がCMに使う曲としては不適合と判断しました。
次回 『極振りとの出会い』
ついに出会います
ハルは相棒を手に入れる?
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蛇
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鷹
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牛
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馬
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七層まで待て