シーズン序盤のズッコケさえなけりゃあなぁと言う…
あと阪神は6連敗。???????
Xとか見てたら面白かったです
パは…ソフバンが強いね。うん、圧倒的。正木、近藤、栗原の3人で30本トリオ形成しそうで横転寸前。
土曜日の学校グラウンドに集まる野球部達。まだリントの姿はない。
「練習試合ってコーチから聞いたんだけど」
「集合時間まで後1分…間に合うのかしら?」
そう話し合っていると、時間ピッタリにリントがやってきた。
「ごめーん!ギリセーフ?」
「ギリギリセーフだね」
「あっぶね〜。ちょっとツレが1人遅れてね」
「ツレ?」
「聞いてくれるかい…?ふっふっふー…なんと、チーム作ってきましたぜい!」
ユウナとリントの会話を聞いていた他部員たちは、この人何言ってんだと思う。
「…練習試合って、もしかしてリント達と?」
「いえす」
「そういうことね…」
ユウナがこの人は楽しそうだなという顔をすると、リントが「あっ、みんないいよー」と言葉かけ、それと共に物陰からぞろぞろと出てくる。
「はい皆ちゅーもーく!事前に聞いていたと思いますが、今日の練習試合の為に集まってくださった皆さんです!」
「…??生徒会長?それに技術部の方々?」
「あ、ツタバちゃん!」
「ヤマトさん!失礼してます!」
「技術部メンツは知ってんのか、ほなそっちの紹介は端折るわ。ツタバは…あ、ヤマトと同じクラスやからか。よし、ほな紹介するわ!」
リントが、野球部向けに今回集めたメンツの紹介を始める。
「これが生徒会長で〜」
「生徒会長の倉過です。今日はよろしくお願いします」
「こっちは生徒会庶務の人」
「粟佐シホです!よろしくお願いします!」
「この野郎共は技術部」
「おい!端折りすぎやろ!」
「しゃーなし(´・ω・`)」
「これは新聞部のツタバ」
「見聞ツタバっていいます!よろしくです!」
「で、こちらは知り合いのヒフミさん」
「あはは…初めまして。阿慈谷ヒフミです!野球は初めてですが、よろしくお願いします!」
「…随分集めたね」
「あいや、あと三人。いいっすよー!」
その場にいる輩の紹介を終え、これで全てかと思ったら、まだいるみたいだ。またもや物陰から現れる。
「「「!!」」」
しかし、その人物達に野球全員が反応した。
「キャプテン!ノル先輩!アイナ先輩!」
「久しぶしなのー!」
「皆元気してた?」
「おひさー」
「せんぱーい!」「久しぶりです!」
数人が飛び出して、三人の先輩に駆け寄る様子も見受けられる。
「ノル先輩、アイナ先輩が選手兼コーチ、ミイヤ先輩は選手兼監督です」
「分かった」
「任せてなの!」
「…ほな、軽くアップして、やりますか!」
審判などは両チームから均等に排出。DH、コールドはなし。舞台は学校グラウンドで、リントチームが先攻三塁側ベンチ、野球部が後攻一塁側ベンチ。
リントチームのベンチでは、ミイヤによるスタメン決めが行われている。
「それじゃ、えーと…チーム名は…」
「あ、決めてなかったな」
「決めとく?( * ॑꒳ ॑*)」
「んー、技術部…まりん…技術部マシーンズ!」
ケイタが直感で思いついたチーム名。それを聞いた皆のウケは中々良好。
「ええんちゃうか?」
「ナイスやなケイタ」
流れでそう決まる。
「じゃ、技術部マシーンズ!スタメンを決めるの!」
「俺一番!」
いの一番に主張するケイタ。他もそれぞれ希望を告げると思われたが、
「どこでもええかな」
「俺も」
「同じくや」
「ベンチがいいです!」
「あはは…」
お任せというスタンス…待て一人ベンチ希望いるぞ。
「も、もうちょっと自己主張を…」
「あー、特徴伝えますから。先輩決めてください」
ミイヤは、リントの情報を元に希望の無い人達の場所を決めていく。
「…よし!発表するのー!」
(スタメン)
一番(二)乃囚ケイタ 右投右打
二番(三)茂治良ケイ 右投右打
三番(投)咲儂リント 右投両打
四番(遊)胡酢谷モンタ 右投右打
五番(一)倉過トウ 左投左打
六番(中)粟佐シホ 左投左打
七番(捕)流村ソウ 右投右打
八番(左)時宗モウト 右投右打
九番(右)和坂ソウゴ 右投右打
(控え)
新沼ミイヤ 右投両打
袖崎ノル 右投右打
中塚アイナ 右投右打
見聞ツタバ 右投左打
阿慈谷ヒフミ 右投右打
「…わざわざ紙に書いたんですね」
読み上げていたミイヤにリントが言った。
「覚えるのも兼ねて、なの」
「素晴らしい心構え…あ、ツタバって右投左打なんだ」
「小学生の頃1年間だけソフトやってましたので、その名残です」
「はえー、ちなみになんでベンチ希望」
「そっちの方がいい写真が取れるので!」
「盗撮」
「バレなきゃ犯罪じゃないんですよ〜」
そんなやり取りをしていると、向こうもメンバーを決めたようで、ユウナがスタメン表を渡しにやってくる。
「あ、ちゃんと書くんだ。スタメン表」
「一応ね」
メンツを確認する。
1.(2)奥村メグム
2.(3)澄田イクミ
3.(1)葉瀬場タマ
4.(7)小窪ユウナ
5.(9)光井アミ
6.(5)晴柀ニナ
7.(4)三木原マオ
8.(6)三木原ナオ
9.(8)肩之瀬レイノ
「3年抜けても意外と良さげ?ユウナは四番なんやね」
「皆がそれが一番いいってね」
「ほーん…あ、ミイヤ先輩。こっちこれ書いてなかったですよね?」
「確かにそうなの!…あ、これで大丈夫?」
ミイヤは、さっき書いた紙を渡す。
「大丈夫です。わ、すっごい几帳面。さすがキャプテンです」
パッと書いたとは思えない文字の綺麗さに感心する。
「じゃ、試合と行きますか〜」
「そうだね」
1回表、一番のケイタが打席に入る。
「ヒット打つから、見ててや!」
気合いは十分。バットをグルグルと回して打席に入る。
「ストライク!」×2
「スリーストライク!」
「…いやー!ええ球やったわ!」
「いや何三球三振で平然と帰って来れる?」
「あの感じでそれは話にならへんやん( 'ω')」
「一番止めたら?」
ベンチでボロカスに罵られるケイタ。
次は二番ケイの時間、2ストライクからの3球目。
カッ!
