「滅悪……魔導士?」
イゾルテは聞き馴染みのない単語に首を傾げる
「ああそうだ。悪魔をぶっ飛ばすための魔法……それが滅悪魔法だ」
「……奇遇ですね。私もスレイヤー系の魔法、滅竜魔法の使い手です。そうだ!フロスハイドというドラゴンを知りませんか?探してるんです」
「残念だがドラゴンを直接見たこともないな……用事はこれで良いか?俺は行くぞ」
そういうとリオはイゾルテに興味がなくなったのか先程天井に開けた穴から外に出ようとする。
「ちょ、ちょっと待ってください!麻痺毒で動けないんです。私も治癒魔法で治してはもらえませんか?」
イゾルテは麻痺毒に侵され身動きが取れないながらもリオに問いかけるが。
「そりゃ無理だな。俺の治癒魔法は俺にしか効かねぇんだよ」
「そ、そんな……」
リオの言葉に落胆していると頭上から聞き慣れた声が聞こえた。
「お――い、イゾルテ!大丈夫?」
頭上の穴から出てきたのは誘拐された人達を避難し終わったレイニーだった。
「お!変な猫じゃん。飛べるんだな」
「ああ!列車の時の!」
すでに面識のある2人は予想外の再会に驚く。
「え、レイニーはこの人知ってるんですか?」
「うん、列車でイゾルデが寝てる間にね。ちなみになんでずっと寝てるの?」
「実は敵の毒で動けなくなってしまって……一応、数時間で治るとは言っていたのですが」
レイニーはイゾルテの言葉を聞き腕を組んで悩み始める。敵の言葉なので数時間で治るという話は本当なのか怪しい。できれば医者に見せたいところだがこの町に医者はいない。いたとしても結構遠い場所にいるのだ。魔法で飛ぶにしても距離があるため列車のほうが早く着く。
「う――ん……そうだ!君がイゾルテをおぶってくれない?」
レイニーはリオに向かって問いかける。
「あ?そんな義理はねぇぞ」
「まあまあ、そう言わずに〜。君はイゾルテの命の恩人みたいなものなんだからさ、お礼とかしたいんだよね〜」
レイニーはリオの周りをふわふわと飛びながらそう言っているとイゾルテも反応する。
「その通りです。ギルドに戻れば色々とお礼できるかもしれません」
リオは2人の説得を聞き少しの間悩むがすぐに口を開いた。
「まあ……そういうことならいいか。」
「本当ですか⁉︎ありがとうございます!」
「……さっさと行くぞ」
リオはそういうとイゾルテを背負い歩き出した
*
リオはイゾルテをギルドに送り届ける為美しい川が流れる町リバーグロウに来ていた。
「イヤ〜ほんとに助かったよ。おかげでなんの問題もなくリバーグロウにまで来れたし」
「毒も本当に数時間で治りましたし、報酬ももらえたので万事解決です!」
「運んだだけだがな。で、肝心のギルドはどこだ?」
リオの言葉を聞いたイゾルテは街の中でも一際大きく、屋根の上に乗った巨大な山羊の頭蓋骨が特徴の建物を指差した。
「あれが私たちが所属するギルド
「でけーな。てか、あの骨何?」
リオはギルドの頭蓋骨を見て不思議そうに首を傾げる。
「ふふん!よくぞ聞いてくれました!あれは昔、リバーグロウを襲った怪物の骨です。
「ふーん最強か……ん?」
「どうしまし――」
「あ〜イゾルテだ。思ってたより早い帰宅だね〜」
突然背後から話しかけてきたのは魔女のような特徴的な帽子とハーフマントを着用した小柄ながらも巨乳といういわゆるトランジスタグラマーな体型の青髪の少女だった。
「び、びっくりしました……いたんですね、ティア」
「見回り中たまたまね〜。それよりレイニーから聞いたよ〜結構危なかったらしいじゃん。もっと慎重にいきなよ〜」
このティアという少女は通信用魔水晶でレイニーから一部始終を聞いていたのだ。
