タグ、ノンジャンルからウマ娘に変えました。
もうゲーム自体引退してはや3年、ストックもないので投げて終わりですけどね。
「えー。本日の議題は後期生徒会長を決めるに当たって推薦を…。」
「カイチョーお菓子なくなっちゃったよ。」
「おぉ、そうか。グルーヴ確かまだあったよな?」
握った手がプルプルと震える。
「えー。であるから…。」
「んぇー…。お菓子ィ…。」
「酷いなグルーヴ無視しないでくれ。」
番と机を叩き声を荒らげこう言ってしまう。
「たわけ!全然人の話を聞いていないのはお前の方だろうが。大体なんでトウカイテイオーが生徒会室に居るんだ!?大事な話をするって言ってたはずだろう!」
「?あぁ、それは私がテイオーを次期会長に推薦しようと思ってな。」
「んぇ!?カイチョー僕のこと推薦してくれるの!じゃあ次期生徒会長はこの僕だ!」ドヤァ
やれやれと頭を抱えてしまう。会長も会長でトレーナーが帰ってきて機嫌が治ったのは良いのだが最近どうもトウカイテイオーに甘すぎる気がする。…現生徒会メンバーでもないのにこの場に居て会議に参加させてお菓子を貪らせている時点でだいぶな。
「はぁ…。会長がいくら推薦したとしても決めるのは理事長だぞ。」
「え、そうだったのか…。」
しゅんとしてしまう会長。その場の空気が一瞬暗くなってしまう。え、そんなに変なこと言ったつもりは無いんだが…。
「…ションボリルドルフ。」
「ぷっ…ww、くくくwww」
小さい声でそんなことを言ったのが聞こえる。それを聞いたシリウスシンボリが堪らず吹き出す。会長の方に視線をやると会長も笑いをこらえるのに必死だった。
「誰だ今しょうもないギャグ言ったやつ!」
全員の視線が一人の男に移る。は?なんで私のトレーナーがここに居るんだ!?
「おっす!グルーヴ!今日から生徒会の顧問になったグルーヴトレだよろしく♡」
いやなんでそんなキャピキャピした自己紹介してるんだ、もうちょい真面目になれないのかコイツは。
「おい、なんで貴様が顧問になんかなってるんだ?というか何故シリウスシンボリーもこの部屋にいるんだ!?ああ、なんでこんなに訳分からん状況になっているんだ…。」
びっくりした表情で目をぱちくりしながらシリウスシンボリーとトレーナーが目を合わせている。いつの間にこんなに仲良くなってるんだ…。
「え、なんか楽しそうだから。前任は快く俺に譲ってくれたよ。見つけた汚職の証拠の写真と引き換えにね。」
「たわけ!それは譲ってもらったのではなくお前が揺すったんだ!」
「んでもってシリウスは問題ばっかり起こすからシリウストレから押し付けられた。グルーヴとかと一緒にいたら少しはマシになるだろってな具合で。」
はぁと大きなため息が出る。もう情報の渋滞で頭が痛い。目の前ではテイオーと会長が「テイオー口の周り汚れてるぞ。」「ありがとー。」なんて膝の上に乗せてやっているし。ブライアンに関しては机に突っ伏して寝てるし、シービーに至っては不在。クリスエスはボケーッと窓の外を眺めている。真面目に会議する気は無いのかと疑うような光景だ。
「あれだ。エアグルーヴ、偶には肩の力を抜いてゆっくりするのも大切だと思うよ。」
会長にそう言われる。確かにずっと気を張って仕事していた気がする。
「ふふ。鳩が豆鉄砲でも食らったような顔してるな。申し訳ないが今日は決めていたんだ。皆とお茶会をする日とな。」
…。会長がそう言うなら仕方ない。偶には息抜きも大切だろう。それならば私も取っておいたドーナッツでも出そうか。あれを手に入れるのに苦労したが、会長が労ってくれると言うなら出してもいいだろう…。
「わー!シリウスこのドーナッツ美味しいね。僕びっくり!」
「あぁ、その棚に置いてあったんだが別に食ってもいいかなと思って出したんだ。口に合ったか?」
…棚…?そう言われてハッなり棚の方に駆け寄り確認する。無い。私の買ってきたドーナッツが。テーブルの上に目をやる。箱は既に空っぽ、思考が追いつかずそのままテイオーの方に目をやる。びっくりした顔をしてるが両手にはドーナッツを持っている。
「エ、エアグルーヴ…?」
「い、いくらなんでも息を抜くって言ったってこの仕打ちは無いだろ!このたわけ共が!」
今日一大きい声を張り上げた気がする。このあともなんやかんやあって、私の大声で飛び起きたナリタブライアンが不機嫌そうに私を睨んできたり。実は1番食べたがってたのはシンボリクリスエスの方で棚なら見えていた箱を一番最初に見つけたのも彼女だったみたいだ。しっかり3つくらい食べてたのは解せないが。
―日も傾き始め生徒会室に差し込む夕日がやけに眩しく感じる。他の生徒会メンバー達は全員帰した。さて、まぁ面白いものも見れたしもうひと踏ん張りしようかな。―
「今日はオフの日だと言ったつもりだが?」
教室の入口に目をやると会長、シンボリルドルフがやれやれと言った表情で立っていた。
「ん?あぁ、大丈夫すぐ終わるだろうから。ルドルフも帰っていいんだぞ、今日はありがとう。」