「痛っ!?ちょ、めっちゃ痛いんやけど!?」
インコースのストレートをバットの根元でファール。その衝撃でケイは悶絶する。
「初見でよう当てるなー」
感心するリント。
「もー、キツイってこれ!」
ケイは痛みを堪えつつ再度打席に。
「おらぁ!」ブンッ!
「スリーストライク!」
空振り三振で終わり、痛む箇所をさすりながら帰ってくる。
「大丈夫か?」
「まぁなんとかな!」
ひとまず大事では無さそうな様子に一安心。そして、チス中バッテリーが迎えるは、復帰後初打席のリント。右打席に入る。
初球は様子見で、しかし決して甘くはならないようにインコースのストレート。少し外れて、通常なら少し仰け反るくらいのコースに行ってしまう。
…しかし、リントは腕を畳んで、左足を引いて、身体を投手の方に向けてスイング。
カッキーーーーーン!!
「えっ!?」「うーわ…」「は?」「え、いったんちゃうん!?」
「「「!!!???」」」
両軍ベンチは信じられないものを見る目で打球を見つめる。
超特大の当たりは、ファール線の上をなぞっていき…
「…ふ、ファール!!」
1〜2m程の差で左側へ切れた。そして、レフト側にあるホームランゾーンとしている高さ6m程のネットの上を悠々と通過し、校舎の屋上に突き刺さった。
突き刺さった地点で、推定は110mくらいだろうか。ファールで衝撃を与えていく。
サイン交換で少し間を開け、2球目。外のスライダーは見逃してボール。その次も同じコーススライダー、ボール。
1S2B4球目。投じられたフォークボールは、低めにボール二個分くらい外れる。だが、リントはそれを前に突っ込んで強振。
カッキーーーン!!
打った瞬間マシーンズベンチはケイタを筆頭に大盛り上がり。左中間に強い打球が抜けていき、ライナーでそのままネットの一番上に突き刺す。
「そんままいってんけど、おかしいやろ」
「あれ何?」
「分からん」
トウ、ソウ、ケイの間でそんなことを言い合う。向かいの野球部も同じ様子。
「ちょ、エグいって!俺なんでこいつの後ろなん!?」
モンタは打席に入る準備をしながら文句を吐く。そうしてる間に、ダイヤモンドを一周してきたリント。
「モンT、頑張れよ!」
「も〜〜〜!!」
プレッシャーをかけるような口調でモンタにそういい、リントはベンチに帰り、全員とハイタッチをした後、ケイタのノリでホームランパフォーマンス。
「打てるかなぁ…?」
モンタは膝を少しだけ曲げ、バットはガッツを思わせる角度に、右手の人差し指をピンと伸ばしてバットに沿わす。
そして、迫り来るボールに対しフルスイング。
ブンッ!!
空振りで身体が一回転する。迫力は人一倍。
「当たったらどこまでも飛んできそう( 'ω')」
「ミートFのパワーAと言ったところか」
2球目もフルスイングの空振り。
「最後外スラで空振り三振しそう」
「そんな、ロサリオみたいな」
ツタバが外スラ三振と聞いて反応する。
「なんでや!ロサリオとは一言も言ってないやろ!」
「いや、外スラで出てくるのは、悪いけどこの人しかいないんですよ!」
「成績は特段悲惨じゃないのに…」
そう言い合っていると、モンタが帰ってくる。
「あれ?モンタ終わったん?」
「見てなかったんかい!」
「私は見てましたよ。空振り三振でしたね」
「そうそう!空振り三振…って、わざわざ言わんでええで?」
「外スラ?」
「多分そうですかねー」
「モンタ…ロサリオやったか」
「もー!誰がスライダーにぐるぐるぐるぐるグルコサミンやって!?」
モンタは、バットを回す動作と同時にそういう。
「ほな投げますか」
「頑張ってくださいね、怪物さん!」
「あんまし気に入ってないねんけどな、それ」
「え、無視は酷ない!?」
1回裏。先頭打者として、リントの情報も集めつつ打たなければな、と意識するメグム。
かなりゆったりとしたフォーム、そこから投じられた1球。
「ストライク!」
(…スライダー、アウトロー)
初っ端からビッタビタ。捕手が構えた所にバシッと決まる。
「ストライク!」
(…今度はストレート、同じアウトロー…)
試合前にブルペン投球を見ていた感じでは、タマとあまり球速差はなかったが、実際に打席に立っていると、ゆったりとしたフォームから投げられるので、かなり速く感じられる。
(…次、決め球かも)
ツーストと、遊び球を挟んでもいいカウントだが、なにか予感を感じたメグム。
(アウトコース2球…インコースッ!)
(インコースやソウ。そう、そこに構えといてくれ…)
偶然か、天賦の才か、メグムが狙っているコースに構える捕手ソウ。
(…!!来たっ!!狙い通り!)
インハイ、弾き返せば必ず長打コース。左中間へ打つ感覚でバットを振る。
…すると、空を切る感覚だけが残った。
(…?)
直ぐに捕手の方を見ると、ボールを取り損ねたようで、身体では止めていたのか、ホームベースの上にボールが転がっている。
(あ、振り逃げ!!)
