供養箱   作:Air1204

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トレーナー×シンボリルドルフです。
2年前に書いていたものになりますね…。
仕方ないじゃないか!投稿するの!躊躇ったんだから!
嘘です。pixivかどっかに放り投げてそれっきりな気がします。
供養ということで…。
お目汚し失礼します…。


ウマ娘供養その1 シンボリルドルフの場合

そよそよと吹く春風に桜が舞う季節になりようやく帰ってくることが出来た。なんと長い1年だったろうか?

 

―今日は彼が帰ってくる日。何時くらいになるのだろうか?スマートフォンを何度もつけたり消したりして連絡と時間を確認する。そんな姿を見たシリウスは「そんなに王子サマが待ち遠しいのかよ。皇帝サマは乙女だな」なんてからかってきた。確かに私らしくは無いなと返す―

 

「…懐かしいな。たかだか1年だったけどすごく長く感じたな…。」

 

そう独り言を呟く。

 

―待ち遠しくてついつい何度も生徒会室から窓の外を眺めてしまう。彼が視界に入るなり私は職務も放棄して直ぐに部屋を飛び出した。後ろからエアグルーヴが呼び止める声が聞こえた気がしたが気の所為だろう…。校門前まで飛び出し辺りを見渡す。桜並木の中見知った彼の後ろ姿を見つけた。―

 

「久しぶりだね。トレーナー」

 

後ろから良く知っている声が俺を呼ぶ声が聞こえた。ほぼ毎日のように聞いている声だったが受話器越しでは無い彼女の声を聞くのはとても久しぶりだった。

 

―あぁ…。懐かしいな、彼が帰ってくるまで何度虚しいトレーニング、レースだったか。周りの歓声は耳に入らずウィニングライブにも身が入らない。心ココに在らずと言うのはああいうことを言うのだろうな。―

 

「おう!ただいまルドルフ」

 

俺はその声に返事をしながら振り返る、目に入ったのは以前と変わらず優しく微笑み佇むシンボリルドルフの姿だ。彼女のトレーナーになって3年、とは言えど最後の1年は海外選抜のせいでトレーニングを見てあげることは出来なかったが…。

 

―受話器越しでは無い彼の声を聞くのは相当ぶりだ。私は何度休暇を貰い会いに飛び出そうとしただろうか。もう考えても分からない程だ。彼との約束を破る訳にもいかずただ私は我武者羅に約束を果たす為にひたすらに走り続けた。―

 

「意外と1年というのは長い物だな。いつ帰ってくるのかと待ち遠しかったよ。寂しくなかったかな?」

 

ふふっと優しい笑みを浮かべイタズラっぽく俺を揶揄う。多分1番寂しかったのはルドルフの方だと思う。

あれだけ無茶苦茶な走りをしていたのはきっと自分の気持ちを誤魔化すためだったのだと俺は今になって感じていた。

 

―本当はもう少し甘えたことを言っても良かったのかもしれない。彼の顔を見た途端泣いてしまいそうな自分が許せなくなってつい照れ隠しをしてしまった。本当に寂しかったのは自分なのに…。―

 

「はは。寂しかったけどちゃんとルドルフの活躍した姿は見てたよ、強くなったな。」

 

僕が寂しいなんて言える立場じゃないのは重々承知だ。ルドルフ行って欲しくないと私の面倒を最後まで見てからじゃダメなのかと何度も俺を説得してくれていた。それを蹴ってわざわざ海外に出たのだ。だから僕にその権利は無い。

 

―人一倍努力家で誰よりも私のことを気にかけてくれていたトレーナー。そんな彼が寂しく無かった訳が無い。いつも1人で背負い込んでは1人で悩んで居たのを私は知っている。そんな時私はなんて声をかけてあげれば良いのか分からずただ影から見守ることしか出来なかった。だからだろうか?私が今彼にしてあげたいことをしてあげるべきだなと思った、それはきっと…本当なら…私がされたいことなのだと思う。―

 

「トレーナーがいない間のトレーニングとレース、ライブもかな?全部気持ちが入らなかったよ。けどまぁ、その、あれだ。うーん…はい。」

 

ばっと両腕を広げ顔を赤くしているルドルフ。目をギュッと瞑り明後日の方向に顔を向けている。…?あぁ成程、抱きついて来いと。

 

―ちょっと無理やりすぎただろうか。子供っぽい彼を慰めるためにやった行動だったがなんだか恥ずかしくて顔を見ていることは出来なかった。コツコツと革靴がコンクリートの地面に当たり近づく音が聞こえる。顔が熱い。心臓が痛い程高鳴る。それは足音が近づく度まるで耳元で鳴っているのかと思うくらいドキドキしていた。―

 

プルプルと震え、両腕を広げ顔を真っ赤にしているルドルフがなんだか新鮮で面白く見える。ぷっと吹き出してしまいそうなのを抑え頭を優しく撫でる。これで辛かった思いだけを乗せてルドルフに抱きつくのはなんだか負けた気がしたからだ。

 

「ふぇっ!?」

 

―なんとも間抜けな声が出てしまった。不意打ちがすぎる…。思考も纏まらないまま目を開く。顔が近い。少しでも前に出してしまえば彼の唇を奪うのは容易いだろう…。いや。なんてことを考えているんだ私は。…それでもいいのかもしれない。もうこのまま身を任せてしまおうかな…。―

 

