シャングリラ・フロンティア〜兄を超えんとする者、神ゲーへと挑む〜   作:凌介

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水晶の地に足を踏み入れた2人を待ち受けるのは巨大蠍だった


第21話水晶の地と怪物蠍

「さぁ……登るかSHINE」

「だね、登ろうか!」

俺達の本命は渓谷内ではない。見上げた先に聳える断崖絶壁……とまでは行かないな、頑張れば歩きで登れてしまいそうな急斜面、その先にあるレベル100オーバーの蠍とやらがひしめく奥古来魂の渓谷における隠しエリアとでも言うべき「水晶巣崖」そこが今から俺達が向かおうとしている場所である。

 

レベル100オーバーのモンスター相手に俺達2人で勝つ見込みは……当然無い! なら何故行くのか? そこに未確認フィールドがあるからさ!。ゲームなら誰だってやるだろう?(多分やらない) 明らかに今の自キャラでは攻略不可能だけどとりあえずどんな場所なのか見に行く、偵察と書いて自殺と読むピクニックってやつさ。(やるのは俺達だけ)

 

何、おやつは幾らまでだって? ははは、袋叩きに遭うこと前提で突貫するんだから裸一貫に決まってるだろう。

 

凝視の鳥面と舞踏の蝶面を外し、わっせわっせと崖を登ること大体四分。斜面を構成する物質が岩100%からポツポツと水晶が混ざり始め、急斜面がいつしか平面になる頃には完全に岩と水晶の比率が逆転していた。

「おぉ……なんて歩きにくいフィールド、足場は最悪最高だな」

「これ滑らないだけマシ?いや下手したら滑るよね?」

「だよなぁ〜」

不規則な大きさ、不規則な角度、不規則な長さの水晶が崖一面を埋め尽くす程に広がる光景は、状態こそ千紫万紅の樹海窟と同じであるがあれよりももっと幻想的だ。

 

聞く話によると、件の水晶群蠍クリスタル・スコーピオンは非アクティブ時はこのフィールドに埋まるようにして擬態しており、感知範囲に入った瞬間アクティブ状態になるらしい。

 

とはいえ今の俺の幸運は三桁、既に下手なレベルカンスト勢に匹敵する幸運を備えた俺ならそう簡単に引き当てることは……

ズザザザッ(三体同時アクティブ状態)

………………ふぅ。

「まぁ落ち着け。アイムサイトシーイング、イエスイエスノープログレム…………畜生せめてマップ内を爆走して景色くらいは見てやるぁぁぁぁぁ!!」

「嘘でしょ!ヤバいって!【天魔神天跳躍】」

俺はスキルを発動してラク兄を抱えて空に跳び上がる

 

 

足場が最悪な水晶の地面を半ば飛び跳ねるように爆走し、さらに奥へ奥へと進んで行く。背後から重厚な音を立てながら迫る三体の大型トラック並の死神からスキルを使い全力で逃げていると、ふと前方に光が見える。

 

それはまるでオーロラ。太陽の光は輝く水晶の中で乱反射し、キラキラと美しい津波となって…………うん、あれ全部水晶群蠍クリスタル・スコーピオンだ。

 

「ウッソだろお前一体につき十体呼ぶって重複しないのかばぼろぁ!?」

「ジリ貧とかのレベルじゃねぇぞおい!」

 

 

袋叩きと言う言葉すら生ぬるい、レベル70ちょいのプレイヤー一人相手にレベル100オーバーが三十体以上でフルボッコを仕掛けると言う、オーバーキルがオーバーフローした大質量に飲まれた俺は一秒と持ち堪えることなく粉砕され、ポリゴンと散るのだった。

 

とはいえこの程度で諦められる俺達ではなく

 

挑戦二回目。ラビッツからエイドルトに戻り、ダッシュで急斜面を登って再度水晶巣崖へ突入、今度は息を潜めて隠密行動だ。

「…………あっ、どうも」

「お邪魔します!」

バレた、死んだ。次行ってみよう。

挑戦三回目、次はスキルを用いて加速して何かアイテムがないかを調べる。

 

水晶からウェイクアップした水晶群蠍がこちらにヘイトを向けた瞬間、ようやく条件を満たした孤高の餓狼トランジェントの効果が発動する。

 

イグニッションブースト、ニトロドライブにツインブースト、天魔神天跳躍の全開放で一気に背後から襲いかかる水晶群蠍を引き離す。

 