空振りの衝撃で、走るのを忘れていて、急いで一塁へ駆け抜けようとするが。落ち着いて捕手はボールを取り、送球。アウトになった。
(…目の前で、消えた…よね…)
捉えたはずなのに空振り。したことが無いなんだか気味の悪い経験に頭が追いつかなかった。
2人目のイクミも、三球三振。ネクストで見ていたタマは、気合を入れる。
(絶対に打つ…!)
先程自分がホームランを打たれた相手。せめてヒットは打たないとと打席に。
しかし、カットボール、カーブを、空振り、見逃しでノーツーとされてしまう。
(多分、この人は三球で決めに来る…)
確信するタマ。リントは、1、2球目よりもゆっくりと投球動作に入る。
(この間が…あぁ、なるほど…)
ボールが捕手のミットへ。
「ストライク!」
(…だから、この人は怪物なんだ…)
三者連続三球三振で一回を終える。
2回表の先頭、トウが初めての左打者。
内角に食い込むスライダーで、たった2球の内に簡単にツーストライクを取る。しかし、決めにいったストレートが外れると 、2球フォークで空振りを狙うがカットされ、6球目はホームベースワンバン、7球目も同じくワンバンでフルカウント。
(逃げ球、シンカーで決めるしか…)
メグムとサインを合わせ、投じたアウトコースのシンカー。
カキンッ!
トウはそれを強引に引っ張り、一二塁間を抜いてライト前。
「ナイスヒットー!!」
「ええよー!(ᐢ ˙꒳˙ ᐢ )」
「後続繋ぐぞー!」
「タマちゃんがんばれ!!」
「気にせずいこー!」
両軍ベンチから声援が送られる。
これに応えたのは、タマ。六、七番、シホ、ソウは空振り三振。八番モウトにはフルカウントまで持っていかれるも、縦スライダーで空振り三振。
「いやー、ええピッチングやな」
「さすがタマなの!」
「小学生からミレの天才って言われていただけはありますね」
「「え、ミレニアム出身なん?(なの?)」」
「はい」
「てっきりここら辺かと…」
「知らなかったの…」
「サキさーん!守備ー!」
「あっ、忘れてた」
ツタバ、ミイヤとの話に花を咲かせていると、ケイタの声で守備のことを思い出すリント。マウンドに再度降臨。
四番のユウナとは久しぶりの対戦。
「宜しくね」
「あ、よろしくお願いしますー」
捕手のソウに、優しく声をかけて打席に。
(投げてもほぼストライク、それも大部分がビタビタ、失投なんでハナから期待しちゃダメ)
(球種も多彩で狙い球は絞れない…来た球を振るしかない、か)
かなり辛い内容となる勝負。初球は高めツーシームを豪快に空振り。
「当たったらあれやばいですよ」
「まぁ、ユウナらしいな…」
キャプテンのその姿に、1年生は当たった時のことを、2年生はユウナの心情を思う。
2球目アウトコースのカーブは、一塁側ベンチ付近へリントから初めてのファール。
それによって少し期待が高まったが、ラストの高めからくい込んでくるスプリットに手が出ず見逃し三振。
「…くぅーーーっ!!」
(久しぶりかも、この感じ)
その勢いのまま、アミ、ニナを再び連続三球三振。
「ちょ、守備しても飛んでこーへんねんけど!」
「ガチでエグいってw!」
不満そうに言うケイタと、笑いながらのケイ。
「ソウゴー、走れ走れー!次の打者やぞー!」
外野からのんびりと帰っていた人に声をかける。
「そうなん!?ちょっと待ってー!!(>_<)」
ダッシュでグラウンドを駆け抜け、息を切らしながら渡されたバットを装備して行く。
「大分息切れしてますけど、大丈夫でしょうか…」
「ま、ダイジョブデショ」
「ーースリーストライク!」
ヒフミの心配が的中したのか、バットを振れている感じではなく、3球とも振り遅れで三振。
「…ソウゴは運動音痴やから、しゃーなし」
打順は2巡目に入り、ケイタ。
カンッ!
「うわ!!やってもうた!!」
初球、カーブを叩くとお手本通りのショートゴロ。一塁に走り出すが、すぐに進路を外してベンチへ戻ってくる。
「前飛んだからええやん」
「辛いさん」
「ゴロキング」
ベンチからはフォローが飛んだり、野次られたり。
そしてケイはこの打席、3球ほどで対応し始め、異様にファールで粘られる。次にはいきなり衝撃弾をぶち込んだリントを控えることもあり、強気に投げ込めず、丁寧に入れるしかない。
(…入れるのを優先にしてるとはいえ…粘るのが上手い…!)
「ーースリーストライク!!」
「うわー!タイミングズレたー!」
「いや感覚リズムゲームか」
「…ふぅ」
勝負は実に14球粘った末、ラストはストレートに空振り三振。
打者として準備をしていたリントは、「惜しかったなー」と、グラブを取りに行く。
相も変わらず支配的なピッチング。三木原姉妹、レイノを多彩な変化球でバットにかすりもさせず三球三振。
タマもそれを習って、といきたいところだが、残念ながら打者はリント。左打席に入る。
初球のストレートは真後ろにファールにされると、次のシンカーを右中間に運ばれる。リントは、三塁を狙おうと二塁を蹴るが、ライトのアミはネットに当たって弱く跳ね返った打球を捕球すると、近くまで来ていたセンターレイノにグラブトス。
「レイノ!」
「任せて!」
そしてレイノはその爆肩で三塁へノーバン送球。
「え、ちょ嘘やろ!?」
リントは、まさか送球がこんな速度で来るとは予想しておらず、サードのタッチを掻い潜るようにスライディング。
「…セーフ!!」
タイミング的には際どかったが、リントの技量が僅差で上回りセーフ判定。
「ひゃ、170位出てたやろアレ…」
あわや刺されそうになったことに恐怖を覚えたリント。
「何あのセンターの人、超強肩やん」
「あ、俺らが見に行った試合で刺してた人か!」
「あの人かー( ˙꒳˙ )」
「流石レイノなの!」
そんなプレーもありつつ、無死三塁でモンタ。ストレートに思うように当たらず、1B2S。しかし、意地で食らいつき4球目はセンターへ高く上がるフライ。定位置より少し後方。
(いやー…行けるか?)
