月曜日。
それは一週間の内で最も憂鬱な始まりの日。きっと大多数の人が、これからの一週間に溜息を吐き、前日までの天国を想ってしまう。
そんな事を考えながら俺
とまあ暇だから脳内1人語りしただけで特に意味はないけどな。
仕事帰りに電車に乗っていたら、その電車が脱線事故を起こして死んでしまった24歳の社会人だ。そして気がついたら知らない天井に赤子として転生していた。・・・全てのガイアメモリといっしょに。
いや、正確に言うと、体内に入っている状態なんだが。何で100本以上ガイアメモリが体内に入っているのに、怪人にもならないし、死なないの?まあありがたいけどね?しかも能力だけ使えるし。
そんなこんなでまた
校門をくぐり、教室に入ると、
「よぉキモオタ!また、徹夜でゲームか?どうせエロゲでもしてたんだろ?」
と、朝一で絶対に聞きたくない声が聞こえる。
そんな汚物の名は
最初のセリフ聞いてわかる通り、まあ、なんて言うか、滑稽だ。
自分より弱い(と思っている)ヤツにしか絡まないとことか特に。
そんなオツムてんてん野郎に絡まれているのは、
唯一俺の転生事情を知ってる親友、
どこにでもいる普通の高校生である。
キモオタなんて言われているがそれ言ってるのTHE 小物の檜山しか言ってないし、見た目もいわゆるデブで脂汗かいてるヤツじゃないし、
どちらかというと細身だし、ていうか檜山一回キモオタの定義調べてからその言葉使え。
まあ南雲は俺の親友だから助けてやるか。
そう思い、檜山の後ろに音を立てずに向かう。
芽森「おい檜山、親友になんかようか?返答によってはこの後殴り飛ばすけど」
檜山「ヒィッ……⁈きょ、今日のところは勘弁してやるよ」
よし、逃げてった。一回痛い目みせたから南雲に声かけることもないと思ってたんだけどなあ。
それはそうと意外と日常生活でも使えるガイアメモリはいっぱいあるんだよな。
コンピュータメモリとか常時使用できるように死に物狂いで使いまくったからな。あの時は大変だった。月ニで救急車だったし。
そんな思い出に浸っていたら、親友が声をかけてきてくれた。
南雲「ごめんね芽森君、また迷惑かけちゃって」
芽森「良いってことよ。つーか、お前もなんか言い返してみたら?」
南雲「いや、めんどくさいからいいよ。あいつらにかける時間も無駄だし」
芽森「その気持ちはわかるけどさあ。
あの感じまた突っかかってくるからそろそろ断ち切った方がいいと思うぞ。」
南雲「一応肝に銘じておくよ」
芽森「まあ、南雲がそれでいいなら俺は何も言わんよ。」
と、親友といつものやりとりをしていたら、これまたいつものように
「南雲くん、おはよう!あ、芽森もおはよう」
と、皆から嫌われている南雲に挨拶するこの少女の名は
腰まで届く長く艶やかな黒髪、少し垂れ気味の大きな瞳はひどく優しげで、誰からも頼られる存在だ。だが俺からしたら嫌いじゃないが好きでもない。なにせ昔からの付き合いだが、コイツのせいで結構ひどいめに会っているからだ。そう、俺は香織の幼馴染だ。ハジメも嫌われてる原因が香織なので、少し嫌そうな顔をしている。まあ当の香織本人はそんなことに気づかないのだが。
そして、香織は南雲のストーカーである。
ちな南雲には言ってない。なんか、おばあちゃんを助けたのを見て一目惚れ?したらしい。何でだよ。
その時聞いてた俺ともう1人の友達は
同じ(うわぁ、マジかぁ)って顔した。そりゃするだろ。何だよ、助けてたところ見て一目惚れて。聞いたことねぇよ。
しかも俺からしたら親友と幼馴染が付き合うんだぞ。どういう心境でそれ見たらいいんだよ。
つーか、俺ついでかよ。まあ16年間の付き合いだからいいけど。
南雲「あ、ああ、おはよう白崎さん」
芽森「うい、そっちは相変わらずで」
そんな会話の中、周囲の人から南雲への視線が、
どんどん殺気を帯びていく。
これが南雲が嫌われている理由である。