そろそろ増援が来るし、他のもアクティブになる。その前にせめてアイテムを……見つけた。

 

明らかに「ピッケルを叩きつけてね」と言わんばかりの色鮮やかな天然ものクリスタルの塔。地響きが近づく気配を一時忘れて俺はつるはしをインベントリから取り出す。

「よぉぉっしゃぁぁぁぁ!!」

「やったろうじゃねーか!」

 

ガキンと渾身の力で叩きつけ、零れ落ちた瑠璃色の鉱石を碌に調べもせずにインベントリへと叩き込む。殺到する蠍の群れは避けられない死の暗喩……いや直喩だな、どストレートに殺意叩きつけている。だが素直に死んでやる程俺達は甘くない。

 

ラク兄がムーンジャンパーを起動、俺は幻影乱舞弐式でヘイト誘導し四方八方から殺到する水晶群蠍が唯一いない場所、上空へと全力で跳躍する。数秒後には落ちる身なれど、確かに重力に逆らって空へと踏み入った事で死の大群の殺到を一時は回避に成功した。

 

眼下に広がる光景はまるでハリウッド映画のハイウェイで玉突き事故を起こす車の群れだ、それぞれが全力で俺達のいた場所に突っ込んだために、水晶の甲殻を持つ蠍達は互いの堅牢さが衝突して酷い様相を呈している。

 

甲殻が割れ、鋏が砕け、酷いものに至っては他の個体に踏み潰されている。

 

とはいえ今の俺は既に最高到達点へと来てしまった、蝋の羽すらない俺はあとは落ちるだけであって、そして俺の直下は水晶の破片と暴れ狂う蠍が蠢く針山地獄すら生温いサソリ・ミキサー。

「あそこに落ちて落下死は流石にちょっと心折れる!」

「任せて!もう一度発動【天魔神天跳躍】」

まさに宙を飛ぶ蝿(俺達)を箸で掴むかのような見事な達人技。真横から突き出された尻尾針に貫かれた俺達は、何やら毒状態になったという事をなんとか突き止め、死んだ。

けど収穫はあった俺とラク兄でヘイトスイッチしながら何とかそれなりの鉱石系を取ることができたし俺は水晶群蠍の素材もちょっとだけ取れた。

それを見たラク兄がインベントリアを利用した採取を思いつきふたりで4度目の実行【転送:格納空間】を利用しとりあえず針以外を採取

そして現在格納空間にてどうやって針を取るかを話し合い実行

俺は【ツインブースト】【キラーパンツァー】【イグニッションブースト】【次元斬撃波(ディメンションカウンター)】を発動しサソリミキサーになる前に周囲一帯を薙ぎ払うとラク兄が速攻採取したが