三塁ランナーコーチの様子も伺いつつ、いつでもタッチアップできるように姿勢を作る。
パシッ!シュッ!
「…!?いや無理無理!」
バックホームを見てスタートを直ぐに諦めるリント。例に漏れずノーバンで帰ってきた送球は、地面を這うようだった。
レイノに助けられつつ、トウ、シホを連続三振。なんとか無失点で凌ぐタマ。
そして4回表を迎える試合。しかしリントを捉えることは難しく、2打席目のメグムを三球三振、イクミには初のボールを与え連続三球三振は途切れたが、4球目にしっかりと三振、タマは2球をファールにはするが3球目で空振り三振。
手も足も出ない野球部だが、一方投手タマの調子は本格的に上がってきたようで、マシーンズ下位打線を三振、二ゴ、三振で三者凡退。
期待に応えたい打線。ユウナ、ミツとフルスイング組が揃って空振り三振と当たらず、前に打球が飛ばずにイニングが終わると思われたが、その時。
カンッ!
「「「おっ!!」」」
六番ニナがどん詰まりではあるが、ストレートをショートへ。
「あっ、ちょっ!?」
飛んでくるとは全く思っていなかったのか、モンタは慌てて打球を処理。
「アウト!」
幸いド正面だったのでアウトは取れたが、投手からするとヒヤッとする場面だった。
「気ぃ抜かんといてくれやー?モンT」
「いやー、ガチで焦ったわ」
「頼むやで」
これで、連続三振は14で途絶える。既にバグではあるが。
6回表、カーブを駆使して、ケイタをショートゴロ。ケイはサードゴロに打ち取り、球数を節約して、迎えるリントとの3回目の勝負。
メグムの好リードも作用してか、ストレートとスライダーをインコースアウトコースに散りばめ、リントに対して1B2Sとカウントを作る。
(配球が読めんわ、いいリードやな…それに注文通りに投げるタマもエグいわ…)
4球目はストレートインハイ。カットしてファール。
少し間を開けて、5球目の縦スライダー。
(真っ直ぐ…いや、これ落ちとるわ…)
バット軌道を修正しようとするも、落ち幅が異様に大きく、合わせきれない。
カキンッ!!
引っ掛けた打球はセカンドゴロ。
「あ、サキさん凡退した!!」
「そりゃリントでも凡退はするでしょ」
まさかまさかの上位打線を三者凡退。ベンチは帰ってきたタマを大変祝福する。
しかしリントがその裏に、しっかりと三者連続三振で流れを持っていかせない。
スコアは1-0と、ロースコアのまま7回、試合は後半戦へ。
このまま終わるかと思われたが、ここで大波乱。
「モンTがんば〜」
「初球から打て!(。>д<)」
野次が飛ぶ中、先頭のモンタへ初球のアウトコースのストレート。
カッキーーーン!!
「「「え?」」」
外のクソボールだったが、モンタは咄嗟に踏み込んでフルスイング。片手1本で当てた球は、ライトへ超弾丸ライナー。
「うわ、入った」
「「「うぇぇぅぇぅぇうぇうえええ!!!???」」」
状況を飲み込めずに慌てふためくマシーンズベンチ。一方の向こうは唖然としている。
モンタ自身もダイヤモンドを回っている最中、(なんで打てたんやろ…)、と考えるほどの一打。
ともかく、モンタがホームベースを踏み、追加点となるソロホームラン。
立て直したいタマだったが、スタミナが切れたのか、トウには甘いフォークを投じてしまいレフト前へポテンヒット。さらにシホにはショートゴロを打たせゲッツーコースだったが、ショートナオがグラブで弾いてしまう。
「…」
無言でその守備を見つめるタマ。
ナオは焦って捕球しにいき、ギリギリ間に合いそうな一塁へ送球。しかし、それも逸れてしまい。結果的にそれぞれ一つづつ進塁して、無死二三塁を招いてしまう。
「あちゃ〜」
「投げる時は無茶しちゃダメって言ってたんだけどね…」
「気持ちが強い子だから、仕方がないの」
「妹の前だと、特にねー」
先輩ら3人による指摘が飛ぶ。リントは、それを聞いて(そういうタイプの子かー)、と今後の育成の仕方を考える。
視点は戻ってグラウンド。何とか流れを止めたいところ、七番のソウは三振に切り、その勢いを持ち続けられるか。しかし、そう簡単にはいかず、八番モウトにフルカウントからフォアボールを与えて満塁とすると、九番ソウゴにフォークを打たれると、まさかの打球は一二塁間を抜けタイムリーヒット。
「え、ガチか!?」
「ソウゴ打てるんかい!?」
「やるやん」
「いやー、これが実力ですか( * ॑꒳ ॑*)」
ソウゴが打つとは誰も思っておらず、何気に今日一驚いてる一同。
「皆さんの中でのソウゴさんの評価って…」
「運動音痴」「もやし」「骨」
「ひ、酷い…」
ヒフミの問にボロカス答える。
そして試合的には、ソウゴにヒットが出たらもう止まらないといった様相。
「フォアボール!」
「よしよしよしよし!!」
一番のケイタは押し出しの四球を選び、二番のケイも粘られ、このイニング3つ目の四球でまた1点。
流石に荒れ始めたタマに、ユウナが投手交代の選択。少し前からブルペンに入っていた野中ヤマトをマウンドに上げ、タマはニナと交代でサードへ。
一死満塁、ヤマトが最初に相手するのはリント。
「リントなら、初球から絶対狙ってるの」
「そうですか?1球見ても良さそうですけど」
ミイヤの言葉に疑問を抱くツタバ。ヤマトが投げると同時に、ミイヤ言葉を返す。
「リントは、凄いの」
そう言ったと同時に、快音が響き渡る。
センターへ高く上がった打球を、リントは左手でバットを掲げながら見つめる。
高めストレート、完璧な一打。
なかなか落ちてこない大飛球は、本日2度目の校舎屋上。
グランドスラムで自身の勝利を確信させる追加点を叩き込む。
「You are GOAT!!」
「ようやるわ!!(>_<)」
「さすがサキさん!」
ホームベースで前のランナーが出迎える。
打たれたヤマトは余りの出来事に笑うしかなかった。
点差を9点にまで広げ、打者一巡。モンタに帰ってくる。
自分から始まった流れを継続させたいが、ここは力強いストレートに押され空振り三振。トウは、メグムの配球に翻弄されファーストゴロ。
「9点、十分すぎるわ」
リントが、そう軽い足取りでマウンドへ行こうとした時、ミイヤに呼び止められた。
「…投げたい?ケイタが?」
「そうなの」
「お前投げれるん?」
後ろに控えているケイタに聞いてみる。
「多分行ける!」
「ほーん…別にええけど」
「ガチ!?ありがとサキさん!!俺頑張るわ!!」
「じゃあ、リントはセカンドでいい?」
「わっかりましたー」
目標変更。セカンドへ向かうリントと、マウンドへゆっくりと歩いているケイタ。
「…投手変わる?」
「リント先輩セカンドに行ったよ!」
「乃囚先輩がピッチャーだ!」
「…投げれるのあの人?」
動揺する野球部。
(まぁ、どんだけ酷くても9点ありゃいけるやろ)
リントはそう思いながら、7回裏を守る。
先頭のメグム。
(どんな投手なんだろう…)
気にしつつ打席に立つ。ガチャガチャふにゃふにゃしたフォームからの初球は、90km/h程のスローボール。大きく外れる。
(…?)