元々俺がルドルフに頼んで今日の事が運んだ訳だ。ずっと詰めてたエアグルーヴの息抜きになればと考えての行動だった、終始ツッコミばかりだったがそれでも心做しか楽しそうで良かった。
「そういう訳にもいかないだろう?元々私達の仕事だしな。よいしょ。」
そう言って向かいの席に腰掛け書類のチェックを始めるルドルフ。助かるのは確かに助かるんだがルドルフのトレーナーも最近こちらに帰ってきたばかりだしこの子にも今日くらいはオフにして欲しいものだが…。
「トレーナーと約束あんだろ?早く行ってあげなよ。」
「こうなることは想定済みだ、もう連絡してある。」
そう言いながら書類に目を落とす。ホントに手が早いなぁ…。
黙々と書類に目を通し判子を押していく。流石に空気感に耐えられなくなり何か話そうとした頃、見計らったようにルドルフの方から話しかけてくる。
「エアグルーヴ、楽しそうだったな。あんなので良かったのか?もう少し労ってやることも出来たろうに。」
「いや良いよ、グルーヴ的にもあれが丁度いいと思うから、けどシリウスのあれはやりすぎだな、涙目になったグルーヴとか初めて見たわ俺。」
流石に可哀想だから次の休みにでも練習オフにして一緒に買いに行こうかな。食べるの楽しみにしてたみたいだし。
「…ああ、そうだ。私とエアグルーヴはあと一年足らずで卒業という形になるが君はどうするんだ?」
うーん。そういや全然考えてこなかったな。グルーヴは何がしたいんだろう?大学に行ったりしたいのかな?
「自分のウマ娘との将来くらい話し合ってみたらどうだ?」
将来って…別に結婚するわけじゃあるまいし…。
俺自身も別にやりたいことは特にないしトレーナーを続けて新しい担当を見つけるとなっても正直グルーヴ以上のウマ娘を仕上げるのはできないと思う。え、じゃあ俺無職?
「あー…こりゃダメだな。今度グルーヴと相談してみるよ」
話題も終わり作業を続けていると唐突に扉が開く。目線をやると入ってきたのはシービーだった。
「あれ?もうお茶会終わっちゃったの?残念。」
そう言いながらこちらに来て席に座り書類に目を通し始めた。
「あぁ、シービー、来るの遅かったな。帰っても良かったんだぞ?」
「それはナンセンスだよー。大体こうなるのは予想ついてたし私1人でやればいっかなーって思ってたんだけど。」
この2人はなんだかんだ言って仲間思いなんだなと実感する。俺の手伝いと言うよりも多分グルーヴが少しでも楽できるようにと配慮しているんだろう。
「それにあれだろう?むしろグルーヴトレの方が予定あるんじゃないか?」
「ん?俺は特にないぞ?」
「ふぅん。まぁグルーヴトレがないって言ってるんだったらいいんじゃない?早く終わらせるに越したことないけどね?」
ルドルフもシービーも何かを察してるようで細かくは説明をくれない。むしろこのふたりは書類から目を離さずに会話を続けている。1回1回手が止まる俺とは大違いだな…。
「さぁ、さっさと終わらせよう。私のトレーナーも待っている事だしな。」
「そうだね。私も早く帰りたいし丁度いいかな」
「ふぅ…ありがとう2人とも。2人ともいてくれなかったら帰るの相当遅くなってたよ。」
「別に気にしなくていいさ。友人のトレーナーが困っていたら助けてあげるのが一流の皇帝だからな?」
「今日は気が向いただけだから気にしないでー。まぁそれでもって言うんなら今度ご飯奢ってねー。」
書類の検閲が終わり校舎を出たのが大体7時を回った頃だった。ルドルフとシービーにお礼を言い帰路に着く。本当に一人でやってたは日付変わるぐらいまでやってたかもしれないし正直めっちゃ助かった。
自室に着き扉を開けると先程まで誰かが居たような温かさと料理の匂いが充満している。あぁ、なるほど。ルドルフとシービーが言ってたのはこういうことか。それならもっと早く帰れるように頑張ればよかったかな…。いや、結構全力だったけど。
廊下をぬけリビングに着き電灯のスイッチを入れる。テーブルの上にはまだ温かい料理と置き手紙が残っていた。内容を読むとエアグルーヴからだった。
―今日は助かった、ありがとう。今日の計らいが貴様の入れ知恵だと言うのは薄々気付いては居たがまさか残って一人で書類整理するとはな。申し訳ない。だがドーナッツの件は許さん。次の休日に一緒に付いて来い。…まぁそれは置いといていて。礼とは言っても些細なものだが晩御飯を作っておいた。しっかり食べて休んでくれ。…いつもありがとうな、貴様のおかげでここまで成長できたんだ感謝している。また明日から頼む。―
と綺麗な文字で書かれていた。置き手紙というか最早普通に手紙だな。せっかく作ってくれたんだしちゃんと食べて感想を明日伝えてあげよう。そしてちゃんと卒業してからのことを2人で話し合わなくちゃな。手を洗い部屋着に着替えながらそんなことを考えていた。
「いただきます。」
誰もいない部屋で手を合わせ声に出す。この日食べた晩御飯は毎日食べる飯よりも何倍も美味しくそしてとても暖かく感じた。