パッと目を開くルドルフ。じぃっと僕の顔を見て固まっている。すごく顔が近い、自分で狙ってやった事だけど何だかとても恥ずかしい。余裕でキスできる距離、本当なら奪ってしまいたい。まだ学生のルドルフに手を出すのはさすがに御法度だと思い踏みとどまって顔を離す。

ルドルフがなんだか悔しそうな顔をしているのは気の所為だろう。

 

「ルドルフ。本当は君の方がこうして欲しかったんじゃないか?」

 

―私の中で最も抑えていた感情を見透かされて抑えていた感情が爆発しそうになる。ダメだそんなのは私らしくない。きっと私の感情は全て彼には筒抜けになっているのだろう。―

 

じぃっと俺の顔を見つめて考え込むような表情を浮かべている。彼女の走りは俺が居なくなってからとても機械的なものに変わってしまったように感じた。それは杞憂ではないと確信したのは先日の有馬記念での走りだろう、汗も流さず苦しげな表情も見せずただ走り抜けたようなレース、後の皆の一喜一憂すら煙たがるような表情。ウィニングライブでの笑っていない目。こんなにもヒトは変わってしまうのかと心配してしまうくらいに。

 

「君が1番悲しかったし苦労したんだ。ルドルフの走りを見て俺はそう思ったんだ。だから今日くらいは皆の生徒会長なんて忘れていいと思う。ね?ルナ?」

 

―彼の言葉に耐えていたはずの涙腺が崩壊する。ボロボロと流れる涙と溢れ出た感情を止めることは今の私には出来ない。寂しかった、ずっとずっと…この1年間私は後輩達を導くお手本でなくてはいけないとその責務に押しつぶされそうになりながら、彼に1番を届けなくては嫌われてしまう。飽きられてしまうと何度も苦悩した。―

 

ボロボロと涙を流し俺に抱きつきながら声を上げ泣きじゃくるルドルフ、いやもう今はルナでいいだろう。

優しく抱きしめ頭を撫でてやる。ずっと寂しい思いをして責務に押しつぶされそうだったんだろう。しがみつき声を上げる彼女を見ているとそう感じた。

 

「ずっと…さびしかったんだぞ…。ぐすっ…何度声を聞いても画面越しに顔を見ても隣にいてくれないのが辛かったっ…!周りの子達はみんなレースで走ったら直ぐに駆け寄って慰めて貰える!褒めてもらえる!羨ましくて嫉妬した!うぅ…。」

 

隠していた胸の内を全て吐露したルナは俺の胸をギュッと掴み目を腫らし訴えかけてくる。…そりゃ寂しくて当然だ…。そんな中で荒んでいくルナの気持ちもよく理解出来た。俺なんかの寂しさよりもずっとずっと…。

 

―全部全部吐き出してしまった、正直やらかしたなっていう感情の方が大きい。彼がどんな表情を浮かべているのか想像したくもない。こんなに重い女嫌だろうな…。下を向き俯いていると手にぽたぽたと雫が落ちてくる。はっと思い彼の顔を見上げるとボロボロと大粒の涙を流す彼が目にはいる。―

 

「ごめんな…。ルドルフ俺、お前の気持ちなんにも考えてなかった…。そりゃ寂しいよな。辛いよな…。ごめん…」

 

思いもしなかった涙がこぼれ落ちる、俺も寂しかったのもそうだがルドルフの気持ちが知れて落胆したと同時に少し安堵した。そして俺はもう二度とルドルフにこんな表情をさせないと心に誓う。

 

「ぐす…。気にしなくていいさ…。もう隣に居てくれるんだろう?それなら…私は大丈夫だ。」

 

―いつもの表情に戻したつもりだがきっとこれだけ泣きじゃくれば目元は腫れ威厳も欠けらも無いだろう。これだけ私のことを考えて泣いてくれる人だ、私を嫌いになったりなんて絶対ない。―

 

「もうどこにも行かないさ。俺がずっとルドルフの傍にいる。俺がルドルフを最強の皇帝にするって決めたから。」

 

3年前の春この場所でお互いに誓った誓いをもう一度声にする。ルドルフに言い聞かせるように、そして自分にも。

 

「あぁ、私が君を1番のトレーナーにする。そして次は2人で海外に…。凱旋門賞に出るんだ。」

 

―何度も口にした彼との約束を今1度言葉にする。自分の夢を確かめるように。彼との約束を違えぬように―

 

桜舞う校門前。何度もここで彼女と話をした。

 

―1年目は彼との出会い。強さだけ見ていた別のトレーナーとは違い私の中身をちゃんと知ろうとしてくれた。―

 

2年目は彼女との別れ。俺のわがままを受け入れ俺を笑顔で送り出してくれた。

 

そして3年目。

 

―再びここで彼と私達の誓いを確認した。―

 

何度挫けようとも俺は彼女の太陽でありたい。彼女が綺麗な月であれるように。

 

―私は彼という太陽が居ないと輝けない月だ。だから私は彼だけの月で居よう、私が居ないと夜は1人になってしまう太陽の為に。―

 

俺たちはもう一度2人であの輝かしい栄光を掴み取るために

 

―2人で勝ち取る将来の夢のために―

 

またこの道から始めよう。2人の物語を。




ルナちゃん可愛いよルナちゃん、という事でシンボリルドルフさんでした。
感想?覚えてません。久々に読んで手を加えようと思いました。
恥ずかしくて出来ませんでした。
供養だから…良い…よね?
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