次の投球も、同じコースで同じ球。
(…???)
次は同じボールが、今度は内角抜けてくる。メグムは大きく仰け反る。
(…舐められてるのかな?)
バットを握る手に力が入る、スリーナッシングからの4球目。やっとストライクゾーンへスローボールが投じられる。
カキーンッ!!
痛烈な当たりが左中間へ、シホとモウトが追って、シホが先に到達し中継へ投げる。メグムは二塁ストップ…かと思われたが、スピードを落とすことなく三塁へ走る。
モンタから良い送球が帰ってくるも、タッチが間に合わずセーフ。チームとしても初ヒットで、いきなりチャンスを生み出す。
「みんなー!!まだ行けるよーっ!!」
三塁からベンチを鼓舞する。
「頑張れケイタ!」
「俺らが守るから何とかしろ!」
負けずに二遊間から檄を飛ばす。
「おう!任せろ!」
ケイタが謎の自信に満ち溢れる中、二番のイクミは打席へ。
初球は、またスローボールからの入り。
「ちょ、ケイタストレート使おうぜ?」
「せやで!スローボールじゃ無理やって!」
それに対し、苦言を呈す二遊間。
「え、これストレートなんやけど…」
「は?」
「え?」
困惑する二遊間。
「…すまんな」
「悪気はなかってん!ほんまごめん!」
謝罪する二遊間。
「あー、もう吹っ切れたわ!おらぁ!!」
怒ったケイタが声を出しながら思いっきり投げる。しかし、コントロールは全く出来ておらず、打者の背中を通過する大暴投。
「もう、このバカ!!」
捕手のソウは逸れたボールを追う。その間に三塁のメグムは本塁へ、悠々とホームイン。これで最初の1点を返す。
「ちょ、やってもうたわ…」
「何しとんねんコラァ!!」
リントがケイタをど突きに向かう。トウは、察したのかリントを宥めに行く。
「1発行かせろやぁ!!」
「どーどー」
その後何とか場が収まり、試合は再開。
先程暴投のイクミに対しては、ストライクが1球もなく四球。
こんな調子で三番タマの打席。
初球はボール、次もクソボール、3球目はゾーンへ。
(来たっ!!)
カキーンッ!!
上手く引っ張った打球は、レフトの頭を超える。
イクミは、レフトが打球処理にもたついているのを確認して三塁を蹴る。タマも後ろを追いかけ三塁へ。
両者余裕のセーフ。1点が入り、また無死三塁。
そして四番のユウナがきっちりとセンター前を放ち、タマもホームイン。9-3で6点差。
「うーん、まだアウトひとつもない事実」
「なんだ?流行りの7点差逆転の類似現象か?」
まだまだ打線は止まらず、五番のアミがセカンドの頭を丁度超えるライト前ヒットを放つと。
「うわ!やってもうた!!」
それをライトのソウゴが捕逸。さらにはカバーが遅れたのも作用して、ユウナは勿論。
「アミ!!回って回って!!」
ランナーコーチは手を回す。それを信じて、アミはホームへ帰ってくる。
中継のリントにボールが来る頃には、既に5点目が入っていた。
「うーん、投手交代!!」
「ちょ、サキさん待ってや!!せめて1アウトまで!!」
「33点くらい入りそうやわ!!」
「ちょ、ケイタ投げるくらいやったら俺の方がマシやで」
リントとケイタのやり取りに、捕手のソウが言う。
「えー、これやったら俺も投げてみたいわ」
モンタも便乗して言う。
「お願い!!1アウト!!1アウトとらせて!!」
「…」チラッ
ベンチのミイヤへ視線を向ける。
(行かせてあげてもいいんじゃないの?)
