シャングリラ・フロンティア〜兄を超えんとする者、神ゲーへと挑む〜   作:凌介

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ユニークモンスターを討伐した4人は新たな目標を掲げクランを結成する


第18話旅狼結成

-ゲーム世界-

シャンフロにてウェザエモン討伐報酬の一つである格納鍵インベントリアで格納空間に移動した俺達の前に男子の憧れがあった。

「い…いや…実用性がありそうなものとは言ったけどんな…なんなあぁぁぁぁぁぁんなんだぁこりゃあぁぁぁ!!」

「ラク兄、驚くのもわかるし無理ないけど、もうちょい声のトーン抑えようか…」

「あぁ、すまんすまんとりあえず戻るか」

「だね」

格納空間から戻った俺達は顔を見合わせた後ラク兄が1度ログアウトしてカッツォさんとペンシルゴンさんに連絡を取り蛇の林檎に集まる事になったので俺達はゲートを開いてもらいサードレマの蛇の林檎に向かった。

 

-蛇の林檎-

 

蛇の林檎で合流した俺達はインベントリア内の戦術機獣の話題で盛り上がっていた。

「見たかよ!あのSF的素敵武装の陳列を!!『シャンフロ』全プレイヤーを相手取っても勝てそうだぞ!」

「それは無理だよ!多分あれ時間制限あるし無かったらそれこそぶっ壊れアイテムってか規格外武装じゃん!」

「でもさぁ、あんなので戦ったらマジでゲーム変わっちゃうよねぇマジで!」

「これからどうする?どうする?」

「それなんだけどさ、ここに来る前に格納空間に行って色々調べてみたんだ。結論から言うと現状観賞用以上の価値はないね」

「やっぱりそうですよね」

「SHINE君は気付いてたの?」

「えぇ、まぁ、現実世界で言う電池やガソリンのようなものが必要だろうなとは」

「「へ?どういう事?」」

「あの戦術機や特殊強化装甲は『規格外エーテルリアクター』っていうアイテムが必要なみたいなんだけど、そんなアイテム聞いたこともないし何処で入手できるのかサッパリ沢山ある武器も強化装甲を装備しないと使えない仕様だったしね」

「マジか...テンション上がっててそこまで見てなかった...」

「だと思った確認不足だったねラク兄」

「『規格外エーテルリアクター』なら俺持ってるけど」

「ぶっ!!」

「汚ねぇ!!」

カッツォさんの思わぬカミングアウトに吹き出すペンシルゴンさんと被害を受けるラク兄であった。

「ゴホッちょっと!何処でそれを!?」

「俺は騏驎と戦っていたからなのか報酬で貰ったんだよね」

「見直したよ緊縛ロデオくん」

「くっそー!俺もロデオ見たかった!!ウェザエモン戦唯一の不覚...」

「あれ見てたら集中力途切れるし下手したら腹抱えて爆笑モノだよ」

「……でも実はコレ…『破損』してるみたいなんだよなぁ」

「店で修理できないの?」

「そこらの鍛冶屋に持って行っても門前払いだったよこんな訳がわからんモノ直せるかって」

「神代分明の道具だからね…特別な鍛冶師でも必要なのかあるいはアイテムが…結局行き詰まりだね」

「……」

ラク兄がチラリとこちらを見たので同じ事を考えてたのだろうと思い頷き肯定の意を示す

「「それ修理できるアテがあるかも(しれません)」」

「ぶーーーっ」

俺はスっと首を傾けて被害を受けずに済んだがラク兄は2度目の被害を受ける

「テメェ!今のはわざとだろ!」

「まぁ、確信犯だろうね」

「ゴホッゴホッ」

「咳払いがわざとらしんですよペンシルゴンさん」

「なんでもいいけど、さっきの話マジなの?」

「確証は無いけどなただ『ユニークシナリオ』絡みなんで案内が難しい」

「というか今のところ俺とラク兄以外無理そうです」

「そういう事だからそのアイテムを俺に預けて欲しいんだけど」

「……オーケー……と言いたいところだけど条件がある」

「条件ですか?」

「サンラク、SHINE君、君達が隠してる『ユニークシナリオ』の発生条件を教えてくれ」

俺とラク兄は再び顔を見合わせて頷き合う

「カッツォ君それは……」

「どうせ俺はユニーク自発出来ないですしぃー他人のユニークに乗っかるしかないわけでぇー」

「面倒臭いこじれ方してるね」

『シャンフロ』でのユニーク情報は特別価値が高い「それ」が独占してるものなら尚更だここにいる4人もピュアな仲間意識で集まってる訳じゃないそれぞれの利益のため易々と情報は渡せない……そしてそれはカッツォさんも同様だ

