プリンヒーロー・ヴラム   作:匿名希望

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続・駄文妄想です。


『怒りのぷっつんプリン』

 

「助けられたな、ヴラム」

 

 敵による騒動が鎮圧された街の中、体格の割に爽やかに笑う奴が話しかけてきた。

 

「…」

「おっと、待ってくれ!ぜひお礼を言わせてくれ。弟も君に助けられたんだ」

 

 "弟"ーーーーヒーローの言ったその言葉にラキアは強く反応した。

 この場をさっさと立ち去ろうと考えていたが、ラキアは足を止めて踵を返した。

 

「弟?」

「俺はターボヒーロー・インゲニウム。飯田天晴って言えばわかるか?雄英が敵連合に襲撃された時、天哉を助けてくれたんだろ?」

「さあな、いちいち覚えてない」

「君が敵連合と戦って退けてくれたんだろ?ありがとう」

 

 インゲニウムを無視して俺は去る。

 でも、思えばここからだった。ここで出会ってから、会うたびにインゲニウムはよく絡んでくるようになった。

 

「ヴラムじゃないか。街中で奇遇だな」

「インゲニウム…だったか」

「覚えていてくれて光栄だ。今日は非番でさ」

 

 これから、インゲニウムとは言葉を交わす仲となる。

 

「なあヴラム。良かったらうちの事務所に来ないか?」

「だる。何処にも属する気はない」

「そっか…残念だ。気が変わったらいつでも歓迎するからな」

 

 このような感じで数度、インゲニウム・飯田天晴と顔を合わせた。

 それから数日後、悲報を聞く事になる。

 

 

 

『怒りのぷっつんプリン』

 

 

 

 ーーーーーインゲニウムがやられた。

 

 オールマイトに頼まれた雄英高校体育祭の警備を終えた後、自分と同じように警備を担当していたヒーロー達が話していたのを偶然耳にした。

 聞けば、死んではいないらしい。だがかなりの重症を負わされ、もうヒーロー生命は絶たれたとか何とか。

 

 数日後、ラキアは保須へ。

 

「ヴラム…来てくれたのか…」

 

 一人インゲニウムの病室を訪れた。

 病室の中には、様々な計器に繋がれて床に伏せるインゲニウムの姿があった。

 訪れたラキアの姿を見るなりインゲニウムは力のない笑みを浮かべて笑った。

 

「通りがかっただけだ」

「ふふ、そうか…」

 

 床に伏せたインゲニウムからはいつものハキハキとした快活さを感じない。多くの管によって辛うじて生きていられる状態だ。

 

「酷くやられたな」

「この有様だよ…」

「"ヒーロー殺し"…だったか」

 

 犯人はヒーロー殺しと呼ばれる敵・ステイン。

 インゲニウムを含めて、多くのヒーローを殺害、重傷を負わせて再起不能にまで追い込んだ凶悪な敵。

 

「ああ…。もうヒーロー活動はできないかな…残念だよ。まだまだ…走りたかった…」

 

 もうヒーローとして活躍できない事実を前にインゲニウムは悔しさで涙を流す。

 悔しさで歪むインゲニウムの顔からは、どれだけ本気で夢を抱き、強い思いを持っていたのかが伝わってくる。

 

「頼みが…あるんだ」

「なんだ言ってみろ」

「天哉を…弟を…見てて…やって…ほしい…」

「…」

「天哉が…産まれて…から…ずっと…あいつの…兄ちゃんやってる…から…わかるんだ。俺に憧れて…くれていてさ。だから…思い詰めて…無茶すると…思うから」

「そうか」

 

 インゲニウムの思いを聞いたラキアはただ短く一言そう言って踵を返す。

 ドアノブに触れ、病室を去る際に…。

 

 ーーーーー俺は弟に…コメルに向き合ってやれなかった。コメルが困っているのに気付いてやれなかった。でも、こいつは…インゲニウムは違う。自分の弟をしっかり見ている。わかった気になっていただけの俺とは違うんだ。

 

「お前は、良い兄ちゃんだな」

 

 ラキアはそう言って病室を後にした。

 その後、スマホで何処かへ電話をかける。

 

『もしもし』

「塚内か?」

『ラキア・アマルガ。君から連絡をしてくるとは少し驚いたよ』

 

 電話の相手はオールマイトの友人の塚内。

 

『何かあったかい?』

「ああ。ヒーロー殺し、ステインとかいう奴の事を知ってる限りで構わない。教えてくれ」

『奴を追う気か?』

「ああ」

『…』

 