(さいですか…)
とりあえず、1アウトで交代で同意した皆。だがそれが遠い。
六番ヤマトはセンター前。七番マオはサードの悪送球で出塁。
永遠に攻撃が続くのではないかと心配になる投球であり、八番のナオにはライト前に落ちるポテンヒット。ランナーはそれぞれ1つ先に進む。すると、ソウゴが送球時にボールを引っ掛けてしまい、一塁方向へ大暴投。
「もうひとつ行ける!」
ランナーコーチの指示もあり、全員1つ先の塁へ向かう。
…が、ここで暴投したボールを、セカンドのリントが激走してきて、一塁後方でスライディングキャッチ、間髪入れずにセカンドへ送球しようよするが、モンタはベースの近くにいるだけで注意がこっちへ向いていない。
「モンタァッ!!!」
「え!?何何!?」
大声でこちらを向かせると、低めビタビタへ送球。モンタもそれを捕球し、ランナーに怖気付かずグラブは動かさない。
「!!…あ、アウト!!」
「ナイスモンタァ!」
「あ、あざす〜?」
何が起こったか分かっていないモンタ。1アウトを自分で取れたなんて思っていない。
「じゃ、降りようねケイタ」
「ちょ!あれはなしやって!トリックプレーやん!」
「投手モンタで」
「わかったの!」
「え、俺?」
「8回はトウで」
「…投げんの?まぁええけど」
「9回はソウで」
「まかせろ!」
「ちょっとサキさぁーん!」
「1アウトごとに6点はシャレにならない」
ゴネるケイタを引きずり下ろし、モンタを引っ張ってくる。
「よしっ、モンTこい!」
ソウが力強く声を掛ける。
(やっべ、勢いで言ったはええけど、投げれるかな…)
自分から志願したは良いが、実際立ってみると不安が湧いてくるモンタ。
(距離遠っ!!いけるかな…?)シュッ!!
しかし、そんな思いとは裏腹に、中々良いボールがミットに収まる。
「…ちゃんとピッチャーや!」
感動するソウ。まぁさっきまでと比較したら、比べ物にならないくらいだからか。
少し肩をあっためてから試合再開。守備位置は、セカンドがケイタ、ショートがリントに変わっている。
打順は九番レイノに代打、沖田ミズコ。一死三塁。
初球はストレート、引っ張ってファール。次も引っ張ってファール。ボールを2つ挟んでからの5球目、それをセカンド右横へのゴロ。
「ケイタ!」
「任せろ!」
ケイタが追い、捕球。そして、一塁へ送球をするも、横に大きく逸れるワンバン送球。トウは対応できずに後ろへ。
1人帰ってきて1点。幸い、トウの反応が早く、バッターランナーは二塁へ進ませなかった。
「任せろ詐欺やめてや!」
「…任せろ!」
ハチャメチャな守備を披露するケイタ。2点差として、一番に帰ってメグム。アウトローのストレートを上手い流し打ちで、安定の出塁。一死一二塁のピンチで焦ったモンタは、イクミにフォアボール。満塁で打者はタマ。
やけくそでカーブ(っぽいもの)を投げてみるも無力、センター前へはじき返され1点差。後がなくなった。
しかも、ここで回ってきたのは四番のユウナ。
「モンT、頑張れ!!」
「ちょ、ケイタは黙ってて」
落ち着いて、初球はストライクを投じる。
カッキーーーン!!
…しかし、そんな球を見逃してくれるわけがない。大空へ打球は舞い上がる。シホは諦め見上げるだけ。ネットを超えていった特大ホームランは、偶然にもリントと同じ校舎屋上へ着弾。逆転グランドスラムで9-12、試合をひっくり返した。
「ケイタのエラーからだぞ」
「投手のリズムを破壊すなぁ!」
「バカ」
ケイタへの非難があちこちから聞こえてくる。そりゃそうなのだが。
ちなみに投手のモンタは、マウンド上でシナシナになってしまっている。まぁ流れが終わりそうにないのでしょうがない。
しかしミイヤは残り2アウトを取るまでは続投の姿勢。五番のアミには四球、ヤマトにも四球を出すが、ブルペンの準備もしない。
いったいいつ終わるのかという空気が流れ始めているこの7回裏。一死一二塁で七番マオを迎えたここで、超ビッグプレーが炸裂する。
カキンッ!!
4球目のストレートを打ち、詰まりながらもセンターの前へ落ちそうになる打球。
それを、ショートのリントがバックしてきてスライディングキャッチ、さらに、そのままセンターのシホにグラブトス。
「二塁!!あわっさん!!」
「は、はい!?」
声をかけ、二塁へ送球してもらう。
モンタがベースに入り捕球。飛び出していた二塁ランナーは戻れずにアウト。クレイジーゲッツーでこのイニングを終わらせた。
「ナイスロー!」
シホの肩を叩いて、そうリントは声をかける。
「モンタも、ナイス判断!」
「あれであってたんや」
モンタは、なんとなくの判断が正しかった事に安堵している。
8回表。9点リードから一転して、3点を追いかけることになってしまったマシーンズ。六番シホに代打でアイナを送る。
リント以外では初となる野球部対決。バッテリーはコースを広く使い、並行カウントを作るも、そこから中々決めきれず。
カキーンッ!!
甘く入ったスライダーを三遊間へ打たれる。
「先輩〜!ちょっとくらい忖度してよ〜!」
「流石にねー」
手加減は出来ないよと、ベンチに向かって笑うアイナ。
そして、先程の勝負でテンポを崩されたのか、ソウ、モウトにフォアボールで満塁。
それを見てブルペンへ2年生の鷲江セノ送り込み、交代の準備をする。
ヤマトは、少し持ち直したのか、九、一番の下位打線(??)を三振にする。が、最後の一人で足踏み。ケイに11球を投げるも四球で押し出し。10-12の2点差で、先程初球にグランドスラムを叩き込んだリント。一旦タイムをとり、内野陣、ベンチからユウナ等もマウンドに集まり、話し合う。
「ストライク勝負は避けよう、最悪押し出しでもいいから」
「分かりました」
入れたら打たれるのは明白すぎるので、半ば勝負は避ける形。しかし、この男はそれを嘲笑うかの如く、インローワンバンのストレートを引っ張り、ライト線へのヒット。
これでランナーは1人2人と帰ってきて、同点。タイムリーヒットで振り出しに戻す。
「( ˊᵕˋ ;)」
「╮( •́ω•̀ )╭」
自分のことを見て苦笑いするヤマトに、ユウナも「さぁ?」といったジェスチャーで返す。
ちなみに技術部ベンチもこれにはドン引き。
「モンT!決勝点は頼むでー!」
セカンドベースから声をかけるリント。
「おうおう、もう任せとけよ!!」
初回のケイタのように、バットをぐるぐると回すモンタ。
カキンッ!!
