シャングリラ・フロンティア〜兄を超えんとする者、神ゲーへと挑む〜   作:凌介

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ユニークモンスター討伐という大事を成し遂げた4人は次なる今に歩みを進めていく


第17話それぞれの今と次

-現実-

1台の車が会社の前に停車する。

ここは『シャングリラ・フロンティア』開発会社ユートピア社だ

そして車から降りたのはスーツをピシッと着こなした男だ

彼が社の入口から社内に入るとその男の部下であろう1人が急ぐように男を呼びに来た。

「木兎夜枝(つくよぎ)部長!」

「状況は?」

「【墓守のウェザエモン】撃破…予想外のタイミングで会社中慌ただしいです」

「だろうな」

その男-木兎夜枝は胸中で呟く

想定されていた『討伐順』では''クターニッド''が最初の予定でウェザエモンは中盤もしくは終盤の予定だったからな

二日ぶりに妻の手料理を堪能できる筈だったのに会社に舞い戻る羽目になるとは…

「「継久理」は地下か?」

「はいおそらくいつも通り籠っているかとただ…先程…天地さんも乗り込んで行ったらしくて…その…」

「……わかっている''コレ''も仕事だ」

そう言って懐から取り出した瓶は中身が空だった。

し……しまった…弾切れ……!!

「………君、『胃薬』とか持ってる?」

「え…?いえ…持ってないです」

「…そうか」

遠い目でそう呟くのとエレベーターの扉が閉まるのは同時だった。

 

そして地下ではとある部屋の前でイライラを募らせる女性が一人

電子機器にアレコレと要求されついにキレた

「あ゛あ゛〜!!!面倒くせぇぇぁ!!サッサと開けろぉ!!」

認証の音声と共に扉が開き中に入る

「……おい」

呼びかけに答えるようにボサボサの髪にジャージ姿の女性がこちらを一瞥する。

「ウェザエモンが討伐されたぞ!お前…『この調子じゃ10年経っても攻略できないわね』とか言ってたよな!」

「今の阿修羅会じゃあ無理だって言ったのよ」

「まさか対価の天秤を持ち込んで来るとは想定外だったが…当然不正(チート)や※グリッチも無し…ケチのつけようのねぇ結果だ」

「……ケチのつけようがないかない…?何言ってんの!?無粋って言葉すら生ぬるいくらいウェザエモンを弱体化させたのは貴女でしょう!!間違いだったと認めなさいよ!!」

「はぁー?お前の当初のパラメータで言ったら誰も攻略できないだろうがよ!!」

「ウェザエモンはね!それくらい強い存在なの!!神代最強の英雄なのよっ!!それをゲームバランスだのなんだのしょうもない理由でぇぇ!!」

「プレイヤーが倒せないモンスターをストーリー進行のフラグにするんじゃねぇえよ!!頭おかしいんじゃねぇのか!?」

「言ったわね…!!私の世界のおこぼれに吸い付いてる寄生虫の癖に!」

「んだとぉ!?」

「お前のその大事な自分の『世界』とやらもマトモに調整できへぇから仕方なく私が調整してやってるんだよ!バーカ!」

キーキーとお互いの頬や髪を引っ張り合い罵倒し合う2人の姿を見て到着したばかりの木兎夜枝の胃がキリキリと痛み出す

そしてそこにさらに遅れてやってきた男が木兎夜枝の肩を叩き粉末の胃薬と水を渡した後絶賛取っ組み合いの最中の2人の前に行った。

「おい…いい加減にしろ…今後の諸々の対処等やる事あるのに取っ組み合いとはいい度胸だなぁおい!」

「御剣…来ていたの…」

「たった今な、それで…この俺様を前に取っ組み合いとはいい度胸だなぁおい!」

ドスの効いた声に竦み上がり一瞬で取っ組み合いをやめた2人

そして2人を諌めた御剣 剣吾(みつるぎけんご)

彼こそがシャングリラ・フロンティアの影の支柱である

何せバグやアプデ後の不具合等の精査や2人ですらできない細かな調整を行う存在故2人も頭が上がらない

「とりあえずお前ら…まずシャワー浴びろ!言いたかねぇがホームレス並に臭うぞ」

「誰が浮浪者よ!」

「一緒にすんじゃねぇよ!」

「と・に・か・く!シャワー浴びて今後の対策会議!良いな!」

「「……はい」」

2人は1度その場を後にし備え付けのシャワールームへと向かうのだった。

「助かりました。御剣さん」

「気にするな、俺もウェザエモン討伐の話聞いてすっ飛んで来たんだこうなる予想はしてたさ、まぁ、でもいんじゃねーの?ずっと停滞するより1でも2でも進んだ方がさ」

「それには同意見ですけど…あの二人が納得しますかね?」

「さぁな?でも納得してもらって進めないとダメだろうよ!」

「そうですね…」

これから忙しくなる事を頭に入れつつ男二人は軽く頭を悩ませるのだった。

 