「……リザルトで条件が表示された訳でも無いからその時の状況説明しかできないけどそれでも良いか?」

「補足しますけど、俺達のユニークは申し訳ないですけどカッツォさんには受注できないと思います」

「なんで?」

「『シャンフロ』での職業の問題からです」

「と言うと?」

「あくまでも俺の予想なんですけど、俺とラク兄はLvが20以下の時に『ユニークモンスター夜襲のリュカオーン』相手に5分間ノーダメかつ200以上のクリティカルを『致命(ヴォーパル)』を関する武器を使用して叩き込んだらこうなったんです。あとおそらくですけどこの呪いも関係してると俺は予想してます。」

「……なるほどねぇ……ただ状況説明だけ聞いたらブチ切れて投げ渡す所だったけどSHINE君の予想を聞いて納得したよ、こればっかりは俺には無理だね、おれ武器装備できない代わりにバフによる強化が前提に来るからそりゃあ無理だね」

「言っとくが多分人数も関係してくるぞ!多分2人以下だな、もしかしたらギリギリ3人までならって可能性も無くは無いが俺とSHINEはパーティー組んでて2人とも受注できてる事から大人数は無理だ」

「なるほどねぇつまりは1人か2人で今言った条件を達成しないといけないのか……」

「そうなります。だから正直カッツォさんにはこのユニークだけは無理だと言わざるを得ません」

「わかった。話してくれてありがとう教えられてもどうせマネ出来ないし教えても支障無いかって感じかと思ったけどSHINE君の説明的に武器が前提となれば無理だわなうん。良いよこれは持って行っても」「ありがとうございます」

「あそうだサンラク君」

「なんだよ」

「預けてた『例の物』返してもらえる?」

「?」

「なんか預かってたの?」

「そっか、まだ渡してなかったな」

ラク兄はインベントリから『対価の天秤』を取り出しテーブルの上に置いた。

「あぁウェザエモン戦で弄ってたやつねこれ借り物なんだっけ?」 「うん『黄金の天秤商会』ってNPC組織からねシャングリラ・フロンティア全アイテムの中でも最高クラスのアイテムだと思うよ。

何せ金さえ積めばユニークモンスター以上の力だって手に入るからねぇ」

国家予算を全額ぶち込んでもそのラインまで届くかは微妙だけれどと補足しつつペンシルゴンさんは手元に引き寄せた黄金の天秤、確か『対価の天秤』を何やら操作し始める

「えーと……『天秤は均衡を保つ、経験を価値に、捧げし対価の返却を』…………あれっ、違うか。じゃあ……『天秤は均衡を保つ、過去を価値に、捧げし対価の返還を』……こっちか、うっかりうっかり」

何やら普通のとは違う豪華な感じのウィンドウを弄っていたペンシルゴンさんの身体から光の粒子が抜けて天秤へと吸い込まれ、一瞬の発光を経てペンシルゴンさんの前に小さな花飾りと一冊の本が現れる。

「極論インベントリアは取られても構わないくらいの心構えだったんだけど、呪いの装備じみた装備欄潰し効果なだけあって、PKKのペナルティでも没収されなかったんだよねぇ…これだけは取られたくなかったからロンダリングしちゃった」

「「ロンダリングって?(なんですか?)」」

「んー?まぁ要するにPKのペナルティから自分の所有物を守る小技的なものだよ」

プレイヤーキラーがキルされる、要するにPKKされた場合、その時点で本人が持っていたアイテムは倒したものに所有者が移る、ただし倒した者が一定時間回収しなければアイテム所有権は誰のものでもなくなる。その時点で倉庫などに預けられていたPKプレイヤーが所有していたものは自動的に売り払われてしまう。

「PKのペナルティはだいたい2つ。殆どのNPCからの好感度が最低値になるのと罪状……要するにどんだけPKしたかによって増えていく罰金があるわけ。罰金はPKプレイヤーのカルマポイントに比例する懸賞金と同じなんだけどこれは今は関係ない」

