俳優5人とは、その後も交流が続いていた。
大っぴらに魔法を使えるのは異世界しかないからだ。
動画再生装置は流れに流れて王子の所まで行き、王子は大変に興味を持っているという。俳優5人から芸能に関しての話を聞き、是非ともテレビ局を開設したいと仰せだ。
できない事はないが、くっそ面倒なので避けたい。
大体、テレビ局の仕事は大変だ。国の力を使ったって、すぐさまできるようなものではない。
そんな時に、ついに書籍化の話が決裂した。
「所詮素人に協力するのは後のないものたちだけだ! あんな学生にも劣る出来の映画より良いものを作ってやるって言ってるんだ!」
「別に必要ない」
「はっ 意地を張って困るのは周囲の者たちだぞ! 綾瀬達がテレビ局に復帰できないのはもちろん、お前の両親だって」
「は?」
俺はピキッと来た。
今こいつ、人間の分際で俺に喧嘩売った?
「ふぅー。わかった。それは脅しか? 脅しだな?」
「さあ、どうだろうな?」
「ここで貴様をぶっ殺すと俺の負けだからな。お前の土俵で戦ってやろう」
「はぁ?」
「魔王の域まで高めた魔導師を敵に回すとは、お前は勇気がある。敬意を表して、全力で叩き潰してやろう」
俺は人間の殻を脱いだ。
そして、悲鳴をあげてバタバタする男を無視し、全人類に加護を与える大魔法を使った。
「俺はテレビ局を作る。そうしてお前らを干してやる。それが俺の戦い方だ」
「や、ややや、やりすぎでは? 僕は良いですから、魔導師さんはどうか落ち着いてください」
「それは俺に口出ししてるのか?」
「滅相もない!」
「殿下に、話を受けると話してくれ。クラウドファンディングの準備をしよう」
莫大な寄付をしてきた各国政府、王族にチャンネルを振り分けた撮影装置を配る。
普段用と、緊急配信用である。
俺のチャンネルの緊急配信用撮影装置は気象庁に渡しておく。
最初はチャンネルがニュースで埋まった。
お知らせを読むだけという、優しい仕様である。
もちろん翻訳魔法を掛けているので、どの国のニュースも聞ける。
これにより、情報封鎖が出来なくなった。
各国で何やってるか丸わかりである。
両者の言い分を聞くというのに、これほど適したものはない。
しばし緊張感がただよったが、戦争でもない限りチャンネル内で他国を貶さないという事で暗黙の了解で決着がついた。
さて、異世界組にハリウッド映画の知識を譲渡する為、干されている映画関係者をスカウトして回らねばならない。忙しくなるぞー!
テレビ局など歴史にしてやるわー!
「魔導師さん! この小説知ってます? めちゃくちゃ面白いですよ!」
「あー。じゃあちょっとだけ読もうかな」
そして俺の野望はしばし休止する事となった。
王子が急かしてくる? テレビ局とでも話せば良いじゃん。
俺は小説読んで漫画読んでアニメ見て映画見て実写映画見て演劇見て二次創作読み漁ってグッズを買い集めるのに忙しいんだよ!