ユエを仲間にした日から早20日くらい。途中、アルラウネっぽい魔物がユエに寄生し、ハジメが容赦なくユエを撃ち、ユエが機嫌が損ねたが、ユエは吸血姫なのでハジメの血を吸わせたら機嫌が直った。ハジメは吸われた後気絶していた。ちゃんと回復させといた。
そしてとうとう次の階層で100階層、おそらく最も下であろうところだ。どうやらユエによると反逆者という昔神に喧嘩を売った人が作った迷宮らしい。いいぞ、もっとやれ、もう死んでるけど。基本的に神やら教祖とか嫌いなんだ。
ただ、神に喧嘩を売ったということはそれだけの力があるということだ。気を引き締めておかねば。
芽森「んで、二人共仲が良いことに関して別に干渉するつもりはないが、いつまで抱き合っているんだ?」
ハジメ「いやな?ユエがなかなか離れてくれないんだ」
ユエ「……ん(満足げな表情)」
ユエを仲間に引き入れた時からいつもこれだ。寝る時は添い寝のごとく腕に抱きつき、座っている時は背中から抱きつく。今は吸血の最中で、必然的に抱き合う体制になるのだが、吸血が終わっても、なかなか離れようとせず、現在ユエはハジメの胸元に顔をグリグリと擦りつけ満足げな表情でくつろいでいた。
ハジメ「ユエ、そろそろ離れてくれ。次の100階層はおそらく最後の層だ。そのために準備をしたい」
ユエ「……ん。わかった」
そう言ってユエは離れてハジメの隣に座る。この二人、最初に比べて異様なほど仲良くなってるやん。なんで?アイツ最初見捨てようとしてたのに。いや良いんだけどね?別に嫉妬してるわけじゃないんだけどね?ハジメはあれからさらに魔物を喰らい、現在のハジメのステータスはこうなっている。
南雲ハジメ 17歳 男 レベル:76
天職:錬成師
筋力:1980
体力:2090
耐性:2070
敏捷:2450
魔力:1780
魔耐:1780
技能:錬成[+鉱物系鑑定][+精密錬成][+鉱物系探査][+鉱物分離][+鉱物融合][+複製錬成]・魔力操作[+魔力放射][+魔力圧縮][+遠隔操作]・大地の記憶・[eternal]・胃酸強化・纏雷・天歩[+空力][+縮地][+豪脚]・風爪・夜目・遠見・気配感知・魔力感知・熱源感知・気配遮断・毒耐性・麻痺耐性・石化耐性・金剛・威圧・念話・言語理解
最弱と言われてた人も死ぬ気で頑張ればここまで強くなれるんだなぁ。すごい今感動してる。ちなみに現在の俺のステータスがこれだ。
芽森 凱亜 16歳 男 レベル:48
天職:魔術師
筋力:192990
体力:981050
耐性:63000
敏捷:5625
魔力:401100
魔耐:63000
技能:幻術・全属性適正・全属性耐性・危機察知・夜目・物理耐性・思考演算・大地の記憶[+arms][+etc]・回復魔法・弱点看破・高速魔力回復・魔力操作・限界突破・悪意感知・念話・言語理解 改
……うん。言いたいことはわかる。領域が人外の域まで達しているとでも言いたいんだろう。しょうがないじゃん!基礎ステータスが元から1万超えばっかなんだからレベル上がったらこうなるって!