 塚内は少しの間沈黙すると話を始めた。

 

『警察としてもヒーロー殺しをこれ以上放置する事はできない。正式な"捜査協力要請"と言う形にしよう。その方が君も何かと動きやすいはずだ』

「助かる」

『本来ならこちらから派遣する刑事と組んでもらう事になるが…』

「必要ない」

『だろうね。保須署への連絡と手続きはこちらでしておこう』

「すまないな。何から何まで」

『君が謝る必要はない。これが仕事だからな。それとステインの情報だったか…。少し待ってくれ。また折り返す』

「わかった」

 

 しばらくすると塚内からの折り返しの電話がかかってきた。

 まだ極秘で一般には情報公開されていないにも関わらず、警察が知りうる限りのステインの情報を塚内は提供してくれた。

 塚内からの情報を聞いたラキアは考える。

 

(ヒーロー殺し・ステイン。本名は赤黒血染。個性、凝血。血を舐めた相手の自由を奪う個性か)

 

 扱う個性は強力というわけではない。こいつは恐らくだが、本人の技量に重きを置いているタイプの敵だな。

 塚内からの情報にはステインが今まで行ってきた犯行とその行動パターンがある程度記されていた。

 全部を合わせてラキアは予測を立てる。

 

(こいつの傾向からしてまた同じ場所、今回は保須か。そこで事件を起こす可能性はかなり高いな。だるいが貼ってみるか)

 

 それはそれとして…。

 

「盗み聞きか」

「⁉︎」

「出てこい」

 

 通路の壁にこっそりと息を潜めて隠れる人物に向けて言い放つと、観念したその人物が酷く辛く重い表情で姿を現した。

 

「お前がインゲニウムの弟か」

 

 飯田天哉。ステインに再起不能に陥れられたインゲニウム・飯田天晴の弟。

 その顔は酷く曇っており、何よりも復讐に取り憑かれて酷い顔だった。

 その顔に思い当たる節しかないラキアは…まるで俺と同じだなと自分と重ねて、鏡写しのような感覚を覚えた。

 

「お前が考えてる事はだいたい想像ができる」

「…」

「ヒーロー殺しはお前の手に負える相手じゃない」

「っ…!」

「大人しく引っ込んで俺に任せ…」

 

「貴方には関係ない!」

 

 飯田は怒鳴るように大声を上げる。

 

「兄は…俺の憧れだったんだ…!これからもみんなを導くヒーローである筈だったんだ!兄をこんな姿にした奴を僕は許せない!」

「はぁ…そうだな。勝手にしろ」

 

 そう言ってラキアは病院を去る。

 外に出て振り返って病院を見つめる。

 

「だる…」

 

 自分と同じ道を歩もうとしている飯田を見て、ラキア・アマルガは何を思うか…?

 

 そして、舞台は保須へ。

 迎えた戦いの日は、雄英高校ヒーロー科の職場体験の日でもあった。

 偶然か必然か敵連合も動き出し、脳無が跋扈する地獄となった保須市。夜の街中、多くの場所で火の手が上がり、多数のヒーローと脳無による乱戦の渦中にラキア・アマルガは…

 

「お前がヒーロー殺しか」

 

 本来なら人の気配が少ない暗い路地裏にて、遂にヒーロー殺しと対面した。

 

「このガキどもといい。今日は何度も邪魔が入る日だな」

 

 そう言うヒーロー殺し・ステインの近くには雄英高校の緑谷、飯田。それと知ないヒーローが1人横たわっている。

 全員ハッキリと意識はあるようだが身動きが出来ずに倒れている。これは間違いなく塚内の情報にあったステインの個性〈凝血〉の効果だろう。

 唯一動ける雄英の轟焦凍はラキアが来るまで粘ってステインと戦っていたようで、体には真新しい切り傷と出血が見られる。

 

「あの時の雄英生か…(インゲニウムの弟を助けに来たってところか…)」

「貴方は…」

 

 轟はラキアの姿を見て「USJの時の…」と隣に立つラキアの事を思い出したようだ。

 

「あいつは俺が引きつける。お前は倒れてる奴ら助けて下がってろ」

 

 轟の肩をポンポンと叩いてラキアは前に出て血生臭い風貌のステインと対峙する。

 

「ここで始末させてもらう」

「始末…?始末とはヒーローの言葉ではないな。お前もそこの2人と同じだ」

 

 ステインは飯田とネイティブなるヒーローを静かに燃ゆる眼光で睨み付ける。

 