気合十分に初球を叩くと、ショート左へ高いバウンドのゴロ。
「うわっ!!」
やっちまったと、全力で走っていくモンタ。ナオも前へ突っ込んで来てショートバウンドで捕球、送球をし一塁へ、タイミングは際どくなる。
「…セーフッ!!」
0.0何秒という差か、審判の子がジャッチする。
その間にランナーは1人帰ってきており、リードを取り戻す。
「モンT!ナイス!」
「モンタァ!!(^^)」
ナイスランで賞賛。
(握り変えがちょっと遅れとる…動きが焦りすぎやな)
一方でリントは、選手としてもコーチの立場でも試合を見ている。
「…代えようか。レイノ、セノ呼んできて」
「わかりました」
ユウナが出てくる。それに、ヤマトも察したのか、マウンドを自ら降りる。
「よく頑張った!後はセノに任せなさい!」
ヤマトの背中を2回、優しく叩く。
交代したセノのピッチング、入念に準備していたのも作用してか、トウに初球からインハイに良いストレート。
(うわ、なんか打ちずらい…)
少しガチャガチャしたフォームで、リリースポイントは地上から20cmほど。速くこそないが、始めて見るかなり低めの右サイド投手にそう感じる。
2球目にはカーブ、少し甘いコースだが、独特の変化に手が出ず2ストライク。
そして、最後は低めのストレート。すこし外れたがトウは打ち、ファーストゴロ。
セノは、傷口をこれ以上広げさせないナイスピッチを披露する。
「セノ、ナイピ!」
リントも、ベンチへ帰る際に声を掛けた。
8回裏、トウが投手、モンタは一塁、代打のアイナはそのままセンターを守る。
「期待はせんといてや」
「わかった。期待しとくで」
「はぁ…」
何をわかったのか、トウは何も考えずにとりあえず投げる。
八番のナオは、制球が定まらず四球。
ミズコはセンターフライで1アウト。
「次から上位打線よ!頑張ってこー!」
「「「おー!」」」
鼓舞するリント。
「…とりあえずセカンドには飛ばささんとくわ」
「ちょ、それは酷いわ!!」
トウは、ケイタの事を無視して投球を続ける。…しかし、流石上位打線。
初球、メグムにサード強襲のヒットを打たれ、イクミは四球を選び、満塁でタマの2Bからの3球目。
カキーンッ!!
センター左へのライナー。アイナは追いかけるが、ボール1個分届かない。
「回って回って!」
モウトはネットからの跳ね返りを取ると、中継のケイタへ。
「OKOK!!…あっ!!」
すると、余裕そうな感じから、ショートバウンドの送球を、ケイタが後ろへ逸らす。
「イクミ!行ける行ける!!」
三塁へ到達したばかりの、一塁ランナーのイクミは、そんなプレーがあったとは露知らず、その仲間の判断だけ信じホームへ突っ走る。
「もう!ケイタのバカ!」
そう言いながら、一塁とホームの間くらいを転がるボールを、まさかのショートリントがカバーに入る。
「ソウ!」
「任せろい!」
素手でボールを掴み、体を回転させ一塁へストライク送球。
ソウも非常に上手いタッチを見せる。
「アウトっ!!」
…しかし、これだけで終わらなかった。
「ソウ三塁!」
「おっけー!ケイ〜!」
三塁を陥れようと、タマがセカンドべースをスタートしていたのを見逃していなかった。ソウは三塁へ投げる。
「おーっと?ほい!」
高めに浮いてしまった送球。しかし、ケイはそれを捕ると、オートエイムでも付いているのか疑いたくなるほど、正確にタマの足を捉える。
「…アウトッ!」
「っしゃー!!」
「トウ!(''∇^d) 」
「えぇ…」
リント、ソウ、ケイの超絶連携プレーで、ゲッツーをもぎ取り攻撃をシャットアウト。当事者以外の大多数はもちろん、トウも困惑するしか無かった。
だが、その裏で逆転タイムリーツーベースとなっているので、スコアは13-14で9回表へ。
1点リードで、七番からの下位打線からの野球部だが、7回から急に乱打戦の展開となってきたので、全く安心できない。
「…ミイヤ先輩、ノル先輩、代打の準備よろしくお願いします」
「任せてなの!」
「うん、わかった」
先頭のソウは空振り三振。まずは1つを取ったところで、代打のミイヤ。
「きゃ、キャプテン?」
「セノちゃんよろしくなの!」
まさか代打で出てくるとは思わなかったのか、驚いた顔を見せる。そして、対戦としてはミイヤらしい内容で、ストライクゾーンから、際どいところを全てカットし、9球目に四球をもぎ取る。
「ごめんなの、こんな打撃しかできなくて…」
申し訳なさそうに、一塁へ向かうミイヤ。それに、セノは「気にしないでください、ナイスバッティングでした!」と、ジェスチャーでさりげなく伝える。
走者を一塁に置き、九番代打ノル。
「向こうも勝ちに来てるよー!」
「頑張れー!セノ!」
「どっちも頑張れー!」
初球はカーブでストライク。2球目に高めストレート、これは外れてボール。3球目も同じボール、外れてバッティングカウント。4球目は低めのカーブ、これをノルは打ち、サードのタマがギリギリ追いつけない三遊間を抜けるヒット。
「…ヒフミ」
「はい?」
「代打、準備しといて」
「…え?わっ、私ですか!?」
「おう。多分ケイタはフォアボールで、満塁になるから、頼むで〜」
「私、や、野球なんて、授業で数回しかやったことないですよ!?」
「グダグダ言わない〜、いってらっしゃーい」
ヒフミにバットを握らせ、背中を押してベンチから出させる。
そして、リントの言う通り、ケイタはフォアボールで、一死満塁となる。
「あはは…や、やれるだやってみます!」
そう言い残して、右バッターボックスに立つヒフミ。構えは、本当に授業で数回しかやったことない人の構え。
しかし、捕手のメグムは、何かを感じる。
警戒して、初級は外のカーブ。ヒフミは振るが、全くかすりもしない。2球目も同じボール、これも空振り。
「あれ、リント?ヒフミ知らん?」
「ん?今打席やけど」
「え、マジ?」
リントが指を差す。
「ガチやん。なんで?」
「いや、主人公適性が高い気がして」
「???」
ソウゴは、こいつの言っていることがあまり分からなかった。
(…?私の気のせい…いや、一応ストレートで決めとこうかな)
そして、バッテリーは高めストレートのサイン。セノは頷いて投げる。
「わっ!?」
ヒフミは、驚いてバットを鮮やかに振り抜く。
カッキーーーン!!