「うっ、それはその……気をつけます……」
「……おい、おまえ。この魔女っ子は誰だ」
蚊帳の外にされていたリオがイゾルテに聞くととティアもリオの存在に気づく。
「や~や~、自己紹介遅れてごめんね〜。私は
「こいつも滅竜魔導士か……」
「そうだよ!イゾルテのティアの2人はコンビで活動してるんだ」
レイニーはリオに自慢げに話すとティアは思い出したようにリオに問いかける。
「そういえば〜リオに助けてもらった礼をするって話らしいけど肝心の礼って何?」
「「……はっ⁉︎」」
どうやらレイニーとイゾルテはそのことを忘れていたようで鳩が豆鉄砲を食ったような顔をしていた。
「バカだろこいつら」
「これが平常運転だよ〜」
リオは2人の反応に呆れながらも礼について話し始める。
「はぁ、とにかく礼の話だな。あのあと色々考えたんだが決めたぜ。俺を
「そんなのでいいんですか?」
「ああ、根無草で旅を続けて探し物をするのも限界だったからな。その代わり試験とかあったら面倒だからパスしろ」
「大丈夫だよ〜。入るのはメンバーの推薦があればOKだからさ〜」
ティアの言葉を聞きリオは気をよくしたのかニヤリと笑う。
「ははっ!なら話は早え!さっさとギルドに行くぞお前ら!」
そう言うとリオは突然ギルドに向かって走り出し、それを見ていた二人と一匹は急いで追いかけるのであった。
「ああ!ちょっといきなり走らないでくださいよ!」
*
ここは
「なるほど、そのお礼にこのギルドにね……ちなみに理由は?」
緑髪の女性は値踏みをするようにリオを見据えながら問いかける。
「実は7年ぐらい前の記憶がなくてな。その記憶を取り戻す旅をしていたがちょっと限界を感じてきたんだ。でも依頼とかならもう少し情報を得られそうな気がする。だからこのギルドに入りてぇんだ」
「そっか……まぁ理由とかはなんでもいいんだけどね」
そう言うと緑髪の女性はリオに向かって手を差し出す
「あたしはミルドレッド・グレイバックだよ。よろしくね。そして、
「おう!よろしくな!」
二人が熱い握手を交わしているとすぐ横の席でキセルを吸っていた和服姿の胡散臭そうな男が口を開く。
「なんや?やっと終わったんかいな」
「あんた誰だ?」
「そういや自己紹介まだやったな僕はミカサ・トウゴウ。一応、今週のギルドマスター代理をやっとるもんや。よろしゅう」
「今週?」
リオはミカサの言葉に首を傾げる。
「そうや、うちのマスターはよくこのギルドを不在にしよるさかい。こうやってS級魔導士達で交代しながら代理やっとるんや」
「ふーん……で、そのギルマスは今日も不在なのか?」
「いや、さっき帰ってきてたはずやで」
「え!?帰ってきてたんですか!」
ミカサの言葉を聞きイゾルデがリオの背後から驚いた様子で飛び出してきた。
「ああ、おるで。今はどこにおるかいな……おーいガイちゃん。ギルドマスターどこいったか知っとるか?」
少し離れたテーブルにいたガイちゃんと呼ばれた大男、本名をガイウスが振り向き上に指を差しながら答える。
「ばぁちゃんならベリトのおっちゃんと一緒に二階に行ったぞ」
「これはおおきに。会いに行くんやったら早い方が――」
突如二階へ登る階段から2人分の足音が鳴り響きそれを聞いた全員が音の方へと注目する。
階段から降りてきたのは白髪の長髪が特徴の黒いローブを着で杖をつく二十代半ばぐらいの女性と黒い中折れ帽と黒いコートを着た四十代ぐらいの男性だった。
「リオあの女の人がギルドマ――あれ?いない!」