香織はこのクラスではマドンナ的存在である。
要するに南雲に対する僻みだ。
そんなに香織と関わりたいなら自分から声かけりゃいいのに。
いや不真面目(と思われてる)な人に香織が積極的に声かけてたらそう思うか。
そして香織には俺以外にも仲良い友達が3人いる。
「南雲君。芽森君。おはよう。毎日大変ね」
「香織、また彼の世話を焼いているのか?全く、本当に香織は優しいな」
「南雲また徹夜か?事情があるのはわかるが、体壊すなよ」
はい、こちらがその3人組です。
一番最初に挨拶した人が
はい、香織の時の説明でた、いっしょに同じ顔した友達です。俺は香織より雫の方が好きだ。
黒髪ロングポニーテールがトレードマークであり、切れ長の瞳は鋭く、しかしその奥には柔らかさもあり、カッコいい。
身長172cmの女子にしては高身長で引き締まった体は侍を想像させる。サムライガール、いいな。
事実、家が八重樫流という剣術道場をやっていて、雫自身小学生の頃から剣道の大会で優勝してる。
このメンバーのまとめ役で、ほんとにこの人がいないと香織と光輝がやらかすから毎回助かっている。
本当いつもお疲れ様です。
次に香織に声をかけているのは
サラサラの茶髪と優しげな目、180cm近い高身長に細身ながら引き締まった体。誰にでも優しいと、これだけ聞くといい人なのだが、やっぱり完璧な人っていないんだね。雫が苦労する原因の一つがコイツである。
理由は思い込みと正義感が激しいのである。
おじいちゃんが弁護士でその背中をみて育ったから正義感が強いのだ。
ただ、コイツのスペックが高すぎて挫折を知らないから綺麗事しか吐かねえけど。あんま好きじゃない。さっさと現実を見てくれ。
最後に南雲を気遣ってくれた青年、
天之河の親友だ。短く刈り上げた髪に鋭さと陽気さを兼ね備えた目、190cmもある身長に熊のような大柄な体格、見た目によらず優しく気遣いできる性格。めっちゃいい人である。人は見た目によらないね。
出会った当初は脳筋で金魚のフンだったけど今ではちゃんと物事を考えながら天之河の押さえ役を請け負ってくれている。最近は南雲に対して気遣いもできるようになっている。
雫の負担が減って良かったね!
まだ香織っていう厄介ストーカー幼馴染がいるけど。
南雲「うん、龍太郎君、心配してくれてありがとう。あと雫さんもおはよう」
芽森「おう、おはよう。雫はまた忙しそうで何よりだな」
あ、今度は雫に話しかけたからか、南雲への視線がさらに痛くなった。
まあこの学校のかわいい女子TOP2に声かけられたらこうなるわなぁ。
天之河「その徹夜するのをやめて、ちゃんと寝たらどうだ?何時までも香織や龍太郎の優しさに甘えるのもどうかと思うよ。香織だって君に構ってばかりはいられないんだから」
出たよ。天之河の悪い癖。自己解釈による思い込み。ほんとにそこさえ直してくれたら楽なのに。
あ、ほら雫の美しい顔が一瞬ピキッてなった。
龍太郎「おい光輝、そんな言い方はないだろう」
ナイス龍太郎。雫の顔が元に戻った。ほんとに感謝する。
いや天之川の言ってることはわかるけど、南雲は両親がえげつないからなぁ。父親はゲームクリエイターで、母親は少女漫画家だから、
父親の仕事を受け継ぐのはほぼ確実だからなぁ。
だから将来に備えて父親と母親の元でバイトしてるんだよな。
……めちゃくちゃ親ガチャSSRじゃん。こんな言い方あれだけど。
香織「?光輝くん、なに言ってるの?私は、私が南雲くんと話したいから話してるだけだよ?」
ざわっと教室が騒がしくなる。
コイツ無意識で核爆弾落としてきやがった。何でコイツ自分の影響力
考えないんだよ。このばかおり。ほら檜山のヤツが南雲を昼休みに呼び出すか本気で悩んでるじゃん。しかも男子共が呪いのこもった睨みきかせてるよ。南雲のことが好きなら南雲のこと考えてやれよ、ばかおり。