ちなみにハジメは魔物を喰ったら技能が増えたが、なぜか俺は念話しかし増えなかった。あくまで可能性の話だがガイアメモリの能力の方が他の技能より優先度が高く、技能の所持数が限界を迎えたため、技能が習得できないのではと今のところは考えている。まあすでに強いから別に良いんだけどね。
ハジメも言ったように、次で最深部と思われる100階層。できるだけ準備はしておきたい。俺もできるだけの準備をし、3人で100階層に向かった。
芽森「……すげえ建築センス、俺でなくとも見惚れちゃうね」
100階層は大きな柱によって支えられており、一本一本が直径5mはあって、一つ一つに螺旋模様とか木の蔓が巻きついた彫刻が施されている。柱の並びは規則正しく並べられており、天井までは約30mほど。地面も荒れた様子はなく、きっちりと整備されており、凸凹ひとつない
。圧巻の一言。これを一人で作ったのだろうか。だとしたらどのくらい時間がかかったのだろうか。めっちゃ気になる。
ハジメ「……これはまた凄いな。もしかして……」
ユエ「……反逆者の住処?」
芽森「一番下だろうしな……」
先を進むと巨大な扉がある。この扉にもしっかり彫刻がされており、七角形の頂点に描かれた何らかの文様が彫られている。いかにもな扉だな。迷宮のボスがいても不思議ではない。あのハジメが身震いする。多分肌で感じ取ったのだろう。この先はマズイと。ユエも感じ取っているのかうっすら額に汗をかいている。
ハジメ「ハッ、だったら最高じゃねぇか。ようやくゴールに辿り着いたってことだろ?」
ハジメは不敵な笑みをとる。
「ああ、そうだな。たちはだかるヤツは3人でぶっ飛ばせば良い」
俺は拳を強く握り締める。
「……んっ!」
ユエも覚悟を決める。
さあ、歩みを一歩進めようか。
最後の柱の間を越える。
その瞬間、扉と柱の間の空間に30mもの巨大な魔法陣が現れる。赤黒い光があたり一帯に放ち、ドクンドクンと音を響かせる。ハジメと俺にはその魔法陣に見覚えがあった。あの日、ハジメが奈落へと落ちた日に見た自分達を窮地きゅうちに追い込んだトラップと同じものだ。だが、ベヒモスの魔法陣が直径十メートル位だったのに対して、眼前の魔法陣は三倍の大きさがある上に構築された式もより複雑で精密なものとなっている。
ハジメ「おいおい、嘘だろ?なんだよあの大きさは?」
芽森「安心しろ。なんかあったら骨は拾ってやる」
ハジメ「なんで死ぬこと前提になってんだよ」
ユエ「大丈夫……私達、負けない……!」
ハジメ・芽森「「……ああ、そうだな!」」
魔法陣はより一層輝くと遂に弾けるように光を放った。咄嗟に腕をかざし目を潰されないようにするハジメとユエ。光が収まった時、そこに現れたのは……
体長三十メートル、六つの頭と長い首、鋭い牙と赤黒い眼の化け物。例えるなら、神話の怪物ヒュドラだった。
「「「「「「クルゥァァアアン!!」」」」」」
まるでここに侵入してきた愚か者を追い払うように威嚇する。殺気が俺の皮膚をチクチク刺してくる。この感覚、久しぶりだ。もう二度と味わうことはないだろうと思っていた明確な殺気。確実に殺そうしているのがわかる。小さな声で呟く。
芽森「上等だ、ぶっ殺してやるよ」
それは自分でも疑うようなどす黒い感情が入り混じる声だった。
ハジメが牽制目的で銃を撃つ。しかし黄色頭が頭部を肥大化させる。白頭がダメージを受けた黄色頭を回復する。赤色頭が口から炎を放つ。咄嗟に俺らは各自その場から離れた。
ハジメ"ユエ、あの白頭から狙うぞ!芽森は黄色頭から狙ってくれ!"
ユエ"んっ!"
芽森"了解"
MAGMA
黄色頭を全力の熱線で焼き切る。黄色頭が痛み故か咆哮を上げる。お、効いた。ドラゴンって炎に強いイメージあるのなんだろね?いやまあ何千度という温度を耐えられたらなすすべがないんだが。
芽森「壁役は倒した!早く回復役を倒してくれ!」
ハジメ「ああ、わかった!」
ハジメは白頭に向かって十個の手榴弾を投げる。瞬間、全ての手榴弾が命中し、爆ぜる。それに合わせてユエが緋槍を撃ち続ける。さらにハジメも銃で追撃しているとやがて白頭は動きを止め、ぐったりと倒れた。残り四体となったタイミングで異変が起きる。
ユエ「いやぁああああ!」
突然ユエの悲鳴が上がり、俺らの手が止まる。
ハジメ「ユエ!?」
ハジメがユエのところに駆け寄る。その間もヒュドラは狙う。