-ゲーム世界-

 

-兎御殿-

 

転移のスクロールを利用してラビッツに戻ってきた俺と楽兄はそれぞれの部屋で待機しているエムルとジーラの元へ向かった。

「やぁ、ジーラ約束果たして戻ってきたよ」

「し…し…しゃ…SHINEさん!お帰りなさいです〜!」

「あぁ、うんただいまリスポーンせずにはっ倒して来たよ!」

「ところでどうやってラビッツへ?」

「ん?あぁ、使い捨て魔法媒体(マジックロール)で転移して来た」

「な…なにはともあれ…すっごい事です〜!!エムル共々心配していたんですから〜!!」

「あぁ〜うん心配してくれてありがとう?とりあえずヴァッシュの兄貴の所に行かないとだよね」

「そ…そうでしたすぐ伝えてきます〜!」

部屋を出て行ったジーラを見送りつつ楽兄と合流してヴァッシュの兄貴の元へと報告に向かった。

 

-大広間-

 

報告に来た俺達向かい合うヴァッシュは口から紫煙を吐いた後口を開く

「そんじゃ聞かせてぇもらおうかい…あの『死に損ない』はどうだったぁ?」

「強かったです少なくともルーザーズ何とかとは比べ物にならないくらい」

「正直ヴァッシュの兄貴のお力添え無くして勝てたかどうかと思うくらいには強敵でした。出来ることなら生前の彼と刃を交えたかったです」

「はっはっはそうかいそうかい、まぁそうだろうなぁ」

理不尽攻撃当たり前のバグ有りクソゲーを楽兄と一緒にやり込んで無かったらやばかっただろうな、てかジーラはジーラで人のマントに涙やら何やらでぐちゃぐちゃ顔押し付けんの辞めようなぁ

「……あいつぁ満足して逝けたかい」

「天晴と褒めてもらいやした」

「見事であるとも言っていただけました」

「そうかぁそうかぁ」

ヴァッシュの兄貴は頷いた後再び話し出す

「育み拓く…そろそろかもなぁ」

そろそろ?どういう事だろうか?そう思っていると兄貴から質問される

「おめぇさん等世界の真実を知りてぇかい?」

俺達2人の脳裏にセツナが言った言葉が思い出される

「…そりゃあ願ってもないことで」

「真実へと至れるのなら是非ともと言わせていただきます」

「モノには順序ってもんがある世界の真実云々はそれからだぁな」

俺達の前にウィンドウが表示される

なるほど、これもユニークシナリオEX【致命兎叙事詩】の一環で頼まれるお使いクエストってところかな?

俺の推測が正しいならこのシナリオは未来に向かっている筈なんだつまり、シナリオの1部だろう

「話はわかりやしたけど……何処にあるんすかねコレさすがにノーヒントってことは…」

「何かしら、せめて場所のヒントくらいはいただけるんですよね?」

「あぁ『無果落耀の古城骸』ってぇ所をあたってみな」

楽兄がマップを確認しているがおそらくというか間違いなくサードレマ周辺ではないだろう

「ラク兄、もう少し先のエリアだと思うよおそらく今よりもっと先だと思う」

「そういうこったァ〜そんな安っぽい地図にはのってねぇだろうなぁ」

「えー」

後でピーツの店で地図探すしかないだろけどあるかな?

「それじゃ気長に待たせてもらうとすらぁ」

「えーちょ…もうちょいヒントを」

「よほどの間抜けじゃあなければじきに見つからァ」

「もしかしてすげ〜先のエリアとか…?」

「少なからずあと2つか3つは先のエリアと見るね」

「ユニークシナリオ自体エンドコンテンツみたいなもんだしな…そりゃそうか」

「これは長くなりそうですわぁ」

「それこそ気長にやるしか無いよって個人的には言いたいところだけど甘いよエムル、ジーラもうんうんって頷いてるけど俺達はウェザエモンをはっ倒してきたんだよ、レベルも当然上がってるし新スキルや進化スキルも沢山なんだよね〜これがさ〜」