厄介なのが罰金で、売り払われたアイテムが罰金の総額から差し引かれるものの、罰金が残ってる間はあらゆる手段で入手できるお金が罰金の返済に充てられてしまうらしい。

「じゃあその装備とかどうやって買ったのさ」

「セカンディルのNPC脅してモンスターのアイテムと物々交換」

「文面が滅んだ後の世紀末に生きてんなお前」

そんな徹底的な自己破産の差し押さえからアイテムを守るのが所謂「ロンダリング」と呼ばれるテクニックなんだそうな。

「でもまぁこれがなかなか複雑でね、他者にアイテムを譲渡するだけじゃあ普通に売り払われるんだよね」

つまり、サイガ-0にPKKされる前の時点でラク兄がペンシルゴンさんからアイテムを譲渡されてもPKされると同時にそのアイテムは消滅するのと犯罪者に関係するものはなんであろうと差し押さえする的な感じか、つまり安易に信用できるフレンドに預ければ問題無しとはいかないようだ。

「じゃあその天秤は?なんで消えてないのさ」

「そもそもこれは私のじゃないから。所有者は『黄金の天秤商会』ってNPC組織にあるからね、仮にあの時私が持っててもオブジェクト化自体はしてもサイガ-0ちゃんのものにはならなかったんじゃないかな」

そしてここからがロンダリングのミソである。要するに譲渡するだけじゃあアイテムは容赦なく売り払われるため意味がないが、『PKKされた時点で完全に所有権を手放した状態』であれば強制売却からは免れる。

「この『遠き祈りの花飾り』は今さっきまで『対価の天秤』の効果で捧げられた状態……つまり私の手から離れた状態だった。『遠き祈りの花飾り』を捧げた対価として適当に幸運の追加パラメータを貰っていた私は花飾りの所有権をこの天秤に譲っていたわけ。さらに言えば天秤に捧げられたアイテムは1週間の間は対価を支払えば返却が可能とはいえ、物質としてこの世界に存在していなかった。

だからアイテム差し押さえの影響を受けなかったワケ」

「……成る程ね、それを今の操作で返してもらったわけだ」

「これと『真理の書「墓守編」』を取り返すために過去(レベル)を40も消費しちゃったけどね……全く飛んだ暴利を吹っかけられたよ」

「あ、真理書の方はぶっちゃけネタバレ攻略書だからほぼ役に立たないぞ」

「マジかよちくしょう!」

「まぁ、大規模クランにでも高値で売りつけりゃいいんですよ」

「それもそうか、まぁそれならそれでやりようはあるしね、ついでに言えばそもそも私は全財産をウェザエモン戦の為に天秤にぶち込んだからなくなるアイテムも殆ど無し。さらに言えばこれを借りるために担保として『黄金の天秤商会』に預けたメイン武器は天秤を返すまで所有権は完全に商会にあるわけでぇ……要するにペナルティの差し押さえって完全に市場に流しちゃうかこの世から物理的に消してしまうかすればすり抜け可能なんだよねぇ」

「うわずっりぃ」

あの時足を洗って真っさらになるとか言っておいて肝心のメイン武器と重要アイテムはしれっと守ってる辺りまさに容易周到だろうなと思う

「ちなみに罰金どれくらいあるの?」

「ざっと5億マーニかな」

「お金は貸さないぞ」

「そもそも貸せるほど無いですけど」

「借りない借りない頑張れば返せない額でもないし。ウチの愚弟なんか多分兆とか行ってるよ、あいつレベルの低いプレイヤーしかいないクランとかも調子乗ってリスポンキルしまくってたし」

国家予算並の罰金とか返済終わる前にゲームのサービスの方が終わるんじゃないのかな、5億を簡単に返せると言ってしまうペンシルゴンさんが大概なのかはたまた…

「今回のウェザエモンとの戦いでわかったんだよね私…ユニークモンスターは金になる」

「……簡単に言ってくれますねぇ〜」

事実だとしてもおそらくインベントリアの中のアイテムの一つでも売れば借金の何割かは偏差値可能だろうウェザエモンでこれなら他のユニークモンスターでも利益が出る可能性はかなり高い。