「お前も正しき社会を歪ませる偽物にしかならん。ここで終わらせてやる」

「自分が気に入らないから始末する、か。身勝手なやつだな」

「血に染まらねばならぬのだ。真のヒーローを取り戻すために!」

「大切な家族を奪うお前のような奴がどうしようもなく許せない」

 

〈ヴラスタムギア〉

〈カップオン〉

 

「変身」

 

〈プディング・ヴラムシステム〉

 

「その姿は…!」

 

 ステインはヴラムの姿を見て驚いた表情をしたと思えば、すぐさま口角を上げ笑う。

 

「そうか、貴様が噂の"敵ハンター"か。いや、死柄木の言っていた"仮面ライダーヴラム"か」

「お前に家族を奪われた奴らの為にも、夢を絶たれた奴の為にも、ここで始末する」

「家族?ヒーローとは孤高であるべき。自分の命を捧げてこそのヒーロー。家族などに縋るなど、覚悟が足りない偽物だ」

「っ…黙れ」

 

 狂信的なステインの主張にヴラムの手に思わず力が入る。

 纏う雰囲気の変化、握り締めた拳に籠る力、それを見たステインは、その内に宿る根源を見抜いて再び口角を上げた。

 

「貴様のその様子と先の目、そうか。怨嗟か。敵に家族でも殺されたか!」

「ああ。貴様のような人を人とも思わない殺人者にな!」

 

 静かに怒りを燃やすヴラムはステインに向かって駆け出し、遂に戦いの幕が開けた。

 

〈ヴラムブレイカー〉

 

 ヴラムの鎌とステインの両刀の刃が激しくぶつかり合って火花が散る。

 回転するヴラムの刃はぶつかり合ったステインの両刀を粉砕し、粉々になった欠片を分散させる。

 暗闇の路地裏に火花と共に砕けた血塗られた刀の破片が怪しく煌めきながら舞った。

 

〈セット〉

〈ヴラムスラッシュ〉

 

 ヴラムが放つ横払いの強力な一撃。しかしステインは持ち前の身体能力でそれを回避。隠し持っていた刀を背中から抜いて、ヴラムに猛攻を仕掛ける。

 ヴラムもそれに応戦。技量vs技量による高度な戦いが繰り広げられ、プロもいながらこの場の誰も参戦できない巧みな戦闘が繰り広げられる。

 戦いの最中、轟は倒れた緑谷と飯田ともう1人へ駆け付ける。

 

「飯田!緑谷!」

 

 本来ならステインがこんな隙を与えてくれる筈もないが、ヴラムが卓越した技量でステインを押さえ込んでいるからこそだ。

 

「轟君…すまない。僕のせいで…」

「謝るのは後だ。今はさっさと下がるぞ」

「ああ…」

「緑谷、立てるか?」

「うん。今立てるようになった。僕はこの人を背負うから轟君は飯田君をお願い」

「ああ、わかった」

 

 飯田を背負いながらも轟は横目でヴラムの戦いに目を向ける。それと同時に緑谷もヴラムの戦いを同じように見ていた。

 

(あれが、オールマイトと並び立てるヴラムの実力…。僕らとは比べ物にならない…。すごい!)

 

 USJでヴラムの強さを知ってはいたが、自分達が苦戦していたステインを単独で相手をするヴラムとの実力と技量の差を轟達は改めて実感した。

 

〈カップREADY〉

〈プディングクラッシュ〉

 

 プリンによる拘束を咄嗟の判断で後ろへ跳躍して回避したステイン。が…それをヴラムは予測していた。

 左右の壁を蹴って瞬きの間に距離を詰め、ヴラムはステインへ迫った。迫った直後、ステインに何かさせる前に必殺のスマッシュを数度打ち込んでステインに血を吐かせる。

 ヴラムは全身をプリンの装甲で覆っている。故に斬れずに血を舐める事が出来ない。ステインにとっては最もやり難い相手だろう。不利な相手にも関わらず、ステインは引こうとはしない。標的を殺そうと躍起になっているのだ。

 ステインは更に速度を上げてヴラムに攻撃を仕掛けるが、焦りから冷静な判断力を失ったステインの動きは容易く見切れるものだった。

 呆気なくカウンターを決めてステインを地面に殴り倒す。

 

「終わりだ」

 

〈セット〉

〈ヴラムシューティング〉

 

 弓のヴラムブレイカーから数多き矢がステインに向けて放たれた。

 

 その時…!

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