イゾルテは先ほどまで横にいたはずのリオの姿がなかったことに驚き戸惑うが直ぐにギルドマスターのところまで移動していたことに気づく。どうやらリオはギルドマスターと話があるようだ。
「……あんたがギルドマスターか?」
「いかにも私がギルドマスターじゃが……見かけん顔じゃな。ベリトよ知っておるか?」
ギルドマスター・ドロシーはベリトに問いかける。
「ふむ、このようなものは知りませんな。手のひらのギルドマークからしてつい先ほどギルドに入ったといったところでしょうか」
「ふん、そんなのはどうだっていい。単刀直入に言うぜ、俺と勝負しろどっちが上か証明したい」
「うむ、構わんが――」
「なら話は早い!さっさと始めるぞ!」
そう言うとリオはドロシーの腕を掴みそのまま壁に放り投げて穴を開けそのまま外へと移動する。
「え――!?ちょっとやりすぎですよリオ!」
イゾルデがリオを止めようとするがもう遅くその声は届かなかった。ドロシーがどうなったか気になったイゾルテは穴の空いた方向へ向かおうとするがそれをミルドレッドが静止する。
「どうせ行ったって無駄だよイゾルテちゃん」
「ミル姉……ですが」
「大丈夫、大丈夫。どうせ直ぐ終わるんだからさ」
*
「随分と礼儀のない新入りじゃのう」
「礼儀なんて無駄なもん俺には必要ねぇ」
2人はギルドの壁から出た後、人がいないところまで移動しお互いの動きを警戒するため見合っていた。
「いつでも来るといい。まさかビビっておるのではなかろうな?」
「言われなくてもぶっ飛ばしてやるよ――天魔の翼撃!!」
リオ瞬時に距離を詰め首に向かって風を纏った腕を振るうが空振ってしまう。
「なっ!?消えただと!どこに行きやがった!」
「後ろじゃよ」
リオが気づいた頃にはすでに遅く背中に杖による強烈な一撃が叩き込まれ吹き飛ばされる。
(あの女なんつーパワーしてやがる。だがこれならどうだ!)
リオは吹き飛ばされながらも腕を地面に突き刺して減速させてなんとか無事に着地すると大きく息を吸い込む。
「天魔の激昂!!!」
リオの口から紫色の風が直線上に放たれドロシーを飲み込もうとするがドロシーが手をかざすとその風はピタリとその場で停止してしまう。
「マジかよ!?」
リオは驚き一旦ブレスによる攻撃を中断するがその瞬間にまたもやドロシーは姿を消してしまった。
(また消えやがった。でもどうせ……)
「後ろだろ――」
「ロック――」
後ろに振り向きそのまま攻撃しようとしたがその前にドロシーにより背中を触れられてリオの体は一切動けなくなり停止してしまう。
「ちと、遅かったのう」
(……何が起きた?)
ドロシーは背中に触れていた手を離し停止したリオを観察する。
「ふむ……どうやら先ほど与えたダメージは完治したようじゃのう。自己再生の魔法か……強力ではあるが手の内が分かれば攻略は容易いのじゃ。
エア・ロックーー」
ドロシーはリオの顔に向かって手をかざすと突然リオが苦しみ出す。
(い、息ができねぇ……)
「たとえ、傷を癒す魔法を使っても窒息してしまえば手も足も出んじゃろう。わたしの勝ちじゃ」
停止して身動きが取れないリオは苦しそうな声を出していたがやがて何も言わなくなりドロシーがもう一度手をかざすとそのまま倒れてしまう。
「若いものはこのぐらい血の気があった方が良い。強敵と戦う魔導士であれば尚更じゃ。歓迎するぞ若造よ」
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こちらの活動報告にてキャラの募集をしております。
ネタバレの情報もがっつりあるのでストーリーのみを楽しみたい方は活動報告は見ないほうがいいです。