戦いは嫌なので音楽をしたいと思います。   作:名無し

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前話投稿時に大ポカやらかして普段と全然違う時間に執筆途中のものを誤投稿しました。
疲れているのかな……

誤字報告もありがとうございます。


音楽少女と防御特化

PV出演から1ヶ月以上が経ち、ゲームの内外で騒がしくなっていたハルも少し落ち着いていた。

そして……

 

「これで……オーケストラ完成です!」

 

「フフ、おめでとう」

 

町の探索を殆ど終え、ライブで稼ぐ以外はイズの店に入り浸るようになっていた。

 

「次はマイナーな打楽器やブラスバンドの楽器たちです!」

 

「じゃあ私は別の作業をしてくるから。そこの椅子使っていいわよ」

 

「ありがとうございます!」

 

稼いでは楽器を集め続けたため、ハルの所持楽器はついにオーケストラ1つ分に到達していた。

なお、服装は未だ初期装備であるがイズは指摘を諦めている。

既に抽選に当たった最初期勢以外も参入していることもあって有名人なのに初期装備であるハルは少し異様な存在となっている。

 

「あるこうあるこうわたしはげんき~」

 

楽器を椅子で手に歌うハルとカウンターの向こうで作業するイズ。

これが店にとって当たり前の光景になっていた。

 

「ともだちたくさんうれしいな~」

 

1曲を歌い終え、ハルが飲み物を飲んでいるところにクロムがやって来た。

 

「あら、いらっしゃいクロム。どうしたの?まだ盾のメンテには早いはずだけど?」

 

「お久しぶりですクロムさん」

 

「ああ、久しぶりだなハル。ちょっと大盾装備の新入りを見つけてな……衝動的に連れてきた」

 

そう言ったクロムの後ろから初期装備である黒髪の少女が姿をみせた。

 

「あら、可愛い子ね……クロム、衝動的にこの子を連れて来たの?通報した方がいいかしら?」

 

「クロムさん……」

 

クロムの発言にハルが憐れみの目を向け、イズが青いパネルを空中に浮かべる。

その様子にクロムは慌てて説明を始めた。

 

「ち、ちょっと待てよ!それは、何ていうか言葉の綾だって!」

 

「ふふっ……分かってるわよ。冗談冗談」

 

「はー……心臓に悪いから止めてくれ」

 

クロムはそう言ってホッと息を吐く。

その様子にハルはボソッと呟いた。

 

「私は半分本気でしたけど」

 

「おい!?」

 

「あなたも怪しい人にそんなに簡単についていっちゃ駄目よ?」

 

「あぅ……分かりました」

 

「俺は怪しくねーよっ!?」

 

「既視感がある光景ですね」

 

完全にツッコミ役に回っているクロムにイズとハルは笑っていて、黒髪の少女は戸惑ってしまう。

 

「ふふっ、まあ、お話はこれくらいにして、それで本題は?」

 

「この子が格好良い大盾が欲しいっていうから顔見せだけでもさせておこうと思ってな」

 

「成る程ね、私の名前はイズ。見ての通り生産職で、その中でも鍛冶を専門にしてるわ。調合とかも出来るけどね」

 

「へぇー……凄いんですね!あ、えっと私はメイプルって言います!」

 

メイプルと名乗った少女は噛まずにハキハキと話しているが、ハルの目から見ると緊張が隠せていない。

 

「メイプルちゃんね。大盾を選んだのは何でかしら?」

 

「えっと…あの痛いのは嫌だったので、防御力を上げようと思ったんです」

 

「んー…成る程成る程。じゃあVIT特化装備が良さそうね……でも……予算、ないでしょ」

 

イズの言葉に予算を確認するメイプルを見て、ハルはクロムに話しかけた。

 

「私に続き初心者を連れてくるなんて、面倒見がいいんですね」

 

「あー……アイツは昨日、掲示板で少し話題になってたんだよ」

 

「成程。既に有名人なのですか……だとしても足りるとは思えませんが」

 

「お前が特殊なだけだ」

 

そんな話をしている2人を置いてイズとメイプルの話は進む。

 

「さ、3000ゴールドで足りますか?」

 

「ふふっ…それじゃあ足りないわね。最低でも100万ゴールドくらいはいるわ」

 

「うぐぐ……しばらくオシャレはお預けだなぁ」

 

「楽器より安いんですね」

 

「需要と供給の問題だろ」

 

「楽器は高いのは何処でも同じですか」

 

現実(リアル)では多分楽器の方が安いぞ」

 

値段に目が眩むように嘆いているメイプルを見て、現実(リアル)での値段を思い出しながら1人で相場に納得しているハルにクロムがツッコミを入れる。

 

「他にはダンジョンに潜るなんてのもあるわよ?ダンジョンにはお宝がいっぱいあるの。お金を貯めるのも兼ねて、一度行ってみたら?まあ、強力な大盾があるかは分からないけどね」

 

「なるほど……何処に行けばいいか分かりますか?」

 

「私はそういうことは分からないですよ」

 

「ダンジョンにも向き不向きがあるから俺も伝えられないぞ」

 

「そうねぇ……メイプルちゃんは何か得意なこととかない?」

 

「えっと……毒耐性を持っています!」

 

イズにダンジョンへ行くことを勧められたメイプルは何処のダンジョンがいいか質問し、自分の強みを伝える。

 

「それなら【毒竜の迷宮】はどうかしら」

 

「あー……確かにあそこは毒耐性があれば楽だろうな」

 

「えっと……じゃあそこにします!」

 

その後、3人とフレンド登録をしたメイプルはぺこりと頭を下げて店を出ていった。

 

「いい子でしたね」

 

「そうね」

 

「そうだな……ところでハルはさっきから何を飲んでいるんだ?」

 

メイプルを見送り、3人の総評とし「いい子」に纏まったところでクロムが何気なくハルに尋ねる。

 

「これですか?ワインですが」

 

「そうかワイン……ってワイン!?」

 

「そんなものどうやって手に入れたの!?」

 

サラッと飲酒宣言をしたハルに2人は驚愕する。

PVの件で実年齢を知っていることも驚きを助長させていた。

 

「どうやってって……昨日、町でたまたま」

 

「いくら手に入れたからって未成年飲酒は流石にダメだろ!」

 

「犯罪なんだからね!」

 

「えぇ……現実(リアル)でも飲んだことありますし」

 

「なおさらダメだろ!」

 

「欧州では国や州によって異なりますが合法ですよ」

 

「ここは電脳空間だけど日本よ!没収!」

 

「ああ!そんな!」

 

抵抗するハルだったが、トッププレイヤーであるクロムに未だレベル1のハルが抗えるはずもなくあえなく没収されてしまった。





この小説に未成年飲酒を推奨する意図はありません。
この小説はフィクションです。

はい、飲酒シーンが入れたかった描写です。ハルの特異な感じを出したかったんです。
実際、ドイツやフランスなど欧州の国では飲酒は16歳以上となっている国も多いため、矛盾点はない……はず。

ハルさんは嗜む程度ですがワインやミード、日本酒などが好きでビールやエールが苦手です。
富裕層なのもあってなんだかんだ舌が肥えているんです。

今回の曲は
井上あずみより『さんぽ』
でした。

スタジオジブリの映画『となりのトトロ』の主題歌で日本では知らない人は居ないでしょう。
作中で描写はありませんが、アコギで弾き語りをしていました。

次回 『初ダンジョン』
流石に町の外へ出ます。

高評価、してくれてもいいんですよ?(強欲)

ハルは相棒を手に入れる?

  • 七層まで待て
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