天之河「え?……ああ、ホント、香織は優しいよな」
コイツ変に察し悪いのかそれともご都合の自己解釈&思い込みで信じてないのかどっちなんだろ。いや南雲と俺に被害がでなきゃどうでも良いけど。
雫「……ごめんなさいね?二人共悪気はないのだけど……」
龍太郎「いかんせん自分の何が悪いか気づいてないからなぁ……」
と、二人のやらかしを雫と龍太郎が謝ってきた。
ハジメは「仕方ない」って許したけど、そろそろ自覚して欲しいところだ。
芽森「まあ、二人共よく頑張ってるよ。お疲れさん。」
そんなこんなしてるうちに先生がやってきてホームルームが始まり、ハジメは寝て、特に面白くない授業が始まり、あっという間に昼休みになった。ハジメは昼休みになったと同時に起きて、10秒チャージ飲んで寝た。ハジメにとってこれが昼飯らしい。いやもうちょっとマシなもの食えよ。
さて、そんなハジメの睡眠を邪魔するストーカーがいた。知っての通り、香織である。
香織「南雲くん。珍しいね、教室にいるの。お弁当?良かったら一緒にどうかな?」
わぁ、うちの幼馴染積極的だな。
そんな幼馴染に対し親友はもういいよと言わんばかりに俺にしかわからない嫌な顔をしては抵抗を試みる。
南雲「あ〜、誘ってくれたのは嬉しいけど、もう食べ終わったから。そうだ、光輝君達と一緒に食べれば?」
しかし、
香織「えっ!お昼それだけなの?ダメだよ、ちゃんと食べないと!私のお弁当分けてあげるね!」
あー、南雲選手、回避失敗です。上手く逃げる口実を作ったつもりが、逆にそれを口実に誘ってきました。香織選手の今の一手は上手いですねぇ。
と、一人実況しているところに光輝と龍太郎がやってきた。
天之河「香織。こっちで一緒に食べよう。南雲はまだ寝足りないみたいだしさ。せっかくの香織の美味しい料理を寝ぼけたまま食べるなんて俺が許さないよ?」
……光輝よくこういうキザったいセリフ吐けるよな。羞恥心ないのかな。そんなセリフに当の本人である香織さんはキョトンとしている。
香織「え? 何で、光輝くんの許しがいるの?」
素で聞き返す香織に思わず雫さんが「ブフッ」と吹き出した。
さすが雫さん、笑ってる姿も美しい。そら後輩の女子生徒がファンクラブを作るわけだ。俺も入ろうかな。うん、事案になりそうだからやめておこう。それはさておき、
芽森「ねえねえ光輝くん、今どんな気持ち?キザったいセリフ吐いて天然な香織に素で聞き返された今、どんな気持ち?ねえねえ教えてよねえねえ(笑)」
天之河「うっ」
おっとここで天之河選手、キザったいセリフを吐いていた時は平然としていたが、聞き返されたにより羞恥心でいっぱいいっぱいになっています。さすがにこれは顔面真っ赤です(笑)。
龍太郎「芽森、さすがにもうやめとけ。天之河のことがみてられない。」
芽森「はーい」
ああ、今日も平和だなぁ、こんな毎日が続いて欲しいなぁ。
そんなこと考えていると、急に教室の真ん中に魔法陣らしきものが出てきた。
え?何で?と思ってたらその魔法陣が広がった。
いやな予感しかないんだが?つーかこれ転移陣だな。
えー、せっかく転生人生を謳歌してたのに。
芽森「はぁ、面倒くせぇけどいくしかないかぁ」
南雲「ちょ、何でそんな芽森君冷静なの⁉︎」
芽森「うーん、生前の癖かな」
皆が慌てふためく中、俺だけは冷静でいた。
ああ、
結局転生しても何も変わらねぇんだな。つくづく人生が嫌になる。
俺は平和に暮らして天寿全うしたいだけなんだけどなぁ。
教室から光が収まった時、そこにあるのは人が一人もいない、静かな教室だった。
ガイアメモリの補足
芽森凱亜のなかにあるのはあくまでもガイアメモリであり、ドーパントメモリではない。
コンピュータメモリ
機械の記憶
使用中は演算能力が格段に跳ね上がり、何千通りの結果の中から最善の結果を導き出せる。最初は数十分しか使えなかったが、努力によりいつでもどこでも使えるようになった。