転生魔導師の迷走道   作:かりん2022

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幼き日の記憶

フレアに温めていたネタの執筆を勧められた。

確かに持ってる作品が一つってのは寂しいし、色々ネタはあるんだ。

面白い作品を見ると、自分も書きたくなってくるのもあり、俺は早速新作を執筆していた。

それはそうと、王子殿下がハリウッド映画を参考に俺の作品の二次創作を作る予定らしい。

誰だ王子殿下にハリウッド映画とか二次創作の概念を与えた奴。

俺だ。

遊びに来た時に映画や二次創作の話して見せたわ。

チャンネル開設の際にいろんな番組のDVDも再生機材ごと貸したわ。ドローン式カメラも渡してあるしな。

早速相談があるという事で、俺は向かった。

前世で仕えていた国の王族。討伐されたとはいえ、王族への忠誠心は未だ残っている。

殿下はにこやかに迎え入れてくれた。

 

「よく来てくれたな、リオン」

「綺羅です」

 

 ちなみにリオンとは前世の名前だ。バレてる。まあ当たり前か。人の皮を破った状態の姿は魂に紐づいた固有のものだ。つまり討伐記録に残っている。

 

「リオン。其方の作品は二次創作ふりぃという奴らしいから、我が国で二次創作を作る事にした。今風で我が国の風習に似て、アニメとして映像化もされている其方の作品は比較的取り組みやすいからな」

「綺羅です。ありがたき幸せ」

「リオン、我が国は其方らの国と発展の方向性が違い、どちらがいいとは一概には言えぬと思う。そういう時、物を言うのが文化面だと思う。文化面で劣っていれば蛮族と侮られよう。そういう意味で、急ぎ映画の完成を目指したい」

「綺羅です。御意」

「リオンの資料を発掘して、宮廷魔術師達に調べさせている。見栄えだけの攻撃魔術など、今まで用途が分からなかったが、ようやく理解した。演劇に使う物だったのだな。今の時代、演劇の価値は非常に高くなっていくだろう。そこで、この国家プロジェクトにぜひ協力して欲しい」

「綺羅ですってば。協力とは?」

「出来ることはなんでもしてほしい。ひとまずはアドバイザーだな。色々助言が欲しい」

「私も素人なのですが……ハリウッドから人を呼んだほうがいいのでは?」

「そう言ったことも含めて、出来る協力を全てしてくれ。謝礼は期待していい」

「かしこまりました」

 

 さてここで、俺が執筆した「魔王は神に讃美歌を捧げる」の内容を話そう。

 この話、英雄譚と俺の体験談を混ぜた話で、英雄譚では勇者が魔王を倒して終わりなのだが、俺の書いた話では、魔王視点の話で、しかも勇者の正体は魔王だ。

 若き才気に溢れたエリートと一般の突然変異、貴種の落とし胤と陥れられ家を乗っ取られた追放系貴族の4人が落とし胤→エリート→突然変異→追放系貴族→落とし胤みたいな感じで激おも感情を持ち、ドロドロする話だ。ちなみに全員魔王となるし、勇者となったエリート以外全員討伐され、エリートも危険視されて毒殺される。

 バッドエンドと思っただろう?

 だが、魔導師は魔王になってからが本番だ。魔王になると転生ができるようになる。そして、転生と修行を繰り返し、魂を育て磨き、いずれは神に至るのだ。

 そうして、4人は魔法学院で再会する。かつて、4人が学院の教師に語った、来世があったらという要望を全て叶えた形で。

 そして、4人は学院の教師=前任の魔法の神からネタバラシを受けるのだ。

 

 ドロドロが多いので、演技力が要求される話なのだが、さて、王子殿下はどうアレンジしたのだろうか?

 

「では殿下、脚本をお見せいただきたく思います」

「うむ。実はもう書けている。大まかなものではあるがな」

「さすがです、殿下」

 

 俺は殿下の話を拝読させていただいた。

 

 実は第一王子殿下は双子だった。

 長男の双子は王位継承争いがエライコッチャになるとして、王は双子の片方を隠すと決断した。信頼できる部下に子供を託し、辺境で育てさせる。

 しかし、辺境でスタンピードが起きて子供は行方不明に。

 そして、孤児院出身の王子そっくりの男の子が魔法学院を訪れる。

 高位貴族も通う魔法学院で正体がバレないはずもなく、男の子は王族として復帰し、魔王祭に出る事となる。野心に溢れ、王位を奪わんと。

 魔王祭。それは、王族と魔王がバディを組んで戦闘や魔法を披露すると言うもの。

 実は双子殿下は出身の孤児院を盾に悪漢に脅されており、バディの魔王と心を通わせ、他の王族の協力を受けて平穏を得る。

 

「面白いです! 王子殿下は文才もあるのですね」

 

 原作は原型もないけどな! 魔王が出てるってだけじゃん、共通点!

 

「夢を見るのだ。もう1人の私の夢を。それを形にしただけだ。色々要望を受けて何度も書き直す羽目になったがな」

「しかし、モデルの名前がそのままのようですが?」

「王族への親近感を上げるために全員出す事が王命で決まった。本人が出るぞ」

「えっ 双子の演じ分けなどプロでも難しいと思うのですが。出来るのですか?」

「なんとかしよう。それと、これから毎日メイキングや予告番組を流そうかと思うのだ。例えば、実際の戦闘と、リオンの作った魔法の戦闘映像、役の本人と役者を並べて写したりな。ほら、流石にリオンの演劇用攻撃魔法を宮廷魔術師が覚えて戦闘時に咄嗟に出たりすると不味いだろう? だから、魔法使い役は全員、プロの役者を1から専用に育て上げてそれで使おうと思うのだ。使用魔力も少ないし、何かと使い道もあろう。他国に派遣しても良い。魔法学院に落ちた生徒に声を掛けているのだが、色良い返事をもらえている」

「それは面白そうですね。まさしく国家事業ではないですか」

 

 俺がどこまで出来るかわからないが、協力をする事にした。

 チャンネル開設の対価とはいえ、超多額の資金をもらっているのだから、協力してもいいのではないか。お金は天下の回りもの。使って行かないと経済も回らない。

 そんなわけで、フレアやパワーの伝手で紹介してもらうこととした。

 でもまあ、教育からだから完成は十年後とかなんだろうな。

 

 

 

 そんなこんなで軽い気持ちで請け負ったこの映画制作の協力だが。

 王子の双子が本当にいたり、おてんば王女がコスプレに燃え上がっていたり、魔法使い達も当人が出たがったり、事態は混迷を深めていくのだった。

 

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