温存していた武器【鉄刀花影】が犠牲になりポリゴンになったがそれでも二人で針2本ずつをゲットしたが欲を出した結果ミンチにされた。

そしてラビッツに帰還した俺達はビィラックに素材と鉱石を見せた

「こ…これは!コーティング剤の覇王と呼ばれちょる【アロンカレス瑠璃鉱晶】それに天蓋の一等星【ラピステリア星晶体】じゃと!?」

「ちょい待ちぃ!【ローエンアンヴァ琥珀晶】もあるんかぁ!しかもこれ程のサイズはなかなか...」

「ひゃあぁぁ!【アムルシディアンクォーツ】じゃあぁぁ!」

「何言ってるかさっぱりですわ」

「そうだねぇビィ姉にしかわからんのかもね」

「武器1つ犠牲にした甲斐あったよ水晶群蠍の素材各種だ!」

「SHINEがいなければここまでは取れなかったけどな」

「人を囮にしといてよく言う後で【天元斬】喰らわせてやる」

「おい!バカ!やめろ!」

「ワリャらバカじゃバカじゃと思っておったが本当に水晶の地に行ったんか!希少素材だらけで頭がパンクじゃああ」

とりまビィラックを正気に戻して武器防具の交渉

「水晶群蠍の素材や鉱石は武器作るんに使える。じゃが...こういう宝石の類は装飾品じゃけぇこいつらは【鍛冶匠】じゃのうて【宝石匠】の領分じゃき」

「【宝石匠】?」

「察するにアクセサリーの職人かな?」

「そうじゃ身につけることで効果を発揮するアクセサリーその中でも宝石を用いたアクセサリー制作に特化しとる者のことじゃ」

「その【宝石匠】はこのラビッツにいるんですか?」

「いや、残念じゃがこの国にアクセサリー職人はおっても宝石匠はおらん」

「やっぱりそうですよね」

「お主は既にエフュールとの面識があるんじゃったな」

「えぇまぁ、とりあえずラビッツに居ないとなるとビィラックさんにはツテがある訳ですよね?」

「そうじゃツテが無いわけじゃない...が...むぅ」

「もしかして借りを作りたくないとかか?もったいぶってないで紹介してくれよ!このままじゃ宝の持ち腐れじゃねーか!」

「むぅ...確かにこの宝石達を腐らせるの事は鍛治職人...物を作る者としてのプライドが...わぁたしゃあなし今呼んじゃる!」

「おうバカミースちと来いや!」

「いやそんな隣の部屋にいるやつを呼ぶような声で...」

「この私を呼んだかい!?麗しの黒き乙女よっ!」

「わぁっ!びっくりした!」

「何こいつ?長靴をはいた猫?」

「たとえ千尋の谷の奥底に落ちども一声呼ばれれば瞬時に君の元へと舞い戻ろう!」

「何この面白生物!?」

「本当になんなの?」

戸惑う俺らに猫が自己紹介する

「我こそは剣聖!吹き荒ぶ旋風(ワイルドウィンド)猫妖精(ケットシー)の国【キャッツェリア】が誇る【長靴銃士団】副団長!アラァッッミィィィス!!」

「「……なんて?アホミース?」」

「こいつが宝石匠なのか?」

「違うよこいつは銃士団副団長って名乗ってたよ?」

「バカミースで覚えちょけばええ」

「さぁこのアラミースに一体なんの御用だい?乙女よ!君の頼みとあらばあのリュカオーンにすら挑んでみせよう!」

「いいアイデアじゃそのまま爆散しちょくれ……と言いたいところじゃが今日はお前に頼みがある」

「頼み!?乙女が僕に!?」

「ワリャんとこの宝石匠「ダルニャータ」にアクセサリーの制作を頼みたいそんもただのアクセサリーじゃのうて【最高傑作】

をじゃ」

「おぉ!これはまたなんとも見事な宝石達!」

「こちらのサンラクサンとシャインサンが集めたのですわ!」

「むむっ!?鳥人族と蟲人族かと思っていたが胴体は基人族?いやしかし鳥や蟲の顔をした人間など聞いたことが」

「俺達は人間だよ、コレらは被り物」

「ただの人間と侮るな夜の帝王に認められ永劫の墓守を打倒した親父の舎弟達じゃ!」

「...ふむこちらの人間が...?それは少々信じ難い」

アラミースはレイピアによる刺突を放つがラク兄は紙一重で躱し俺は武器で軽くいなす

「……なるほど嘘では無いようだ」

「……んな」

「……へぇ〜」

マジかコイツ全力じゃなかったな...天眼使ってやっと目で追えるレベルの突きかよ危うくカウンターブッ放すところだった

「このバカ猫ぉ!!」

キレるビィラックに俺達を心配するエムルとジーラ

と言う構図が出来上がる

「ワリャ神聖な鍛冶場で何しとるんじゃ!」

「嗚呼黒き乙女よ!愛情表現が重い痛い!」

結局ビィラックにボコボコにされた顔で宝石を受け取りビィラックにセクハラして帰って行った

「台風みたいなやつだね」

「本当になえーととりあえずアラミースとのご関係聞いていい?」

「あ?昔あん馬鹿に武器を作ってやったそんだけじゃ」

その後もアラミースやキャッツェリアの事を簡単に説明してもらったが色々疲れたので一旦休憩を挟むことにする

「とりあえず一旦休憩しようや!そんで戻ってきたら本格的に魔力運用ユニット探しを始めようぜ」

「同意、ちょっとタイムだよ同じタイミングで戻ってくるからそしたら本格的にやろう!」

「「了解ですわ(しました)」」

「ワリャらも忙しないヤツじゃのう」

ビィラックに小言を言われながらとりあえず俺達はログアウトし休憩を入れることにしたのだった。

 

 

 

 

 

 

 




21話目です。一応次の話で魔力運用ユニット見つけてクラン同盟ちょっと手前くらいまでかなと考えてます。その後金サソリ戦を経てネフホロ編かなと考えてますのでネフホロ編は早くて24遅くても26くらいかなと考えてますので今後もお楽しみに

次回「半裸と愉快な仲間たちinゴーレムパラダイス」

GGC編も欲しいですか?

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