ユニコーンの角折りたい   作:Marks_Lee

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暴走する魔力、揺れる

朝の光がカーテンの隙間からゆるやかに差し込み、私のまぶたを静かに揺らす。眠気の残るまぶたをこすりながら、そっと隣のユウを見た。彼はまだ寝息を立てているが、角がわずかに赤く光っているのが目に入る。昨夜の暴走の余韻だろうか。少し痛むのか、眉をひそめているようにも見えた。

 

「ユウ、大丈夫?」

小声で声をかけると、彼はゆっくりと目を開け、こちらを見つめてから小さく頷いた。

 

「うん……少し痛むけど、なんとか耐えてる」

 

部屋の空気は柔らかくて、彼のその弱さがなぜか愛おしく感じられた。

 

そんな時、私の魔導端末が静かに震えた。管理局からの連絡だ。ユウの魔力暴走が継続しているとの報告で、専門家が調査のために向かうという。

 

「……来るのね」

 

心の中で呟きながら、私は少しだけ緊張を覚えた。

 

◇◇◇

 

数時間後、玄関のチャイムが鳴る。開けると、黒いコートを身にまとった男性が立っていた。彼は落ち着いた表情で、周囲に静かな威圧感を漂わせている。

 

「ユウくんの魔力暴走について調査に参りました。私はアルフレッドと申します。魔獣管理局では魔力制御の専門家です」

 

彼の声は穏やかだが、その中に揺るぎない自信が感じられた。

アルフレッドはユウの様子をじっと観察しながら話し始めた。

 

「初期の擬人化魔獣は感情の起伏により魔力が不安定になりやすい。特に、ユウくんのようにまだ制御を完全に習得していない個体は暴走のリスクが高いです」

 

私は彼の言葉に頷きながら、ユウの肩にそっと手を置いた。

 

「対策としては、魔力を意識的にコントロールする訓練を行います。感情の波を穏やかに保ちつつ、魔力の流れを自分で調整できるようにするのが目的です」

 

バイコーンはそう説明し、具体的な特訓プランを提案した。ユウは少し緊張した表情を浮かべたが、すぐに決意を見せて小さく頷いた。

 

「やってみるよ。自分でなんとかしたい」

 

夕方。訓練を重ねる合間、ユウは珍しく口を開いた。

 

「アイリ、俺さ……迷惑かけてばかりだよな」

 

彼の声は普段よりも弱くて、不安が滲んでいる。

 

「そんなことないよ。みんな不安は抱えてる。だから、私たちは一緒に頑張るんだよ」

 

私は彼の目を真っ直ぐに見つめながら答えた。

アルフレッドはそんな私たちのやり取りを静かに見守っている。彼は少し微笑みながら、私にささやいた。

 

「信頼関係が何よりの魔力制御の鍵です」

 

その言葉に私は胸が少し熱くなった。

 

◇◇◇

 

夜が深まる頃、再びユウの魔力が暴れ始めた。部屋の空気が震え、光が乱反射する。ユウは必死に角を押さえ、小刻みに震えていた。

 

「ユウ、落ち着いて。俺も一緒に手伝う」

 

私は冷静に魔法を使いながら彼を支え、バイコーンも静かに力を貸してくれた。緊迫した時間が流れる中、ユウは徐々に呼吸を整え、魔力の暴走を押さえ込んだ。

 

暴走が収まった後、ユウは静かに呟いた。

 

「自分の感情が魔力を左右しているって、初めて実感したよ」

 

私は優しく微笑み返した。

 

「それを理解しただけでも、すごく大きな一歩だよ」

 

アルフレッドは私たちを見つめ、意味深な言葉を残した。

 

「これから先も多くの試練が待っている。しかし、君たちなら乗り越えられるはずだ」

 

私はその言葉を胸に刻みながら、ユウの隣で静かに目を閉じた。

 

そんな一日を終え、ユウは少しだけ大人びた表情を見せていた。

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