逆転の鍵を握る白球は、空気を切り裂きいい角度で左中間へ。セノはガックリと下を向き、メグムは苦笑いして見つめる。ヒフミは何が起きたのか分からず、とりあえず授業で習った通り一塁へ走った。
「おっしっ!!ナイスヒフミ!!」
ネットのラインを超えたのを確認し、ヒフミより喜ぶリント。采配がハマったのが嬉しかった模様。
代打ヒフミの逆転グランドスラム、見事逆転に成功。17-14で、更にリント。
ぶっちゃけ敬遠でも文句は無いが、しっかりと勝負に行く。
カッキーーーン!!
しかし、左で構えたリントに初球から捉えられ、確信のバット投げ。今度は左中間に、ネット越えの弾丸ホームランを叩き込まれる。
もう笑うしかない光景。ここで投手交代、1年の小芽生ヨモギが投げる。
「気兼ねなく投げてきてね!」
「はっ、はい!キャプテン!」
投げさせて貰えると思っておらず、ブルペンに入る時からずっと嬉しそうな顔。
投球的には、決してコントロールが良いとか、球にキレがあるとかでは無いものの、適度にストレートを散らし、そこに変化球を使う。これで、モンタをセカンドゴロにし、トウにはセンター前ヒット打たれるも、アイナをサードフライで3アウト。無失点で乗り切る。
「投手変わる度に抑えられてね?」
「しゃーなし、わからんもん」
「っていいながら、トッさんはセンター前打ってるよね」
「知らん」
この試合も、やっと9回裏。マシーンズ4点リードで、守護神役はソウ。守備は以下の通りに変更。
(投)ソウ
(捕)モンタ
(一)トウ
(二)ミイヤ
(三)ケイ
(遊)リント
(左)ツタバ
(中)アイナ
(右)ケイタ
「任せろー!」
投手のソウは意気込み十分。ゼロで抑える気まんまん。
サインを出すのが抜けているモンタと、とりあえずストレートのソウによる初球。
「おぅ!!」
高めストライク。120前後の速さを投げ込まれ、モンタは何とか捕球。
(いい球投げるね…胡酢谷くんといい、琉村くんといい、スカウトしておいた方がいいかな…?)
次も、ストレート。真後ろにファール。
(普通にええやん、昔やってたんかな?)
(ソフトボールやってたらしいですよ)
(そうなん。ってか、頭の中に直接やめれ)
カッキーーン!!
(あ、そっち飛んだぞ)
(お任せです!)
ユウナの打球はレフトへの強いライナー。落ち着いて正面に入り、アウト。
「上手いね!!」
「並ぐらいです」
流れはいい入りの投球。次の五番アミは、ストレートで2S2Bと平行カウントを作る。が、ここで黄色信号。
(…あ、スライダーってほれるんかな)
ふと変化球を使いたいと思い、スライダーの握りで何となく投げてみる。すると、アミの身体を掠める形でボールが抜ける。
「あっ!!すいません!!」
掠めたため、判定はデットボール。ソウは必死に謝る。アミは、大丈夫とジェスチャーをした。
ランナーを置いてからの投球。
「それっ!!…あれー?」
プレッシャーからか、急にコントロールが荒ぶり、ストライクに1球もはいらいず、なんと連続四球で満塁。ナオ、代打スズメにも四球。押し出しで2点差。
一人相撲を取り始めるソウに、リントは「打たれていいからスローボール!」と助言をする。
「わかったわ…」
一番のメグムに、スローボール。
(…来たっ!!)
カキーンッ!!
タイミングを合わせ、ピッチャー強襲のセンター前ヒット。
(よしっ!!)
二塁ランナーは俊足の楠橋スズメに代わっている。同点は確実。
…のはずだったが、なんとリントが横っ飛びで打球を止める。
「…!!」
センター前に抜けるかという打球を、リントが空を飛びグラブに収める。
(リント…信じてたの!!)
私は、セカンドベースを踏みながら、リントのグラブトスを受け止め、一塁へ送球。
「…アウトッ!!」
ラスト2アウトを、完成させた。
「「「ありがとうございました!!」」」
「「「ありがとうございました!!(あざしたー)(^^)/」」」
18-16で試合が終わり、グラウンド整備に取り掛かる皆。
「いやー、いい試合やったなぁ」
「長かったの」
「いい写真がたくさんとれたので、来た甲斐がありましたよ!!どれ使おっかなー」
「新聞にするの?」
「ちゃんと私の写真入れといてよねー」
「ヤマトちゃんのやつかー…あ、ちゃんとあるある!じゃ、いれとこっか?」
雑談に花を咲かせる。ほかの部員たちも同じくだ。
「いやー、でも、あの子たちの色んな所が知れたから、これからが楽しみやぁ」
「リント、すっかりコーチ思考なの」
「はは。全員で勝てる、そんなチームにしたいんで」
「…私も、手伝えることがあったら何でも言ってなの!!」
「はい。頼りにしてますよ、ミイヤ先輩」
整備が終わり、1人帰ろうとするタマ。そこに、リントが声をかける。
「…なんですか」
「タマ…」
試合描写、どれが良い?
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ダイジェスト形式多め
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細かい描写(打者投手の心理描写等)多め
-
なんでもいいから書いてくれ