「それを踏まえて私から提案があるわけ」

「インベントリア内の奴の売却に関しては要相談な」

「サンラク、こいつに交渉させるとか敗北確定じゃん」

「こればっかりはカッツォさんは同意」

「いっぱいお話ししようねぇ…?じゃなくて私からの提案ってのはさ、この4人でクランを結成しない?」

クラン。それと関わったことは何度かあるが、今の俺達には縁遠いと思っていた。たしかに、阿修羅会や黒狼とかもはや組合(ギルド)レベルの規模のクランばかり見てきたから忘れてたが別に少数精鋭で悪いってことは無いだろう

「別に良いよ、俺は特にどこかに所属する訳じゃないし」 

「俺も同じく」 

「俺も構いませんよ」

「ハイ決まりっ!話が早くて本当助かるよ」

さて、俺たち4人は一旦休止符をいれて……

「クラン名を決めたいと思います。私からは「ペンシルゴンと便利なパシリ達」で」

「それでいいよ」

「クラン「ペンシルゴンちゃんと便利なパシリ達」結成だな」

「せめて愉快な仲間たちにしないかな?」

「まずもって状態として流して欲しいなぁ!」

決定して恥ずかしがるなら最初から発案しなきゃいいのにと思いつつクラン名を考える

「クソゲー連合とか」

「お前一人でやってろ。俺達全員ロクでもないわけだし『無法者(アウトレイジ)』とかカッコよくない?」

「自称PKから足洗った奴がアウトレイジなんてクランにいたら私なら絶対信用できるしないね」

「まぁ、背中は預けたくないな」

「ゲーマーズとかどうです?それか世紀末円卓から文字って円卓の戦士達(ラウンズバトラー)とか」

「悪くはないけどもうちょい捻りが欲しいかなぁ欲を言えば」

結局意見を出し合うもNGばかりで決まらないので皆で頭を悩ます

「SHINE、こういうときパッと思いつくのはお前の専売特許だよな、なんかねぇーのかよ」

「そう言われてもなぁ〜……あ!ならさ!旅狼(ヴォルフガング)は?」

「黒狼と被ってない?」

「ユニークモンスターを倒したこっちが先を行ってる上位互換だろう、レベルを高くするだけなら小学生でもできるそれにこっちはドイツ語だ、かっこよさがダンチだよねダンチ!」

「成る程……いいねそれ」

何やら意味深(じゃあく)な笑顔を浮かべたペンシルゴンさんが俺の案に賛成しカッツォさんも反対理由もないと同意しラク兄はこれ以外は賛成したくないと言うのでもう決まりだろう

「奇しくもクラン誕生のバースデーケーキになったわけだ」

「結果オーライだけどなんで俺達バースデーケーキなんて頼んだの?」

「打ち上げですしなんとなくそんな感じとかですよきっと」

「気の迷い以上の意味は無いだろうねぇ…おっ、来た来た」

追加で注文したのだろう、ノンアルもへったくれもない果実酒が俺達4人に行き渡った野を確認しペンシルゴンさんが音頭をとる。

「それじゃあクラン『旅狼』の結成を祝ってぇ…乾杯!」

「「「乾杯!!」」」

「大雑把に甘い」

「果汁をガンガンぶち込んだ麦汁?」

「本当に雑な甘さしてますよね」

「つか麦汁って何?」

「ビールからアルコール抜いたもの」

「CMとかで何番絞り麦汁みたいの聞いた事ありましたけどまだビールになる前の段階のものって認識で良さそうですね」

「ところでさ、クランを結成するにあたり、重要な事が1つ……

誰がクランのリーダーになる?」

「……最初はグー、」

「じゃん」

「けん」

「ポン!」

俺、ラク兄、カッツォさんがパーペンシルゴンさんがグー

「3回勝負!」

「却下!ペンシルゴンさん仮に3回勝負にしてもその後5回勝負とか10回勝負とか往生際悪く足掻くでしょ!」

「畜生。」

「まぁ頑張りたまえよペンシルゴン」

「名前的にオオカミの呪いを受けてるサンラク君かSHINE君がやってよ……てかそもそもの話反応速度(じゃんけん)で勝てるわけ無いじゃん」

今更気付いたのか、カッツォさんがじゃんけんをしかけた時点で水面下で既に三対一だったっていうのに

そんなこんなで『ユニークモンスター墓守のウェザエモン』を倒した4人はクラン『旅狼』を結成しそれぞれの目的の為に動き出したのだった。

 




18話目です。今回はクラン結成までとして次回からビィラック『古匠』作戦を進めて行けたらと思いますのでお楽しみに

次回『育成と攻略』

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