芽森「させるかよ!」
俺はマグマメモリで溶岩の壁をつくり、ヒュドラの侵攻を防ぐ。他の頭にも熱線を当てておく。ヒュドラの全ての頭が怯んでいる間にユエの元へ走る。
芽森「ユエは大丈夫そうか!?」
ハジメ「心配ない。今のところは安定している。おおよそ精神に干渉するデバフ効果ってところか」
ユエ「……ハ、ハジメ……。よかった……見捨てられたかと」
どうやら相当効いたようで、ユエはハジメに対して不安そうな目を向ける。ユエにとってハジメの存在は大きい。何せ三百年近い生き地獄から解放してもらったのだ。そんな中で、ハジメに見捨てられればそれこそ心が持たない。ヒュドラはもう攻撃の体制に移し、ユエとハジメを襲おうとするが、俺がカバーする。
芽森「クソ、なんでこうも空気を読んでくれないのかなぁ!」
いやこの状況の原因ってヒュドラがつくり出したんだからそりゃそうか。ハジメも一緒に戦おうとするがユエが寂しさ故にハジメの裾を思わずつかみ、引き止めてしまう。
ユエ「……私……」
泣きそうになるユエ。ハジメがの気持ちが葛藤する。ユエの心配を解消してあげたい気持ち。芽森の元に行って戦闘の手助けしたい気持ち。そんなハジメに対し、俺は言う。
芽森「ユエはお前に任せる。だからヒュドラは俺に任せろ」
ハジメ「だが……」
芽森「今のユエにはお前の存在が必要だ。側にいてやってくれ」
俺のその言葉にはハジメに対する信頼の気持ちがあった。ハジメはそれを受け取り、優先事項をユエに決め、ハジメとユエは戦闘から離脱した。
芽森「さて、ユエをあんなにしたデバフ頭はどれだ?」
赤頭は炎。青頭は氷。緑頭は風。白頭が回復。黄色頭はタンク。となると残りの黒頭がデバフか。と、黒頭が俺に対し、デバフをかけてくる。体の中から不安と恐怖がやってくる。
だがそれがどうした。前世のあの時からいつもそうだった。それは生まれ変わっても、覚えている限りずっと続いていくものだ。トータスにきた時からもそうだ。ずっとどこかに不安が残っている。だがそれは過去のことだ。過去は変えることができないのだから今を進むしかない。
アームメモリで刀を取り出し、黒頭の首を切り落とす。
芽森「俺は迷わず前へ進む。俺の望んだ結末のために」
残りの首は後三つ。残った頭は攻撃魔法しか使えない。だが一斉に攻撃してきたら厄介だ。どうしたものか……。
芽森「あ"あ"ーーめんどくせえ!さっさと決めよう!」
そう思い、考えるのを放棄し、アームメモリを使用する。
ARM
芽森「MAXIMUM DRIVE!」
ARM MAXIMUM DRIVE
芽森の眼が鼠色に変わり、背後から大量の銃器が出現する。ライフル、サブマシンガン、ロケットランチャー、ガトリングガンなど様々だ。
芽森「死神のパーティータイムへようこそ。そして、サヨナラだ」
言い終わると同時に全ての銃器が発砲を開始する。ヒュドラの三つの頭も負けじと魔法を放つが、銃弾の嵐は相殺どころか貫通してヒュドラの体に命中する。銃声が鳴り止んだ頃には、ヒュドラの体は見るも無惨な蜂の巣となっていた。
そんな中、戦闘の一部始終を見ていたハジメはボソリと呟く。
ハジメ「……もうアイツ一人でいいんじゃねぇか?」
ユエ「…ん。ハジメに同意」
ハジメ「にしてもすごい砂埃だな……。こんなところであんな技使って崩落したらどうするつもりなんだよ芽森?」
しかし、返事は返ってこない。
ハジメ「芽森……?」
砂埃がおさまり、ハジメの目に写ったのは
地面に突っ伏した芽森の姿だった。
ハジメとユエはすぐさま芽森のところに駆けつける。
ハジメ・ユエ「「芽森っ!!」」
ハジメが芽森の心臓に耳を当て、生きているか確認する。
ハジメ「よかった、生きてはいる。たださっきの技を使って少し気絶しているみたいだ」
とりあえず芽森が生きていることに二人は安堵のため息をつく。
その時、ヒュドラのいたところの奥から音が扉の開く音が聞こえる。
ハジメとユエは顔を見合わせる。決心し、ハジメとユエは芽森をかかえながら、開いた扉の奥へと進んでいった。
ガイアメモリの補足
アームズメモリ
武器の記憶
どんな武器でも生成でき、剣や槍、斧、銃など幅広いバリエーションがあら。生成した武器を自由自在に操ることも可能だが、結構難しい。MAXIMUM DRIVEは武器を大量生成し、一気に放つ。最大で1000個同時に動かせる。