「また特技選定所行かなきゃなこれだけパワーアップしてればしばらくはサクサク進めるだろうよ!」

「それには同意かな」

「そしてそれだけじゃないぞ!そう!忘れてはいけないウェザエモンの戦利品だ!!」

「あれだけ苦労して『大したもん手に入りませんでしたぁ』なんてつまんねーオチいらないからな頼むぜー!」

まず俺達が手にしたのは【世界の真理書墓守編】という書物だった

「パッと見た感じはウェザエモンの設定やら何やらが書かれたモノみたいだね」

「そっか、まぁ後で詳しく読んでおくとして、他は…」

次に手にしたのは何らかの情報が記録されたキューブだった

「えーと【晴天流奥義書】?」

「俺のは外伝って書いてあるよ」

説明文を読むと神代の設備があれば体得できるとあった。

俺達は顔を見合わせる

「つまり?」

「俺達でも【晴天流】が使えるって事だよね」

『ウェザエモンの技覚えられんのかよぉお!』

ラク兄は喜びのあまりエムルをモフっているし俺も驚きのあまりジーラにも確認してもらいさらに2度見、3度見した。

「神代の設備が必要とか書いてあるからすぐには無理そうだが楽しみだなぁ!!SHINE」

「うん、楽しみだよね全く!」

「ほっぺがなくなるかと思いましたわぁ…」

エムルは散々モフられてぐったりしているが俺達はそれを横目に最後の戦利品を確認する

「ラストのはアクセサリーかぁ〜うん、スロットオープンしてこないとダメだねこりゃ」

「でもよぉもしかしたら装備したらめちゃくちゃ能力上がったりすんじゃねーの?」

「いや、説明見る限り無限インベントリだこれ!しかも格納空間ってのが付与されてるからその空間限定だけど空間転移出来るってことだよ!」

一足先に説明文を読んだ俺が説明する

「なるほどなぁ〜地味な気がするがとりあえず使ってみるか!」

「物は試しってね!」

俺達は格納空間に転移するとそこにはある意味男子の憧れが詰まっていた。

 

その頃ペンシルゴンはセツナの墓参りに来ていた。

「文字通り素寒貧でさ、物々交換フル活用でようやく手に入れられたよ」

「今度来る時はもっと合格なもの用意するから今日はこれでゆるしてね」

「5分だけ花が咲きすぐに崩れ落ちてしまうけど枯れ落ちる前にアイテムとして採取すればその花は枯れずに咲き続けるんだってさ刹那を生き永遠に残る花の名前は『セツナトワ』私達にピッタリでしょょ?」

「貴方は自分の事を『写本』って言ったけど私にとってはそれが原点でほんものだったんだよ」

私はセッちゃんが残した言葉を思い出す

『もしも貴方達が自身のルーツ【世界の真実】を知りたいと願うなら…『バハムート』を探しなさい』

「世界の真実…か…墓守のウェザエモンを倒せたら『シャンフロ』を辞めるつもりだったんだけどなぁ」

「わかったよセッちゃんバハムートだろうがなんだろうが骨の髄まで白日の下に晒してあげる」

ペンシルゴンは決意新たに次の目標を定めたのだった。

 

-現実・カッツォ-

 

ゲームからログアウトした俺はかなりくたびれていた

「ん、くぁぁ…はー疲れた、1週間後までには調子を取り戻さないとなぁ」

サンラクやSHINEとは価格も規模も上位互換な部屋でオイカッツォ……魚臣慧は身体を起こす。伊達や酔狂でプロゲーマーをやっているわけではない、日本のみならずアメリカやヨーロッパにも名を知られたプレイヤーたる慧ともなれば、ゲームの為だけにマンションの一室借りる程度造作もない事だ。

「しっかし本当に良くできたゲームだよシャングリラ・フロンティア……ほんの暇つぶしのつもりだったんだけどなぁ」

理路整然と並べられたゲームソフト棚。1週間後に大会を控える身としては今回のようなエナドリも用いた強行軍はあまりやるべき事ではないが、友人3人の不敵な笑顔に自分も乗せられてしまったのは事実だ

俺はスポーツドリンクを一息に呷りつつ携帯端末を操作しながらバスルームへと向かう。

「対戦相手は『アイヴィ・エクスプレス』……あいつらメタるの下手くそだからまぁ何とかなるか。となると……ん?」

携帯端末に表示された朗報と悲報、それを見た慧は眉を顰めて思案する。思い浮かべるのは先程までともに激闘をくぐり抜けた3人の人物。

「いやでもそれは流石に……いやしかし''アイツ''にぶつけるならあの三人は割とアリなのでは…ま、なるようになるか」

携帯端末を放り投げ、慧はバスルームへと入る。スリープモードに入る直前、携帯端末には『GGC』の文字が表示されていた…

 

 




17話目ですこれにてウェザエモン戦彼岸より愛を込めて花束をは完結になります。次回からVSリュカオーンとネフホロの戦いに入っていきますのでお楽しみに

次回「旅狼結成」

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